寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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前回は漫画のまま、背景にクラフターがいたくらいでした。
話はワルプルギスに戻ります。
とうとう19巻へ突入。


123.ミリムと白荒らし

 

 

「うおおおおおッ!」

 

 

変貌した白荒らしが叫んだ。

その勢いで増えた腕に持つ斧やら剣やらで嵐の如くリムルを攻撃。

対してリムルはスライム形態で転がり回避する。

上手い。 創造主は素直に称賛。

我々なら壁を立てるか盾か剣ガードをしてしまうところだ。

同時にスライムだった事を忘れかけていた。

 

 

「腕が増えた分、隙は少なくなったな。 得物も増えた。 だがなッ!」

 

 

リムルも負けじと反撃。

刀で往なし、腕を斬り落とす。

 

 

「その程度で負けられねぇんだよ!」

 

 

ポーションで強化してあげた走力と攻撃力だ。

それくらい出来て貰わねば困る。

 

一方、創造主も斬られていた。

観戦してる場合ではない。 ミリムを早く倒さねば。

装備を整え剣を構え直す。 成敗した次は白荒らしだ。

 

 

「此方とて同じ! どんな手を遣おうと貴様を葬るッ!」

「来いよ! 切り拓いてやる!」

「なら見せてみろッ! ミリム、狂化暴走(スタンピート)しなさい! この場にいる者を殺し尽くすのです!」

「なっ!? おいクレイマンッ!」

 

 

途端にミリムの目に光が宿る。

口角まで上がり……鳴いた。

 

 

「何故そんな事をする必要があるのだ?」

「なっ!?」

「リムルと此奴は友達なの、ダーッ!?」

「ミリムーッ!?」

 

 

瞬時にノックバック特効剣で吹き飛ばす。

余所見はお互い様だ。 卑怯とは云うまいな?

 

 

「さっそく説得力ねぇよ!? え、ナニ、ミリムは操られていたんじゃないの!?」

「そ、そうだ! こんな馬鹿な事がある筈がない! オーブォブドミネイトで完全に支配していた筈だ!」

「ワタシを支配するのは無理なの、ダーッ!?」

「ちょっと落ち着けッ!?」

 

 

砂埃越しに影が揺らぐから、すかさず弓矢で射撃。 剣で弾く動作を突き、釣竿で引き寄せ斬り伏せ床に叩きつけた。

すぐさま溶岩バケツを頭から被せ、続け様に黒曜石の柱を真下に立て高度を上げると金床を落っことす。

次に水バケツをひっくり返し溶岩を冷やし丸石に封印。 どうせ出て来るところをタイミングを計り飛び降りて、ダメージ量の多い飛翔斬を食らわした。 それすら剣ガードされるから負傷ポーションを顔面に容赦無く投擲しTNT着火、雪玉牽制しつつ間合いを取り爆風の中に揺らめく影を睨む。

 

 

「えげつないのぅ」

「うへぇ……」

「友達とか嘘よね?」

「支配された振りの延長線なら止めなさい」

「くっ、くくく……三文芝居もここまで楽しめりゃ最高だな。 笑いが止まらねぇ」

「ギィだけよ、ずっと楽しそうなの」

 

 

隙を与えれば反撃される為、一気に畳み掛ける怒涛の攻撃を仕掛けた創造主。

だがこの程度で死ぬ奴じゃないのを既に知り得ている。 故に斬新な発想を求めるし残心の構えを取り続ける。

 

 

「ウグッ……ははっ……支配は無理でもお前達に負かされる時は来るかもな。 それでも、その瞬間でもワタシの友達なのだ。 だってこんなにも楽しいのだから」

「だとさ。 殺る気満々なお前を友達と見れるのは、そうはいないぞ。 だから落ち着け。 事情が変わったんだ……ミリムの笑顔を見ていると辛くなってくる」

「と、友達……だと?」

 

 

