寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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あけましておめでとうございます。
(投稿開始日等、日時的に)

精霊召喚。
間違い等あれば指摘お願いします……。


99.時と空間

 

凄い! 凄いぞ! これは荘厳だ!

 

目前の小さな岩山、それに塒する光の道を双眼に捉えた時、興奮のあまり首と腰を滅茶苦茶に動かしながら闇雲なジャンプを繰り返しつつ、右手を最高速度で振り回す。

───シズに押さえつけられた。

 

 

「いい加減落ち着いて!? これから大切な儀式があるから!」

「そろそろ斬るぞお前ら」

「僕達は何を見せられているんだ?」

「……ここは迷宮の最奥。 精霊の棲家よ」

 

 

恐怖で萎縮するクラフター。

この手は大人しくするに限る。

シズとリムルから発せられる殺気は理不尽かつ抗う術はない。 ふと振り返った瞬間のクリーパー並みのショックだ。

だが現在の様なゼロ距離は未経験だった。 初体験は良くも悪くも刺激的だが、まさか両腕で拘束してくるとは。 あれこれずっと共にいるにも関わらず村人の脅威の底が知れない。

理由も解せない。 生産性の無い殺傷なら嫌う。

 

 

「さて。 誰から祈る?」

「じゃあ俺が1番で行ってやる!」

「何様!? なんであんたに譲らなきゃいけないの!?」

「たまには僕が最初になりたいよ!」

「いっそここで決着を付けるのはどうかな?」

「雰囲気が台無しになるくらい意気込みは充分みたいね」

「雰囲気ブレイカーなコイツらがいる時点で察してくれ」

「みんな……滑り台の順番決めじゃないんだよ」

 

 

落ち着く。 比例して子供が諍い始めた。

この子達にはシズもリムルも手を出さない。 それを知っての行為だ。 理不尽と思う事のひとつである。

 

 

「悪いけど、最初は僕から行くよ」

「……ゲイル」

 

 

長身金髪が神妙にハァンと鳴く。

それを合図にしてパタリ、と静かになった。

 

 

「皆、そんな顔しないで下さいよ。 シズ先生……約束は守ります」

「……背負わせちゃったね」

「そんな事ありません。 それにこうして戻って来てくれた」

「うん……リムルとこの人達のお陰だよ」

「ゲイル、いや皆も。 今度はお前達の番だな」

「はい。 じゃあ……行ってきます」

「俺もいこう。 シズさんは皆と此処に」

 

 

かと思えば、次には光の道を登り始めた。

なんという事か。

何となく乗れそうな見た目だったが。 どんな素材で作ったんだ?

 

 

「大切な儀式なの。 邪魔しちゃ駄目だよ」

 

 

頷く。 無闇な採掘はやめよう。

砂や砂利の様に、綻びが生じて崩壊したら困る。

だがしなきゃ良い。 という訳で一部はリムルについて行く事にした。

 

 

「本当に駄目だよ!?」

「お前らまで来るのか……署名とは違うんだぞ。 最悪は斬り伏せてでも黙らすからな」

 

 

今までになく鬼気迫るリムル。

余程大切な儀式なのだと我々に伝播する。

それがどの様なものかは知らないが、作業台のひとつとて置いてはならない。 そう思った。

 

しかしまぁ……この道は改修の余地がある。

 

スロープ状なのは良い。 眩し過ぎないのも良い。

なんならこれ自体が光源となり湧き潰しの効果がある。 新手のシャンデリアだ。

だが柵を設けていない。 無い方が見栄えは良いのだろうが、そこは悩ましい。 製作者の苦労が見え隠れしている。

 

そうこう考え、やがて頂まで登り詰めた。

そこはちょっとした光の広場だった。

何も無い。 何を為す。 今更松明と云うまい。

 

 

「先生、自分に何かあったらアイツらを頼みます」

「大丈夫だ。 何かあっても俺達が助けるよ」

「先生……」

 

 

長身金髪がスニーク姿勢より低姿勢に。

両手を合わせてひとつの拳を作り閉目した。

成る程、と創造主は頷いた。

これが儀式か。 相変わらず我々の知らない行為だ。 何か作っている様には見えない。 手慰みが出て来たら、まぁ、そういう事だが。

 

 

「……過去に此処で上位精霊の呼び出しに成功した人間は?」

「…………いるけど」

「エレメントとしてどうなんだその顔」

 

 

