寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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漫画では村を整備する為、家の建て方等を知る技術者を求めて武装国家ドワルゴンへ行きます。
作中ではクラフターがいるとはいえ、気紛れ過ぎてアテに出来ないので向かいます。

作中のクラフターくらい心を広くして人生を愉しみたいものです。


別の集落へ。
6.再起と遠征


 

「なんだこりゃ!?」

 

 

2、3度寝て起きた頃に起きたスライムは、驚愕のハァンを上げる。

良いぞ驚け。 感嘆はいつ聴いても良い。

高邁な志、見せしめやったりと、クラフターは満面の笑みを浮かべる。

 

 

「随分と派手にやってくれたな。 ビルまで建てやがって。 異世界ファンタジーに喧嘩売ってる見た目だぞ、アレ。 3日で様変わりするのもある意味ファンタジーだけど」

 

 

ビルを仰ぎ、ハァンと鳴かれる。

間違いない。 我々に出逢えて人生が楽しくなった。

 

 

「RC造じゃないよな。 あれ石か? お前らの事だ、どうせ大賢者も意味不明な設計なんだろうな」

 

 

作って喜べ。 見て笑え。

創造の見聞きは世界と自分自身と対等に向き合い、心を解き放つ事にある。

ジッと寝続けるなんて勿体無い。

楽しく生きるには、心中に疎外感を増幅させない事だ。

心を窮屈にさせ、つのる不満を閉じ込める人生なんて勿体無いぞ。

 

 

「まぁ、アレはその内見に行くとして……皆は大丈夫か?」

 

 

しかし照れるな。 そんなに褒めるなよ。

 

興奮のままに腕を高速で振りまくる。

この勢いで広大な森を開拓していけば、なんだって出来そうだ。

未知のアイテムの鑑定だって進めたい。 遺跡だってあるかも知れない。

まだ見ぬモンスターにも会いたい。 楽しみが尽きない。

 

 

「お加減はもう よろしいのですか?」

「あ、あぁ……誰!?」

 

 

またも驚愕するスライム。

今度はなんだ。 石作りの道か。 家か。 半自動回収畑か。 どれも改善されたものだ。

自惚れたが、違った。 村人の変態振りに対してだった。 がっかりした。

 

 

「さぁこちらへ。 宴の準備が出来ております」

「お、おう……なんか絶対、皆デッカくなってるよな……お前らナニかしたのか!?」

 

 

首を横に振った。 仕方ない。 クラフター自身も大変驚いたのだから。

世界は広大だ。 慣れる事の方が少ない。 故に惜しみ無い努力と娯楽、冒険が待っている。

 

 

「そうか……お前らがナニかしたワケじゃないなら良いんだ。 すまんな疑って」

 

 

そろそろ違う土地に行くのも良いかも知れない。

世界を相手取るクラフターは、常に在住している訳では無い。

ネザー要塞の攻略やジ・エンドでの街作りがその例だ。

世界を文字通り股にかける。 あいや越える。

ジ・エンドへは戻れずとも、ネザーはゲートを作らねば分からない。

今度作るか。 ブラマイしていれば、そのうちマグマ溜まりにでもぶつかるだろう。

そうしたら黒曜石が手に入る。 採石し、囲う。

火打石を使い、紫の膜が出来れば成功だ。

 

 

「御快復、心よりお慶び仕ります!! 我が主よ!!」

「ラ……ランガ?」

「はっ」

「どゆこと? 名前を付けただけで魔物って進化するの?」

 

 

ブラマイか遠征かで逡巡したクラフターだったが、結局半々で別れた。

それぞれ準備に入る。 持ち物は皆異なる。

 

 

「リムル様がお目覚めになられた。 皆宴の準備はできておるな?」

「はーい!」「おぉー!」

「……ホント、訳分からん。 揃いも揃って」

 

 

片や端で村人が集まり始めた。

食べ物を持ち寄っている。 知らない木の実もある。 なんと。 ご馳走の山だ。

クラフターの手が鈍る。 いけない。 そんな物を見せるなんて。

集会と未知なる食料。 誠に興味が尽きない。 飽きが知りたい。

当然、作業の手を止めた。 罪深い。 ニヤけてしまう。

 

 

「あー……では、皆の進化と戦の終わりを祝ってカンパーイ」

「……かんぱいとは?」

「そうか、社会常識が通じる訳ないもんな……えーと、乾杯とはこうするんだ」

「儀式ですかな。 あの者達の松明の様に」

「違う。 それだけは絶対に」

 

 

スライムの号令と共に、村人が一斉にハァンと鳴いた。

そこからは飲食の始まりだった。 賑やかなのは良い。 そうだ。 生を謳歌しなさい。

共に生きる身として、見ていて誇らしい。

特に自身の建造物を利用しているのが素晴らしいではないか。

うんうんと頷く。 建造物は使われてナンボだ。 創造主としては嬉しい限りだ。 果報者である。

 

 

「貴方達も是非参加を。 村を護ってくれた事、村を発展させた事は、誰もが認めております」

 

 

ムキムキな村人が寄って来た。 好意的だ。

近寄り難いが、謎の肉を寄越してくる。

餌付けされた。 戴く。 食べた。 生焼けだった。 狼の気持ちもこうなのか。

 

 

「街と不釣り合いな光景だなぁ。 自力での建築、料理、問題が山積みだ」

 

 

スライムが嘆く。 分かる。 不味くは無いが微妙な惜しさを得る。

この生は謳歌出来ない。 敢えての可能性を否定出来ないので容認こそすれ、改善の余地有りと評価を下す。

詰まるところ好みではなかった。

 

 

