漫画通りラーメン食べさせたい。
ヒナタと微妙にすれ違いつつ。
漫画見て、店内のヒナタ達の格好が学生さんに見えて似合うかもと思ったのは作者だけでしょうか?(チラッ
評価者数100越え!?
ありがとうございます……ッ!
「この町は発展しましたね」
「そうね」
場はブルムンド王国。
初めて来た時から綻びを修正し続けた結果、この国は目に見えて綺麗になった。
今や土や砂利が混ざる乱雑な道はなく、全て平坦な舗装路だ。
比較的低コストの石煉瓦が主であるが、歩行者に逼迫感を味わわせない為に適度に草ブロックや植木といった緑を建物沿いに設置。
一方、建物は分別化の為に外壁は赤煉瓦。 内装は床含め木材多めにし、屋根は丸石階段やハーフを被せている。 松明も忘れない。
また、照明は一部街灯風に木のフェンスを縦に柱状に立たせ、左右にぶら下げる様にジャック・オ・ランタンやグロウストーンを使用している。 夜に映える。
「冒険者の武器防具もやたら質の良いのが出回ってやがる」
「テンペストと例の人間達の影響ですかね?」
「報告にある松明があるからな……」
道往く村人達も何処か堅牢な装備に変化。
これはクラフターがモノを投げ渡した訳ではなく、この世界特有の自己発展である。
裏方を見ると同志の影響はあるのだろう。
だが自らの意志で最終決定を下す村人達だ。 そうして変わる世界は新鮮で気持ちが良い。
創造主は成長を見せ続ける光景に笑顔満開だ。
嬉しくなったら腹減った。 店に並ぼっ♪
クラフターはこの街の食事処、その行列の最後尾に行儀良く並ぶ。 郷に入ったら郷に従えという奴だ。 初めの頃、割り込んだらゾンビピッグマンの群れの如く袋叩きにされたものだ。
食べ物の恨みは恐ろしいのである。
まぁ、過ぎた事よりラーメン食べたい。
今日はいつもに増して美味いぞ、きっと。
「魔王と取引して発展するなんて、敬虔なルミナス教徒ならば忌避感がある筈ですが、ヒナタ様はどう思われ───ヒナタ様!?」
「ちょ、ちょっと何並んでんですか!?」
後続が煩い。
新参か? この場にリムルやシズがいたら説教垂れるところだ。
だが振り返ったら負けかなと思ってる。
隙を持て余して前後の村人に取引を持ち掛ける真似はしない。 失敗率が高い。 物珍しい物でもだ。 ラーメンとは別に開発された、たこ焼きなるモノを渡そうとしたら怒られたし。
アレだ。 目当ての食事の前に別のモノを出してはならないのかも知れないと考えている。
「食事よ。 気になる のぼりを見つけたから」
「え? ら……らーめん……って何?」
背後の村人が旗を見てる様だ。
分かる。 あの文字を旗で再現するのは難しい。
そもそも未だ解読出来ない。 アレでラーメンと書いてあるそうだ。 辛辣同志なら読めるだろうか。
とりま、今は食事だ。
テイクアウトが出来る代物じゃないのか、今は並び進む他ない。
料理研究熱心な同志がラーメンを再現したらしいが、まだまだ村人クオリティを超えられず苦悶していると云う。
自信がついたモノをクラフト出来たら、是非食べ比べをしたいものだ。
「いらっしゃいませー! あっ! 今日もありがとうございますっ!」
やがて番が回る……ッ!
ここからは手順を踏み外してはならないッ!
先ず案内村人に会釈を返す……ッ!
直ぐに木製テーブル席に案内される……ッ!
右手と空腹が溢れる微笑で震える……ッ!
それをクラフター、耐える……ッ!
引き続き至福の手順に従い本と羽ペンモドキに手に取り、表の旗と同じらしき文字を指さしていく……ッ!
「はいっ! ラーメン 魚介 アッサリと餃子とライスですね! かしこまりました!」
そうして村人が下がれば完了。
成功……ッ! 計画通り……ッ!
後は出された茶を飲みつつ待つのみだ。
未だ歓喜に手が震える。 くっ。 飲み難い。
「───ご注文はお決まりですか?」
「ラーメンを とんこつコッテリで頼む。 あと餃子とライスを追加で」
「かしこまりました!」
「他の方はどうしましょう?」
「あ、じゃあ同じものを……」
「わ、私も……」
「うむ」
「自分もそれで」
ハァンの響きから後続の頼んだラーメンの味は己とは違うのが分かる。
種類のあるラーメンだが、後続が頼んだのは動物系だ。 此方は魚系である。
どちらが良いかは個人の好みだが、総じて美味い。 嫌いなものは今のところない。 寧ろみんな好き。
「お待たせしましたー!」
だからこそというべきか、出されたラーメンの湯気に当たりながらつらつら思う。
同志の開発しているラーメンのレベルが気になるところだ。
これを越えるのは至難の業である。 それでもやると決めたらやるのがクラフターだ。 きっと最高のラーメンをクラフトする。 その時が楽しみだ。
冷め伸びる前に手をつける。
うん。 美味しい!
