ゴーレムと戦います。
「ミョルマイルに招待された店で思わぬ収穫があった。 精霊の棲家の場所が分かったぞ」
「本当!?」
「ああ。 エルフの占い師に場所を占って貰ってな……これで子供達を救えるかも知れない」
子供達を救う為、前より計画していた事を実行する時が来た。
と云うのはリムルとシズだ。 外国に行って上位精霊とやらを子供に憑依させるという。 すると助かるらしい。
理屈は知らぬ。 だがゴーレム、ウィザー召喚、ベッドからのリスポーンとはいかない様子は伝わる。
アレだ。 エンドポータルの様な感じだ。 好きな場所に造れるネザーゲートとは訳が違うのだろう。
「───という訳でウルグレイシア共和国ウルグ自然公園に向かう」
リムルが用意した、地面に描かれたサークル……この世界特有のポータルに入ると忽ち風景が置き換わる。
ネザーゲートやエンドポータルを経験している身だ。 今更に驚きやしない。
それよりも目の前の光景だ。 手の入ってない森に飲み込まれた遺跡群。 特に大樹の間。 そこに鎮座する大扉。
もうね、コレ浪漫。
久々の遺跡! ダンジョン攻略じゃん!
「うわっ! 副担が荒ぶってる!?」
「きゃあっ! き、気持ち悪い!」
「忘れた頃にやるな……とにかく止めろお前ら」
「首が取れちゃうよ!?」
クラフターは歓喜と共に首を滅茶苦茶に動かす。
やはりこの世界にもこの手のものはあったのだ!
どこぞの山頂にも遺跡らしき建造物を確認した報告はあったが、今は目の前の現実だ!
どちらが上か下か分からない。 興奮のままに腰と腕も振りまくる。
目覚めた洞窟ではスポブロも宝物も見当たらなかった。 だが、ここなら或いは!
「あっ! おい勝手に行くな!?」
クラフターは嬉々と先行。
扉をツルハシで破壊し突貫。
「壊すなよ!? というか懐かしいな、その光景」
探索だ。 探索ひゃっほい。 松明も忘れまい。
苔付きやヒビ割れの石レンガブロックとかも余裕があれば回収だ。
スポブロが有れば破壊せず松明封印。 後でトラップタワーに改造する。
この流れ……当たり前だよなぁ?
「先に行くと危ないよ!?」
「……ある意味、安全確認してくれていると思おう。 何より嬉しそうな時ほどアイツらを止める術は無いに等しい……」
だがまぁ、何というか。
今のところモンスターも出ない。
道も幅広い。 坑道の様な窮屈を感じないのは有難いが。 一方で物足りないのも確か。
ピラミッドの様に罠もない。 シルバーフィッシュが飛び出す事もない。 宝箱もない。 ワクワクと緊張感が不足気味。 のんびりした遺跡だ。 まだ先があるとはいえ。
足りない……コレは足りない。
なら足そう。
我々は冒険家であるがクラフターである。
越権ながら改修工事を施そう。 少なくとも松明をばら撒いている訳だし。
そんな手応えの無さを自発的に満足いく快適空間に改造しようとした頃……ソレは現れた。
「妙な人間どもめ。 これ以上好きにさせないよ」
謎のハァンと共に単眼の巨人。
見た目こそ違うが、我々の知るゴーレムに近い。
手を出さない限り襲って来ない中立だろう。
「その子は強いよ。 勝てるかな? 勝てるかな?」
だが挨拶がてら、いきなり叩き潰す様に片手で殴り掛かってきた。
元の世界とは真逆の攻撃。 両手万歳の高い高い攻撃ではない。 片手一発、暴力装置。
不意打。 常識の違い。 油断。
結果、同志の1人がモロに殴られる。
しかも床が抉れた。 威力に驚くばかりだ。
「嘘っ!? あの攻撃でケロッとしてる!?」
だが此方はダイヤエンチャント防具。
その程度の打撃、問題にならない。 同志は空中で脚をジタバタしながら吹き飛ぶに留まった。
しかし強さはゴーレム級。 油断禁物だ。
この遺跡を守護する備品なのかも知れないが、敵なら排除せざるを得ない。 我々だけならまだしも、背中を追ってくれる子供達がいる。
それに少しは楽しませてくれるじゃないか!
クラフターはダイヤ剣を構えた。
押し通る!
「なによ青い防具に青い剣!? えっ、ちょっと待って!? まさかソレで一刀両断出来ちゃったりしないわよね!? そうよね!?」
ゴーレムに走り込む。 下る拳を回避し、速度を落とさず助走をつける。
そのままジャンプ。 相手の頭から股にかけて全体重を載せた飛翔斬。
モロに喰らったゴーレム。
そのまま真っ二つ。 最早微動だにしない。
……機能を停止した模様。
残心の構えを解く。 拍子抜けの弱さだ。 エンチャントダイヤ剣とはいえ。
ひょっとしたら「やり過ぎ」だろうか。
「う、嘘!? アタシのエレメンタルコロッサスがたった一撃で!?」
しかし妙だ。
先程から可愛らしいハァン声が響いている。
「あんなに頑丈な外殻が……通常の鋼材とはワケが違うのに……なんなのよ、あの青い剣……嘘よ。 嘘ばっか。 いえ噂通りのデタラメよ、あの人間共は……」
さっきからブツブツと。
ゴーレムが喋ってる訳もなし、辺りを見回す。
いた。
小さな羽虫が。
音源はコレか。 近寄る。 スニーク姿勢でマジマジと観察する。
「……ひっ!? は、話せば分かるっ!!」
小さな村人に羽根が生えている見た目だ。
そして相変わらずのハァンだ。 何言ってるか分からん。
どうしようかコイツ。
蝙蝠みたいな存在か。 なら無害そうだが。
煩いし……処す? 処す?
同志同士で会議する。
常識に囚われてはならない世界だと思い出したところだし、コイツも安全そうに見せ掛けて危険かも知れない。
いやしかしなぁ。 ハァン声だし。
何より直感が告げるのだ。
この小さき者もクラフターなのだと。
ならば同志ではないか?
いやいや荒らしの可能性が。
そしてやはりというか、ハァン通訳のシズが同伴しているのだし……結局、創造主達は後続を待つ事にしたのであった。
あーあ、出逢っちまったか……(他人事。