「副担ご無事で!」
「先生達、凄い! ドラゴンを倒すなんて!」
「リムル先生とシズ先生は無事なの!?」
「怪我しなかった!?」
子供達の元へ真っ先に帰還した創造主達。
騒がしく纏わりついてくるのも気にせず、熱りが冷めるのを待つのみだ。
残念ながらIRPの支援砲撃は受けられなかったが、結果として良かったと頷いておく。
「そうですか……無事なら良いのですが」
「騎士様が聴取しているのかも」
「迎えに行こう!」
子供達が都市出入口まで駆け出した。
ドラゴンを倒したとはいえ、騎士団のテリトリーに飛び込むのは躊躇する。
単体の脅威と数の暴力は違う。 ネザーにおけるゾンビピッグマンとの大乱闘の記憶が蘇る。
暫しクラフターは悩み……向かう。 無防備な子供達を放置する気にはなれないから。
「先生、足速くない?」
「えっ……いや、普通だろ」
「でもさっきまで……」
「僕達に合わせてくれているんだよ」
気持ちに沿う様にポーションの効果が切れた。
慣れると通常速度が鈍足に感じてしまうものだ。
いや。 それが丁度良い塩梅か。 早く到着しても絡まれるだけだし。
間も無く現場に舞い戻る。
重篤村人は既に回復し、補填した土には早くも草が生え始めている。 松明は周囲を陽より明るく世を照らす。
元の世界でも見慣れた平穏な光景に、少しばかりの安堵感を得る創造主。
違和感があるならば、やはり騎士団の存在か。
単なる敵として排除出来たら楽なのに。 事は単純ではない。 それが世界の違いだ。 改めて我々は異端である。 それが現実だった。
いや、どちらが異端なのだろう。
思った瞬間が全てとは思えないが。
単純な二極化で良いなら正義の反対は悪だ。
だが思考と精神は複雑難解であり続ける。
個人差があるのだ。 ある者の解釈では正義の反対は慈悲、若しくは寛容である。
単に正義の反対は正義と云う者もいる。
その上で考えても、不幸中の幸いが今回発生した。
砲撃が行われなかった事だ。
連邦からIRPによる砲撃中止……大多数の創造主は本当に良かったと心より思っていた。
とんでもない話だが、なんと新型砲弾を試す気だったらしい。 爆発すると猛毒を撒き散らす大量殺戮兵器をだ。
そんなものを撃ち込まれたらドラゴンだけの問題じゃなくなる。
クラフターはおろか、逃げ惑う村人や都市にまで無差別に被害が波及しただろう。
そうなれば居場所を失うところだった。 いろんな意味で。 この手は牛乳バケツをフルに使っても取返しが付かない。 結果に対して得られるモノが少な過ぎる。 国を滅ぼすなら別だが。
辛辣同志が止めてくれたらしいが、後で感謝しなければ。 クラフターは複雑な想いを抱えつつ現場に起立する。
「リムル先生、シズ先生ーッ!」
「……みんな」
「お前ら、来ちゃ駄目って言ったろう?」
「ごめんなさい……でも心配で」
「だけどよ、もうドラゴンいねぇし! てか凄かったよ先生達! 遠くからでも分かるくらい!」
「そうそう! あっという間に倒しちゃうなんて!」
「ちょっとはシズ先生に近付いたって認めてあげても良いわよ!」
「おいおい……」
「皆がいたから出来た事だよ」
今は……仮初の平和を噛み締め祝おう。
この件は報告しない。 自己中心的な創造主ですら憂いたのだ。 身内の問題はなるべく身内で片付けておく。
荒らしが出た時もそうだ。
同志(身) から出た創造(錆)だから。
「そういや騎士様は?」
「……いろんな人に聴取をしている。 俺達は無罪放免ってところだ」
「あ、リムル。 さっきミョルマイルって商人から是非お礼がしたいって話がきたよ」
「ミョルマイル? ウチで大量にハイポーションを買ってくれたって人か……今後とも付き合いは良くしたいところだな」
「分かった。 子供達は私に任せて」
「ありがとうシズさん。 それと……出来たらで良いんだが」
「……うん。 この人達も学園に戻ってもらう様にする……出来なかったらゴメンね」
我々はいつの日か荒らしとして、異端物として世界から排除されるのだろうか。
この国の騎士団が襲うように。 もしそうなら悲しい話だ。
だがそれがもし、どうしても納得出来ない理不尽であるならば、抵抗する。 その権利はある。 そう信じている。
取り敢えず今日の献立はなんだろな。
過ぎた過去。 憂う未来。 それより今日の飯!
下手すると大量殺戮が発生していた件。