巨神聖戦記   作:芹沢亀吉

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#3

信太山駐屯地の藤崎とジョナは、卒倒したホシェルの周囲で狼狽えるヨヴェル達の様子を画面越しに観ている。

 

「正直キングギドラが消滅した時は全てがもうおしまいなのではと思いましたが、金星人集団の中心と思しき人物の卒倒でまたわからなくなってきました。」

メカゴジラの時空砲によりキングギドラが消滅した時は愕然としていた藤崎だが、少し落ち着きを取り戻したようだ。ジョナは両腕を組みながら何かに気付いたような表情である。

「そもそもキングギドラは地球の常識や概念を超えた存在だから、我々地球人が終わりと思ったところでまだ終わりと決まったわけではない。ところであの守護神が東京に到着したようだ。これは面白くなってきたぞ。」

ジョナが指差す先の画面は時速 500kmで日本列島を駆け抜け東京に到着したばかりのキングシーサーを映している。

キングシーサーは沖縄の守護神だがその沖縄への迫害を続ける日本政府の牙城を攻める必要があると考え、泳いで下関に上陸しそのまま東京を目指して激走してきたのである。

ただでさえホシェルの卒倒で狼狽していたヨヴェル達にとってはまさしく泣き面に蜂だ。

 

「貴様はとっとと沖縄に帰ってろ!オッケーVENUS、この毛むくじゃら野郎にプラズマレーザー光線をお見舞いしてやれ!」

 

「かしこまりました。プラズマレーザー光線を発射します。」

 

ヨヴェルが宇宙服の左手の甲のスピーカーからVENUSに指令を出すと、メカゴジラは両目から光線を発射した。だがキングシーサーはメカゴジラが発射した光線を右目で吸収し、威力を10倍に増幅して左目から撃ち返す。

相手の光線による攻撃を片目で吸収しもう片方の目から撃ち返すのがキングシーサーの戦法だ。撃ち返された光線の直撃でメカゴジラの機体が仰向けに転倒した。

 

「小癪な!オッケーVENUS、すぐにメカゴジラを起こせ!」

 

直後に VENUS の操作でメカゴジラは起き上がるが、キングシーサーの俊敏な動きの前に防戦一方だ。元々接近戦自体が苦手な上、キングギドラの右の首に左腕を食いちぎられ時空砲を撃った直後で攻撃用エネルギーに乏しいメカゴジラに、格闘戦が得意なキングシーサーの相手は余りにも分が悪い。

 

「マスティマ閣下!我々があの化け物を引き付けますのでその隙にルクス陛下をお連れしてエレボスにお戻り下さい!いよいよ地球を制圧し金星帝国が復活するのですから我々の犠牲など安いものです。長年閣下にお仕え出来ただけでなく、あの暴悪龍の最期に立ち会うことが出来て幸せでした!金星帝国万歳!」

 

ヨヴェルに今生の別れを告げた部下達は一斉に叫びながらキングシーサーに石を投げつけた。

「おい化け物!俺達金星人が相手だ!うわぁああああああーっ!」

 

「ルクス陛下もマスティマ閣下も殺させない!化け物め!俺達金星人の覚悟を思い知れぇ!」

 

部下達も光線銃を持ってはいるのだが、キングギドラが吐く引力光線がメカゴジラの機体に直撃した際に電磁波を浴びその光線銃自体が使い物にならない。もっとも光線銃を撃てたところで相手がキングシーサーなので反射されるだけだが。

無人のメカゴジラが邪念を発することは無いため、キングシーサーは邪念を発する部下達に狙いを定め襲いかかる。

 

「すまない、お前達のことは決して忘れない。オッケーVENUS、メカゴジラ機内の浮遊式担架をこちらに頼む!」

 

ヨヴェル 1 人では宇宙服姿のホシェルを運ぶことは出来ないので、VENUS がヨヴェルの下に移動させた浮遊式担架に乗せ部下達がキングシーサーを引き付けている隙にメカゴジラ機内に移動させた。勿論ヨヴェル自身も担架に同伴し機内に舞い戻っている。

 

宇宙服姿のまま回転ブラシの間を通りシャワーを浴びたヨヴェルは、先に放射能洗浄を済ませたホシェルの宇宙服を取り外して自身も宇宙服を脱いだ。

実を言うと宇宙服のボタン 1 つで着替える機能も引力光線から拡散された電磁波で故障していて、今脱いだ宇宙服はメカゴジラの機内に備え付けられていたもので元から着替える機能が無い。

 

「さっきメカゴジラの外に出るため着た時は暴悪龍消滅に浮かれていたせいか何も不便を感じなかったが、宇宙服は本当に脱ぎ着が面倒だな。全く!装置の故障さえ無ければ一瞬で脱ぎ着出来たものを!」

 

意識の無いホシェルと肩を組みエレベーターで操縦室に向かうヨヴェルは愚痴をこぼしている。地球人の宇宙服と違い金星人の宇宙服は 1 分もあれば脱ぎ着出来る構造とはいえ、キングシーサー出現による危機的状況ではその 1 分が長く感じられるのだ。

操縦室に到着しホシェルを座席に座らせたヨヴェルが画面を観るとキングシーサーが部下達を全滅させていた。

 

「毛むくじゃらめ、覚えていろ!次は貴様を必ず始末してやる!部下達の仇は必ず取るからな!オッケーVENUS、プラズマ原子炉からのエネルギー充填が完了したらメカゴジラをエレボスに瞬間移動させてくれ!」

「申し訳ございません。当機の瞬間移動装置は一度目の機能停止時に故障しており修復不可能です。両翼の太陽電池を使えば当機は今すぐ飛行を開始出来ますが、その方法でエレボスに戻るということでよろしいでしょうか?」

 

「わかった、それでいい!今すぐ飛行を開始しろ!暴悪龍め!消滅してもなお我々を苦しめ続けるのか!」

 

直後にメカゴジラは飛行を開始し、太平洋方面を目指す。地上ではヨヴェルの邪念を発しながら逃走するメカゴジラを睨んでキングシーサーが咆哮した。飛行を開始したメカゴジラが映像に変わり、その映像を映す画面の前にはジョナが立っている。

 

「たった今ゴジラの模造品が東京から飛び去った。東京に現れた時のように瞬間移動しなかったから先程の戦いで瞬間移動装置が壊れたのは間違いない。問題はゴジラの模造品がどこを目指しているかだ。」

 

するとタブレット端末で何かを調べていた藤崎がジョナに話しかけた。

 

「隊長、連中の目的地を探る上で有力な手がかりとなる画像がこちらになります。」

 

ジョナが藤崎から手渡されたタブレット端末は、先程メカゴジラが撃った時空砲のものと瓜二つの時空の穴の画像を表示している。

 

「ビンゴだな。プエルトリコに向かっている全さんが到着したらすぐに偵察機を飛ばしてもらおう。連中の目的地は、ここだ。」

世界地図を広げたジョナが指差しているのはバミューダ海域である。

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