巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#10

金星帝国の所産であるメカゴジラと対峙したキングギドラは、金星の自然を破壊し尽くし他の星への侵略を企てた 10000 年前の悪行を全く反省していない金星帝国に憤る。

そしてメカゴジラの機体が発する邪念、即ち長年地球制圧及び金星帝国復活を企ててきたエレボス在住の金星人の邪念こそ、キングギドラを地球に招いた「気配」の正体に他ならない。

 

この三つ首龍は宇宙の星々を巡り自然の調和を乱す文明を滅ぼしてきた。

地下資源目当てで戦争するアンラマンユ王国、母船と巨大円盤で侵略即ち自然破壊を繰り返すエイリアン、生体兵器を製造したアトランティス文明以外にもキングギドラに滅ぼされた邪悪な文明は数多い。

キングギドラが X 星の文明を滅ぼしたのも、X 星人達が地球の自然を破壊する気満々なのを見抜いていたからだ。

 

自身の細胞由来の動植物で地球全体の生態系を圧迫し元々いた生物の大半を絶滅という植物由来の暴君の行いは、前述の通り文明人の環境破壊が可愛らしく見える程の大悪事で、自然の調和を最低最悪な形で乱している。こうした存在もキングギドラにとっては滅ぼすべき害悪なのだ。

 

現にキングギドラが植物由来の暴君を滅ぼしたことで地球の自然は調和を取り戻し現在に至っている。

 

「あの暴悪龍を倒せば地球は我々のものだ!諸君、帝国の復活は目の前だぞ!あの醜悪な暴悪龍に地獄を見せてやれ!あの時金星帝国を滅ぼしたことを死ぬほど後悔させてやれ!」

 

ヨヴェルが激昂し三つ首龍への憎悪を煽る。長年キングギドラに恐怖を抱き続けてきた分、ようやくキングギドラに復讐する時が来たという高揚感に酔っているのだろう。本を正せば金星の自然環境を破壊し尽くし他の星への侵略を企てた金星帝国が全部悪いので完全な逆恨みなのは言うまでも無い。操縦席の画面に映るキングギドラを無言で眺めるホシェルは冷静な表情だ。

「マスティマ閣下の仰る通りだ!金星帝国復活はもう目の前だ!」

 

「10000 年分の恨みをあの暴悪龍にぶつけてやれ!」

 

ヨヴェルの激昂で乗組員達が一斉に喚声を上げたのに伴い、メカゴジラの機体が発する邪念は一層濃厚なものになった。

 

信太山駐屯地では対峙するキングギドラとメカゴジラを司令室内の画面が映していて、藤崎とジョナが眺めている。

 

「これが金星人の侵略兵器ですか。形状から察するに自衛隊がアメリカ侵攻に使った例の 3 機が変形合体したものでしょう。機体の冷たい感じの無機質さが薄気味悪いです。」

 

勿論人間である藤崎にメカゴジラの機体が発する邪念を察知することは出来ないものの、それでも彼女はメカゴジラが醸し出す大量破壊兵器特有の不気味さを感じずにはいられないのだ。

 

「ついに始まったか。それにしても金星人め、また随分と酷い兵器を作ったものだな。大方地球最強の巨神ゴジラを模した兵器でゴジラを打倒し最強は自分達だと喧伝し侵略を進める予定だったのだろうが、肝心のゴジラを王なるギドラに倒されてゴジラを模して製造した意義が大きく揺らいだのが痛い。さあ金星人よ、その模造品でキングギドラを倒せるかどうかを見せてもらおう。」

 

ジョナ一行が画面越しに見守る中、巨神対機体の戦いの火ぶたが切られた。 キングギドラは両翼を前脚代わりにして駆けながらメカゴジラに向け突進する。

 

遊就館からメカゴジラが立っている大鳥居方面にまっすぐ向かうと、靖国神社に隣接する白百合学園の敷地を通ることになる。勿論キングギドラはそんなことは一切気にせず、白百合学園内を瓦礫の山に変えながら高速で駆ける。猛進するキングギドラの気迫に押されホシェルは焦りの色を隠せない。

 

「先程のゴジラとの戦闘を映像で観る限りあの暴悪龍は接近戦も強い。ヨヴェルよ、我々金星人がメカゴジラで取るべき戦法は浮遊しながら暴悪龍と一定の距離を保ち、砲撃を浴びせることに尽きる。オッケーVENUS、メカゴジラを飛行させてくれ。」

「かしこまりました。では当機は飛行を開始します。」

 

メカゴジラはガルーダ由来の両翼ローターを回転させ機体のロケットエンジンを噴射しながら飛行した。疾走していたキングギドラは両翼を地面に押し付けて立ち止まり、各首が浮遊するメカゴジラを睨む。

 

この時両翼の風圧で横倒しの大村益次郎像が歩行者に蹴飛ばされた空き缶のように転がっていった。ここでホシェルが初の攻撃指令を下す。

 

「連装光線砲を発射せよ。暴悪龍を蜂の巣にするのだ。」

 

メカゴジラはガンダルヴァ由来の両腕の連装光線砲を発射し、キングギドラの全身に緑色の光線が雨あられのように降り注いだ。

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