寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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集団戦へ発展。
敵はファルムス王国軍と西方聖教会騎士団からなる連合軍。
対峙するリムルたち魔国連邦軍ですが……?

当作では大袈裟に書かれますが、実際は少数の奇襲部隊かと思われます。 結界を作るクリスタル防衛もあるので、少なくとも全軍ではないかと。
奇襲後、王国に下る様に宣言して撤退したっぽいですからね。
加えて荒らし3人組。 トリニティも参考にしますと傭兵も混ざっています。
ザ・悪役に描かれてますが、本編漫画にて登場した弓兵の話(母を亡くした我が子を置いて出兵した父親?)が出たりと……一方的な悪と善はない、戦争の虚しさが垣間見えます。


105.敵と慈悲

 

 

「牙城の懐である! 邪悪な魔物を滅せよ!」

 

 

出会え出会え! 奢る敵なぞ久しからず!

 

日の下に上がり、此度も戦場。

矢が飛び交い、剣が交わる。

非戦闘員の村人を庇いつつ、創造主は不倶戴天と対峙していた。

 

 

「例の人間達が抵抗してきます!?」

「アレを人間と呼ぶな! 魔物に組みする時点で悪である!」

「聞き捨てならんな! 俺ら人間の冒険者や商人は世話になってんだぜ!?」

「質の良い武器や防具だって卸してくれる。 敵なら普通渡さんだろ」

「そうだそうだ!」

「ドラゴンがイングラシア王国を襲撃した時、退治したのはコイツらだって聞いたが」

「だからなんだ? 騙されてないと何故言える? 街道で物言わぬ屍の山になるだけよ」

「けっ、口封じかよ! 黙って殺されるくらいならコイツらに加勢するぜ!」

「伊達に危険な冒険をしてねぇんだ! 正規軍だからって舐めんじゃねぇ!」

「コイツらを援護すっぞ!」

「やっちまえ!」「うおおおっ!」

「貴様らぁッ!? 母国を危険に晒していると気付かん愚か者共めが……ッ!」

「愚か者はどっちだ! クタバレ屑野郎!」

 

 

武装村人が遅れを取りつつ加勢。

声にならない声を上げ、やぁやぁと得物を振る!

良し良いぞ! ゴーレムに頼らず自ら剣を握る様は、中々出来る事ではない。 実に勇猛果敢である。 我々も負けていられない。

 

崇高な精神を踏み躙り、狂気を孕み泥梨を生み、無碍道にせんとする下衆共め!

退け屑共! 退けッ!

リムルに文句を垂れ流されながら建設し、竣工してきた摩天楼。

時に落下死をしつつ落成させた苦労の結晶。

愛すべき作品群。

荒らしにヤらせはせん! ヤらせはせんぞッ!

 

 

「首を激しく動かしながら釣竿や雪玉を投げつけてきます!?」

「規律を乱すな! そんな馬鹿げた話があるものか! 童の児戯でないのだぞ! でなければ魔物である!」

「ご覧下さい! かの者は落馬させたのち、縄を掛けて拉致しております!」

「人を選んで殺しておる! やはり魔物だ、躊躇するな!」

「空を飛んでいる者もおります!」

「人は飛べぬ! 魔物だ!」

「石の防壁を瞬時に作っています!」

「魔物だ!」

「結界の中だというのに、動きが滑らかです! 滑らか過ぎて気持ち悪いくらいです!」

「魔物だ!」

「穴を掘ってる者が!」

「魔物だ!」

「あれも」

「魔物だ! 良いから戦え!?」

 

 

鉄鎧一式の荒らし連中が馬に乗り、わいのわいのと暴れている。

中には普通に降りて戦っている者もいる。

それを駐屯同志が迎え撃つ。 時にサドル付の馬を鹵獲する。 貴重だ。 掠奪……じゃなかった、救出活動を行いつつ戦闘継続。

荒らしに使役されるなぞ、あんまりだ。 なのでコレは正当行為。 クラフターは悪くない。 悪いのは荒らしだ。 荒らしの癖に生意気だ。

 

 

「リムル様ッ!」

「シオン! ゴブゾウも! 無事か!?」

 

 

先行していたリムルが鳴いた。

相手はシオンだ。 先程までステゴロで荒らしと語り合っていたが……我々も剣や弓矢で加勢したからか、逃走を許してしまった。

タイマン勝負を望んでいたのだろう。 だとしても弱体化したシオン相手にどうかと思う。 なんなら近くにいた子供村人にまで手を出そうとした。 その時点で外道。 礼節を欠いている。 それともそれがこの世界の礼儀か。

いや、あんなものを認める訳にはいかない。

 

 

「はい……少し怪我をしたくらいです。 この者達に助けられました」

「大丈夫ダス……」

「動けるか? 近くの建物から地下に避難するんだ。 対応してくれるヤツもいる」

「リムル様は?」

「───悪友に殿を任せては情けないからな。 戦うよ」

「で、ですが相手は人間です!」

「分かってる……大丈夫だ、出来るだけ命は奪わない。 出来るだけ、な。 だけど殺しに来てるんだ。 殺されもするって事を教えてやる」

 

