転スラ世界にも星や月があるなら宇宙もある筈……でも、それが我々の知るものなのか分かりません。
これらの話も妄想話となります(殴。
「またリムルさんに迷惑を……」
連邦地下。
ジオフロントにある辛辣同志の自室。
ここもリムルの執務室同様、書類に溢れ乱雑としている。 ここもチェストで纏めようと思いつつ辛辣同志に報告書を渡したら溜息を吐かれた。
皆して酷い。 我々が何をしたというんだ。
「しまくりでしょ!? 報告書にもアンタ達で書いてるでしょ!?」
何を云う。
ミリムに破壊された獣王国は再建した。 荒らしの傀儡国は元々荒地だった城下を整地した。 コレの何処が悪いのか。
「ワルプルギスでの会合や方針が狂ったんですよ!? ミリムちゃんは気にしないかもだけど、カリオンさんとフレイさんの事も考えて!?」
面倒だ。 政治はリムルと君に任せる。
それに、とクラフター。
本気で拒絶するなら攻撃してくるなりリムル達が止めてくるなりしてくる筈だろう。
「それは……」
それをハッキリせず文句ばかり。 つまり嫌よ嫌よも好きの内。 なんだかんだ認めてくれているという事だ。
「一理あるかも……いやでも認めたくないなぁ」
認めろ。 君もクラフターだ。
周囲を気にして文句ばかりでは進むものも進まないぞ。 前を向いて今の話をしようじゃないか。
「今の話をしてるつもりなんですけど」
君の話だ。 IRPやBBとか。
「……まぁ良いでしょう。 馬鹿には国境も政治も無いですし」
相変わらず辛辣だな。 だがそれが良い。
「変態?」
結構。 個性と云え。
村人と会話し協力してクラフトするなんて真似は我々には出来ない。 その上、君はIRPやBB研究の権威だ。
「ハッキリ言いますね」
自分に素直になる事だ。 悩みがあるなら聞こう。
「馬鹿達の素直さ。 それが悩みです」
それは悩んで当然だ。
君はクラフトもリムル達も好きなのだ。
「……え?」
2つの両立。
本気で考えるから苦悩する。 裏を返せば相応の情熱があるという事。
それに夢もある。 実に素晴らしい。
今に至っては夢を聞きたい。 差し支えなければ。
いや。 あっても聞く。 聞かせろ。
報告書はついでだった。
「やっぱマインクラフターですね」
そうだ。 そして笑え。
その方が似合う。 辛辣でも。
「ひと言余計です」
お互い様だ。
それより早く語り合おう。
あいや、今回は君のクラフトの話をしよう。
「───分かりました。 良い機会です、話しましょう。 私の夢は……馬鹿の手も借りたい……それこそ馬鹿だって言われそうなクラフトです」
聞かせてくれ。 どんなクラフトだい。
「ああまぁ、その。 クラフトというか……」
煮え切らないな。
しおらくして。 何を恥じらうか。
「だって笑われそうですし……」
笑うかも知れないが、馬鹿にはしない。
貴女とは違うんです。
「むぅ……私と貴方達は違いますもん。 目指すモノもきっと多くの同志達が思わなかったか……思いついても実現出来なかったもので……無理だとか有り得ないとか否定されそうだし……」
否定するのは簡単だからな。
何もしないなら更に簡単だ。
だが聞かない事には何も言えない。 始まらない。
面白いにせよ詰まらないにせよ。 感想や意見はそれからだ。
「……ありがと。 え、えとね……私の夢は星の世界に行く事……なの」
星の世界?
「そう、夜空に浮かぶ星海の世界。 あるかは分からない。 でもあると良いなって思ってる」
あるさ。
「ど、堂々と云いますね……」
ネザー。 ジ・エンド。 そしてこの世界。
ならば他にも世界があって可笑しくない。
特にこの世界の思想を参考にするなら……村人の考えは難しいが、信仰する神や畏れる悪魔が人々の想いから生まれているとするならば。
考えた事はきっと実現する。
だから星の世界はある。 確証はない。 だがどこか誇らしい自信だ。
「ほんと、馬鹿なんだから」
馬鹿で結構。 それで君が笑顔になれたから。
君の好きな"彼"も、君の笑顔を願う筈だ。
「なっ!? す、す、好きとかそんなんじゃ!」
好きだったんじゃないのか?