「建築技術は?」

「お恥ずかしいのですが、殆どありません。 彼等程の技量は流石に」

「それは良いんだ。 いや良くないんだが……自分達の村だ、自分達で出来る様にするべきだ。 と言ってもコイツらに技術指南は出来ないしな……」

「それでしたら当てがあります。 取引した事がある者がおりまして……」

 

 

只飯を食らって四の五の思うのも随分贅沢になったものだ。

料理とはウサギシチューの堕落の如く。

腹を満たすだけなら、収穫した馬鈴薯を丸ごと焼いたベイクドポテトで良かった。

効率だけなら収穫して即食える西瓜や人参で良い。

ところが、手間掛ける意味は確かに存在する。 今感じたのが正にそう。

 

そう。 美学だ。

 

感謝こそすれ、咎めるのは筋違いだが。 そもそも相手は村人だ。

それら美学を期待しない。

それでもだ。 同等の物でも折角なら、楽しめた方が得じゃないか。

取り敢えず、もう少し焼けば良いんじゃないかな。 クラフターは要約した。

 

 

「取引相手とは?」

「ドワーフ族です」

「鍛治の達人なイメージの?」

「おお! 存じておりましたか!」

「まぁコイツらもある意味……達人というより変態か」

 

 

気を取り直して遠征しなきゃ。

出来るクラフターは瞬時に切り替えられる。

1つ所に縛られない。

 

 

「準備は任せたぞ」

「ははっ! 直ぐにでも!」

「……で、お前らの何人かもついて来るとか言わないよな?」

 

 

行こう。

どうしてかスライムも 何処かに行く様子だし。

当ての無い放浪は世界を学べて楽しいが、慌てる時間じゃない。

 

 

「すっげー笑顔……暴れるなよ? フリじゃないからな! 絶対だぞ!?」

 

 

クラフターは莞爾として頷いた。

共に行こう。 我々と君の仲じゃないか。

 

 

「川沿いに徒歩で数ヶ月の距離ですが、牙狼族に乗せて貰えば もっと早くに着きましょう」

「そうだな。 コイツらを振り切るのにも都合が良いな」

「まぁ、その。 お気持ちは分かりますが そう邪険にせずとも」

「分かるか? どうにも好きになれないんだ」

 

 

そうしてクラフターはついて行く。

村人め。 鞍を付けずしてオオカミに乗りやがって。 まさか乗るとは。 狡い。 発想しなかったのが悔しい。

挙句に我々を置いていく。 速い。 馬と同等かそれ以上だ。

しかし、それで諦観するクラフターではない。

我々にはエリトラがある。 終焉世界の果てで見つけた宝物だ。

これを胴体に身につけ、手にロケット花火を持つ。 よし。 離陸。

 

 

「主殿! 何やら空を飛んでいます!?」

「アイツら飛べたの!? え、まさか身につけてるマントで飛んでるのか!?」

 

 

掩蔽物なき自由な青空。 煩悩の一切を忘却し飛行する。

あいや地上の光景が目に付く。 なんと開拓欲が湧く光景か。

いやいや。 今はスライムの動向を追う。

 

辛い道中だった。

大規模建築や開拓を我慢しながら、数日の寝て起きての追跡なんて。

しかしそれも終わりだ。 目の前に大きな山、そこに築かれた建造物が見えたのだから。

 

 

「アレが武装国家ドワルゴンっす」

「お前ら、問題は起こすなよ。 絶対だぞ!?」

 

 

クラフターは感涙した。

禁欲生活も終わり涙ぐむ。 壮大な かの地を観光しなければならない使命感に襲われる。

 

 

「あっ、こら待て!?」

 

 

多種多様な村人が入口に列を為す。

理解出来ないので割り込み、入口に入ろうとした。 止められた。

 

 

「おい! ちゃんと最後尾に並べ! 牢にぶち込まれたいか!?」

 

 

鉄鎧が邪魔をする。 守衛か。 ネザー要塞におけるネザースケルトンを思い出す。

とか思考していたらスライムまで来た。 やはり邪魔をする。

 

 

「おい駄目だって!」

「スライムの知り合いか?」

「まぁ知り合いというか……」

「ならコイツらを並ばせろ。 ちゃんと手続きをするんだ」

「くそー、だから付いて来て欲しくなかったのにぃ!」

 

 

いっそ倒してしまおうか。

所詮鉄装備が2、3人。 エンチャントも無い。 ダイヤ剣に敵うとは思えない。

そう剣を構えようとした時。 またも邪魔立てが増える。 厄日だ。

 

 

「ヘィヘィ兄ちゃん達! 生意気だなぁ?」

「スライム如きが。 そっちの人間も貧相な身なりだ」

「違いねぇ! そもそもスライムが仲間ってのも笑えるぜ!」

「もう! 次から次へと! なんて日だ!」

 

 

もう良いや。 斬ろう。

 

禁欲の解放の矛先は、取り敢えず絡んできた徒党に向ける。

ダイヤ剣を構えた。 相手は非武装だが邪魔なら斬り捨てる。 悪意ある者には容赦しない。

 

 

「お、おいどこから剣を出しやがった!?」

「なんだその青い剣!?」

「禍々しいオーラで覆われている!?」

「わ、悪かった! 見逃してくれー!」

 

 

逃げた。 まあ良い。 今度こそ建造物に入れるぞ。

 

 

「騒ぎを起こしやがって! 来い! 望み通り牢にぶち込んでやる!」

「俺は無実だー!?」

 

 

先程の鉄装備がやって来た。

スライム諸共、建物内に案内される。 意外と良い奴らじゃないか。 スライムも歓喜のハァンを叫ぶ。

クラフターは朗らかだ。 腰を曲げて礼を述べた。

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