進化したIRPと新剣でカリュブディスに対抗。
「しかも2体に!?」
創造主はかつての魚災と対峙した。
それも2体。
「ヤムザが付けていた魔宝道具の影響だ!」
「ドッペルゲンガー……使用者と同一の分身を作り出す奴か!」
何とかしなければ。
変質していく巨大魚に矢を打ちつつ、黒曜石で封印を試みた。
駄目だ。 変質と回復速度が上回る。
「ぬぅ……これはマズいな」
「どうします? 加勢しますか?」
「並大抵の技量で何とかなる気配ではない」
「ですが、このままでは都が!」
IRPに座標を伝達。
引き続き砲撃と弓矢と剣、TNTと溶岩で時間を稼ぐ。
後方では村人を守る為に臨時シェルターを建設。 見た目は黒曜石の豆腐だが、拘っている場合ではない。
相手もいよいよ反撃。 触手攻撃やら光線やらを打ち付けてきたが、黒曜石で防ぎ切る。
「なんと堅牢な……!」
「守ってくれるのは嬉しいッスけど、倒す算段はあるんスか!?」
都も出来るだけ傷付けさせまいと、其方でも黒曜石の大壁を立てる創造主。
ついでに上層から打ち下ろす。 弓矢、溶岩、TNT空爆。 エリトラ飛行で周囲も飛び始める。 あの時とほぼ同じく創造主は思考を巡らす。
「剣と弓矢もですけど、どこから出してんですかね」
「知らぬ魔法の類か」
「空まで飛んでます」
「何かを羽織ってな。 魔宝道具の一種か」
「噂通り奇妙な連中ッスね」
初見の際も様々を想像し創造して試行錯誤したが、一向に攻略方法が発見出来なかった。
問題は驚異的な自己回復能力だ。 集中放火をかましたところで従来戦法が通じない。
ジ・エンドみたいにクリスタルがあるなら破壊するのだが。
その内にトンデモ思考すらし始める創造主。
「でもヤツの再生力が上回って駄目ッス」
「だが臆する事なき行動力。 諦めも無い。 暫し任せてみる」
「えぇ……」
ウィザーを召喚してぶつけるんだよ!
『ナニ云ってんです頭逝ってんですか!?』
辛辣同志が念話(チャット)に割り込んでる。
(笑)。
だが確かに駄目だ。 都まで壊れる。
後処理も大変だ。
というかクラフト材が手元にない。
ネザースケルトンの頭なんて誰が持ってるんだ。
全くだ。
今から取りに行け。
無理だ。 頭レアドロップだぞ。
『馬鹿の頭をドロップさせましょうか』
馬鹿云うな。 我々は未だバラけた事がない。
インベントリの中身はぶち撒けてもな。
『そうでしたね。 貴方達は』
真面目に聞く。 誰かチェストに入れてる?
この中に持ってる奴は?
……………………。
何故いないし。
ほら見た事か。
じゃあ他にどうするよ?
村人の頭で代用。
『止めて下さい』
却下。
駄目だ。
賭けるな。 感じろ。
感じた。
巫山戯るなよ。
創造主同士で相談しつつ、攻撃を剣で防ぐ。
既存のやり方で有効そうなのは、IRPの質量をぶつける方法だ。 まだ試してない。
「よく剣で往なせますね」
「青き剣身が薄ら輝いている。 魔剣か? なんにせよ普通ではないな」
だが相手は空を飛ぶ。
IRPは空を飛べない。
スポーンの瞬間を狙えば良かったが予想なんて出来なかった。
ここはやはり新兵器に期待するしかない。
ウィザー召喚は兎も角、荒らしのミリムや悪食リムルに助けを求めたら負けかなって思ってる。
「何か近づいて来るぞ……!」
そもそもミリムは所在不明だ。
リムルは会合で忙しい。
武装村人や同志が増援で来たところで、普通に無理である。
ならどうするか? マルチに頼る。
そら来た。 ドシンドシンと荒く森の木々を薙ぎ倒してくる黒い影が。
「なんか来たーッ!?」
機龍、IRPが砲撃しながらやって来た!
……が、見た目は前とほぼ同じ。
クラフターは期待していたのにガッカリした。
辛辣同志め。 どこが進化したんだ!
嘘吐き! どこをクラフトした!