どうした。 赤面して。 裸でもあるまいに。
リスポーンして、生まれたてのシズを思い出す。
「アレですよアレ! 命の恩人として、クラフターとして尊敬してるって事で!」
それには同意する。
彼は荒らしと無縁の温厚な性格だった。
だがそれとコレは別だ。
さっきも云ったろう。 素直になれ。
「うぅ……こんな時にらしくない事を」
そんな日もある。
我々クラフターは聖人ではない。 紳士でも英雄でも無い。 だからと悪人でもない。
あいや訂正。 悪人はいる。 荒らし許さん。
「……そうですね」
それはそうと……星の世界を目指すキッカケも、やはり彼が関係しているのか?
「そうです。 行き倒れになりかけていたところ、彼に助けられた後……」
魔国連邦で?
そうなるまでクラフトに熱中する事は我々もある話だ。 だが空腹には気を付けろ。 自然回復も出来なくなり、走れなくなるばかりか体力が削られ瀕死になるぞ。
だがしかし、そうなるまで何をしていた?
「……連邦に来る前は湖底研究所に。 そこから突然異動になって放浪してたというか。 私は追い出されたと思ってます」
酷い話だ。
湖底研究所は閉鎖的な連中が陣取ってるが、そこまでするとは。 相当辛辣な事を云ったのか。
「辛辣だったのは向こうですよ」
そんなにか。
だが確かに、そんな感じはある。 連絡を入れても碌な返答がない。
同志とはいえ、何をやっているのか。 皆目見当つかない。 君はあそこで何を見た?
「絶望を少々」
酷い顔だな。
「それ相応のモノを見ましたから。 思い出したくもありません」
そうか。
尚更、我々も準備や計画を立てねばと思う。
もし荒らしが湖底で這いずり回っているならば、同志であれど潰さねばならない。
将来、何が起きるか分かったものじゃない。
水中爆撃も視野に入れる。
通常、TNTは水中の地形や構造物を破壊する事は出来ない。 爆風によるダメージは与えられてもだ。 ただし砂や砂利をTNTと同時に落とすと水中の構造物等を破壊出来る様になる。 それをしよう。 水中神殿での戦闘経験もある。 相手がガーディアンではなくクラフターというのが厄介だが。
「理不尽に攻撃しない方が良いかと」
勘違いするな。 我々は君を守りたいだけだ。
大切な同志だからな。 貴重な人材でもある。
「……ありがとうございます」
暗い話も程々にしようか。
話を戻すぞ。 彼に助けられたのは理解した。
だがそこからどういう経緯で星海を目指した?
「一緒に暮らしていた頃……彼は星を見て、創造の世界も負けないくらいある筈なんだって目を輝かせて語ってくれた時がありまして。 彼はひょっとしたら、夜空に浮かぶ星々に憧れてたんじゃないかなって。 彼が消えてしまった後、その語ってくれた星の世界に行ってみたいって思うようになりました」
星の世界を目指すとしつつ、IRPやBB研究をしているのは何故だ?
「BBは未知に満ちてます。 IRPは星の世界に旅立つ為の発射プラットホームに出来るかも知れません。 ここでの様々なクラフトの過程で星の世界に行く方法が判ればと思い、研究しているのです」
成る程。 大体理解した。
しかし星の世界か。 想像より壮大かもな。
高度限界より更に上にあるのだろうか。 エリトラでひたらすら上昇しても辿り着けない世界ではないのか。
だが面白い。 挑戦する事に意義がある。
我々に出来る事なら云ってくれ。 手伝おう。
「ありがとうございます」
その熱意で彼が戻って来ると良いな。
「……目の前で消えてしまいましたよ」
戻って来る可能性はあるだろ。
現にクラフターの中には、1度消えたものの帰ってきた者もいる。
「えっ!? 初耳ですよ!?」
アレ。 知らなかったのか。
まぁ取り敢えずそういう事だ。
「どういう事です!? 消えたらそれっきりじゃ!」
消えたクラフターが何処へ消え逝くかは知らない。 だが熱意を取り戻したのか帰ってきた奴がいるんだ。
だから再会出来る可能性はゼロじゃない。
「そ、そうですか……クラフターも謎に満ちてますよね、本当」
それ以上に創造の世界は広い。
立ち止まっていられないぞ。
「そうですね。 うん、何だか元気出てきました。 研究再開です!」
うむうむと頷く創造主。
そうだ。 それで良い。 邁進しなさい。
「じゃあ早速ですが資料を渡します! 現状解析が進んでいる範囲は理解して貰いたいですし、ベスターさん達との連帯もあります!」
そう言うや否や大量の本を投げつけられ、インベントリが埋め尽くされてしまった。
なんだこの量。 読めと言うのか。
「翻訳してますから読めるでしょ。 期待してますよ?」
やれやれ全く。
それでも仕方ないな、と読み始める。
そりゃ楽しげに笑顔で言われちゃ、断り難いというものだ。
◾️□ ◾️□ ◾️□ ◾️□ ◾️□ ◾️□ ◾️□
「───大体把握出来ました?」
文字ばかりでゲンナリしているところ、辛辣同志が笑顔を向けてきた。
取り敢えず読み終えたと頷いておく。 どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。
ファントムに襲われるレベルか、そもそも1日も経過してないのかも知れない。
楽しい時間は早く過ぎるのに、辛い時間は終わらない。 時空間が歪んでいるんじゃないかと疑わずにはいられない。
「じゃあ追加で───」
ファッ!?
