巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#6

ジョナはハッキング技術を駆使し、東京全域の監視カメラの映像を信太山駐屯地司令室の大画面で観られるよう設定していた。

キングギドラの電力吸収に伴う停電で映像がいくつか消えたものの、非常電源があったり電池式だったりと停電でも問題無く動くカメラが大半のため特に支障は無い。藤崎とジョナの背後ではジョナに内通した自衛官達が死体の片付けの最中だ。

 

ゴジラを引きずった状態で六本木ヒルズやグランドプリンスホテル新高輪、品川警察署等を破壊しながら飛翔するキングギドラは羽田空港に着地した。

首を絞められた状態で約 20km引きずられた直後に起き上がり咆哮するゴジラの生命力は驚愕ものだ。

この空港は先程ゴジラが起こした大波で半分以上冠水していて、キングギドラの足元の ANA 機体工場に至ってはほぼ水没している。

突然ゴジラの全身が灼熱化し周囲の海水が一気に蒸発した。灼熱化したゴジラの表皮はまるで溶岩で、背びれと両目は太陽のように輝いている。

 

ゴジラはキングギドラに引きずられている間に秘めた力を解き放つ準備をしていたのだ。足元の東京モノレールのレールや鉄筋コンクリート造の建造物が瞬時にドロドロに溶けたのを踏まえると、ゴジラの体温が 1200℃以上なのは間違いない。

 

驚愕したキングギドラは前傾姿勢で両翼を広げ各首が一斉に咆哮する。ゴジラは俯いて背びれを赤く発光させ、途方も無い高温の熱波を拡散した。

 

驚くべきことに熱波にはモスラの翅の模様が浮かび、熱波の拡散と共にモスラの鳴き声が響く。熱波の直撃で両翼を瞬時に焼き尽くされたキングギドラは悲鳴を上げ仰向けに転倒した。

 

この熱波で川崎市の工業地帯等羽田空港の半径10km圏内は勿論、千葉県にあるのに名前だけ東京のディズニーランド等10km 以上離れている場所まで消し飛んだのだから恐ろしい。

 

起き上がったキングギドラは各首が一斉に引力光線を吐いた。

危機的な状況なので左右の首も中央の首の合図を待たず自発的に引力光線を吐いたのだが、灼熱化したゴジラの全身を覆う強大な霊気が引力光線を遮断する。

 

この霊気は粒子化しゴジラと融合したモスラのもので、体内に秘めていたモスラの霊力を全開にしたゴジラの破壊力と防御力は見ての通り極大化している。

キングギドラの左の首は灼熱化したゴジラの並外れた強大さにすっかり怯えていて、そんな左の首を吠えて叱る右の首も両目に宿る闘志が急速に消えつつある。だが冷静にゴジラを睨む中央の首の両目はまだ闘志を失っていない。

 

「隊長、ゴジラの灼熱化の直後に映像が途絶えました。羽田空港内の監視カメラ自体が高温でやられたものと思われます。」

 

「榊大翔なる成金の働きかけで日本政府は軍事衛星を打ち上げた。その軍事衛星から受信した映像を今からここで観よう。」

 

ジョナの目の前の画面では全身が灼熱化したゴジラと対峙するキングギドラが映っている。映像自体は白黒で解像度もあまり高くないが、羽田空港の半径10km 圏内の監視カメラが全て消し飛んでいるので今はこの映像だけが頼りだ。

ゴジラは再び熱波を拡散し、モスラの鳴き声と共にモスラの翅の模様の熱波がキングギドラに襲い掛かる。半径10km圏内が瞬時に消し飛ぶ熱波をもう一度浴びれば少なくとも左右の首が焼き尽くされるのは間違いない。まさしく万事休すである。

 

突然キングギドラが全身から緑色の重力波を解き放った。あのスペースゴジラが両肩の結晶体から放った重力波と同じ色だ。ゴジラが熱波を拡散する際はモスラの鳴き声が響くのに対し、キングギドラが重力波を放つ時はスペースゴジラの咆哮が響き渡る。

 

最早原型をとどめていない羽田空港で激しく衝突する熱波と重力波の威力は互角で、二神は互いに譲らない。

 

それにしても共生関係にあるモスラの霊力を得て赤い熱波を拡散するゴジラに対し、一時は敗死を危ぶまれるほどの死闘の末に撃破したスペースゴジラから奪った力を使い緑色の重力波を放つキングギドラというのも色々な意味で対照的だ。

かつてアイリーンが言った通り、キングギドラはゴジラと双璧を成す存在なのである。

 

3 分後、灼熱化が終了しもう熱波を放てないゴジラに対し、キングギドラの各首は残り少ないスペースゴジラの力全てを込め赤色の引力光線を吐く。

 

キングギドラの中央の首は重力波の拡散より引力光線で一点を狙う方が今のゴジラには有効と判断したのだ。ゴジラは赤色の引力光線の直撃で後方に吹っ飛び平和島に叩きつけられた。無論平和島公園も、東京流通センターも消し飛んだ後だ。

モスラの霊力を使い果たしただけでまだ自身の体力が残っているゴジラは、平和島に叩きつけられた直後に起き上がり羽田方面にいるキングギドラを睨んで咆哮した。

 

一方キングギドラは焼け焦げた両翼の根元がムクムクと動き、羊膜で覆われた新たな両翼が生えてきて左右の首がそれぞれの翼を覆う羊膜を噛み破る。互いに切り札を使い切った二神だが、まだ決着はついていない。

 

「この戦いで勝った方が金星人と戦うのですね。」

 

「私も藤崎さんと同じ見解だ。この大混乱に乗じて金星人連中が本格的に侵略を開始するのは目に見えているからな。」

 

画面越しに二神の激闘を眺める藤崎とジョナは、既に巨神と金星人の戦いを予期している。

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