『嘘じゃないです』
云ってみろ。 云え。 云えるんだろぉ!?
『懸架装置を取り付けました。 これで振動や高所落下時のダメージを無くす事に成功。 私でも大丈夫なまでに進化しました』
巫山戯るなよ。
確かにIRPの初動時に報告された問題点に落下ダメージの件があった。
だが今求めてるのはそうじゃないだろ!
『村人でも少しは扱える様にしました。 重力加速度等のパイロットの負荷を考慮し……』
それこそ巫山戯るなよ!?
村人にパイロットをやらすか!
それが1番危なっかしいわ!
『馬鹿な同志に操縦桿を握られる方が危ないでしょうが。 それから』
それから?
『そんな馬鹿でも扱える様にコックピット内で操作する諸所を簡略化しました。 特に変速装置が簡単になったのは大きいですね。 手動でもいけますが、基本設定は自動操作です。 当初は連動機の関係で未熟なパイロットが動かして急に止まれず、ジオフロント内での戦闘にて目前のビルが倒壊する等の被害がありましたが、そこはBB解析により改善しましたよ。 本来面倒で複雑な砲撃座標計算を自動算出している時点で可能性は有りましたが、実って良かったです。 ポーション研究している村人の協力があったお陰でした! いやぁ村人の技術はやはり馬鹿に出来ません! 見習って下さいね馬鹿共』
そんな結果、求めてない。
魚からの攻撃を黒曜石で防ぎつつ会話を続ける。
『じゃあ何ですか。 武装ですか』
そうだよ。 魚災がまた起きてるんだ。
この巨体を葬る力を寄越せ!
『キャノンを改修しました』
そうか。 倒せそうか?
IRPが側まで来たので見上げつつ訪ねる。
『その前に』
コックピットが僅かに開き、隙間から黒い剣を落とされた。
おお。 これが噂の!
遂にお目にかかれるとは!
『ネザライトの剣です。 貴方達の世界で新たに発見された素材、ネザライトで作られたモノですね。 クラフトが大変らしく、ひと振りしか送ってくれませんでしたが、その代わり強力なエンチャントを備えてます。 それも村人の協力で……奪い合ってないで試し斬りして下さいよ!?』
相分かった!
同志よ、試し斬りさせてくれ。
……おお凄い死んだ! いっぱい死んだ!
『何してんですか!?』
ダイヤモンドフルエンチャント装備が面白い様に次々斃れていくぞ!
剣の威力さながら、未知で強力なエンチャントの恩恵だろう。
炎上するエンチャントも付いている様子だが、黒い炎が上がる事から普通ではない。
ネザライト。
それ以上に未知のエンチャント。
後で詳しく聞かねば……!
『辻斬りしてないで真面目に頼みますよ!』
我々はいつだってマジだぜ?
『馬鹿同士殺し合うなって云いたいんです! 本当に馬鹿なんだから!」
馬鹿馬鹿と煩い。
どうせ従来の戦い方が通じないのだ。
ひと振りしかない新剣を奪い合うのは必然と云える。
創造主は真剣に同志を斬りまくっているだけだ。
斬り捨て御免! 友よ然らば!
遺品は貰っといてやるから安心して逝って!
「……さっきから、デカいゴーレムから女の子の声が聞こえるんスけど……中に誰か乗ってるんスかね」
「その様だぞ。 しかも彼等と会話している。 どうやら通訳がいた様だ」
「物騒な言葉が聞こえるッス……壁の裏でナニが起きてんスか……」
「魔剣を巡った仕合だな」
「死合ッスか。 仲間割れする程の」
「力に魅入られた哀れな末路よ。 ああはなってくれるなよ」
「なりたくてもなれないかと」
創造主は剣を奪い合いながら、最終的に勝ち残ったひとりが空を飛ぶ。
そのまま魚災に向かい頭に降り立つと、試しに斬りまくった!
───グギャアアアアッ!!
おお効いてるぞ!
黒炎が再生能力を阻害している!
「禍々しい剣だな。 だがあのカリュブディスを苦しめるとは」
「呪われてそうなだけはありますね」
創造主は嬉々として黒炎を巨大魚の皮上で上げまくる。 フライとかいう方法で調理してやる。 既にフライしてるが、フライしまくる。
そうして片方は倒した。 残るは相方だ。
『どうやらネザライトの剣とエンチャントは、この世界では有効な武具になる様ですね。 生産も視野に入れましょう』
そうしてくれ。
憎きミリム達も倒せるに違いない。
荒らし退治が捗る。 コレは……良い物だ!
