寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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シズさんの心残りも大方片付きました。
11巻から12巻へ。 ミュウラン登場。

舞台は魔国連邦へ戻っていきます。
ですが不穏な影が……?

進ませる為に一部省略。


不穏
101.魔女と半身


 

 

リムルとシズに同伴した同志から連絡。

どうやら粗方問題が片付いたとの事。 一部は観光や開拓の為に残留し、一部は帰還する手筈だ。

出来ればリムルとシズ含め帰省して欲しいが。

今は戦力が欲しいからに。

 

というのも。

同志がいるイングラシアから北東、ファルムス王国に不穏な動きが見受けられるのだ。

現地武装集団の挙動が妙だし、一部は斥候なのか連邦近郊まで出張るまである。

今のところ武力衝突は起きていないものの、呑気な村人と剣呑な村人ではまるで違う。

いっその事、彼の国や野営陣地を征圧したい。

 

当方、迎撃の用意有り。 IRPもいる。

新型砲弾も試したい。 前はクリーパー柄の辛辣同志に阻止されたし。

 

だが国政とは複雑難解だ。 先手を打てば逆に不利になるかも知れない。

確実に荒らしだと判れば躊躇しないのに。

 

最近に至っては、ヨウム一団まで来国。

まぁ、それ自体は時々あるのだが問題は別にあった。

 

 

「な、スゲー国だろミュウラン?」

「……そうね。 人と魔物が手を取り合っている」

 

 

得体の知れない奴がいたのだ。

マントを羽織り風貌は他と異なる。

雰囲気も違う。

ヨウム達が来てから、IRPのBBが謎の信号を傍受したとの報告もある。

混濁する連邦だが、それにしても異質。 偏見だとしても外様は警戒して然るべきである。

 

 

「それだけじゃねぇ。 この発達の度合いはどうだ。 摩天楼が何十基と聳え、多くの人魔が行き交い、それでいて綺麗な街並みだ。 飯は美味いし、道端の水路や広場の噴水なんてそのまま飲んでも安全な位にな。 それもこれも例の人間達のお陰さ」

「えらく肩を持つのね」

「そりゃ世話になってるからな。 ファルムスのしけた故郷とは雲泥の差さ」

 

 

動向が気になる。

近郊をウロチョロしている武装集団もいるから、哨戒しなければ。

人員は限られる。 皆に警告しつつ僅かな創造主のみでヨウム一向の監視の任に着く。

密偵や内部工作員の概念はクラフターにもある。

創造主同士の団体戦で稀にあった。

この世界にもある概念だろう。 そう思う程危険である。 互いの常識が完全に的外れな騒ぎになる訳ではない。

 

 

「つけられているのだけど」

「例の人間達だ。 言葉は通じないが害は無いぜ、たぶん」

「たぶん……?」

「挙動が奇妙でな。 なにを考えているのか分からないんだが……きっとミュウランが珍しいのさ」

「まさか正体に気付いて……?」

「何か言ったか?」

「何でもない。 ところで何処に向かっているの?」

「訓練場。 リムルの旦那がいないっても、挨拶回りはしないとな……師匠のところにも」

「急に嫌そうな顔ね」

 

 

やがて訓練場に行き着く創造主。

遠くでゴブタがハクロウに吹き飛ばされている。

これはアレか。 この者らもハクロウに挑みにきたのか。

ヨウムはいつもボコボコにされているからな。

そう考えると、謎の村人はその助っ人か。 合点がいき頷いた。

 

 

「よぉグルーシス……って、なんて有様だよ」

「……ハクロウ殿は正真正銘の鬼だな」

「ユーラザニアの戦士が情けねぇな」

「うっせぇよ」

 

 

今度は他国の村人と鳴き合っている。

何時ぞやの獣染みた国の者だ。 この村人もハクロウに伸されている1人である。

 

 

「っと、そちらは?」

「コイツはミュウラン。 ウチで1番の手練れだ」

「1番? ヨウム、こんな線の細い女に負けたのか。 情けねぇのはどっちだよ?」

「なんだと? じゃあ戦ってみろよ。 もし勝てたらお前の事、兄貴って呼んでやる」

「なら俺がこの女に負けたら、お前の舎弟になってやる」

「言ったな? という訳だ、やっちまえミュウラン!」

 

 

伸される者同士、喧嘩する程仲が良い。

怪しい村人は調子についていけていないが。

 

 

「あのねヨウム。 私がこの喧嘩を受ける理由が無いのだけれど」

「理由ならある! お前が侮られるのは俺が許せねぇ! それが理由だ!」

「……分かったわよ」

 

 

と思ったが、完全にそうじゃない様子。

どうやら促されて戦闘を行う事になった。

見てみよう。 どの様な戦闘だろうか。 ウィッチみたいに悪性ポーションを投げ付けてくるのだろうか。

 

と思ったのだが、これまた違った。

 

獣村人側が接近しようとした刹那、不思議な事が起きた。

時流が歪んだ感覚は無かったが、代わりに地面が歪んだのだ。

そこに足を突っ込んだ獣村人が沈んでしまい、そのまま半身埋まってしまった。

 

 

「ふっ……ぶははははっ! ほら見やがれ、いいザマじゃねぇか!」

 

 

どうやら身動きを封じられたらしい。

新手の攻撃手法か。 どうやったのやら。

埋まる事自体は不思議と思わないが。 我々も経験済みだし。 なんなら全身生き埋め。

砂漠バイオームとか採掘中とか。 重力に引かれて砂や砂利が降ってくるのは珍しくも何とも無い。

強いて言えば、目の前みたいにフラット面に埋まるのは珍妙である事か。

 

 

「面白いから人呼んで来ようぜミュウラン」

「それでも英雄かっ! 早く手ぇ貸せ!!」

 

 

ジャンプして出れば良いのに。

村人だってジャンプくらい出来る訳だし。 それとも村人は半身封じられると動けないのだろうか。 どうもその様子である。

窒息ダメージがないだけマシだ。 全身を埋められたら死んでいる。 それも落ち着いてスコップやツルハシを振り回せば助かる事が多い。 砂利や砂なら松明を使えば一気に回収出来るし、素早くやれば落下を堰き止められる。

 

取り敢えず助けるのは容易だが……暫く見ていよう。 自力で出られるなら越した事はない。 何より面白い。 悪戯心が湧く。 流石に黒曜石で覆う事はしないけれど。

 

 

「あっ、お前ら助けてくれるのか……って松明を周りに刺すんじゃねぇよ!?」

「ひー! 苦しい……ははははッ!」

「……話通りの奇妙な人達ね」

「覚えてろよチクチョー!?」

 

 

松明で囲み明るくしてあげた。

皆も笑っている。 そうだ、笑顔が1番。




転スラ日記の方のミュウランは可愛いらしい話がある一方、幼き頃の悪夢と思われる話があったり。
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