寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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前回のあらすじ
クレイマンが本物の魔王へ覚醒。
対峙するリムルと創造主。
いよいよ魔王クレイマンと決着の時。


124.マルチと決着

 

「次でお終いにしようか、クレイマン」

 

 

第三段階に変貌した白荒らし。 その上で何らかのエネルギーが集中していく様が見て取れる。 されど創造主は動じない。 今まで通りだ。

 

 

「いいだろう。 では喰らうがいい、この私の最高の奥義を……」

「……クレイマンの言っていた"あの方"とやらに事の顛末を報せる為には生還したい筈だ。 ギィみたいな明らかな格上がいる以上、ここでのやり取りを中継は出来なかった筈だからな。 しかし何で覚醒したんだ?」

『覚悟が経験値を底上げしている様です』

「そうか。 そんな事もあるのか」

「───私が今すべきことは」

「───ならば俺が取るべき対処は」

 

 

───この場に置いては。

 

 

「"何としてもコイツ(あらし)を倒す!"」

 

 

強力なビームが白荒らしから放たれると同時、創造主は刮目する。

 

 

「喰らえ! デモンブラスターッ!!」

 

 

剣で跳ね返せない類だ!

直感した創造主は瞬時に黒曜石を展開。

刹那、ビームが直撃し罅がピキピキと広がる事に驚いた。 ダイヤツルハシでもなしに。 凄い威力だ。 ウィザー級だったか。

獣王国で見たミリムのより弱そうだが、危険なモノに違いない。

 

 

『警告。 攻撃の回避・防御は困難です。 緊急処置実行。 体表面に対魔防御結界展開』

 

 

黒曜石の中心が壊れてビームが抜けた。

威力は減衰しているだろうが、それでもリムルより背後に吹き飛ばされる創造主。

大丈夫。 まだ生きている。 それよりリムルだ。

目の前を見る。 当人は毅然としていた。

 

 

「これくらい!」

 

 

そして、刀剣をビームに振り下ろした!

 

 

「なんだってんだッ!」

 

 

まさか跳ね返そうとでもいうのか。

リムルと自前の刀剣が輝き始めた。 エンチャント、或いは魔力を注いで対抗しているのだ。

 

 

「ッ!」

 

 

バチバチと粒が散る。 必死に踏ん張っている。

 

無茶だ、と思った。

ポーションの効力が続いているとしてもだ。

同時に身を挺した挑戦を賛美した。

そうだ。 疑問や可能性を感じたならアレコレ試し挑戦する。 創造主はその姿勢に頷く。

だが見た限り刀剣もリムルも耐久値が保たない。

事実、刀剣より左腕が千切れかけている。 というか千切れた。 断面は水色スライムだ。

 

 

「たかが左手くらいッ! コイツと比べたらァ!」

 

 

放置は出来ない。

かつて創造主も右腕のみで世界を相手にして来たとはいえ、左も使い熟す者には大きな痛手だろう。

助太刀いたす。

今こそマルチを見せる時。

目の前に飛んできたリムルの片腕を回収し、本人に投げ付ける。 そのまま腕がリムルに吸収されたと思ったら腕が再生した。

其れを観察する間もなく共に居並ぶと、倣って剣を振り下ろす。 己もリムルの腕となろう。

 

 

「ありがとよ……ッ!」

 

 

鳴かれた。 こんな状況なのに、横を向かなくても笑っているのが分かった。

黒曜石を再度展開すれば良いのに、創造主は何故かしようとしなかった。

咄嗟に思わず、というのは否定しない。 だが強いて云えば挑戦だった。

いちクラフターとして試したい、という想いが逡巡なく剣に力を込めさせるのだ。

 

 

「くっ!」

 

 

やがて盾ガードとも見て取れる行為は、ビームが拡散・消失した事で終わりを告げる。

跳ね返す事は叶わなかったが、攻撃を防げた結果を得られた。

共同作業に満足だ。 創造主はその場でジャンプする。 リムルは疲労困憊といった様子だが、成し遂げた顔だ。

後は白荒らしを処分するのみ。

 

 

「これでも……これでも届かないのか……ッ」

「はっ……はは……どうだクレイマン。 これで、終わりだな……!」

「フッ……フハハハァ! 舐めるなよ、私はデスマン! 例え殺されようと何度でも復活する。 貴様は永劫、この私に怯えて暮らすのだ!」

「言いたい事はそれだけか? ならこっちは聞きたい事がある。 黒幕の正体、お前の知っている情報を全て話せ。 素直に喋れば苦痛を与えずに殺してやる……剣、貸してくれ」

 

 

