巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#8

数日後東京都庁上空を練習機 T-4 が爆音を上げながら飛行した。空自のアクロバット飛行チーム、ブルーインパルスだ。

他国の軍事パレードを軍事力の誇示と腐す日本国民に限ってブルーインパルスの曲芸飛行という軍事パレードと本質的に変わらないものに感動出来るのは、自国へのえこひいきを拗らせ過ぎて客観性や公正さを見失っているからだ。

 

だが現在の都内はブルーインパルス見物どころではない。とある大企業で女子更衣室に侵入し着替え中のベトナム人社員を襲おうとした会社役員がその社員に撲殺されたのを皮切りに大規模な暴動が発生したからだ。

 

日頃から日本人より劣悪な条件で労働を強いられ続け、日本人の上司や同僚から嫌がらせされることも多々ある外国人労働者達がとうとう怒りを爆発させたのである。

「俺何で襲われなあかんねん!?鉄パイプはアカンって!勘弁してえや!」

 

中央テレビのスタジオで番組収録中の木下は局に乱入した人達に頭蓋骨を叩き割られた。番組内で尻を殴打される芸人達を指差してゲラゲラ笑っていた木下だが、最期は自分自身が殴打される側に回ったのだ。高校時代に遊び半分で同級生に暴行を加えて以来暴行を楽しむようになったこの腐れ外道は、局内の外国人スタッフにも遊び半分で頻繁に暴行していて当然恨みを買っていた。

 

「暴動は新宿だけでなく、大阪、名古屋、神戸、仙台、札幌、博多と各地で拡大中です。この楠木が防衛相を拝命した途端に不逞外国人の暴動ですから、これは今すぐ治安出動を発令せよという天命でしょう。治安出動を円滑に進めるため議員会館と議員宿舎を自衛隊に制圧させ、野党議員や無所属議員の中でも特に反日色が強い者を都心から強制退去させるのも必要かと。」

 

息子正義の死で祝賀会が台無しになり落胆していた楠木だが、治安出動で自衛隊が公然と民衆に銃口を向けられることにほくそ笑む。都心から強制退去という反体制派議員への悪質な嫌がらせのため自衛隊を動かす発想も悪い意味で楠木らしい。

寺内亡き後門長が防衛相臨時代理を兼任していたのは、散々好き勝手した挙句ラドンに喰われた寺内の後任を与党内の誰もが嫌がったからである。

 

そんな門長か不本意ながら楠木を防衛相に任命したのは、防衛相の後任を出せない与党に政権担当能力は無い

と野党から非難され続けたのが大きい。なお退院後にゴジラ対策特命担当相に就任した矢口は防衛相後任候補から外れている。

「野党議員達は現役自衛官である楠木君の防衛相就任を憲法違反だと騒いでいるが、この治安出動で暴動を鎮圧すれば現役自衛官の防衛相就任に世間は納得し、現役自衛官の大臣就任を憲法違反とする現憲法を改正するべしという世論が高まる筈。暴徒鎮圧だけでなく反日議員の追放も出来れば一挙両得だ。では自衛隊法78 条に基づく治安出動を発令する。」

 

門長が毛嫌いする楠木を防衛相に任命したのは、現役自衛官の大臣就任を既成事実化する政治的意図もあったのだ。内心嫌い合っている門長と楠木だが、民衆への迫害や反体制派議員への嫌がらせ等卑劣な権力犯罪を実行する時だけ見事に息が合う。

 

歴代内閣は「市民に銃口を向ける自衛隊」という印象の広まりを恐れ、治安出動発令には及び腰であった。門長の祖父、巣鴨満は首相時代に治安出動発令で国会前デモの殲滅を企てるも、国定忠和防衛庁長官の反対で断念している。

門長自身沖縄や奈良の自衛隊に治安出動を命じたが、キングシーサーとジョナ一行の介入で迫害が失敗して以来治安出動という言葉自体が事実上の禁句になっていた。そんな中で門長は再び治安出動を発令し全国の自衛隊を動かす決意をしたのだ。

 

現在暴動の渦中にある大阪では、一ノ瀬とアイリーンが全ての窓のカーテンを閉めベッドの中で震えている。

 

「これが自衛隊の本性。市民に銃口を向け容赦なく射殺する。日本企業が外国人労働者を低賃金長時間労働で使い潰し続けたのが今回の暴動の背景にあり、クズ役員が着替え中の女子社員に乱暴しようとしたのが暴動の直接の火種なのに、外国人だけ悪くて日本企業は悪くないと言わんばかりに武力鎮圧。どこの国でも軍隊は大企業とグル。」

