寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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一方、クレイマン領。
ワルプルギスでクレイマンがいない内に、城を制圧しに向かいます。

ギフトによるユニークスキル創作者(ウミダスモノ)がないのにシュナがスキルを行使してますが、お目溢しを(殴。

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122.スケルトンとゾンビ

森のツリーハウスを修繕していたクラフターは、やがてやってきたハクロウ、ソウエイ、シュナの鬼3人組に同行する事にした。

向かう先は傀儡国のどこか。

だが明確な目的があると踏み、物見遊山するべく歩みを進めた。

 

 

「濃霧、か」

 

 

白く視界の悪い大地を鬼と往く。

さも流れ雲の座標の如く。

面白い場所に来たものだ。 ついて来て良かった。

クラフターは嬉々として斧やスコップ、ツルハシを振り回す。 一種のバイオームなのかも知れない。 新たな地には新たな冒険が待っている。 空間に違和感を感じる時点で探索は必要だ。 建前だが。

 

 

「不味いな。 ワシの魔力感知が妨害されておる」

「ええ。 この霧は視界を制限するだけでなく、魔素の流れを乱し阻害します。 思念伝達や空間移動も使えません。 加えてこの霧が敵の制御下にあるとすれば、奴らが中の獲物を把握するのは容易い。 無駄かもしれませんが、なるべく気配は抑えて……」

 

 

霧に見え隠れする枯れ木や僅かな草木を除けば、詰まらぬ荒れ地と唾棄する者もいるだろう。

なら開拓すれば良い話。 クラフターはせっせと枯れ木を木こる。 デコボコした大地を整地する。 松明も刺す。 霧は晴れぬが無いよりマシ。

 

既にクラフターはアレコレ妄想している。

ここまでの道なき道を舗装。

その左右に建築。

雰囲気は落ち着いたものに。

全体的に低く造る。

暗くせず、色鮮やかにしてみようか。

 

 

「……そうですね。 彼らがいる限り無意味に成り果てるでしょう」

「いっそ眠らせましょうか?」

「いえ、止めた方が良いかと。 変に刺激すると後が怖いですからね……古里を襲撃されては困ります」

「やれやれじゃわい」

「しかしシュナ様。 彼らは認めた建物等はそのままにしておく習性があります。 里に手を出していない辺り、大丈夫では?」

「里は無事でも松明を刺す癖は困りますがね……周囲を柵や塀で囲むのも。 里長含め皆は諦めてしまった様ですが……」

「意図も分かります。 悪意がないのも。 感謝しない訳ではありませんが」

「小さな親切、大きなお世話じゃな」

 

 

どうした? 溜息を吐く鬼よ。 幸せが逃げるぞ?

具体的には空き地とか鉱物資源。

早い者順なソレらが。

 

取り敢えずその辺の原木を木材にクラフトして豆腐小屋を作った。

中にいつもの拠点セットを設置。 よし。 次は探索だ。 探索ひゃっほい。

と、扉を飛び出した時に落ちる影。 不吉だ。

 

 

「……来ました」

 

 

人影がゆらり、と現れる。

ひとつ。 ふたつ。 みっつ。

面倒になって数えるのを止めた。 村人にせよ荒らしにせよ、この世界で数の多さは珍しく無いと学んだからだ。

 

 

「濃霧とはいえ、この広大な荒れ地で一体何処に隠れておったのじゃ」

「この霧が空間干渉を引き起こしているのでしょう。 隠れていたのではなく、わたくしたちが誘き寄せられたのです。 包囲網の中心地へ……!」

 

 

やがて正体が掴めた。

武装したゾンビ、スケルトンだ。 物凄い数だ。

元の世界でも見慣れたモンスター。 武装してない奴もいたり、スケルトンなのに弓矢じゃなく剣だったりと多少の違いはあるが、些細だ。 アンデッド特効を付与したダイヤ剣を持っていて良かった。

 

 

「シュナ様、俺が突破口を開きます。 その隙にハクロウ様と……」

「いいえソウエイ。 どうやら、そう甘い相手では無いようです。 クレイマンの配下、特に5本指についてはミュウランから伺っています。 数多のアンデッドを従える拠点の防衛に優れた者、この禍々しく巨大な力……もう間違いありません」

 

 

弓矢がいないなら楽だ。

真下に土ブロックを置いて高度を上げ、相手の攻撃範囲から出る。 そして剣の届くギリギリから攻めるか、更に上から弓矢で射抜く。

いやこの数だ。 TNTやマグマが良い。

それに、とクラフターはある物を取り出した。

 

 

「ワイトキング、示指のアダルマン……!」

 

 

スプラッシュの回復ポーションだ。

既知の通りなら回復ポーションはアンデッドにダメージを与えられる。

こうなるなら数を揃えたのに。 スタック出来ないから多くは持ち運べないものの、安全かつ手軽な範囲攻撃だ。 手に負えなさそうな相手にでも使おう。

 

 

「如何にも。 余がアダルマンである」

 

 

よし。 喚くスケルトン。 君に決めた。

 

 

「偉大なる魔王、クレイマン様にお仕え……グアアアアッ!?」

 

 

効果は抜群だ!