創造主は白荒らし共々困惑した。

ボロボロの容姿になったと思えば微笑んできた。

 

あ、そうだ。

倒せずとも沈静化の方法があったじゃないか。

白くてフワフワのアレが。

創造主はシュルカーボックスからソレを取り出す。

容量を圧迫してまで持ち込んだのは、集会と聞いたからだ。 時は来た。 今こそ効力を発揮するのだ。

 

創造主はソレをミリムの目の前に置いた。

 

 

「ケーキッ!」

 

 

そう。 ケーキだ。

ミリムは目を輝かせ貪り始めた。 良いぞ。 彼女の無力化に成功した。 やはりケーキはミリムに有効だ。 ケーキは剣よりも強し。

 

 

「お前いい加減にしろよ!? いつになったらケーキを直置きしなくなるの!? せめて手渡しだろ!? それともワザとなの!? シズさん見てたら怒られ……いや食べ物絡みになると変なスイッチ入るからやっぱナシ!」

「ミリム……クレイマンの所でマナーを叩き込まれてなかった……?」

「魔王が連なる場で、その所業とは」

「ミリムじゃなかったら死んだな。 あ、もう死んでたか。 いや生きてるのか?」

「ミ、ミリム……少しは残しといてよね!」

「はっはっはっ! 全て片付いたらテーブルを直さねぇとな! 全員に同じ事されそうだ!」

 

 

ミリムを見下す創造主。

だが、その目は不思議と温かい。

ウィザー以上の荒らしの癖に、こう喜ばれると憎むに憎めなくなる。 リムルとケーキの甘さが移ったのかも知れない。

連邦に帰還したら塩掛けよう。 体に。

 

 

「……で? なんで操られた振りなんてしてたんだよ?」

「うむ! クレイマンが何か企んでいると思ったのでな。 それを探っていたのだ」

「振り……!? そんな……そんな筈はない! 私の支配下にあったのは間違いない筈です!」

「これ……腕輪の事か? 呪法が成功したように見せねば用心深いお前は信用しないだろう? だからワザと受けたのだ」

「ふ、ふざけるな……あの方より授かったアーティファクトに私の全魔力を注いだ究極のデモンドミネイトだぞ? 例え意図的であろうと受けたのなら最後、自らの意思を失い───」

「そうなのか? でもワタシを支配するのは無理なのだ」

「では……では貴女は私を欺く為だけにカリオンを殺したというのですか!?」

「おいおい、誰が死んだって?」

「ッ!?」

「俺がリムルを唆しただとか随分面白い事言ってくれてたじゃねぇか。 なぁクレイマン」

「えぇーッ!? カリオンさん!?」

 

 

騒がしい方を見ると、被り物をしていた奴がスキンを露わに。

獣王国のカリオンだった。 グーパンしてくる様なら此方もグーパンで挨拶してやる。

 

 

「よぉリムル。 俺の民が世話になった」

「いいって……ここはさも俺気付いてましたな顔で行こう……」

「そんな……では本当に……? だがフレイの報告では……」

「あら。 いつから私が貴方の味方だと勘違いしていたの?」

「怖っ」

「……ッ! フレイ……貴様ぁあぁぁあ!!」

 

 

白荒らしが癇癪を起こして有翼族に吶喊したから、横殴り気味に雪玉を投げ当てる。

怯んだところをミリムが追撃。 床に叩きつけた。

 

 

「持つべきは友達だな! 牽制してくれたお陰でケーキを食べ切れたのだ!」

「褒め方に納得出来ないわ……それにあなた演技は全然ダメね。 ガッツポーズなんてして、クレイマンに見られていたらどうするつもり?」

「しょうがなかろう? リムル達が私の為に怒っているのが分かって嬉しかったのだ」

「片や本気で殺す目だったわよ」

「面白かったから良し、なのだ!」

「あなたが良いなら良いけれどね」

 

 

