寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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ワルプルギスへ。
話し合いの場があろうと、最後は力がものをいうなら……創造主は否定しません。 なら此方も力を示しましょう。
とはいえ、ただ物作りをする者。
最凶集団のひとりってだけです。

また会話メイン。
矛盾等がある可能性がありますが、そっと指摘してくれると嬉しいです(殴。


ワルプルギス
120. ご迷惑とお詫び


 

 

「───面白い奴が来たな」

 

 

満点の星空の下、大きな丸テーブル。 その円を囲む椅子ある空間。

代表クラフターは首をグリグリと動かした。 リムルと羽虫も一緒だ。 取り敢えず悪友がいる事に安堵したのも束の間、最終的に何人も集まった。 ミリムもいる。 が、何処見てるかも分からない目をしている。

そんな一部を除き、皆覗いて来るので気分が悪い。

 

 

「例の人間か。 剣と首を振り回してるが」

「魔素を感じない。 だが噂通りなら……」

「ラミリス、ぼっち仲間だろ。 なに連れてきてんだよ」

「……ここで違うと言えないのが憎いッ!」

「無関係者なら追い出されるか殺される危険があるからな……」

「でも勘違いしないでよね! リムルは参考人として来ていて、コイツは護衛で仕方なく連れて来たってだけ!」

「聞いてるよ。 でも仮にも従者だろ。 こじつけも良いところだけど」

 

 

時計が正常かを確認したクラフターは、ベッドを端に設置して寝て起きた。

これでリスポーン地点を確保した。 ネザーみたいに爆発しなくて良かったと思う。

ついでにエンダーチェストも用意する。 中身はシェルカーボックス群だ。 色毎に様々な戦闘アイテムが詰め込まれている。

 

 

「急にベッド出して寝やがったよ!?」

「此処にも寝てる奴がいるけど」

「起きてるよ。 一緒にしないで欲しいね」

 

 

いきなり揉め始めた。

良いぞ。 そのまま暴力を振るえ。 さすれば己が介入してやる。

ソロになろうとやる事は変わらない。

そもそもが独りであった。 にも関わらず世界を跨ぎ右腕ひとつで開拓してきた。

今もそうするだけだ。

……いや1つ、失念していたな。

悪友が居合わす場、マルチに違いない。

 

 

「ふ、ふん……ここに来てまで身の程知らずなスライムと人間モドキです。 流石は国主を僭称し各国を侵攻するだけはあります。 仮とはいえ従者にしている者が可哀想でありません」

「こういう奴等なのよ。 発議者が可哀想だと思うなら御託は置いて進めて頂戴! 今回の議題はその辺でしょ?」

「おお、これは失礼。 では改めて……これよりワルプルギスを開催致します」

 

 

あの喚いてる白い奴が荒らしっぽい。

上品に振る舞ってこそいるが、腹黒そうだ。

貼り付けた笑顔が気に入らない。

他にも知ってるスキンがいるが、今はさておく。

なんか睨まれるが今は構えない。 後だ。

 

 

「───突如、不可侵領域であるジュラの大森林に現れた勢力であるスライムと配下の人間達ですが───」

 

 

白荒らしがグダグダ鳴くのを他所に、お辞儀しておくに留める。

 

 

「……お前ら、吸血鬼のメイドに睨まれてるぞ。 天翼国フルブロジアのナイスバディな魔王フレイにも睨まれてるよ? マジでナニしたの? いや聞きたくないよ? でも文句言われるなら俺なんで困るんだけど?」

 

 

クラフターは首を傾げた。

悪友はどうでも良いが、白黒ドレスには身に覚えがない。

いや、よく見ればオッドアイだ。 この目は見覚えがある。

連邦に荒らしが襲撃した後、郊外で見かけた気がする。 その時は狐娘も居合わせ、荒らしかと思って偶然所持していた卵を投げ付けてしまった。 ところが結局戦う事もなく消え失せた。 エンダーマンの一種なのかも知れない。 なれば飛び道具が通用しなかったのも頷ける。

 

 

「───カリオンに囁かれたそこのスライムはファルムス王国を焚き付け戦争を起こし、人間を大量虐殺、魔王になる為の魂を集めようとしましたが、魔王種を取得しておらず───」

 

 

