巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#9

メカゴジラに搭乗した金星人達はレーダー画面でホシェルに迫る重大な危機を知り、メカゴジラの操縦室は蜂の巣をつついたような大騒ぎだ。

何故かホシェル救出を躊躇うヨヴェルだが、先程小型端末で会話していた何者かに無線で促され出撃を決意した。

 

「ルクス様!今すぐおそばに馳せ参じます!オッケーVENUS(ヴィーナス)、メカゴジラを靖国神社境内に瞬間移動させろ!ただしルクス様がいらっしゃる第二鳥居周辺だけは絶対避けてくれ!そうだ、あの楠木武は別に踏み潰しても構わんからな!」

ヨヴェルが呼び掛けた VENUS はメカゴジラに搭載されている AI だ。AI への依存を強めると X 星人同様にコンピューターの言いなりにならないかとホシェルは難色を示していたが、VENUS にガルーダ、ガンダルヴァ、ナーガの 3機が合体したメカゴジラを運用させればゴジラ打倒及び地球制圧が早く済むとヨヴェルに強く説得され実装された経緯がある。

「かしこまりました。現在楠木武なる者はルクス陛下のすぐそばにいるため踏み潰すことは出来ませんが、よろしいでしょうか?」

 

「わかったから急げ!楠木武はどうでもいい!ルクス様のおそばに馳せ参じるのが第一だ!」

 

直後にメカゴジラは靖国神社境内に瞬間移動し、既に倒壊状態の大鳥居を踏み潰す。メカゴジラ到着を目視したホシェルがベルトのボタンで機内に瞬間移動した途端に積乱雲が境内を飲み込み、シャワー状の雨が雷鳴を伴う暴風雨に変わった。

 

「何だ、これは!?うわーっ!」

ようやく積乱雲の接近に気付いた楠木は、強風で吹っ飛び楠木正成像が突き刺さっている瓦礫の山に頭から突っ込んだ。普通の人なら全身打撲で即死してもおかしくないが、妙にしぶとい楠木は意識を失っただけである。

 

自身が楠木正成の末裔であることを常日頃から自慢し続けていた楠木だが、こんな形で楠木正成像に「添い寝」する日が来るとは夢にも思わなかったであろう。

 

メカゴジラの機内に瞬間移動したホシェルは、放射能洗浄のため宇宙服を着たまま巨大な回転ブラシの間を通ってシャワーを浴びる。洗浄を終えたホシェルがエレベーターに乗り操縦室に到着すると、ヨヴェル達が快く出迎えた。

 

「ご無事で何よりです、ルクス様。」

 

「すまない、私の軽はずみのせいで君達に多大な迷惑をかけてしまった。」

ボタン 1 つで瞬時に宇宙服からライダースーツ状の衣服に着替えたホシェルは、ヨヴェル達に詫びながら操縦席に腰掛ける。

 

「何仰るのですか。あの楠木武がルクス様の目の前でへたり込む様子をこの画面越しに観て我々一同大笑いしておりました。」

 

「それは何よりだ。私も楠木武には相当腹に据えかねるものがあったので正直せいせいしたよ。」

 

突然のメカゴジラ出現に驚いたキングギドラが左方向に急旋回し着地姿勢に入る。直後に靖国神社境内に着地し両翼を広げた姿勢でゴジラを模した形状の兵器を睨みつけたキングギドラは、着地時に踏み潰した遊就館には何一つ興味を示さない。

「ルクス様、いよいよ暴悪龍との決戦ですね!それにしても暴悪龍の足元で悲惨なことになっている遊就館には笑えます。あそこの展示は日本が常に正しいという独善が前面に出過ぎていて以前足を運んだ時も反吐が出そうでした。」

「日本の侵略を美化する展示だらけの遊就館など我々金星人には不要。だから暴悪龍が踏み潰してくれて大いに結構。それよりヨヴェル、今から戦う暴悪龍は 10000 年前よりも大幅に強大化し、あのゴジラ相手に勝利した正真正銘の怪物だ。油断するな。」

 

メカゴジラの機体が発する凄まじい邪念を感じ取ったキングギドラの右の首は、再び東京に巨大な邪念が現れるという自分自身の予感を先程まで疑っていた不見識を恥じた。

 

とはいえ X 星を発った時点で天皇や門長らの邪念を察知したり、目の前のメカゴジラが金星帝国の所産であることを瞬時に見抜いたりとキングギドラの各首が持つ並外れた探知能力や眼力は戦いを繰り返すうちに自然と会得したもので、慣れないうちは戸惑ったものだ。今回会得した予知能力にもこれから徐々に慣れていくであろう。

 

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