ジョッキーの如く割入って来た剣持ちゾンビに当たったが、範囲攻撃だ。 本命の喚くスケルトンにもダメージが入った様だ。

 

 

「お、おのれ……身の程を知らぬ者どもめ」

「……敵ですからね。 同情はしませんよ」

「一撃必殺とはならなかったか」

「剣士の方もな。 其方はワシが受け持つ。 シュナ様はソウエイと共に」

 

 

まだ動けるか。 死して尚、彷徨うか。

クラフターは魑魅魍魎が跋扈する光景を嫌った。

不愉快極まる。

松明を刺しても払えぬ闇は最早致し方ない。

それが世界だ。 世の常だ。

満天の星空と地の境を見れば、果たして闇に覆われているのは地の方だ。 理想の地は至って遠い。

 

……辛辣同志は星の世界に行きたいと言っていたな。

輝き溢れる理想の地だからか。 否。

あの子は我々とは少し違う。 だから……きっと別の理由がある。 落ち着いたら協力がてら話を聞くのも一興か。

 

それでも今は、と創造主は剣を構える。

大地を浄化すると決意した。 少なくともこの地は綺麗に掃除すると。 何故ならば。

 

 

「噂に聞く人間共か。 直ぐにでもアンデッドの仲間にしてやろうぞ」

 

 

この地も我々のモノにしてやるからだ。

先住者に村人がいるなら躊躇ったが。

モンスター、それもアンデッドなら遠慮はしない。 消えて貰おう。 骨は拾ってやる。 腐肉は間に合ってる。 燃やす。

 

 

「ッ! 危ない!?」

 

 

シュナが鳴いた。 警告だと分かった。

その場を飛び退けると、なんと大地を抉る様にドラゴンまで現れた。

しかもゾンビ風である。

 

 

「ドラゴンゾンビまでいるとは!」

 

 

通常ゾンビとは別に子供ゾンビ、村人ゾンビ、チキンジョッキー……は少し違うが、多少の種類は見てきた。

それでもゾンビの多様化は元の世界にいる同志から聞いた事はある。 だが多くは人型であった筈だ。

……よもやここまでとは。 単に知らなかっただけ、という可能性もあるものの。

クラフターは震える。

だってワクワクしないか!?

未知への探究心は留まるところを知らない。

 

 

「ただのドラゴンゾンビではありません。 死せる魔物の頂点、デス・ドラゴンです!」

「……ならばその魂をも滅してみせよう」

 

 

この世界にはドラゴンが何体いるのかと。

前にドラゴン退治した時も疑問に思ったが、実はどこかで繁殖しているのではないだろうか。

エンダードラゴンは卵を置いて消えてしまったが、卵生なら鶏みたいに増えるのか。 ひとつしかないから壊すつもりはないものの、予備や番がいればその限りではない。

それともナニか。 この世界に持って来れば卵からドラゴンが生まれるとでも?

元の世界で待てど暮せど孵化しないのはやり方の問題かも知れないが、試す価値はある。

……いや難しいな。 元の世界の同志が卵を譲ってくれない。 飾られている討伐記念品を持ち出すなんてとんでもないと云われそう。

 

 

「魂はその体にはありません」

「アダルマン、あのワイトキングの中ですね」

「ええ……ソウエイ、わたくしを守ろうとしなくて良いのです。 貴方は彼らと共にその竜の足止めに専念しなさい」

「しかし……」

 

 

……と、クラフターは傾げ思考を変える。

この世界のドラゴンは何処に。

怪しいのはドワルゴン方面や山だろうか。

ドラゴンゾンビはまぁ、村人がゾンビ化する様な現象で生まれたとして……金林檎を喰らわせば元に戻るのだろうか?