 

そういえば堰を切った残り2名の荒らしも逃してしまった。 混乱の中で逃げられたのだ。

女の方は戦闘が出来なさそうだったから分かるが、片方も逃げた。 瀕死の重症を負わせたと自負しているが、回復しに行ったか。

或いはトレイン。 有り得る話だ。

そもそも防具ひとつすらしていなかった。

元の世界でもいた。 直接手を下すと垢が付くからと、クリーパーを誘導して他人の家を爆破する悪徳リフォーム業者が。

だがクリーパーが爆発する惨事の時点で荒らしが関与しているのは明白だ。 誤魔化せるものではない。

特に今回はスキンをハッキリ記憶している。

後で●す。 世界の何処に行こうと必ず探し出す。 そして●す。 荒らし撲滅運動。 芽は早く摘む。

クラフターは戦いつつも、既に復讐劇のシナリオをあれこれ思考していた。

ベッドに強制的に寝かせて、黒曜石に覆われた檻に閉じ込めて永遠の苦悶を味わわせるのも一興。 永久リスキルの刑。

 

無限ループって怖くね?

 

 

「全て無力化する勢いで行くぞ! 時間を稼ぐ考えじゃ甘いだろうからな……【メギド】」

 

 

リムルが空を飛んで、何かしらの飛び道具で空襲を行った。 瞬く間に敵が虫の息になる。

我々としては息を呑むしかない。

 

 

「ぐあっ!?」「ぎゃっ!?」「がっ!?」

「どこから!?」「防げない!?」

 

 

なんだ、あの攻撃!?

水玉が浮いたかと思えば、次には光線が荒らしのみを貫いていく。 急所は外れている。 わざとにしても凄まじい制御力と戦闘能力である。

集団戦においてチートじゃん、そんなん。

 

 

「どうだ? 俺だって作ってる……新たに開発した魔法だ。 アンチマジックエリアでも影響を受け難い精霊と太陽光を利用した魔法でな、簡単に言うと水玉を凸レンズ状に……虫眼鏡で太陽光を収束……対象を焼く……って言葉が通じないのに説明しても仕方ないよな」

 

 

心底思う。

リムルが敵じゃなくて本当に良かった。

相変わらず、このスライムは多様性に富む。

 

 

「お前らの魔法も凄いけど。 今は集中だ。 悪いけど……殺したら勘弁な。 お前ら含めて」

 

 

空を飛んでいた同志が何人か巻き込まれて撃墜された。

おいこらふざけんなよ。 絶対わざとだろ。

敵か味方か誤射か本気か。 理解に苦しみ僅かに混乱する創造主。 もう許せるぞおい。

 

 

「くそっ! 撤退だ! 撤退しろー!」

「逃げろッ! 逃げろーッ!」

「助けてくれぇ!」

「ああ神様ッ! どうかご加護を!」

 

 

荒らしが逃げていく。

悪いがソレは許せない。 弓矢を絞り、片っ端から当てていく。

建物に入り込まれたら厄介なので、その前に抜いていく。 時に剣で刺殺した。

脆いものだ。 先程までイキって荒らそうとしたのが嘘の様に。

所詮はその程度なのだ。 荒らしめ。

 

 

「神様は助けてくれない様だな。 ルミナスか他の神様か知らないが……おい、お前ら止めろ!! 逃げる奴を無理に殺す必要はない!」

 

 

無理してでも殺さねば。

荒らしとは下手すると殺しても懲りずに歯向かう。 一度やらかした奴はまたやる。 やらない奴もいるが、取り敢えず殺す。

奴らがリスポーン出来るにせよ、出来ないにせよ、見せしめの意味も兼ねる。

前者の場合に置いては、最悪監禁して絶望させて生気を奪って消毒だ。

汝、一切の希望を捨てよ。 それが世の為だ。 今までもそうしてきたし、またやるだけだ。

 

 

「……リムル様。 住民の避難は済みました……」

「……伏兵がいないか警戒しろ。 それと怪我人や死者の把握を。 襲って来た人間もだ。 広場に集めてくれ」

「……はい」

「それと、地下にいる緑のパーカー……外套を着た女の子を呼んで欲しい」

 

 

追撃しようか。

いやIRPが奴らの隠遁先の座標を取得している。 砲撃すれば直ぐ終わる。

リムルに砲撃の様子を見て貰おう。 凄いものを見せられたお返しだ。

 

そう思い、戦友に笑顔を向け───。

 

 

「広場に来い。 話したい事がある」

 

 

何故か冷たい顔を向けられたのであった。




漫画ではリムルの甘さで招いた結果、シオン含めた沢山の住民が殺された訳ですが……。
クラフターとリムルとでは感性が異なります。

命と引き換えに何を得て、何を失うのでしょう。
地位にせよ、友にせよ。
最終的には敵は皆死ぬ結果だとしても、それまでに至るプロセスが異なれば生まれるものも変わるのかも知れません。
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