だが段々とワクワク顔になる。

この場所が如何な場所かは知らない。

知らないが、何かが起きる。 エンドポータルがエンダーアイで起動した様に、此処もその一種ではないだろうか。

 

 

「アンタの所為で嫌な奴の事思い出した。 あの時はアイツまだ少年だったけどさ。 特定の人物を異世界から召喚する方法が知りたいとか言って、知識に通ずる光の上位精霊を呼ぶ為に此処へ来たわけよ」

「で、召喚に成功したと。 良かったじゃん」

「良くない!! その精霊って勇者の資質を持った相手にしか応じないんだよ。 召喚に成功したって事はつまり、アイツが勇者だって事」

「じゃあその少年に聖霊の加護を授けたのか?」

「そう! それがアタシの役目だからね。 なのにアイツ」

「待った」

「……来たみたいだね」

 

 

何か降ってきた。 雪か?

いや雪ではない。

我々の知る雪はあんなにキラキラ輝いていない。 落下速度も雪より遅い。

 

じゃあ素材だ。

 

ワンパンで手に入りそうだ。 そうでなくても土並みか。 何でかそう感じた。

ならスコップだ。 スロットにあるダイヤスコップには耐久強化と効率強化のエンチャントを施してある。

 

 

「上位精霊には見えないな」

「んーとアレは……土属性の子が何体か来ているけど、みんな自我の無い下位精霊だよ」

「そうか……魔素の安定には上位精霊じゃなきゃ駄目だ……やるか」

「ちょっとアンタなにを……って、お連れさんがスコップ振り回して荒ぶってるんだけど!?」

「ラミリス! ソイツら見張っててくれ!? ゲイル、そのまま祈ってろ!」

「は、はい……」

 

 

リムルが前に出た。 手を上に上げたと思えば次には素材が消える。

クラフターは悟った。 リムルに奪われたと。

そうした時、思わず殴り掛かるところだった。

意気揚々と地下に潜った先、先発ブラマイ同志の背中を見た気分だ。

 

 

「キモッ!? 今度は首を滅茶苦茶に振り回してる!? 本当に人間なのコイツら!? アンタもタダモノじゃないけど!」

「今は取り込み中だ、抑えてろ!」

「ええい! 者共かかれッ!」

「「キシャーッ!」」

 

 

羽虫達が抑え込んで来た。

だが羽虫如きに止められる我々ではない。

そのまま一緒に荒ぶる。 お前らも味わえ。

我々の無念と苦悩を。 嫉妬と虚しさを。

蝙蝠は何もドロップしない様に、コイツらもその類だろう。 無害であり無力であり鶏肋にもならない。 なら分かる筈だ。 我々の切なさが!

 

 

「あばばばばばッ!?」

「すまない。 君達の犠牲は無駄にしない」

「勝手に犠牲にしないでくれる!?」

『……告。 ユニークスキル「変質者」により下位精霊の「統合」が完了致しました。 イフリートの自我情報を素に擬似人格を作成し付与します……擬似上位精霊「地」が完成しました。 ゲイル・ギブスンと「統合」しますか?』

「勿論、YES。 頼むぞ大賢者」

 

 

刹那。 荒ぶる景色でソレを見た。

鉄鎧一式を身に纏うナニカが現れたかと思えば、次には長身金髪と重なり……消えた。

クラフターは首を傾げた。 何が起きたのかと。

 

 

「や、やっと安定した……」

「魔素の方もな。 目を開けて良いぞゲイル。 良く頑張ったな。 もう大丈夫だ」

「せ、先生!」

「喜ぶのはまだ早いぞ。 全員成功してから喜ぼう」

「……はいっ」

「ちょっとワタシには?」

「おー、ラミリス達もありがとう。 あと4人だ宜しく」

「言って聞かせた方が良いでしょーが!? あと4回も持たないわよ!」

「言っても聞かないって言わなかったっけか? 良いから持たせろ。 泣言は聞きたくない」

「召喚に協力してあげてるの忘れないでよね!?」

 

 

まさかリムルがクラフトしたのか?

あの光玉から?

