展開を進ませる為だったり、クラフター視点なのもあります。
誤字脱字があれば すいません……。
「捕まったよ。 お前の所為だからな」
持て成された場所は格子の部屋だった。
小さく地味だ。 何もない。 いやあるか。 スライムは丸いチェストの様な容器に入る。
「そこで反省していろ」
「脅されたから威嚇しただけだって! そうでなくても、俺は関係ないでしょ!?」
試されている気持ちだ。 閉鎖空間で何が出来るか。 限られた空間と手持ちで相談する。
取り敢えず作業台を置く。 松明で照度を高める。
「どこから出した!?」
「頼む。 これ以上、俺を苦しめないでくれ」
ベッドを隅に置く。 ツルハシを取り出し、壁の下に潜らせる様にして無限水源を造る。
かまど を置けば、そら。 仮拠点の出来上がりだ。 問題は格子だ。
閉鎖空間を更に暗くしている。 雰囲気はあるが、態々住むには落ち着かない。
「ナニ牢屋で快適空間を確保してるんだよ! 良い加減にしないと……」
「大変だ! 鉱山でデカい事故が!」
村人が煩い。 案内してくれた事は感謝するが、それはそれ。
「アーマーサウルスが出たとかで……」
「なに!? 街に出る前に何とかしないと」
「いや、そっちは大丈夫だ。 討伐隊が向かった。 問題は……」
増えた。 村人が随分と身近だ。 にも関わらずアイアンゴーレムが見当たらない。
謎だ。 スポーンしないとなると、製鉄所が作れない。
アレは村人をここより狭い空間に押し込み、扉を大量に設けて村を偽造する事により機能する工場だった。
利益になるなら人道を気にしない。 殺戮も厭わないクラフターだが、利益にならないなら忌避するのもクラフターだ。
「鉱夫が大怪我を……」
「くっ! アイツらは兄弟みたいなものだ! 簡単にくたばってたまるかよ!」
「薬も戦争の準備とかで品薄で」
「あるだけ集めるんだ」
観光がまだだった。
此処に連れられるまでの間、ハァンの合唱が聞こえて来た。
沢山いる。 間違いない。 ならば扉が多い。 元からある村の類ならば、相応の建物があって然るべきなのだ。
「ちょいちょい、旦那」
スライムのハァンが聞こえる。
見れば丸いチェストから出ていた。 代わりに多量の液体が並々揺らぐ。 体液にしては体積に見合わない。
いや。 最も非常識なスライムだと思い出した。 忘れていた。
「ナニ勝手に出て来てるんだ」
「お困りでしょ。 これどうぞ」
「これは……ポーション!?」
「飲んでよし、塗って良しの優れもの」
液体に満たされたチェストを運び出す村人。
インベントリに入らないらしい。
「試すしか無いか……」
「早く行ってあげなよ」
「だが、お前らは此処にいろ。 良いな」
「だそうだよ。 無駄だろうけど」
スライムが囁いてくる。 頷く。
わざわざ邪魔なチェストを退かしてくれたのだ。
村人の誘導が上手い。 学びたいものだ。 我々なんぞ、トロッコに無理矢理載せるか縄で引き摺り回すのに。
「ほら、見張りは行ったぞ。 籠から出て自由な大空にでもなんでも飛んで行けぇ」
スライムが煽っている。 そうかそうか、お前も創造の世界が分かるか。
クラフターは笑顔になった。 宜しい。 望み通りクラフトだ。 ツルハシを構える。
「好きにリフォーム出来るって意味じゃねぇよ!?」
格子を破壊、ガラスに張り替える。 息苦しい壁は温かみ溢れる木製にした。
当然、床も木製に変更。 テーブルは原木を丸ごと使う。 左右には階段と看板を組み合わせた椅子を設置。
そうだ。 チェストも置く。 中身は無しだが、拠点化するなら必要だ。
「フローリングまで。 もうこれ、怒られるじゃん。 自由過ぎだぞお前ら……」
スライムは椅子でグッタリした。
良いぞ。 早速使うか。 クラフトした甲斐があるというものだ。
「あのな、信用ってのは大切だ。 生きて行く為には……ああ。 何でも1人で熟すもんな……洞窟の時点で薄々気づいてた」
しんみりしたハァンを鳴き始める。
そうか。 気に入らなかったか……残念だ。
「落ち込むなよ。 後悔してないんだろ。 堂々して貰えないと、巻き込まれた側も立場がねぇよ」
空元気だ。 スライムに気を遣われた。
次はもっと良い内装を作ろう。 村のビルディングの空間はだだっ広い。 練習なんて幾らでも出来る。
「そうそう、胸を張れ。 俺も……正直、お前らが羨ましい。 自由よりも力よりも、誰よりも世界を、人生を愛してるって思えるから。 それはどんな場所でも世界でも、そうしていくんだろ?」
帰ったら、どんな内装を作ろうか。
アンティーク風か。 ガラス系か。 防衛特化も良い。 腕が鳴る。
「前世はゼネコン……建築関係で働いていたけど、やっぱり辛い時があった。 もしお前らみたいに全部楽しかったら、もっと人生を謳歌出来たんだろうな。 あ、勘違いするなよ。 それなりには充実してたんだ。 死んだのは不幸な殺……いや、事故さ」
先ずはこの地を観光だな。
どんな建物か見てやろう。 日々勉学なのだ。
「お前らは……お前らも前の世界があったんだろう? 何となく分かるさ。 幾らなんでも異端過ぎるもん。 そこはさ、どんな世界だった?」
さて行こう。
目的が目的だったから、手持ちの資材での改修は この辺りが限界だ。 外に出よう。
「行くのか? 俺は後で行くよ……あ、待ってくれ!」
スライムに呼び止められた……気がした。
振り返る。 ジッと見られてる……気がする。
「今後長い付き合いになるかも知れないからさ、改めて名乗らせて欲しい。 俺はリムル。 リムル=テンペスト。 前の名前は三上 悟! お前らは、名前あるのか?」
名乗られた……気しかしない。
リムル。 それがスライムの名前だろうか。
なら名乗ろう。 我々の言語が伝わるかはさておき、そうするべきだと思ったからだ。
何故とは考えない。 故に個々が名乗った。
改めて出逢えた。
今日は厄日では無かった。