巨神聖戦記 作:芹沢亀吉
暴虐の限りを尽くした腐れ外道自衛官、楠木を自身が周囲に放射した引力光線で地獄送りにしたことなど全く知らないキングギドラは、頭上を通過し防衛省敷地内に着地したメカゴジラを睨む。
キングギドラの中央の首と右の首は引力光線を何度も吐いたものの、一斉砲撃の隙間をかいくぐった引力光線は全てメカゴジラの機体を覆う頑丈なバリアに阻まれてしまう。
「暴悪龍よ、楠木武を跡形も無く消し去ってくれたことに関しては礼を言う。だが貴様にはこのバリアを破る術など無い。諦めろ。」
「暴悪龍の首1本はもう諦めたようですので、残り2本の首が諦めるのも時間の問題かと。電子計算機崇拝連中、現人神気取りら皇族連中、矢口蘭堂、ゴジラ、そして楠木武と目障りな輩を我々金星人に代わり始末してくれた暴悪龍をそろそろ楽にしてやりましょう。」
キングギドラの右の首は苛立ちを加速させ、引力光線を吐こうとせず何かを見つめている左の首を睨む。
実は左の首はバリアを興味津々で眺めていて、中央の首が何を見ていたのか尋ねると、何とメカゴジラが撃った直後だけ撃った個所に開くバリアの穴を見つけたと答えたのだ。左の首の発見を褒めた中央の首はバリア突破のための策を瞬時に練り、左右の首に目で合図を送る。
直後にキングギドラの各首は中央の首の合図でバリアの穴を狙い一斉に引力光線を吐いた。穴からバリア内部に入り込んだ引力光線はバリアの内壁に何度も衝突して乱反射を続け、メカゴジラの機体のあちこちに直撃する。
「ルクス陛下、マスティマ閣下、機能停止!メカゴジラ、機能停止です!」
「馬鹿な!あの暴悪龍にこのバリアを突破する知略が、ルクス様同様の知略が備わっているとでもいうのか!?」
3 機の修復時にゴジラが吐く放射熱線に備え機体表面に人工ダイヤモンドコーティングが施されたメカゴジラは、引力光線の直撃で大して損傷していない。
だが引力光線から拡散された電磁波がメカゴジラを機能停止させたためバリアが消滅し、バリア内部で乱反射し続けていた引力光線はそのまま周囲に拡散した。
再び引力光線を撃ち込まれ大きく背後に吹っ飛んだメカゴジラにより、早稲田一帯が瓦礫の山と化す。その瓦礫の上に仰向けに転倒して動けないメカゴジラをキングギドラが容赦なく踏みつけた。機能停止したメカゴジラなど巨大なだけの置物に過ぎない。
「ルクス様!お目覚め下さい!ルクス様!」
メカゴジラの機能停止と連動するかのように突然意識を失ったホシェルに、ヨヴェルが必死になって呼びかけている。