巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#3

キングギドラの復活に驚愕したヨヴェルだが、まだ勝機はあると信じ強気な姿勢を崩さない。

メカゴジラの口から放たれた虹色のメガバスター、両腕の連装光線砲から放たれた無数の緑色の光線、両目から発射される黄色いプラズマレーザー光線、両膝の砲台から放たれるオレンジ色の光線の砲撃と色とりどりの光線がキングギドラの全身に襲いかかった。

 

だが全身に光線を浴びてもキングギドラは無傷である。自己強化を遂げたキングギドラの全身の頑丈さは先程とは比べ物にならない。

ヨヴェルの顔面から凄まじい勢いで血の気が引いていく。爆炎から出てきたキングギドラは挑発するかのようにメカゴジラの真上を通過し、新青山ビルの真上に着地した。既に半壊している新青山ビルがキングギドラの重みで全壊したのは言うまでも無い。

 

ここで装置搭載を完了したジプシーとストライカーが瞬間移動で青山に到着し、メカゴジラの機内は一気に沸き立った。1 人ホシェルは冷静に指令を発する。

「ジプシーは暴悪龍の右側に、ストライカーは左側に立て。反重力波発生装置で暴悪龍の動きを封じ込めるのだ。」

 

AI を搭載した 2 機のイェーガーは、スコルツェニーとメンゲレが操縦していた時同様の滑らかな動きでホシェルの指令通りキングギドラの両側に立つ。

ジプシーとストライカーは搭載されたばかりの反重力波発生装置から発生させた反重力波を両掌から放射し、危

険を察知し飛翔を開始したキングギドラを地面に叩きつけた。うつ伏せ状態のキングギドラは必死でもがくが全く身動きが取れない。

 

「上手くいきました、ルクス様。本来4機のイェーガーの左腕に搭載し、高速で海を泳ぐゴジラの動きを封じるために開発した反重力波発生装置ですが、2機でも問題無く機能しています。クリムゾンの分をジプシーの、チェルノの分をストライカーの右腕に搭載し何とか実装にこぎつけました。あとは例の兵器、オキシジェン・デストロイヤーの出番です!」

 

ヨヴェルがゴジラ抹殺用に開発したオキシジェン・デストロイヤーは、体細胞に含まれる酸素を分解する形で生物を死滅させる凶悪な化学薬品だ。だが金星人の科学技術でもオキシジェン・デストロイヤーは量産不可能で、弾頭は1発しかない。ホシェルはその1発を確実に命中させるため標的の動きを封じる必要があると考え、イェーガーが放射する反重力波で束縛することにしたのである。

「オッケーVENUS、オキシジェン・デストロイヤーを発射し暴悪龍を仕留めてほしい。」

 

「かしこまりました。オキシジェン・デストロイヤーを発射します。」

 

メカゴジラの喉のシャッターが開閉し、オキシジェン・デストロイヤーを弾頭に搭載したミサイルが発射された。

ミサイルは反重力波の束縛を振りほどいた直後のキングギドラに命中し、オキシジェン・デストロイヤーをたっぷり含んだ霧が半径3km 圏内を覆う。

赤坂離宮の敷地内は勿論、明治神宮外苑や新宿御苑の木々も一瞬で泡と化したのだから恐るべき殺戮兵器だ。

 

オキシジェン・デストロイヤーは生物を死滅させる兵器であり、メカゴジラやイェーガーの機体、鉄筋コンクリート造の建物等には何の影響も無い。

勿論本殿や神楽殿といった明治神宮の主要建造物は木造であるため原型をとどめないほど壊滅し、木材使用箇所全てが泡と化した国立競技場はキングギドラとゴジラの激闘で半壊していたこともありそのまま倒壊している。

「ルクス様ご覧下さい、オキシジェン・デストロイヤーの威力を!これであの暴悪龍も泡と化したのは間違いありません!」

 

直後にヨヴェルは愕然とした。霧の中から何事も無かったかのようにキングギドラが出てきたからだ。しかもよく見ると右の首がジプシーの核燃料棒を咥えている。他のイェーガーの動力は燃料電池だが 1 号機のジプシーだけは核燃料で動いていて、ゴジラの体内の核エネルギーを吸ったキングギドラからすればジプシーの原子炉もまたエネルギー補給源なのである。

「どういうことだ!?暴悪龍にはオキシジェン・デストロイヤーが全く効かんのか!?イェーガーは、イェーガーはどうなった!?」

 

地球上の生物相手には凶悪な威力を発揮するオキシジェン・デストロイヤーも、並外れた化学物質耐性を持つ地球外生命体キングギドラには全く効かない。

絶叫するヨヴェルに追い討ちをかけるかのように、霧が晴れ姿を現したイェーガーは2機とも鉄屑の山と化している。ヨヴェルが浮かれている間にキングギドラは霧の中でジプシーもストライカーも徹底的に破壊していたのだ。

 

「相手がゴジラならオキシジェン・デストロイヤーで殺せていた筈なのに!暴悪龍め!オキシジェン・デストロイヤーは全く効かずイェーガーを全て失った。悪夢だ!あんな暴悪龍を地球に呼んだのは誰だ!?」

 

相手がゴジラなら殺せていたと悔しがるヨヴェルだが、1954年の覚醒以来放射能や核エネルギーの吸収による自己強化を繰り返してきたゴジラの生命力は文字通り規格外であり、仮にオキシジェン・デストロイヤーを使用したところで一時的に活動停止させるのが関の山であろう。

勿論ヨヴェルは地球制圧を企てる自分達の濃厚な邪念がキングギドラを地球に呼び寄せたことなど知る由も無い。

「落ち着けヨヴェル。メカゴジラはまだやられていないし、我々だって今こうして生きている。勝負はまだまだこれからだ。」

 

我を忘れ絶叫するヨヴェルを制止するホシェルだが、よく見ると両膝が震えている。ホシェルもまた自分達が今苦しい状況に置かれていることを実感せずにはいられないのだ。

 

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