都市内外で戦闘継続中。
ただし原作同様、結界が張られた模様。
創造主の援護の下、避難が開始されます。
104.開戦と同志
「はっ!?」
リムルがやっと目を覚ました。
牛乳量が足りなかったのか。 次に毒を喰らわした時は増量しよう。
トロッコ問題に苦労したのだ。 具体的には地下鉄座標に蹴り落としての運搬作業が。
元の世界でも似た経験はしているものの、事前にレールやトロッコを用意していなかったし。 時間を浪費した。
リムルが起きてくれていれば自力で乗り込んでくれただろうものを。
「ここは……ジオフロント? という事はテンペストに戻って来たのか、俺」
『はい。 ここまではトロッコに積み込まれて運搬されました』
だが今は今だ。
同志から連絡があったが、とうとう荒らしが出現したとの事。
それも団体様だ。 戦力が少しでも欲しい。 その為にリムルを苦労して運んで来たのだ。
剣劇に参戦せず寝ていた分、働いて貰う。
「毒の件は最悪だったが、その点は感謝だな。 ヒナタはどうなった?」
『例の謎の白い液体を飲まされていたので、恐らく生きていると思われます。 ですが、その後は不明です』
「生きてるなら良い。 次に心配なのは連邦の皆だ。 何故か思念伝達が上手くいかない」
『アンチマジックエリアとプリズンフィールドの2種の結界に覆われている影響です』
「また結界か。 ヒナタの発言といい……何が起きているのか確認するぞ。 お前らも来い。 説教は後だ」
リムルが地上へ向かう。 その背中を見送る。
言わずとも動いてくれるのは素晴らしい。
「来いって!? あぁシズさんがいないのが悔やまれる……アレか。 準備とかその辺か、そうだな。 そういう事にしておく。 終わったら来いよ! どうせ地上にも仲間がいるんだろうけどさ!」
後は野となれ山となれ。
地上はまだ荒れ狂っていない。 守備に就く同志が抑え込んでくれている。
IRPも砲撃後も地上で待機中。 ビル群の屋上等に設けられたキャノンも砲撃準備が済んでいる。 出来る事はやっている。 何とかなる。 何とかならないと困るぞ。
……今、新たな報告を受けた。
問題とは次から次へやってくるものだ。
一難去ってまた一難。
理由は不明だが都市内の魔物達は弱体化の異常を受け、しかも郊外に出入り出来ぬ状態異常まで受けたとの事。
牛乳を飲ませても治る様子が無いというから只事ではない。
他にも村人達の魔法に制限が掛かったらしい。
だが我々の行動、エンチャントは問題無い。
状態異常も起きていない。 なら村人に代わり我々が連邦を守らねば。 元よりそのつもりだった。 村人の警備隊には期待していない。
万単位の村人がウザい時もあるが、都市が荒れるのは許せない。 何より悪意ある殺傷は到底容認出来ない。 連邦は建物のみならず村人で構成されているからだ。
独自のクラフト技術や生活様式、行動を起こす多種多様な人魔達。 彼等あってこその連邦だとすら感じている。 失う事、即ち建物同様に我々の財産が脅かされている状況下なのだ。
要略。 村人を守り荒らし殲滅。
「リムルさん!」
地下に特殊同志の声が響いた。
見やればクリーパー柄のパーカー村人……いや。
クラフターがいる。
だが色々と妙だ。 言動もだし、肩で息をしている様等。 まるで村人だ。 いや中間といえる存在だ。
「お前は?」
「今は此処に住んでいる者とだけ。 それより早く地上へ! 他国の軍隊が攻めて来たんです!」
情報通り地上は大変だ。
いやそれよりも大変だ。
コイツ……村人と話してやがる!?
