ヒナタ登場。 そして戦闘へ。
リムルとヒナタの会話は、創造主の影響が強いです。 シズさんが生きているのもあるかも。
リムルはなんだかんだ信頼して、強気に出たり擁護しているのが分かります。
リムルは暫く教師をした後、お別れとなった。
ここまで色々あったとしみじみ思う。
謎の時荒らしと対峙した後、あの羽虫達を守るゴーレムもどきをリムルが召喚したり、子供達だけで冒険させたり。
我々としても学びある日々だった。 また会いたい。 シズとも一時お別れだ。 なんでも暫し子供達を見守ると云う。
寂しくないと言えば嘘になる。 だがそれぞれの道だ。 胸を張って歩みなさい。
クラフターの数だけ創造と冒険が待っている。
「シズ先生の言う事を聞いて、しっかり勉強しろよ。 別れは辛いが二度と会えないワケじゃない。 休みになったら遊びに来ると良い。 シズさんも、また」
「「さようならリムル先生!」」
「ありがとうリムル、みんな」
「じゃあまたな!」
こうしてリムルとクラフターは連邦へ帰路に着く。
といっても少し郊外を歩くだけ。 人目のない場所に設置されているポータルに入ればサクッと帰れる。
はず、だったのだが。
「……あれ?」
ワープしない。
故障か?
生憎我々は直し方が分からないぞ。
エンドポータルやネザーゲートとは異なる見た目だ。 知り得る材料ではどうにもならない可能性が高い。
この手は携わったクラフターに頼るのが早いだろう。 詰まるところリムルを見た。
『告。 広範囲結界に囚われました。 結界の外への空間干渉系の能力は封じられました』
「結界!? なんでそんなものが……」
慌てふためいている。 駄目だ。
クラフターは首を振る。
この場にいる者ではどうにもならなそうだ。
なら地下鉄を利用すれば良い。
と、踵を返した時ソレは現れた。
「初めましてかな」
声の方向。
知らない村人が立っていた。 黒髪で、しかし全体的に白い服装。 既に抜剣している。
恐らく騎士団絡みの奴だ。 見た目的にも。
クラフターは辟易した。
とうとう都市外まで出張ってきたかと。
面倒だ。 それも此奴は只者ではない。
今までは直接戦闘を回避してきたが……此奴相手には通じない。
創造主は直感する。 長年の経験が警報を鳴らしているのだ。 剣を交える他ない。 あと釣竿とか雪玉とかツルハシとかスコップとか。
「もうすぐサヨナラだけど」
殺気を放ちつつ近寄って来る白服黒髪。
相変わらず敵味方の識別が困難な世界だ。
数多いる村人なんて一々記憶していないとはいえ、こんなにも怨みを買う事をしただろうか。
ドラゴンだって倒してあげたのに。
クラフターは溜息を吐く。
吐きつつ……静かに抜剣。 既にダイヤモンドフルフォース。 ガチ臨戦態勢。
「おいお前ら、いきなりな挨拶だぞ」
「いいのよ。 私もそのつもりだし」
「穏便にいかないか? 俺は冒険者の……いや。 テンペストの国主、リムル=テンペスト。 改めて初めまして。 西方聖教会の聖騎士団長ヒナタ・サカグチ」
「へぇ物知りなのね。 魔物のくせに」
リムルと鳴き合い始めた。
平和に行くとは思えないが。 暫し任せる。
「偏見は止めろ。 それとな、コイツらまで魔物扱いはしてくれるなよ」
「魔物みたいなものでしょ」
「みたいなもの、だ。 人間かも怪しいが」
「でしょうね。 大都市を短期間で建設出来るのだし。 それに飽き足らず世界中で問題を起こしている……天魔大戦の勃発を早めたいのかしら」
「……? 蔓延している様に言ってくれるな。 逆に環境が良くなった場所もあるだろ。 俺らも迷惑しているけどな、悪意で他者を傷付ける連中じゃない」
もう良い?
殺っちゃいますか?
殺っちゃいましょうよ。
その為の右手。 その為の剣。
後、釣竿と雪玉とツルハシとスコップと建材。
それとその他諸々。 左手も忘れずに。
忘れず"保険"も入れておく。
「問題があるのも事実でしょ。 事実上の他国侵攻ね。 気が付いたら彼等が住み着いて好き勝手。 まるで寄生虫。 世界に蔓延る病。 最早取り返しのつかない状態まできている。 教会としてもね、彼等の本拠地である君の国が邪魔なのよ。 だからね、先ず盟主の君を殺す事にした」
「……人魔が手を取り合う国は嫌いか?」
「やめて。 反吐が出る」
「本心か? 裏に誰が? 本当の目的は? 俺が魔物だと誰に聞いた?」
「……密告があったのよ」
「上手く人間に擬態していたんだが。 コイツらと一緒にいたからな……流石に足がついたか」
「そんなところじゃない?」
もう良いですかね?