だが手元で創造出来る範囲なんて限られている。

作業台を始め、松明、キノコシチュー、鋏、感圧板、ボタン、エンダーアイ……。

 

意外とあった。 創造主は頷いた。

 

 

「ほら、コイツらも同意してるわよ!」

「偶然そう見えるだけだから。 俺は詳しいんだ。 次、アリス!」

「私ね! みんな、行ってくる!」

 

 

金髪少女の声が聞こえる。

長身と交代するらしい。

順番といい兄妹だろうか。 色的に。

 

 

「はぁ……アンタの上位精霊を創り出す無茶苦茶といい、コイツらといい、非常識なとこ……アイツを思い出すのよね」

 

 

まぁ良い。

この流れなら後4回チャンスがある。

創造主はスロットを整理し始めた。 ツール類に素早く切り換えられる様にしているのだ。

スコップは勿論、ツルハシ、斧、剣、忘れてはならぬ釣竿も用意。 意外と使える。

 

鍬? それは要らない。

ダイヤで作るのも憚れる。

 

そうこうしている間にも次の儀式が始まる。

見ていて思う。 微妙に子供の儀式態勢が異なるがコレは良いのだろうか。 座り方然り手の位置然り。

アイテムスロットに何を入れているのか知らないが、手ぶらとは。 心配だ。 思わず剣を投げ渡したくなるが踏み留まる。

リムルに滅多刺しにされそうだ。

それは避けたい。

 

 

「……アイツ? ああ、さっき話してた光の精霊を召喚した勇者か」

「そう勇者。 折角このワタシが聖霊の加護を授けて勇者認定したってのにアイツ今、魔王になってるらしいじゃん?」

「勇者なのに魔王になったのか?」

「そう!! 非常識でしょ!? しかもめぼしい情報が得られなかったとか言って、八つ当たり気味に炎の上位精霊まで奪ってったのよアイツ!!」

 

 

だが今は羽虫がヘイトを集めてくれている。

良いぞ。 そのまま騒いでろ。

我々は採取を試みる。 蝙蝠的な存在と天秤にかければ、蝙蝠が空へと舞い上がる。

仕方ないね、と首を振った。

 

 

「炎の上位精霊ってイフリートの事か?」

「え、そうだけど……なんで知ってんの?」

「じゃあアイツってのは魔王レオン・クロムウェルのことか?」

「そう……だけど。 え、なにアンタ。 まさかレオンちゃんと友達なわけ?」

「いや。 シズさんの……」

「へ?」

「何でもない。 だが元勇者ってのは初耳だ。 なんで勇者が魔王になったんだ?」

「さぁね。 アイツも堕落したんじゃないの?」

「……ラミリスも詳しく知らない、か」

「何よ! ワタシが本気を出せばワンパンよワンパン! いやホントに」

「しっ……来たか」

 

 

また光玉が現れた。

空から降って来る自然現象の類なら、此処はバイオームとも取れる。

いやしかし……首をまた傾げた。

光玉が降るバイオームなんて前代未聞だ。

改めて問おう。 此処はどんな場所なのだ?

 

 

『告。 擬似上位精霊「空」を作成……成功しました。 アリス・ロンドと「統合」しますか?』

「YES」

 

 

またも刹那の出来事。

猫と村人を掛け合わせ、挙句に翼を生やした欲張りな生物が出て……否。 リムルにクラフトされて生まれたモノが出た。

そのまま金髪少女に入り……また消えた。

先程より終始が早かった。

 

参った。 これじゃあ採取出来ないよぉ……。

 

 

「今度はコイツら大人しかったわね」

「いつもそうなら良いんだがな……もう大丈夫だ。 よく頑張ったなアリス」

「…………」

「あ、泣く……お、おう!?」

 

 

息を吐かせぬ間に、目の前で金髪少女がリムルに抱き着いた。 シズの拘束に似て非なるものだ。 目の前で堂々正面突撃である。

そして金髪少女は衝動のまま、リムルに顔を突き出し頬に唇を付ける。

ちゅっ、と小気味良い音が鼓膜を震わす。

 

 

「……特別だからね」

 

 

何と云う事だ……。

クラフターは戦慄するより他無い。

 

繁殖する気だ!? まだ子供なのに!!

 

まさかの情報量だった。

村人の全てを把握している訳でないにせよ、子供は繁殖出来ないのが創造主の常だった。

元世界でもそうだったし、この世界でもそれが世の理だと信じて疑わなかった。

ところが、どうだ。

衝撃の光景が脳裏に焼き付いて離れない。 未だに金髪少女は顔を赤らめている。

アレは発情の一種だろう。 小麦を与えていないのに、ナニが引金になったと云うのか。

 

 

「……ありがとさん」

「ひゅーぅ」

 

 

一方、衝撃過ぎて妙に冷静な思考すら出来た。 道理で繁殖現場を見ないのだと。

連邦と往来している万単位な村人の多くは大人サイズだ。 子供もいるが、周囲の背や雑踏に紛れて余り注目しなかった。

まさか大人に埋もれた中で村人は増えていたとでも云うのだろうか。 扉数ではなく環境がそうさせているとでも?