リムルが刀剣を見せてきた。 ボロボロだ。

無茶したからだ。 仕方ないから予備のダイヤ剣を渡す。 耐久以外にもアンデッド特効等のエンチャントが施されている。

この場で役立つかは微妙だが、代わりにはなる。

 

 

「わ、私が仲間を、ましてや依頼人達を裏切る事などない! それが……それだけが! 中庸道化連の絶対のルールなのだ!!」

「口を割らなそうだな。 どうやら仲間に対する情は本物らしいが、どっちにしろ処刑する……反対の方は?」

「さっき通りだ。 好きにしろ」

「……大丈夫。 必ず戻りますカザリーム様。 星幽体(アストラル・ボディー)を離脱させれば死を偽装できる。 あなたに作られたこの体ならば……!!」

 

 

いよいよ処刑ムード。

同志がいたら祭りである。 今回はリムルに任す。

 

 

「……デスマンってのは死体から作られたんだったか? コイツらが生き返るのが不思議なもんでな、死者蘇生について何度も何度も検索をした時に知ったんだが」

「だったら何だというんだ?」

「なら復活は出来ないかもな」

「何を言って……」

「ここから脱出した後、新たな体を手に入れて復活するつもりだったんだろうけど、この剣は恐らく星幽体ごと斬れる。 そうでなくても、俺が喰う」

「なっ……何を根拠に!」

「根拠は無い。 だがコイツらが作った剣だ。 一振り毎に不思議な光景を見てきた。 お前も見た筈だ。 ミリムが吹き飛んだり、今さっきなんかお前の最高の奥義とやらを防いだ訳だ」

「ッ!」

「計略は終わったんだ、クレイマン」

「や……やめろ、やめろおーー!!」

 

 

己と同じ色の剣を構え、荒らしに寄るリムル。

対して荒らしは這いつくばってでも逃げようとする。

 

 

「た、助けてくれフットマン! 助けてティア! 私はまだ死ねない! こんなところで死ねるものかーーーっ!!」

 

 

厚かましい。 不愉快だ。

創造主はリードで荒らしの首を締め上げた。

これで今度こそ。

 

 

「グッ……お、お助けくださいカザ───」

 

 

ズバッと。 リムルが一閃。

動かなくなる荒らし。 やっと終わりだ。

 

 

「返すよ」

 

 

剣を返却されたので素直に受け取る。

そのまま貰われていたら、それはそれで新たな脅威だった。

ダイヤ剣装備のスライム。 元の世界だったら考えられない光景にゾッとする。

 

 

「……喰うか。 人型は久し振りな気がする」

 

 

だが次の光景に更に身を震わせた。

リムルがスライム状になり、荒らしを捕食したのだ。

しまった。 忘れていた。 コイツはシズも喰ったヤベェ奴だった。 ドン引きである。 対象が荒らしとはいえ笑えない。

 

 

『クレイマンの意識の消失を確認。 その魂は魔素へと変換されました』

「……後悔の念を感じる。 今更そんな事したって同情出来ないけど、クレイマンが俺達の与えた"死"で少しでも反省する事を願おう」

 

 

そんな中でもギャラリーは愉しんでいたらしい。

歓声とも取れるハァン声が空間に響いた。

 

 

「見事だ。 お前が今日から魔王を名乗る事を認めよう」

「へ? 魔王になるつもりはないんですけど」

「異論のあるヤツはいるか?」

「ないない! アタシはリムル達を信じてたさ!」

「誰が魔王になろうが興味は無い。 好きにすれば良い」

「ま、いいんじゃないの?」

「うむ。 クレイマンを倒してみせたしな」

「余としては下賤なスライムが魔王などと断じて認めたくはないな。 無礼な人間との共闘でもあったのもある」

「ほら異論あるよ!? ココにいるよ!? 後ラミリス! ここに来る前、死ぬよとか言ってなかったか!?」

「アレェ? 忘れちゃったなぁ?」

「なんでこうなった!? せめて従者のままが良かった!」

「まぁ席に着けリムル。 これからの事を話そうじゃないか。 レイン、テーブルくっつけとけ」

「はい」

「くそぅ、戦って倒してサヨナラじゃないのか」

「空席を作ったんだ。 責任とるよな?」

「……俺は悪いスライムじゃないヨ?」

「おうおう面白いスライムだ。 その友達もな」

 

 

赤髪の仲間と思われる2人組がテーブルを力業で直していた。

凄い。 彼女らもクラフターなのかも知れない。

 

取り敢えず直ったテーブルにケーキを置いた。

ミリム以外にも有効かも知れない、と思っての行為だった。

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