「冗談ですよ」
クスクス、じゃないよ辛辣同志め!
創造の世界も楽しいばかりじゃないのはとっくの昔に知り得ている。 だがその仕打ちは酷い。 ある意味辛辣。
「そう怒らないで下さいよ。 でも楽しかったんじゃないですか?」
まぁ、とクラフター。
動力源兼演算装置の類とされるBBは驚くべき技術の結晶だし、IRPも拡張性と運用方法次第で可能性が広がる。
村人に配慮したパーツ類には首を傾げたが、IRPは見た目の割に繊細な部品類が多く使用されている様だ。 大抵は我々の知らない素材やクラフトである。
「そうです。 村人でも扱えるように、というのは私の体が馬鹿達ほど強くないからです。 それに非常時に已むを得ず村人が動かせるように」
そうだったか。
ますます我々とは違う様だと思うクラフターだったが、これ以上突っ込まない様にする。
彼女のクラフトじゃない。 体についてだ。
恐らく湖底研究所で"クラフト"されたのだ。
あそこに何が?
連絡が無い以上、強制捜査も視野に入れる。
問題は証拠が無い事だ。 下手に踏み込んだら施設と謎ごと自爆されるかもしれない。
だからと査察連絡したところで拒否されるか、受け入れてくれてもヤバイモノは隠蔽される。
いや、今更何を臆する事があろうか。
大陸全土に拡大しておいて、身内には触れないなど抜かすものではない。
「あ、ごめんなさい。 流石の馬鹿も疲れるものは疲れますよね」
こっちはこっちで辛辣を受け入れねば。
「やっぱり現物を触った方が早いですよね」
そうだ。 触らせろ。 お前のモノを。
我々は限界だ。
「その言い方はキモいんで直しましょうね」
笑顔で抜剣されたから、戦慄と共に身を震わせた。 恐ろしい子!
「簡単な整備は他の同志に聞いた方が早いので、後で聞いてみて下さい。 新規の方には研究開発側に回って欲しいのです」
剣を仕舞ってくれた事に内心安堵しつつ、格納庫に移動する。
すると、そこには見上げるばかりの巨大な創造物……機龍ことIRPが鎮座していた。
まあそれ自体は何度も見たが、いざ弄るとなると話は変わるもの。
周囲には整備班と思われる同志と白衣を着た村人が彷徨いている。 後で話を聞こう。
しかし新規がいきなり開発で良いのだろうか。
「やりたくないなら良いです」
ヤらせろ。 ヤらせろ下さい。
定番のスニーク姿勢を繰り返し、低姿勢を繰り返す。 色んな意味で彼女には頭が上がらない。
「宜しい。 では今後改善したい点や星の世界を目指す為のイメージを現物弄りをしながらお話します」
そう言われつつ、整備通路を共に進む。
やがてIRPのコックピット前につくと、内部や武装の細かい説明やらなんやらをされ、次にやっとクラフト案件である。
「村人の研究主任はベスターさんです。 彼等と共に開発したのが電磁砲となります」
竜の都での魚災の時に世話になった。
従来のキャノンとは異なるそうだな。
「簡単にいうと電気の力で弾を飛ばします。 原理は───ですから、火薬を使用しない分コストの削減を狙える訳です。 エネルギーはBBから賄えます───負荷はそれ程でもなく、ただエネルギー変換効率等───問題なのは発射までに時間が掛かる事、弾丸の都合で短射程な事です。 新たに新型弾を開発したりチャージ時間を短縮出来れば、といったところが課題点です」
長い。
武装を改善する、で良い。
それで星の世界とどう繋がる?