 

「私だってこの国では外国人。今自衛隊に殺されている人達と同じ立場。『自衛隊の弾を国民に向けることは出来ない!』と言う政治屋に限って日本国民以外の命は何とも思っていなかったりするから怖い。由衣ちゃんに結婚迫ってきたあの政治屋、矢口蘭堂だって私達在日外国人は射殺しても構わないと考えているのは間違いないよ。今回の治安出動に賛同したのがその証拠。」

 

人々を戦車で踏み潰す、広場に連行し今年制式採用されたばかりの 20 式 5.56mm 小銃で一斉射撃等自衛隊による虐殺は凄惨を極め、暴動と無関係な人達を遊び半分で射殺し金品を奪う強盗殺人犯同然の自衛官も数多い。

暴動に乗じて空き巣を働いていた非番中の矢野も凶悪自衛官達に射殺され、身ぐるみはがされ堂島川に放り込まれた矢野の死体に魚達が群がっている。

 

翌朝になると窓の外が静かになった。どうやら暴動は鎮圧されたようだ。一晩中眠れなかった 2 人だが全く眠気を感じず恐る恐る外に出てみることにした。外はまだ薄暗いが、一晩中いびきをかき続けていて元気一杯のペロは一ノ瀬をグイグイ引っ張る。

 

街のあちこちが壊れ、大量の死体が転がり、死臭が充満している。子どもの射殺死体も複数あり、暴動を起こした人達が銃を持っていなかったのを踏まえても明らかに自衛隊による犯行だ。

 

すると陸上自衛官数人が一ノ瀬とアイリーンの 2 人を包囲した。興福寺の時と同じ状況だが、あの時と違い自衛官全員がニヤニヤ笑っていてとにかく薄気味悪い。

「お前の着替えや入浴姿をDVDで観たけどいい身体だしあの清純な下着も超俺好みだ、ウヘヘヘヘ。お前みたいな反日女は本来射殺だが、今ここで全裸になってやらせてくれるなら見逃してやる。不細工な犬っころなんかより俺達自衛官と遊ぼうぜ。」

 

「早くそのダサい服脱いで清純な下着と全裸姿を俺達自衛官に見せろよ。俺もう我慢出来ねえぜ。もう 1 人もその地味な服脱いで下着姿と全裸姿を見せてくれ。俺中国人は即刻射殺したいくらい大嫌いだけど、ここまで清純な色白美人なら話は別だ。」

 

「あんた達最低!この人や私の身体はあんた達ゲス自衛官達の劣情を満たす道具なんかじゃない!」

 

「コイツ必死過ぎ、ヒャハハハ!なあ、コイツら早く脱がせようぜ。全裸美女2 人を好き放題出来るボーナスイベントの始まりだぁ!」

 

外道自衛官連中が一ノ瀬とアイリーンを襲おうとした途端、空から強烈な光が降り注いだ。襲われそうになり目を閉じていた2人がゆっくりと瞼を開くと、目の前にモスラがいて光で目が眩んだ人間のクズ全員を口から吐いた糸で拘束している。なおこのモスラはイエローストーン国立公園内に産み落とされていた卵から誕生した個体で、金色の粒子と化しゴジラと融合したあのモスラの子である。

 

「お姉ちゃん!大丈夫だった?」

 

「リン久しぶり!元気にしてた?」

 

モスラの背中からリンが降りてきて久しぶりに顔を合わせた双子の姉妹が抱擁を交わす。モスラの背中から降りてきたもう 1 人の女性はマリア・ヴォルタースと名乗り、東ドイツで生まれ育ち壁崩壊後は様々な国で教師をしてきたと一ノ瀬に自己紹介した。

 

「お姉ちゃん達もここを離れよう。危険過ぎるよ。」

 

「わかった。でもその前にやることがある。」

 

一ノ瀬は自分達を襲おうとした外道自衛官連中の顔面を力一杯蹴飛ばし唾を吐きかける。

一ノ瀬の蹴りで前歯や鼻骨が折れた最低連中の顔面にペロが小便をかけた。ニヤニヤ笑いながら婦女暴行しようとしたクズ自衛官共にはお似合いの姿だ。

 

「用件」を済ませた一ノ瀬とペロは勿論、チェン姉妹やマリアも背中に乗せたモスラは飛翔を開始し、呻き回る腐れ自衛官達に強風を浴びせた。

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