それとも村人の個人宅内で未知なる世界を拡げているのだろうか。

今度突撃してみる他あるまい。

今回は幸か不幸か、リムルの発情が足りなかった。 故に子供が生まれなかった様だが。

良かったと思う。 リムルが繁殖したら大変だ。 スライムイベントではなくウィザーイベントが始まりそうだし。

 

 

「次はケンヤ……大丈夫か?」

「へ、平気だって!」

 

 

次が来た。

イケナイ。 集中しなければ。 隙あらば刈り取るのだ。 光玉を。

 

と、身構える刹那にソレは現れた。

 

 

「いよー! 元気かい? 初めまして、オイラは光の精霊さ!」

「なんかでた!!」

 

 

なんかでた。

羽虫に似ている。 だが雰囲気は別格だ。

少なくとも雪玉では無い。

 

しまった。

雪玉もスロットしておくべきか。

 

 

「自我もバリバリにある上位精霊、しかも光の精霊!?」

「キミ、名前は?」

「ケンヤ……」

「ケンちゃんかー!」

「ちょ……ちょっとアンタ!! 何しに人の家にやって来てんのよ!?」

「だって勇者の資質を感じたからね。 来ちゃった♡」

「ぐぬぬぬ……」

 

 

取り敢えず雪玉もセットした。

丸石は外した。 攻撃こそ最大の防御。

 

 

「よく分からんが……ええと、その子を助けるのに力を貸して欲しいんだが」

「いいよん♪」

「軽っ」

「もしかしたらケンちゃんも勇者になれるかも知れないからね! 成長するまではオイラが保護するよ。 じゃね」

「勝手に宿った!」

 

 

また逃した。

いや良いか。 アレは素材じゃなさそうだし。

それにまだチャンスはある。

 

 

「先生……?」

「お、おうっ! 大丈夫、計画通りだ!」

「本当かよぉ……なんかヘンなカンジ」

「魔素は落ち着いてるよ……次はリョウタ」

 

 

やがて次が来た。 黒髪であった。

残機はこの子含めて2である。 何方も黒髪。

もう諦観的に傍観しているが、見届けねば。

隙あらば光玉捕獲だぜ。

 

儀式を見守る事暫し。

また光玉が現れた。

釣竿を振り翳し……止めた。 無性に水バケツも用意した方が良いか頭を傾げる。

 

 

「来た!」

 

 

そうこうしている間にまたリムルがクラフトし始めてしまった。

持ち帰らない辺り、この素材がなんであるか知り得ているのだろう。

リムルとは長い付き合いだが、未だに理解しかねる行為が数多見受けられる。 それはこれからもそうだし、ずっとそうだろう。 確証は無い。 だが確信に近い自信がある。 この世界諸共。

 

 

『擬似上位精霊「水風」を作成……成功しました』

「関口良太に「統合」してくれ」

『了』

「なんか手際良くなってる……」

 

 

だが同志マインクラフターのひとりだ。

仲間である。 少なくともそう信じている。

 

 

「え……もう終わり?」

「おう。 もう大丈夫だぞ」

「残るは後ひとり……クロエだけだ」

 

 

いよいよ最後になってしまった。

最後の子供の名は……クロエだったか。

此処まで来ると、仕掛ける気が失せている創造主。 何故とは考えない。 故にと見守る。

時には立ち止まり思考する事も大切だと。

此処はそういう瞑想する精神の空間だったのやも知れない。

 

 

「心配しなくても大丈夫だよ」

「あっという間なんだから」

「そーそー。 頭にスルッと入ってお終い!」

「……それはお前だけなんだ、ケンヤ」

「リムル……クロエの事、お願いね」

「任せろシズさん」

 

 

