巨神聖戦記 作:芹沢亀吉
#1
仰向け状態のメンゲレはピクリとも動かず、眉間の焦げ穴から煙が出ている。
「貴様!最初から俺達を使い捨てにするつもりだったのか!偉大なるアーリア民族を騙すとかやり方が汚いぞ!金星人!」
「ルクス様が授けた日本を騙し討ちする計画を大歓迎していた癖に、自分達が騙されるのは嫌か?貴様らネオナチが崇拝するアドルフ・ヒトラーが用済みの突撃隊を始末したように、我々金星人も用済みの貴様らを始末する。」
そう言ったヨヴェルは光線銃でスコルツェニーの心臓を撃ち抜いた。スコルツェニーは両膝を突きうつ伏せに倒れ込む。
「ドイツ第三帝国の再興とやらもこれでおしまいだな。よし、こいつらの死体を片付けておけ。」
後頭部を蹴飛ばしスコルツェニーの死亡を確認したヨヴェルは、部下達にネオナチ 2 人の死体を片付けるよう命じる。2 人の死体を浮遊式担架に乗せ運び出した部下達と入れ違いで第二兵器格納庫に入ってきたのは、やや沈鬱な面持ちのホシェルである。
「君は本当に地球人が嫌いなんだな。部下に命令せず自ら射殺するとは。まあネオナチ連中のお陰で慣らし運転は十分出来た。各イェーガーに搭載されている AI が連中の操縦の動きを全て覚えたからもう中に入って操縦する必要も無い。」
「我々金星人の支援無しでは何一つ出来ない癖に上手く我々を利用した気になっている地球人の高慢さに頭に来ていましてね。あのネオナチ連中は金星人の科学技術などドイツ第三帝国の再興を実現するための手段に過ぎない、金星人は科学技術が優れているだけの二流民族等我々の盗聴に全く気付かず言いたい放題でしたよ。そのため私自身の手で始末することにした次第です。」
ホシェルは操縦の困難さからお蔵入りになっていたイェーガーをネオナチ連中に操縦させ、その動きを AI に覚えさせ自動操縦技術を確立させようと考えていた。最初から用済みになり次第ネオナチ連中を抹殺する計画だったのは言うまでも無い。
「あのまま戦い続けていたらイェーガー全機をゴジラに破壊され折角のデータが無駄になるところだった。2 機失ったのは残念だが全機失うよりはいい。ヨヴェル、例の装置をイェーガーに搭載せよ。あの 3 機への最終兵器実装ももうすぐ完了と聞いている。」
「御意。3 機の修理及び改良は既に完了し今現在最終兵器実装の仕上げ段階に入っています。例の装置のイェーガーへの搭載はすぐ済みますので、ゴジラ打倒作戦開始まで既に秒読みを開始したも同然です。」
3機の最終兵器実装に立ち会うため第二兵器格納庫を出て第一兵器格納庫に向かうホシェルを見送ったヨヴェルは、機材を持って集合した部下達にイェーガーへの装置搭載を命じる。するとヨヴェルの小型端末が緑色に点滅した。
「あと少しです。あと少しでルクス陛下の天下が実現します。これらは全てルクス陛下のための計画ですので。」
個室に入ったヨヴェルは小型端末の立体映像を表示させ、何者かと会話しながら邪悪な笑みを浮かべている。
一方大阪では、一ノ瀬とアイリーンを襲おうとしてモスラの糸で束縛された腐れ外道自衛官連中が起き上がろうともがいていた。
「くそ!この糸頑丈だな、全然動けねえ!うげっ、口の中で犬っころの小便の味がして吐きそうだ、オエーッ!」
「あの犬っころ、次は射殺してやる!それにしてもあの女が泣き叫ぶ姿を想像しただけでゾクゾクするぜ、ウヘヘヘヘ。中国人美女もいるし次のボーナスイベントが楽しみだ。あの 2 人の全裸で泣き叫ぶ映像が俺達のコレクションに加わる日が待ち遠しいぜ。」
「貴様らに次のボーナスイベントなど無い。今ここで全員終了するからな。」
驚いた自衛官連中が声の方向を見るとジョナ一行が自動小銃 M4A1 を構えている。一ノ瀬とアイリーンが泣き叫ぶ様子を妄想しニヤニヤしていた外道自衛官連中は泣き叫びながらジョナに命乞いするが、直後に全員蜂の巣にされた。
全身血まみれで両目を見開いたまま動かない腐れ外道共に石を投げつけている藤崎志保は元陸自隊員で、現在はジョナの部下だ。
「俺達のコレクションとか完全に常習犯ですよ!一体何人被害に遭ったのでしょうか!?こいつら全員地獄に行くべきです!」
藤崎は陸自時代に海外派兵され、現地でシャワー中に上官に襲われそうになった過去がある。とっさに右耳を噛みちぎり怯ませた隙に銃を奪いクズ上官を射殺した藤崎は、そのまま自衛隊を脱走しジョナの部下になったのだ。
この事件は自衛隊の印象悪化及び海外派兵反対の世論拡大を恐れる日本政府により隠蔽され、日本国内では自衛官2 人が現地で事故死と報じられている。
突然藤崎が泣き崩れた。クズ上官に襲われそうになったトラウマが蘇ったのだろう。黙って佇むジョナに藤崎は泣き顔で尋ねた。
「初めてお会いした時からずっと不思議に思っていたのですが、何故隊長は私が陸自を辞めた理由を聞こうとしないのですか?」
「貴方が話したくないことを無理に聞く必要は無いからな。貴方は奈良でも私が射殺した自衛官連中が乗っていたメガクルーザーを素早く奪い民間人2 人を連れた逃避行に付き合ってくれた。貴方のような同志がいてくれて私も心強い。これからもよろしく頼む。」
ジョナに励まされ気持ちが落ち着いてきた藤崎は外道自衛官連中が乗っていた高機動車を奪う。他の部下達が確保したのは 3 台の軽装甲機動車である。高機動車の運転席に座る藤崎の冷静な表情は奈良でメガクルーザーを運転していた時と同じだ。
「相変わらず手際がいいな。では藤崎さんが道案内するから貴方達はその軽装甲機動車でついて来るように。」
高機動車と軽装甲機動車で大和川を越え大阪市を出たジョナ一行は、大仙古墳等数々の古墳で有名な堺市内を悠々と走行し和泉市を目指す。藤崎は陸自時代に和泉市内の信太山駐屯地にいたことがあり、今でも経路が頭に入っていて頼れる案内人である。