満身創痍の白荒らし。 床で痙攣中。

止めを刺すべきだと思うが、リムルに任せる。 村人同様にリスポーン出来ないなら良いが、出来るならまた面倒事になるし。

取り敢えず白荒らしを黒曜石に封印。

その間に周辺の後片付けを始める創造主。

鶏を屠殺。 要らぬ黒曜石を撤去。 あれた外壁や床は素材が不明なので、取り敢えず溶岩が冷えて出来た丸石を移植しておいた。

 

 

「片付けまでしてくれるたぁ、いつここはサービス精神旺盛な劇場になった? だがちっとばかし早いな。 いや、新たなステージ作りと見るべきか」

「まだクレイマンの処刑が残ってる。 何か意見がある方は?」

「…………ない様だな。 好きにしろ」

「そうする……って言ってもなぁ。 この黒紫の壁が邪魔なんだけども」

「それくらい何とかしろ」

 

 

皆してワイワイ鳴き合い始めた。

村人らしいと思う。 いや村人かは怪しいのだが、活気がある方が良い。

喧しい時もあるが、無音より愉しめる。

 

 

「あー、ところでミリムよ。 ひとつ聞きたいんだが良いかな?」

「カリオン? いいぞ、なんでも聞くのだ!」

「じゃあ遠慮なく。 お前さん、操られてなかったんだよな? という事はノリノリで俺を甚振ってくれたのかな?」

「は……」

「いやいやいいんだよ? 俺が弱かっただけだし? だがユーラザニアを吹き飛ばしてくれたのも君の意思って事だよな?」

「そ、それはだな……アレはクレイマンを騙す為に頑張っただけなのだ! 細かい事を気にしては駄目だぞ?」

「王都が消えたんだぞ!? 細かくねーよ!?」

「まぁまぁ、幸い獣王国に人的被害は無かったんだ」

「リムル……お前にも言いたい事があるぞ」

「へ?」

「王都の地下にナニ造ってくれてんだ? 例の人間共の仕業なんだろうが、不可侵条約を結んでたよな?」

「え、えーと……それは……」

「それとも何かな? ウチから手を出すのはアウトでもソッチが出すのはセーフってか?」

「誤解だカリオンさん!? コイツと仲間達が勝手に造っただけで俺は何も知らないんだー!?」

「でもカリオン、ワタシが王都を吹き飛ばしたお陰でその事も判明したのだぞ」

「ちっとも感謝出来ねぇよ!? 少しは済まなそうにしやがれ!!」

 

 

おや。 黒曜石の中から音がする。

天井に土で登り、ダイヤツルハシで1マスの穴を開けて中身を確認。

 

 

『確認しました。 これまでに集めた魂を魔素に変換……成功しました』

「ッ!!」

「世界の言葉が……」

 

 

なんか起き上がり変貌してる様な気がする。

暫くスニーク姿勢で様子を見ておく。

 

 

『肉体を分解。 再構築を開始します』

「これは……どうやら覚醒したらしいな。 本物の魔王に」

 

 

やがて跳躍すると、僅か1マスの隙間を縫い外に出てきてしまった。

白荒らしを逃してしまった。 油断した。 折角囲い込んだのに。

 

 

「見よ! 私は力を───力を手に入れたぞ!! ハハハハハハッ! ハァーッハハハハハ、ハヒャハハハ!!」

「今までの比ではないぞ……!! こいつは正直、俺やフレイでも……お、おいリムル!? アンタも!」

「悪いけど譲って貰えないかカリオンさん。 クレイマンには礼が済んでないんでね」

 

 

まぁ良い。 やる事は決まった。

 

 

「お前は譲ってくれないよな」

 

 

リムルに苦笑されつつ───共に刀剣を構える。

 

目の前の荒らしを倒す。 ただそれだけだ。




長引くクレイマン戦(殴。

いつまで続けられるか不安な中ですが、なんだかんだこの展開まで来ました。 皆様の応援のお陰です。
いつも ありがとうございます。
m(_ _)m
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