向こうからの殺気が収まらない。
会話をしている分、感情任せに来ていないのは分かるのだが。
これはアレか。 先に手を出すと言い訳出来ないからか。 待っているのか。
「そろそろ始めて良いかな?」
ならさっさと仕掛けてこい。
創造主は腕をぐるんぐるん動かし、愉快にスニーク姿勢を見せて右往左往する。
ポーションを飲んで攻撃力や走力を強化して見せた。 金林檎も齧る。 挑発しているのだ。
時は金なり。 此方としても騎士団には恨みがある。 マッピングの頃からだ。
良くもまぁ良くも。 矢で針山にしようとし、剣で切り刻もうとしてくれたなと。
群れて襲いやがって。 ゾンビピッグマンか貴様らは。
今度は此方の番だ。
単騎だろうと殺る気は負けない。 なんなら奴等の本拠地も知り得ている。
此処よりも更に西、神聖法皇国ルベリオスだ。
魔物を倒すとしながら、領内にいるアレらはなんなんだ。
欺瞞に満ちた平和と平等の国。
妥協し享受した白昼夢。
茶番な自由。 理想郷の模造品───。
「……先に手を出されたって事で良いか?」
「此方はとっくに手を出されているのよ。 それに……」
『警告。 能力各種に広範囲結界からの圧力を確認。 魔法系統の能力は全て制限を受けます』
「魔物の言葉に興味はない」
不意に刺突を繰り出される。
創造主は待ってましたと、丸石の壁を創造して防いだ。
中々早い動き。
だが此方も老兵足るクラフターだ。 新参なら兎も角、これ位なら追い付ける。 ハクロウの方がよっぽどだ。
「へぇ。 情報通り奇妙なスキル、いやアーツ両方かな。 それに対魔結界、魔素が浄化されるホーリーフィールド内でも問題の無さそうな動き。 やはり貴方達は異様な存在」
「結界はお前の仕業か」
「そう。 西方聖教会が誇る究極の対魔結界。 魔素を活動源とする魔物は存在維持に力の大半を使わざるを得ない。 下位の魔物なら消滅するわね」
「通りで体が重い訳だよ」
壁を迂回し、連撃を繰り出してきた。
直ぐ凌ぐ。 盾と剣ガードを併用して隙を見極めては剣を振る。
その中でリムルに加勢して欲しいのだが。 どうも鈍足の異常を受けた様子。 後で牛乳を飲ませてあげないと……。
「凌いでばかりで躱さないの? 君も参戦しないなんて随分余裕あるのね。 それとも手下にやらせて高みの見物?」
「訂正させて貰う。 コイツらは手下じゃない。 強いて言うなら悪友だ。 それと剣劇はやりたい者同士でやっていろ。 俺は御免だね」
「散々偉そうにして、助けないのね」
「足手纏いになりたくないだけさ。 コイツらを舐めるなよ」
ダイヤ剣から瞬時に木剣に切り替え。
連撃の合間を縫い斬り伏せる。 剣ガードされたが、そんなの関係ない。
「ッ!」
吹き飛ぶ黒髪白服。
馴染みつつあるノックバックエンチャントの木剣だ。 当たれば飛ぶ。
創造主は間髪入れず釣竿を投げ付けた。
足にフックが引っ掛かるのを確認。 そのまま思いっきり引き寄せ、すれ違いざまにダイヤ剣を振り下ろす。
「小賢しいッ!」
が、剣ガードで防がれた。
また木剣を使って手車にしてやれば良かった。 甚振るには良い案だ。
リードを付けて高所から吊り下げるのも可。
「……シズさんが見たら悲しむぞ」
「先生の姿でそれを言う? 騙るのは止めて」
「シズさんを助けたコイツらに剣を向けるというのは───」
「恩師と仰げと? 冗談キツいわ」
間合いを取り弓矢を放つ。
が、避けられた。 並みじゃない。
また接近してくる。 剣のみで攻撃してくるなら寄せなければ良い。
クラフターは水バケツをひっくり返し、水流で押し流す。 足が鈍ったところに負傷のポーションを投げ付けた。
「多彩な技術力。 あとどれくらい持っているのか知らないけれど……」
また避けられた。
剣で割るなりしてくれたなら良かったのに。
そこまで馬鹿じゃない様だ。
やはり強者だ。 だが負けん。 やり様はある。
地面に潜るとか、エンダーパールで一気に間合いを詰めるとか。 毒も試していない。
TNTは避けられそうだが、マグマはどうだ。
「纏めて浄化してあげる。 それなら寂しくないでしょう?」
急に剣を収めた。
彼方も剣以外で戦うか。 何が来るのか。 ここまで来ると興奮冷めやらぬ。
