巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#6

世界規模のサイバーテロで政府中枢が麻痺した各国が大混乱に陥ったのは金星人一行が皇居を訪れてから 10 日後のことだ。

軍事超大国アメリカも全ての軍事衛星が機能停止した上大気圏に突入して灰と化し、軍事機密を扱うスーパーコンピューターは停止し世界各地どころか国内のどの基地とも全く連絡が取れず、ペンタゴンの中央管制室は混乱の坩堝と化している。

突然真夜中のマイアミに火の手が上がった。官邸に現れた金星人達が乗っていたあの 3 機が襲来したのだ。

巨大戦闘機ガルーダは機首の光線砲を、戦車ガンダルヴァは 2 門の可動式連装光線砲を、水陸両用戦車ナーガは爪先状の連装ミサイルと回転式光線砲台の光線砲を一斉に発射し周囲は地獄絵図と化す。

 

そこにハイランド・ホイットモア空軍大尉率いる F-35B 戦闘機部隊が到着した。

 

「どこの国か知らんが世界の警察である我が国を攻めるとは無礼にも程がある!3 機とも灰にしてくれるわ!」

 

だが 3 機には攻撃が全く通用せず、F-35B 部隊はことごとく光線砲の餌食になっていく。

両翼の可動式ローターや推進ノズルで立体移動性能と高速移動性能を両立させているガルーダはF-35Bに逃走を許さない。

すると数分でマイアミを壊滅させた3機が突然消え去り、生存者達は皆夢を見ているような表情だ。

奇跡的に生き残ったホイットモアも瓦礫の山に佇みながら唖然としている。

 

「あれは一体何だったんだ?俺は幻覚を見ていたのか?だが俺の身体の痛みと傷は本物だ。一体どうなっている?」

 

同じ頃ホワイトハウスでは大統領補佐官が血相変えて大統領執務室に駆け込んだ。

「大変です、大統領!サンフランシスコ、シカゴ、ロサンゼルス、シアトル、マイアミそしてニューヨークと我が国の主要都市が次々と何者かに攻撃されています!国内の軍事基地もほぼ全て制圧された模様です!」

「こんな時に何事だ!?真夜中に俺の国を攻撃する不届き千万な国は一体どこだ!?くそったれ!」

報告を受けたビル・タネン大統領が青筋を立てて怒鳴っている。

 

そんなタネンに追い討ちをかけるようにワシントン D.C.上空に多数の戦闘機が飛来し空爆を開始した。

「このワシントン D.C.が空爆されているだと!?ただちに全機撃墜して世界最強のアメリカ軍の強さを思い知らせてやれ!」

 

直後にタネンが愕然としたのはワシントン D.C.を空爆しているのが航空自衛隊の主力戦闘機 F-2 と判明したからだ。

F-2 が搭載している空爆用爆弾 Mk.82 を開発したのは他ならぬアメリカである。アメリカが製造開発した空爆用爆弾がアメリカの首都への空爆に使われるのも皮肉な話だ。

 

結局ワシントン D.C.は短時間で陥落した。逃亡を企てたタネンに自衛官達が一斉に銃口を向ける。

「よく聞け!薄汚い黄色人種共!偉大なるアングロサクソン国家の大統領である俺様にこんな真似してタダで済むと思うなよ!」

 

旧日本軍が奇襲攻撃したパールハーバーに保存されている記念艦ミズーリ、即ち 1945 年の敗戦時に日本が降伏文書に調印したあの戦艦ミズーリでアメリカ大統領であるタネンに同じことをさせた日本政府は本当に意地が悪い。勿論これは第一次世界大戦時にドイツが降伏文書に調印した客車でフランスに同じことをさせたナチスの手法を真似たのである。

その頃メキシコ湾では海面にゴジラが浮上した。

この巨神は突然現れ巨獣の生首と共に消えた銀色の機体の行方を追っている。

 

金星人達は巨獣を始末し生首を回収する算段だったのだが、ゴジラに喧嘩を売った巨獣が放射熱線で全身を爆砕と文字通り瞬殺されたため吹っ飛ばされた生首を急遽回収した。通常兵器で負傷する巨獣が本物のゴジラの放射熱線に耐えられる筈も無い。

 

「おいみんな!あいつに絶対近寄るな!ぶつけられたら一瞬で沈没だぞ!漁は中止だ!一旦港に戻れ!」

 

「あんなに怯える頭領初めて見たぞ。あの鯨よりデカいのが何なのかよくわからんがとにかくヤバいのだけは確実だ。戻ろう。」

メキシコ湾の漁師達はゴジラの姿を見た途端に一斉に退散し漁港を目指す。ゴジラの名前さえ知らない漁師達だが毎日命懸けで海に挑む身だけにゴジラが現れたら何をするべきかを瞬時に悟り、即実践したのである。なおゴジラは基本的に人類など眼中に無いため退散していく漁船団に対して特に何もしない。眼中に無いとは漁船が近寄れば無意識のうちに沈めるという意味だが。

 

それにしてもよりにもよって本物のゴジラに喧嘩を売り一瞬で返り討ちに遭う巨獣の間抜けさにはかける言葉も無い。

仮にこの巨獣がニューヨークにでも上陸していたら、タクシー追いかけるのに夢中で吊り橋のケーブルに引っかかる間抜けさを発揮しアメリカ空軍戦闘機のミサイル数発で死亡するのは目に見えている。本物に外見が多少似ていても所詮まがい物はまがい物なのだ。

 

このように書くと全ての面で本物のゴジラに大きく劣る印象しかない巨獣だが、足の速さと生殖能力に関しては本物を遥かに凌いでいる。

単為生殖で多量に産卵するこの巨獣が大量発生すれば見境無く海洋生物を捕食し絶滅させるのは確実だ。そして本物のゴジラによる産卵前の巨獣の瞬殺で巨獣の大量発生自体が不発に終わり、数多くの海洋生物が絶滅の危機から救われた。

 

 

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