「なんだって!? 皆は無事なのか!?」
「住民は結界で弱体化してますが何とか。 今は警備隊長指揮の下、此処ジオフロントに避難誘導中。 ウチの馬鹿達が軍を足止めしてますが人手が足りません。 援護お願いします!」
「警備隊……リグルやゴブタ達だな。 しかし君は……いや分かった。 教えてくれてありがとう!」
「私は避難してきた者達を対応します」
「頼んだ!」
間違いない。
リムルと会話してやがったぞ、このアマ!?
そうだ。 話に聞いていた事があるぞ。
湖底研究所からやって来た、村人と意思疎通が出来るクラフターが来たと。
この子が……この少女がそうなのだ。 シズに代わる、いや同等以上の通訳だ!
よしよし良い子だ。 心強い限り。
「キモい顔してねぇで、テメーらもリムルさんを手伝ってくるんですよ」
一部訂正。 辛辣だこの少女。
それでも構わないが。 希望が生まれたのだから。
「馬鹿な同志は機龍と猛毒まで使いましたよ。 これで住民1人でも死んだら情けないし、加えてアンタらの力がその程度だった、という事にもなりますし」
なんだとこのアマ。
クラフターを無礼るなよ。
荒らし勢力が如何程か知らぬが、我々の創造力は甘くもなければ君程辛くも無い。
「ならさっさと行って。 事態は一刻を争います」
上等だぞこのアマ。
万単位の村人くらい守ってみせらぁ!
クラフター達はリムルの背中を追い掛ける。
後でジックリ辛辣同志と問答する為にも憂なき防衛をしなければ。
そして、あんな事やこんな事を彼女にするのだ。
「キモッ。 良いからさっさと荒らしを殲滅して下さい。 ついでにお前らも…………お前らまで"消える"のは許さないから」
全ロストは嫌なので断ります。
荒らしに鹵獲されるのはもっと嫌だ。
死なずに任務をこなしてみせよう辛辣同志。
「そうじゃない……とにかく、お願いしましたよ。 私は……皆みたいに強く無いから」
出来る事をやれば良い。
君は村人の受け入れをするんだろう?
なら、そっちを頼む。 我々には出来ない仕事だ。
特に会話の面では。 "頼むぞ同志"!
「……だから憎めないんですよ。 初対面でもそんな事言うから」
背後で何か言われた気がするが、もう構っていられない。 クラフターは走り続けた。
群勢が一斉に地下侵攻してくるならば、最も道幅が広いIRP搬出路を利用してくる筈だ。
だが守備隊同志もそれは知っている。 既に封鎖したか守備隊が陣取っているだろう。
逆に避難誘導路にもなっているが、なにぶん郊外だ。 辿り着くまで時間が掛かるし、なにより結界とやらの所為で住民は郊外に出られない。
それに荒らしの狙いが都市そのものなら、先ず地上を荒らす。
なら向かうべきは中央都市内だ。 地上に上がる水式昇降機や梯子は大抵の建造物に設けられている。
これらを利用すれば、神出鬼没に侵略者共に斬り込める。
これまた逆に避難路にもなっているから、村人達も自主避難しやすい構造だ。
やがて数多の村人達とすれ違う様に上下に交差した。 避難してきた者達だ。
「増援か!」
「頑張って、おにーちゃん! おねーちゃん!」
「悪い人間をやっつけて!」
「連邦を、皆を頼む!」
老若男女の人魔にハァンハァン鳴かれた。
やはり言葉は分からない。 だが伝わる。 応援してくれているのだと。
───地上の光が眩しく広がっていく。
爆音。 悲鳴。 怒号。 金属音。
戦場の鳴声。 集団戦の殺し合い。
見慣れた都市で狂気が孕み、生と死が交差する。
ピリピリした。
初めてではない。 故に備えもしてきた。
守備隊と合流、または遊撃。
村人達を守りつつ荒らし勢力を殲滅。
───征くぞ。
目の前の惨劇に創造主は駆け出した。
各自奮闘せよ。 これは戦争だ。
遂に始まってしまいました。
クラフター達は村人を守れるのでしょうか……。