巨神聖戦記 作:芹沢亀吉
一方サンフランシスコでは自動小銃で武装した猿達が暴れている。
猿達を率いるボノボ(※チンパンジーの一種)のコバはジェネシス製薬会社の実験室で新薬を投与され続けた影響で知能の向上が著しく、長年実験動物にされ続けてきたためヒトへの憎悪が非常に強い。コバは同じく実験動物にされた猿達と共に蜂起し、動物園の猿達にも新薬を与え知能を向上させたのだ。
「サイバーテロに日本の侵攻の次は猿達の反乱か!いい加減にしろ!」
サイバーテロと日本の軍事侵攻でアメリカ政府自体が瓦解しているため警察も州兵も組織立った行動を取れず、元々身体能力でヒトを上回っている上自動小銃を使えるほどの知能を得た猿相手にヒトは防戦一方である。サンフランシスコのランドマーク、ゴールデンゲートブリッジも今では SWAT 残党と猿達の戦場と化している。
「猿達に負けるな!奴らをサンフランシスコ湾に叩き込め!」
猿達を侮蔑する SWAT 残党だが、横倒しにしたイエローバスを盾にして足止め、橋の鉄骨部分や上部のケーブルといったヒトが通れない場所からオランウータンやチンパンジーが群れで襲撃というコバの作戦で次々やられていく。
そこに「ワルキューレの騎行」を大音量で鳴らしながら UH-60 ブラックホークヘリ部隊が襲来し、猿達への一斉射撃を開始した。怒りに震えるコバは思わず叫んだ。
「止めろ!」
既にコバの知性は人語を話せるほどになっていたのである。するとコバの叫びに反応するかのようにラドンが飛来した。厳密には猿達を侮蔑し殺戮を楽しむヒトの邪念に反応して飛来したのだが。ラドンは身体をキリモミ回転させブラックホーク部隊を次々と撃墜させていく。
今まで通り猿達を侮蔑し続けたいヒト達とヒトの非道な抑圧に抗う猿達が戦うなら、ラドンは迷わず猿達に味方する。
ラドンに撃破されたブラックホークのうち1機が橋の上に墜落した。ヘリに搭乗していた司令官がコバに命乞いするが、ただでさえヒトを憎悪している上仲間の猿達が大勢ヒトに殺されたとあってはコバにその命乞いを聞き入れる義理は無い。
「この馬鹿猿がぁー!」
ヘリの残骸もろともコバに橋から蹴り落された司令官は絶叫した。もっとも落下直後にラドンに喰われたためサンフランシスコ湾に落ちることは無かったのだが。橋に着地したラドンと目が合ったコバはこう言った。
「ありがとう、お陰で助かった。」
猿達を率いて森の中に消えていくコバをラドンは静かに見守っている。