巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#2

続けて画面越しに東京の様子を観察していた 2 人は、全壊した靖国神社境内にふらふらと足を踏み入れる迷彩服姿の男を発見した。よく見ると境内のあちこちに自衛官達の死体が転がっている。この自衛官連中は治安出動時に外国人労働者虐殺を楽しんでいた人間のクズ共だが、皇族の全滅を知り靖国神社境内に集い自決したのである。

 

「あいつは楠木武ですよ!毎年新人自衛官達に無理矢理便器を舐めさせたり、演習場の外に榴弾砲が着弾した件を部下のせいにして演習を指揮した自分の責任をウヤムヤにしたりとあの男は筋金入りの最低野郎です!あいつまだ生きていたんですか!」

 

画面の中に映る楠木を指差す藤崎は憤りを隠せない。陸自出身だけに楠木の悪行を熟知しているのだ。

 

「楠木武は轟天号完成の立役者と称して防衛相になり治安出動と称した在日外国人虐殺を指揮していたが、日本政府が滅亡し自衛隊の指揮系統が完全に崩壊した今となっては何の権威も権限も無いただの人だ。先程メキシコ人達にも言った通り東京は半減期25000 年の放射能で覆われているから、あの男もいずれ被爆死する運命からは逃れられない。放っておこう。」

 

ジョナは楠木を放置し映像を切り替えると、画面に荒川沿岸で横倒し状態の第五福竜丸が映し出された。

ゴジラが全身を灼熱化させ熱波を周囲に放射した際に第五福竜丸記念館自体は消し飛んだものの、その前にゴジラ東京上陸時の大波で 5km 以上流された第五福竜丸は結果的に消し飛ばずに済んだのである。

 

「皇居も国会議事堂も官邸も全壊したのに第五福竜丸はほぼ無傷で残りました。これは最早偶然などではなく奇跡ですよ。1954年にアメリカ軍がビキニ環礁でやったことを忘れるなという天命としか思えません。」

「正直これには私も驚いたよ。藤崎さんが言っていることにも頷きたくなる。そういえばゴジラも第五福竜丸も同一の熱核爆弾による死の灰を浴びた存在だったな。」

危険と隣り合わせの人生を歩んできて多少のことでは驚かないジョナも、この奇跡を目の当たりにして驚きを隠せないようだ。

 

死体の片付けを終えた内通者達は信太山駐屯地内のさざれ石を的にして射撃訓練を行っている。「君が代」の歌詞に登場することで有名なこの石は協調団結の象徴、即ち日本という国がどれだけ間違ったことをしていても一致団結しお上の命令通り動けという欺瞞の象徴で、反政府主義者集団であるジョナ一行にとっては射撃の的に丁度いい。

 

「てっきり鉄拳制裁されると思っていたので驚きました。」

 

「暴言や暴力で部下を押さえつけても真の信頼を得ることは出来ない。貴方達も暴言や暴力で押さえつけてきた上官を憎悪しているからこそ私達に内通したのだろう。私だって海兵隊時代はアラブ系ということで、そしてトランスジェンダーということで同僚や上官から色々な目に遭わされた。そんな私達の事情を察している隊長は私達に暴力を振るうことは勿論暴言を吐くことも無い。」

 

修羅場をくぐり抜けてきたジョナ一行の指導は過酷と覚悟していた内通者達だが、今は死亡している陸自の上官達と違い暴言や暴力が全く無いので皆驚いた表情だ。この内通者達はトラウマになるくらい理不尽な暴言暴力に晒され続けてきたのである。

 

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