今手元に無いのが惜しい。

 

後、今まで然程気にして無かったが……このドラゴンも脚が4つに翼らしきモノが生えている。

変わり者の同志の中で辛辣とは別に時空間や生物について研究している者がいる。 後者の話を思い出しての事だ。

その者が云うには蝙蝠や鶏の羽は腕や手の一部ではと主張していた。 ならばドラゴンはどうだろう。 力強く飛翔するアレも腕や手なのか。 もしそうなら腕、手が6本ある事になる。 蜘蛛も脚が多い。 なら蜘蛛の一種なのだろうか。 いやいや、少なくとも虫とは認めたくないものだな。

 

別に何を、と馬鹿にするつもりはない。 それも創造(想像)のひとつだから。

クラフターは頷いて前を見た。 食われた。

 

 

「あの、ソウエイ……食べられてますが」

「俺でなければ問題ありません」

 

 

同志ーッ!?

 

 

「……任せました。 ですが、わたくしも戦います。 リムル様とあの方達に出会ってから守られるだけの姫では無くなりましたから」

「シュナ様……」

「ここは戦場。 わたくしがアダルマンを倒します」

「ふっ。 果敢なお嬢さんだ」

 

 

腐ってもドラゴン。

力強い飛翔こそしないものの、頂点捕食者に足る力を垣間見た。

 

 

「……ご武運を!」

 

 

遅れてソウエイが加勢。

ワイヤーらしき武器を何本も操り、ドラゴンゾンビをバラバラに。

ところが、どうしたことか。 またひとつに纏まり復活したではないか。 不思議だ。 興味が尽きない。

取り敢えず喰われた同志は、その隙に外に脱出。 仕切り直しだ。

 

 

「一撃必殺が付与された攻撃は効かないか! 死に耐性がある……やはり術者を倒さぬ限りは……」

 

 

ならばと創造主はアンデッド特効のダイヤ剣で斬り付けた。

……おお、効果があるぞ!

特効効果故か、切口は再生しない!

 

 

「お前達は、本当に何でも有りだな……」

 

 

大地を這いずってる分、楽なものだ。

回避行動もしない。 ブレスもしない。 出来たところで隙は与えない。

 

そのままズバズバと斬り続け、やがて動かなくなるドラゴンゾンビ。

念の為、火打石で燃やした。 汚物は消毒だ。

 

 

「むっ、あの人間達はデス・ドラゴンを滅したというのか……魂なき者をも浄化する戦士団……お主らならば我らを解放してくれるやもな……」

 

 

さっさと殲滅だ。 周囲のゾンビとスケルトンの群れを斬り付け爆破し、弓矢で射抜いて燃やし尽くしていく。

 

 

「ひとつ伺っても宜しいでしょうか」

「なんだ?」

「解放したいなら、何故さっさとその呪縛を破らないのですか?」

「気が付いていたか」

「ええ。 この防衛機構は貴方を核に創り上げられているのでしょう? アンデッド達は貴方がかけられた呪いに共に組み込まれただけ」

「フフフ、其方の観察眼は凄まじいな。 であればこそ、この呪いがそう容易く破れるものではないと判ろう」

 

 

多過ぎる。 キリがない。

いや確実に減っている。 続けよう。

 

 

「そうですか。 貴方ならその呪縛に打ち勝てると思いましたが、どうやら買い被っていたようですね……人の信ずる神について詳しくは存じ上げません。 ですがその聖職衣は高位の司祭が羽織る物と記憶しています。 神聖魔法を使えぬ今も纏っているのは未練ですか?」

「フッ。 好き勝手な事を言ってくれる……アシッドシェル!」

「ッ! フレイムウォール!」

 

 

鬼達もアンデッドと派手にやっている。

先程ポーションを食らわしたスケルトンも元気だ。 アンデッドの筈だが生き生きした動きだ。 魔法弾までかましてる。

対してシュナは魔法の防壁を創造したりして対処していた。 我々の知らない戦闘光景だ。 それもまた興味深い。

 

ゾンビに斬られた。

痛い。 斬り返す。

続け様に溶岩をぶち撒け周辺を燃やした。

 

 

「やるではないか! ならばこれはどうだ、怨念の亡者共よ生け贄を授けよう! カースバインド!」

「聖なる福音(ホーリーベル)」

「……馬鹿な。 神聖魔法……だと……!!」

 

 

数が多い。 キリがない。

数の優勢を覆すのは安易ではない。

それでも続ける。 土壁で相手の行動を阻害しては、TNTで集団を吹き飛ばす。

同時にIRPに座標を伝達。 更なる塊を吹き飛ばして貰う。

 

 

「何故だ! 何故 魔に属する者が神聖魔法を使う!? それは神への信仰心がなければ操る事の出来ぬもののはず……!」

 

 