「射程が伸びれば星の世界まで飛んでいけるかも知れないじゃないですか」
じゃないですか、じゃない。
それは知らないぞ。 やる価値はあるが。
「弾役は馬鹿を予定してます」
犠牲になれと仰る!?
「私と違ってリスポーン出来るんですから良いでしょ? 人体実験は貴方達にしか頼めないですね。 倫理的に」
アウトだ。 村人的に。
辛辣もここまで来ると鬼だ。 仕方ないから協力するけど。 実験時はなるべく手ぶらで経験値はエンチャントに交換しておこう……。
「後、この計画はリムルさんに伝えておきます」
何故に。 あの悪食スライムは文句しか云わない。
「無許可で打ち上げるより良いでしょう。 それにリムルさんは異世界転生者です。 あっちの知識を教えてくれれば、役に立つ事もあるかも知れませんよ?」
確かに。
元よりクラフターの雰囲気は纏っていた。 悪食と荒らし誘導行為等を除けば役に立つ。
時に人智を越えるクラフトをするからな。 ミュウランの時とか。
生命の創造に等しい行為を出来るんじゃなかろうか。 スライムだと侮れない。 それに世界違えばクラフトも違う。 それぞれ良い所がある。 IRPは既にハイブリッド化している訳だし。
「……悪い部分を交換するのと、ゼロからクラフトするのは違いますよ」
どうした。
ミュウランの辺りから項垂れてしまった。
……やはりそうかな、コレは。
今無理矢理聞き出す事はしない。 だが遠くない内に行動しよう。
「すいませんね、また脱線して」
構わない。 進めてくれ。
「ただ打ち上げに関しては目処は立ってません。 星の世界はそもそもあるのか、ゲート類を無しに行けるのか、物理的に行けるのかも分かりませんから」
それでもクラフトしてきた訳だ。
「はい。 楽しいですから」
うむ。 良き笑顔。 クラフトの真髄。
それを忘れてはならない。
「迷惑掛けてる事も忘れないで下さいね」
何の話?
クラフターは首を傾げた。 リムル達の事なら適当に遇らう。
「都合の悪い事は無視しますね……」
本当に無視出来ない事は対応する。
騎士団連中とか。 アイツら襲って来るから。
そういえば団長らしき女性はどうなったのだろう。 牛乳をガブ飲みさせたから生きてる筈だが。
あの時は毒実験の被検体にした詫びと礼を兼ねて助けた訳だが、また襲って来るようなら最悪息の根を止めねばならない。
「西方聖教会は私達が邪魔でしょうからね。 攻め込んで来るならやり返して良いと思いますよ」
いっそ此方から出向いて滅ぼしたい。
「ダメですよ。 クラフターの力は普通の人達からしたら化け物です。 その力を無遠慮に行使してきたから向こうは魔物認定、襲って来る様になった経緯があるんです。 我々も悪い部分はあるんですからね」
やっかみじゃないか。
何故、 武力でもって荒らしてくるのか。
クラフターなら村人にもいるのに。
カイジンやクロベエもだが、何かしらの面でクラフターである村人は多い。
我々からしたら、それこそ羨ましい。 知らないクラフトを見せてくれるから。
だがそれを理由に攻撃した事はない。 素直に賞賛し学ぶ姿勢を見せた。 向こうも似た行為を見せてくる。
騎士団連中はそれをしない。 だから好きになれない。 心の器が狭いと云わざるを得ない。
「密入国に建造物不法改造に建築、住居侵入、盗難、傷害事件、無賃飲食、不法占拠、色々やらかしてきた馬鹿が云うと説得力ありますね」
まぁそんな事は良い。 星の世界を目指すぞ。
「逃げないで下さい……はぁ。 とにかく、今後とも宜しくお願いしますね」
宜しく頼まれた。
新たな挑戦がまた始まる。 ワクワクする。
クラフターは嬉々としてIRPやBB研究に本腰を入れ始める。
解らない事を解る様にし、誰もが追いかけ諦めた様なクラフトを目指していくのだった。
◾️□ ◾️□ ◾️□ ◾️□ ◾️□ ◾️□ ◾️□
「星の世界?」
連邦議事堂、執務室。
書類に埋もれる人型リムルさんに聞く私。
馬鹿達によるクレームや各国の外交問題に取り組んでるところ悪いけれど、私もやる事があるので。
「星座の事? ごめん、詳しくないな」
「ああ、いえ……行き方とか、その辺を」
「行き方? まさか宇宙に行きたいのか?」
「うちゅう? 宇宙という世界なのですか」
宇宙。 それが星の世界の名前なの?