箸には未だ慣れないものの、この場にシズはいない。 ならばといつも通りに皿……どんぶりを持ち上げかっくらう。 いやスープごと啜る。
ラーメンと共に6個の餃子も豪快に食っていく。
この贅沢な刹那の食事の為だけに満腹値を調整したといっても過言ではない。 空腹とは最高のスパイスだ。 元より美味いモノに試せば尚更に。
やがてこの感動の旋風は嵐となり世を支配するに違いない。 いや。 既にそうかも知れない。 少なくとも我々は虜だ。 クラフトを試みる以上に。
「お待たせしましたー!」
後続も注文品が来たらしい。 スニークで見やる。
5人いるが皆して同じモノだ。
初めてで勝手が分からずセンターに座る黒髪村人───シズかと思いギョッとしたが別人───に合わせたんだろう。
その証拠に黒髪は落ち着いており、他の者は困惑顔だ。 箸の使い方も分からない様子。
「ん"っ」
猫舌という奴らしいが。
我々には分からないが、面白い反応だ。
「まさか毒ですか!?」
「ヒナタ様!」
ヒナタ?
聞き間違いだろうか。 あのヒナタ?
リムルと同志を襲撃した女騎士団長か?
いや、あのアマには猛毒の恐怖を味わわせた筈である。 いやまさかそんな、ねぇ?
「静かに。 黙って食べなさい」
同志よ、応答せよ。
ヒナタの情報を寄越せ。
こちとら状況不明だ。
「向こうの人じゃないとこれは作れないでしょうね」
道路と建物を作ってる場合じゃねぇ。
早く! 同志! 我々は逃げる支度をする!
料金に金のインゴットを置いておく。
あと、挨拶出来ない詫びを込めてエメラルドも置いておこう。
……次回出禁にならないと良いなぁ。
「あ、旨っ」
「熱っ、えっ、なんだこれ!? 旨っ、味が複雑過ぎる!」
「えっ嘘! こんな食べ物があったなんて」
「こっちの"ぎょうざ"も凄いぞ」
「お客さん達、お目が高いですね。 実はラーメンも餃子も先週から売り出したばかりなんですよ。 ここら一帯を仕切るミョルマイル様がね、魔王様から直接商品を卸してもらったんですって!」
同志と念話開始。
───駄目だ。 貴様は敵から逃げようとしている。 敵前逃亡は刺殺される。
いやいや。 此方は建材と護身用の石剣だよ?
無理。 不可能。 そもそも己は戦闘苦手だよ。
───無理は嘘吐きの言葉だ!
えぇ……。
───君がやらねばIRPによりヒナタごとイングラシア王国を吹き飛ばす! 座標送れ。 どうぞ。
そんな殺生な。
「つまり魔物との取引の結果、これが新商品に……」
「この悪魔的な旨さが……教義に……でもヒナタ様も食ってるし」
───若しくはヒナタの念写送れ。
……はい。
───なんだこれは。 ラーメン食ってるのか。
はい。 気付かれてないのか攻撃してこないので、今のうちに逃げようかと。
───よし。 背後に回り込んで斬り捨てろ。 今なら殺れる! ジャストアタックかますんだよ!
嫌です。 逃げます。 これが最期の晩餐になりたくないです。
───馬鹿云うな。 リスポーンしろ。
「いやいや、これは調査になりますし、それは一旦忘れて食べましょうよ」
「……フリッツ。 それは最後に食べようと残しておいた、私の獲物だ」
「目がマジだ……!」
餃子を取り合ってる。 6個ずつ食えば良いモノを。 食とは時に醜い争いを生む。 改めて奥深い世界だ。
シズが見たら怒りそうな場面だが、今がチャンスだ。 逃げるが勝ち。
「それと」
クラフターは食い逃げの如く、脱兎の如く風となり出入口へ全力疾走。
が、そこに箸の片割れが矢の如く目線をよぎる。
「あなたに用がある。 食べ終わるまで待っていて貰うわよ」
振り返る。 超怖い顔をしたヒナタがいた。
睨んでる。 駄目だ。 殺る目だ。
無理に動いたら殺される……ッ!
「えっ!? あ、あの者は?」
「例の人間の1人ね。 見た目を誤魔化してるけど雰囲気は変わらない……郊外でまぁ良くもヤッてくれたわね。 私の身体に何をしたのか知らないけど……少しくらいお礼をさせて貰えない?」
同志よ。 救援を要請する。 砲撃以外で頼む。
ラーメン屋はお気に入りなんだ……ッ!
クラフターは一枚岩じゃないから……。
幸か不幸か、このクラフターは真面目な戦闘ツールもなく、そもそも戦闘自体苦手な模様……。