戦って、戦い続けた。

時に地道が近道なのだ。 大規模建築もそうだ。

延々と壁や天井造りをしていると感覚が麻痺したり、飽きてしまう事もある。 だが確実に進展している。

己や仲間を信じる事、慈愛を忘れぬ事だ。

自己愛もあるか。 少し自身に酔っても良い。

だが無理に順列を決めたがってはならない。

 

 

「神聖魔法は人間のみ許された魔法ではありませんよ。 奇跡を信じ願う者ならば誰にでも、その思いの強さに応えてくれるのです。 その対象は何も聖なる存在である必要はありません。 善も悪もないのです。 思いの強さこそが力へと変わるのですから」

「…………!!」

 

 

心に余裕を持つのが肝心。

己を縛りつけるほど、諦観が増えてしまうから。

 

 

「あり得ない……! 余は、私は間違っていたのか!? かつてルミナス教の指導者達に嵌められ、死地に追いやられた時、神ルミナスは救いの手を差し伸べてはくれなかった……私は神への信仰を失った。 だから二度と神聖魔法を扱えぬと思っていたのに……いや、そうか……そうであるか…………娘よ。 名はあるか?」

「シュナと申します」

「そうか。 シュナ殿、其方らに恨みはない。 感謝すらしている。 まして、かくの如く若い娘に目を覚まされるとは思わなんだ」

「覚悟は足りましたね」

「すまぬなシュナ殿。 だが私は私をここに縛り付けた男。 魔王カザリームの呪いにより自殺が出来ぬのだ。 悪いが道連れにさせてもらうぞ。 せめて苦しまぬよう一瞬でな」

 

 

創造主は明るく先を見据える。

大量の骨の産出地になってしまったこの地を活かすにはどうするべきか。

浄化後、大規模な畑地帯か。 一面に広がる小麦畑はさぞ壮観だろう。

取り敢えず骨をチェストに入れよう。

それを並べ立てた倉庫街にする。 必要なら他地方へ輸送しよう。 そうだそうしよう。

 

 

「我は望み聖霊の御力を欲する。 我が願い聞き届け給え───万物よ尽きよ! 霊子崩壊(ディスインテグレーション)!!」

「それを待ってました!! 霊子暴走(オーバードライブ)!!」

 

 

眩い光が出たものだから、其方を見やる。

鉄製のリードらしきものが地面から生えたと思えば、次には砕け散った。

何が何だか分からない光景だ。 松明とは全く異なる光が満ちていく。 相変わらず世界は未知に満ちている。

 

 

「構築した魔法が組換えられている!? 私の十分の一にも満たぬ魔素量しかない貴女が私の魔法を上書きしたというのか!?」

「貴方ならばわたくし以上に聖なるエネルギーを集める事が出来ると思っていましたので。 見事でした。 覚悟を見せて頂いたお礼に、この地から解き放って差し上げましょう」

「最期まで済まぬな。 結局……自ら終えは出来ない、か」

 

 

やがて広範囲に光が及ぶと、巻き込まれたスケルトンは斃れ伏す。 倣う様に周囲のアンデッドも斃れ逝く。

 

 

「霧が……晴れていく……お見事ですシュナ様」

「さぁ行きましょう。 クレイマンの城を制圧しなければ」

 

 

終わったらしい。 霧もキリよく晴れた。

鬼達が再び歩み往く。

その先には城があった。 沸き潰しがなってないから、探索がてら松明を刺さねばなるまい。

 

それに、とクラフター。

周辺も整地しなければ。

倉庫街にせよなんにせよ、先ずは松明で明るくせねばなるまいて。

 

戦闘は前菜に過ぎない。

メインは開拓に冒険、建築だ。 いつも通り。

 

 

「…………解放は最期の意では無かったのか……ならば私は、信仰無き私は……」

 

 

鳴声がする。

見やれば、シュナと戦っていたスケルトンが起き上がった。 驚くべきしぶとさだ。

止めを刺そうかとしたが、直ぐに手を止める。

なにやら此方を見て鳴き始めたからだ。

 

 

「そうか。 無ければ創れば良いと云うのだな。 其方らの様に……瞑目し過ぎた様だ。 これから私は新たな神を得たく思う!」

 

 

途端に中性にでもなったというのか。

我々は何もしてないのに。 したとすればシュナだろう。 その背中を目線で追う。

 

 

「そうか! そうであるな! ぜひシュナ様の信仰する御方に逢わせて頂こう!!」

 

 

なにやら騒いだと思えば、次にはシュナ達の元へ駆けて行く。

謎のスケルトンであった。

 

この世界は分からない事で満ちている。

その方が良い。 楽しいじゃないか。

クラフターは莞爾として頷いた。

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