一方、座る方にも身に覚えがある。

此方に赤い光線を放った奴だ。 となればコイツらは欺瞞の国から来たと見た。

荒らしなら倒す。

で、有翼族の方は……獣王国上空で見た。

あそこはカリオンとかいう奴の領地だった筈だから、別の場所を領地としている筈だ。

たぶん、連邦からやや南西の山脈地帯から来たのだろう。 あそこは有翼族が多かった。

あそこに向かった同志が何かしたと見る。

山脈を活かし、整地を程々に崖造りの家に着工しただけとは聞いたが……何故か襲われたらしい、意味不明である。

 

 

「こんばんわ、スライムさんに人間さん。 それともネームで呼んだ方が良いかしら?」

「こ、こんばんわ。 イエお構イナク……笑顔が素敵デスネ……」

「あら有難う。 今日は頑張ってね……色々と」

「笑みが黒いッ!? お前ら絶対天翼国でなんかしただろ!?」

「喚問まで参考人はお静かに願います」

「……赤髪の魔王、ギィのメイドも怖い……」

 

 

心なしか、有翼族の従者からも睨まれてる気がする。

片や獣の被り物をしているが……何処かで会っただろうか。 被り物をしているのでスキンが分からない。

……我々もヘルメットじゃなくカボチャを被るか。 戦闘までは。

 

 

「奥の院では挨拶だったな」

「今度は吸血鬼の魔王バレンタインだよ!? 俺の知らない所でナニしてんのマジで!?」

「……話続けますよ……こほん、えー、そしてカリオンが策謀を巡らしていた事に激怒したミリムが私の為に獣王国を襲撃しカリオンは生死不明……この場に居ないのはそういう事であり───」

 

 

通訳がいないと、会議関係は暇だ。

荒れれば良いのに。 暴力には暴力で語る。

取り敢えずインベントリを確認だ。 シェルカーボックスも少し取り出し設置しておく。

死ぬ可能性がある。 既に猛者だらけだ。 ボスラッシュをしに来たつもりは無いが、リスポーンは覚悟している。 だから寝たのだ。 速やかな戦闘復帰までの繋ぎはリムルに依存する。 耐えろ。 たぶん大丈夫だろうが。

 

 

「リムル、この場を生き延びたなら招待状でも送ろう。 来るか来ないかは自由だが、その姿……俺に用事があるんじゃないか?」

「アンタは……レオンか。 この姿を見て何も思わなかったら殴ってたよ……でも彼女は、シズさんは生きてるよ。 人間としてね」

「そうか。 憑依させたイフリートと彼女は合わず、人として生き死ぬ道を選んだなら寿命は幾ばくも無いと思っていた」

「訳ありでね」

「周りで奇行する人間絡みか」

「詳しくは言えないな」

「───我が軍を調査の為に派遣しましたが、何とそこの人間どもに妨害を受け……しかも連邦の調査に乗り出した私の配下ミュウランは、そこのリムルという痴れ者に殺されたのです」

 

 

暇なので松明を壁に刺して回る。

天井は……無い。 満点の星空だ。

漆黒の絨毯に宝石が散りばめられている。

綺麗だ。

 

そういえば辛辣同志は星の世界に行きたいと云っていた。

 

協力してあげようかな、と創造主は笑みと共に頷いた。 あの子が努力しているのは知っている。 IRPを見れば分かる。

果たして星の世界が本当にあるかは知らない。

だが我々の想像が神やら悪魔やらを創り世界すら創るなら、本気で願えば望むものが手に入るのではなかろうか。

 

 

「はっはっはっ! どこでも面白い奴だな! 突然寝たりカボチャ頭になって松明を刺し始めたり! リムル、お前らが羨ましい!」

「ちょっとギィ! 他人事だと思って! 今にも見てなさいよ、コイツらの仲間がアンタの所に行くのも時間の問題……」

「もう来たぞ?」

「ヘッ!?」

「架橋工事を始めたり海底に建物を作り始めたりな。 破壊しても殺しても悲鳴はウォッだけで何度でも来るからなぁ、しかも方法を変えて来るんだ。 馬鹿の考えは分からんのが俺の唯一の短所だが、此処まで来ると並々ならぬ大馬鹿だ! 早くに会っていたら俺の名乗り方も変わってたかも知れない!」

「すいません皆さま……コイツらがホント〜にすみません!」

「何故謝る? 褒めてるんだぞ?」

「大変不名誉であります」

「……あ、あー、皆さん聞いてますか? 一応会合中なのですが」

「おう。 気にせず続けてくれ」

「皆して聞いてる様子じゃ無いのですが……続けさせて貰いますよ」

「クレイマン……少しだけ同情してあげる」

 