くだんの団体には恨みがあるが、今や黒髪白服を個体としても対峙している創造主。
ワクワクしている。 命のやり取り中だというのに。
「精霊召喚」
突如、何体もの浮遊者が現れ襲撃してくる。
迷宮に現れた浮遊体の仲間だろうか。
なんにせよ敵だ。 今更ながら相手になってやる。
「神へ祈りを捧げ給う。 我は望み聖霊の御力を欲する。 我が願い聞き届け給え」
ノックバックエンチャントの木剣に切り替え、各個吹き飛ばす。 邪魔だ。 どけ。
「何か詠唱を始めたぞ。 気を付けろ」
その隙に黒髪に接近。 途中必殺ダイヤ剣に持ち替えつつ走力を強化したままに、一気に間合いを詰めていく。
が、また浮遊体に邪魔された。 仕方なし、エンダーパールを黒髪の側に投げ付けた。
「万物よ尽き……ッ!?」
咄嗟の抜剣で防がれる。
ワープ寸前、絶妙なタイミングで剣を振り下ろしたというのに。
とりま、溶岩バケツをひっくり返す。 加えてTNTを設置。 遠くから火矢で着火、起爆させた。
「ぐっ!」
爆発。 震える空気。 抉れる大地。
多少相手を怯ませられた。
だがそれだけに留まる。
「詠唱は止められたか。 だがまぁ……いつになく派手にやるな、お前ら」
リムル。 傍観していないで加勢しろ。
長期戦になりつつあるんだぞ。
いつの間にか浮遊体は消えてくれたが、次は何をしてくるやら。
だが反撃の隙を与えない。 丁度距離が出来たので、弓矢の一斉射撃を敢行。
マグマ越し、横殴りの豪雨が黒髪を襲う。
一部は火を纏い、隙間なき弾幕となる。
「……ッ!」
剣を高速で振りまくり弾かれた。
驚きだ。 我々なら壁や盾で防ぐのに。
それでも数本は当てた。 だが戦意を削ぐには至らない。 行動も問題無さそうだ。
「もう良い。 笑えないだろ、お互いに」
リムルがまた鳴く。
止める暇があるなら剣を抜いて欲しい。
それでも任せる創造主。 かのピンキーストームを沈静化させた手腕は買っている。
「魔物の殲滅が教義だってのは知ってるよ。 でも今俺やコイツらを潰したからなんだって話だ。 お前も言っていた様に、コイツらは世界中に散らばった。 それも虱潰しに消しても何度も現れる。 "全く同じ存在"がね」
「なら何度でも倒すまで」
駄目みたいですね。 クラフターは諦めた。
もう良いや。 実験も兼ねて滅ぼそう。
クラフターは遠方に連絡を取って実行に移した。
リムルには悪いが犠牲になって貰おう。
このスライムにも日頃の恨みがあるし。
「根比べならお薦め出来ない。 間違いなく負けるよ、お前達全員が。 コイツら相手に無理矢理な解決なんて恐らく出来やしない。 腫物に触れば触るほど酷くなる。 問題は深刻化する。 そしたら教会だけじゃない、全てが滅ぼされる。 嘘じゃないぞ」
「芽は早い内に摘むべきなのよ」
「遅過ぎたんだ、君達……いや。 俺達は」
もうすぐ時間だ。
保険が降って来る。 各々はスコップやツルハシで塹壕を掘って飛び込んだ。
意味はないが気持ちの問題だったりする。 左手には牛乳バケツ。 これは気持ちだけじゃない。
「───魔物と人間が共存共栄出来る国。 棲み分け出来ているなら……」
刹那。 再度爆音。
されど白硝煙ではなく紫煙。 それが辺り一面に拡がった。 さながら巨大スプラッシュポーションが割れたかの様だ。
「なんだこの煙……うぐっ!?」
「ど、毒……普通じゃ、ない……」
あっという間に猛毒異常に。
煙は即消えるがダメージを喰らうクラフター。
寒気もあれば焼かれる苦痛、全身を内と外から全力で攻撃されている激痛。
奈落やマグマに堕ちる以上の苦しみがこの場にいる全員に襲い掛かる。
慌ててクラフターは牛乳バケツを一気飲み。 状態異常を解消する事に成功させる。
塹壕から這い出てリムルと黒髪を見やった。
白目を剥いて口から泡を吹いている。
恐ろしい……。
だが実験は成功だ!
どうだ! IRPの砲撃及び新型砲弾の威力は!
クラフターは嬉々と戦慄と共に身を震わせる他ない。
シオンの汚物の兵器転用に成功したぞ!
毒物に耐性があるリムルもこのザマだ!
「お、お前ら……とは共存したく、ない……」
取り敢えず2人にも牛乳を飲ませておく。
せめての礼だ。 実験協力ありがとう!
彼らは犠牲になったのだ……(生きてます)。