『じゃあもう1匹も倒せるんでしょうけど、その前にデータを取らせて下さい』
キャノンかな?
そう思い振り返れば……IRPが飛んだ!
「あの巨体で飛べるのか!?」
正確にはジャンプだが、跳躍系ポーションを遥かに凌ぐ大ジャンプ。
そのまま巨大魚にぶつかると、共々地面に落ちた。 落下地点が大きく揺れる。
『おお凄い。 シミュレーション以上。 落下ダメージは皆無。 格闘戦に備えてIRP外殻にエンチャントを施した甲斐がありました。 今は簡単に防御力とノックバックを付けてましたが、それなりにダメージも与えられた様ですね。 黒炎をエンチャントしてないので回復された様子ですが、怯ませるくらいなら十分でしたか』
……おい辛辣同志。
『なんです?』
IRPにエンチャントを施したと申したか!?
『そうですが、なにか?』
凄い事だぞ!?
何気なく聞いていれば、トンデモない成果を出してるじゃないか!
『武装以外興味ないと思ってました』
そんなワケあるか!
創造に生きる者共だ。 様々を創り経験してきたが、ブロックにエンチャントを施したなんて初めて聞いたかも知れないぞ!
普通はツールにしかエンチャントは施さない。
エンチャントテーブルの都合だ。 金床もそうだ。
発想はしても、再現出来た事がない。
一体全体どうやったのだ!?
『エンチャント本をBBに解析鑑定して貰ったら、出来ちゃいました』
BBスゲェ。
紐解いていく君もスゲェ。
『……未熟です。 星の世界に行くには……』
……その話も後でな。
それよりも今だ。 まだ終わってない。
『そうですね。 キャノンのデータも取らないと』
そう云うや否や砲身が巨大魚に向けられた。
先程まで通常弾を命中させていたが効果は見られない。 であれば新型弾であるか?
『チェックシーケンス入ります』
よく分からないが分かった。 やってくれ。
『インベントリ確認、弾種切り替え。 爪アンカー射出、非常弁閉鎖、機体姿勢固定。 強制充電チャージ……砲身異常なし、照準マニュアル切り替え……安全装置解除、最終フェーズ突入良し……!』
意味不明! ややこしや!
それこそ自動化しろよ!
更に云えば世界観違えてる!?
とか愚問しそうになったが、創造に生きる者としてはナンセンスだ。
「急に雰囲気が変わりましたよ!?」
「うむ。 強い力を感じる。 電撃でも放つか?」
浪漫にせよ手順にせよ……触れてもないモノを理解しようとせず、文句ばかりではお門違いだ。
それも後で聞く。 そして研究だ。
『理論上は撃てる……距離も詰めた……砲身耐久も……パイロットへの負荷も無い筈。 後は実践して証明……!』
えっ? またぶっつけ本番?
足下で止めさせようか迷った創造主だが、魚災が立ち直りIRPを攻撃し始めてしまった。
が、黒曜石の外殻とエンチャントの前では無力らしい。
びくともしない。 驚異的な技術だ。
とはいえ放置も出来ない。 弓矢でチクチク嫌がらせをしておく。
が、剣の威力を見てしまった後には全てが霞んで見えてしまった。
『撃ちます!』
刹那、落雷音!
すわっ!? 晴天の霹靂!?
……目の前の魚災が静止した。
動かない。
正面に回り込んでみて……息を呑んだ。
『…………は、ははは……』
巨大魚の真ん中がトンネルになっている。
向こうの晴天が、綺麗にくっきり見えていた。
「なんと……」
「……馬鹿な」
そのままサラサラと消え逝った。
再生を上回る攻撃力だったのだ。
『威力想定以上……』
あまりの凄さに暫し呆然とするしかない。
『レールガン……試射成功……!』
遅れて辛辣同志、震える歓喜が過る。
我々も遅れて理解した。
あ、パイロットって辛辣同志だったのねと。
世界間違えてる感を出しながらも、それっぽい事を書くのは楽しかったです(殴。