 

今はコイツらを始末しなきゃ。

流石に全員は無理がある。 成り行きで敵対した奴を倒そう。 ソイツが荒らしに違いない。

羽虫は弱そうなので、頼れるのはリムルと己自身である。 だがマルチに違いない。 独りで戦う訳ではない。 それが保証されているだけでも心強かった。

 

 

「───以上で私の話は終わりです。 身の程知らずなスライムはこの場で始末するのが宜しいかと」

「それでは次に来客よりの説明となります」

「あ、俺の番? えーと……」

「しっかりしなさいよ! 仮にもワタシの従者でしょ!」

「喚問されてる身なんだが……まぁ良いか」

 

 

おや。 リムルが立ち上がった。

そろそろ始まるか。

クラフターはカボチャからヘルメットに交換。

 

 

「クレイマン、お前嘘吐きだな」

「何ぃ?」

「ミュウランは生きてる。 カリオンさんは謀略とか考えるタイプじゃない」

「……あのゴタゴタの中、よく内容聞いてたわね」

 

 

剣と弓矢はある。 遮蔽物は己で作る。

後はポーションのタイミングを見計らう。

 

 

「ハッ、そんな言い訳だけで誰が信じるというのだ! 妙な人間共を手懐け強気になってるようだが」

「そこが1番違う。 コイツとその仲間は好き勝手やってる大馬鹿達。 強いて言えばただの悪友だよ」

「連邦に拠点がある時点で無関係者とは言わせんぞ!」

「無関係なんて言ってないだろ。 現に俺は謝っちまったが、それは他国に建物を勝手に建造してる件だ。 アイツら素で好きな様に生きてるんでな……だがミュウラン殺害、ファルムスの戦争の話、魔王の話は出鱈目だ」

「証拠は!?」

「お互い無いだろ。 そっちの証言に至っては配下の報告、しかもその配下はもう殺されたって? そんなもん証拠とは言わねぇよ。 あとミュウランは俺の保護下にあるから、この場に呼んだとしてもお前に都合の良い証言はしないと思うぞ」

「フッ、フフッ……そこまで卑劣な真似をするか。 さては貴様、ミュウランの骸に悪霊でも取り憑かせたか」

「遺体に悪霊? するわけないだろ。 さすが心臓を人質に脅迫する奴は発想が違うな」

 

 

そろそろ良いですかね?

どうせ話し合いで済まないでしょ。 クラフターは知っているんだ。

 

 

「───俺は俺が楽しく過ごせる国を作りたいだけでね。 それにはコイツと仲間の協力が必要不可欠だし、普通の人間達の協力も必要だ。 だから人間を守ると決めた。 それを邪魔する者は人も魔王も聖教会も全て等しく俺の敵だ。 クレイマン、お前のようにな」

 

 

周りもソワソワしている。

赤髪なんて楽しそうに鳴き始めた。 此方まで楽しくなりそうで困る。

 

 

「───こうしよう。 真意はさておき互いに気に入らない、話し合いで解決しない、なら力で示すのが手っ取り早い。 丁度、此処には見届け人が揃っている。 オレ達の前でクレイマンに勝って見せろ。 そうすれば、配下の人間共の無礼は許そう」

「いや、何度も言いますが配下じゃないんですけど。 好き勝手してる大馬鹿の悪友なんですけど」

「友達なら面倒見るんだな」

「いや基本諦めてるから……文句はコイツらに直接お願い……」

 

 

刹那。 赤髪が手刀でテーブルを真っ二つ。

クラフターは荒ぶった。 なんて事を。 大きくも悪くないテーブルだったのに!

だがケーキを置かなくて良かった。 置いていたら無惨な姿になっていただろう。

 

 

「俺は気に入ってんだぜ? お前も、お前の悪友も。 だから、な? 身の振り方は任せるが……どうする?」

「選択肢ねぇ!? ああもう分かったよ! どうせこうなると思ってたさ……!」

 

 

やっとリムルが構えた。

続けて己も続く。 スプラッシュポーションを割り、リムル共々強化する。 それと金林檎をリムルに投げ渡す。

一飲みにされた。 流石はリムルだ。

 

 

「さっさと始めようぜ、クレイマン!」

「やれやれです。 一介の魔人が図にのるなよ!」

 

 

さても漸く始まった決戦。

創造主は剣を構えて悪友と共に対峙する。

死ぬつもりはあるが、負けるつもりはなかった。




クレイマン戦へ。
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