クロエを抱き抱え、光の道を歩み始めるリムル。

あの行為も中々興味深い。 かの悪食悪魔リムルをトロッコの様に扱うとは。 その間、リムルはマインドコントロールされているのではないだろうか。 舟みたいに。

我々も抱き抱えて貰えればリムルを操れるやも。 いや我々ではサドル付の豚に乗る様なものか。

なら人参付釣竿と併用すれば御せるやも知れぬ。 今度試すか。 リムルの目の前に人参をぶら下げて反応すれば良いだろう。

成功の暁にはリムルを無力化だ。 連邦を真の意味で征服出来る。 今まで建築物にイチャモンばかり付けて迷惑してたのだ。 やっと落ち着けるというものだ。

 

 

「先生、あのね……あのね」

「うん?」

「だーーーーーい好き!」

「俺も好きだよ」

「本当?」

「勿論さ……先生としてね。 紳士だからね……せめてあと10年経ってから言って欲しかった……いや寧ろ生前に言って欲しかったな」

「あっ! も、勿論みんなの事も好き! シズ先生も、いっぱいいる副担任も!」

「………………………………………うん」

「リムル、なにその顔」

「いや別に」

 

 

クロエが別格の可能性も大いにあるが。

クロエが降車して儀式を始めた今なんて、リムルを動揺させている。

やはり只者ではない。 あの悪魔を怯ますとは。

 

皆して畏怖していると。

何やら懐かしくも避けたい感覚に襲われる。

妙に気怠い。 だが鈍足の異常では無い。

この歪みは……アレと似ているが違うな。

 

 

「クロエ!!」

「え?」

 

 

目の前にて、また何か出た。

だが今までとは違う。

一般的なサイズの村人が宙に浮いている。

胸に膨らみを確認。

形状からして女と呼ばれる型。

いや、それはそれ。 問題は別なのだ。

 

 

「精霊……なのか?」

『否。 上位精霊と同様の精神体ですが、存在力が違います」

「精霊に呼び掛けたら、よく似た別の何かが現れたって事か?」

 

 

この感覚……妙な重さは創造主そのものというより世界そのものへの干渉だ。

時流の歪みと云うべきか。 似た感覚、違和感は元世界でも味わった事がある。

 

アレだ。

繁殖に失敗した牛舎や村で味わったモノに似たナニかだ。

だが周囲には動物も村人もわんさかいない。

更に深堀すれば万単位の村人がいる連邦ですら、この感覚は発生していない。

先程の繁殖未遂の時にも発生しなかった。

 

十中八九、原因はコイツだ。

残酷で寛容な世界を歪ます程にヤバい奴。

ヤバい荒らしなんじゃね、コレ。

 

 

「おいラミリス! こりゃ一体……」

 

 

また刮目すべき行為を見た。

時荒らしがリムルに顔を突き出した。

 

嗚呼、またか。 また繁殖行為か。

 

奇しくも時荒らしと同様に冷めた様な顔になる創造主。 我々はナニを見せられているのだろう。

そしてリムルは魅せられている。 早く対処するべきなのに。 いっそリムルごと斬り伏せようか。

 

 

「待て!! させないよ! アンタの好きにはさせない!! 何もせず今すぐ帰りな!!」

 

 

羽虫が喚く。

見やれば羽虫らしからぬ球を時荒らしに放つ。

が、避けられてしまった。 我々でもそうする。

二重の意味で。

 

 

「ッ!! 動け! 動けお前ら!!」

 

 

リムルが叫んでいた。

時や空間が荒れているのか、我々の目が可笑しいのか。

そもそも言っているのか判らなかったが。

 

 

「シズさんの為に! 皆の為に!」

 

 

だがソレは悲痛に助けを求める様な。

懇願する様な。

しかし力強い意志を感じた顔だった。

 

 

「クロエの為に動けぇッ!!!」

 

 

────!!

 

 

どこか遠く。 だけど近い声の中。

気付けば、時荒らしを吹き飛ばす創造主。

手には木剣。 ノックバックエンチャント付。

創造主はクロエの盾になるべく前に出る。

 

 

「スピリチュアルボディーを吹き飛ばした……?」

「あ、あんた達……本当に何者……?」

 

 

ゆらり、と。 ソレは幽霊の様に戻って来た。

されど創造主は動揺1つとてしない。

表情は冷めて。 目は敵を見据えて。

そして云う。

 

 

上等だぞこのヤロウ。

 

 

実のところマインクラフターはキレていた。

建物を破壊されるのも嫌だが、時や空間を荒らす奴も同罪だからだ。

事実、わざとでなくても世界に負荷をかける奴は過去にもいた。

今もだ。

 

現在進行形。

両眼に浮かぶ存在がそうである。

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