「知らないのか。 地下にSFを建造している割には、その辺は疎いんだな」
「そんな事よりお願いです。 行き方を知っていれば教えて下さい!」
「……そんなに行きたいの?」
「はい! 私はそこでの光景を知りたい!」
顔を突き出す様に言い放つ。
リムルさんは気迫されて「お、おう」とたじろいでしまった。
「あ、すみません……」
「大丈夫。 でも通訳ちゃんの夢は壮大だなぁ」
「やっぱ大変なんですか?」
「簡単じゃない筈だ。 俺は詳しくないが……というか、この世界にも宇宙は存在するのか? いや星や月があるんだから、あるよな恐らく……でも俺のいた世界と同じかは分からないし……大賢者、えーと……」
ブツブツ考え始めるリムルさん。
忙しい中、取り合ってくれて嬉しい。 馬鹿達に頭を悩ます日々なのに優しいなって思う。
「……俺の記憶から宇宙関係の絵とか用意して満足は……しない?」
「しません!」
断言しちゃった。
でもやっぱり、自分で見てみたいから……。
「ファンタジー世界に喧嘩売る1人だったなんて。 通訳ちゃん、お前もか」
「馬鹿達と一緒にしないで下さいよ!?」
「いや、だって……ねぇ?」
死んだ目で見られ始めた!?
やめてよ、アイツらと私は違うんだから!
強いて言えばクラフターって枠組みだけ!
「言っても聞かないんだろ?」
「いえ、それは……」
「良いよ。 やってみても」
フッ、と笑われた。
許してくれるという事?
そう思っていたらポツリポツリと語られる。
「というか通訳ちゃんがしなくても他の奴がやるでしょ。 それに通訳ちゃんが主導ならアイツらだけに任すよりマシだろうからね……ははは……」
「ごめんなさい……」
うん。 快くとはならないよね。
「いやいや君が謝る事じゃないさ。 苦情が増えるか減るか聞かれたら、減る方が良い訳で。 その意味では信頼してるんだよ?」
「あ、ありがとうございます」
「それに乙女の夢を斬り捨てるのは可哀想だからね。 俺も出来る範囲で協力するよ」
「ッ! 本当にありがとうございます!」
私は深々と頭を下げた。
たぶん、人生で初めてだったかも。
「今は国営や苦情処理に忙しくてね、直接手を貸せない。 代わりにコレを渡そう」
そう言ってにゅるん、とスライムになった体から本が複数出てくる。
体の中、どうなってるんだろ?
「これは俺がいた世界での宇宙の情報だ。 といっても俺の記憶からで、一般常識を曖昧にした感じだけどな。 役立つか微妙だが今はこれで勘弁してくれ」
「いえ、許可を頂いただけでも大変嬉しいです! ありがとうございました!」
「おう頑張れよ。 俺も頑張るから……ふっ……ふふふっ……」
死んだ目をするリムルさんを他所に、本を受け取った私は喜びのままにジオフロントの自室に直行した。
机上の本を掻き分けてスペースを作ると、直ぐに本を手に取り開く。
それは文字と絵図で構成された星の世界の物語。
「わぁ……!」
きっとこの時の私は目を輝かせていたのだろう。
この大地も夜空に浮かぶ星のひとつに過ぎず、ひとたび重力を振り切り大気の層を脱出して振り返れば、美しさと共に理解出来るという。
星の世界は重力が無い。
空気も無い。 気圧もなく温度差も凄まじい。
生身で飛び出せば生きていけぬ世界。
故に過酷な環境下。 宇宙服といった特殊なものがないと活動出来ない。
そんな危険な無重力空間は無限大で、星々はこの世界に浮かび輝いている。
だけど、生命が生きていける星は他に無いらしく、可能性がある星もあるかもだけど、ちゃんと調べられていない。
そんな中でも人類は宇宙に進出。
宇宙ステーションなる基地を浮かべたり、月に降り立ったりしたという!
「凄い……なら私達だって、きっと!」
きっと出来る!
そして見るんだ!
彼が憧れたかも知れない、星の世界へ!
転スラ世界から脱線してる件。
ツッコミどころ満載かもですが、よければ感想・登録・評価等宜しくお願いします。