寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

137 / 175
前回のあらすじ
ヒナタに先制するつもりが、現地の創造主が拿捕されてしまう。
助けを求める現地。 対して連邦の創造主は?


132. 配慮と妥協

「はぁ!? ヒナタさんに捕まった!?」

 

 

辛辣同志も念話を聞いていたから騒ぎ立てた。

気持ちは分かるが仕方ない。

現場を役立たずと罵ってはならない。 そもそも拿捕されたのは戦闘を前提としていない建築組の同志だ。 無理を云ったのは此方である。 大切なのは次にどうするか。

 

 

「まさかブルムンドと仲間ごとヒナタさん達を吹き飛ばそうなんて考えてませんよね?」

 

 

考えたが実行しない。

現地の建築物を無碍には出来ない。

だからと毒で汚染もしない。 IRPによる砲撃は諦める。 現地にも懇願されたし。

 

そう云いつつ操縦桿から手を離す。

ブルムンドから出国したタイミングでも遅くはあるまい。 仕留め斬れなくとも第2第3の防衛線を敷けば良い。 同志を見捨てるにしてもだ。

 

 

「さすが。 無限残機ならではの戦法で」

 

 

だから?

創造主は素の表情で辛辣に返す。

村人達の生死の概念と同列に扱わない事だ。

いつまで囚われているつもりだ、君は。

 

 

「……ッ、私は違うんですよ」

 

 

知ってる。

君を最前線に投げるつもりはない。

そして村人に理解を示さない訳でもない。 砲撃をしないのは故にでもある。

これでも配慮しているのだ。 いつまでも短絡的とは云わせない。 時と共に進む創造の階梯は天井を知らないが、全く振り返らず異世界に居残り続ける創造主ではない。

 

 

「だったらもっと勉強して下さいね。 リムルさんがクレーム処理をしなくて済む様に」

 

 

あのスライムなら平気だ。 信頼している。

勿論、君の事も。

 

 

「……そういうの、ズルいと思います」

 

 

そうか。 彼氏じゃないと不満足か。

それは悪ぅございましたね。

 

 

「揶揄わないで下さい!?」

 

 

いつものお返しだ。 我等が娘よ。 家族の概念も詳細に理解していないが。

 

 

「……娘、ですか……私も家族の事は分からないです。 親と子、番以外なら"創造主"でしょうか」

 

 

知らぬ。 リムルにでも聞け。

だがもし想像の通りなら、不幸を与えた酷い馬鹿親である事をどうか許して欲しい。

 

 

「別に。 生まれさせられた側としては……いえ。 私だけが幸せになったのなら、なってしまったのなら……許しを乞うのは私なのかなって」

 

 

君を置いて消失した彼も罪人かもな。

舞い戻って来たら挨拶も兼ねて1発殴るわ。

なんにせよ、連邦郊外で語っていても仕方ない。

 

 

「そうですね。 考えはあるのですか?」

 

 

ヒナタに接触する。

我は暇な同志と共に向かう。 接触予想地点はブルムンドと連邦を繋ぐ街道になるだろう。

人質(笑)をわざわざ作るし話し合いで済むなら良いが、万が一もある。

連邦首都圏、人口密集地で戦闘になりたくない。

IRPの操縦を代わってくれ。 後方支援は任す。 創造主の君なら信頼出来る。 砲撃するか直接来るか、その他一切は一任する。

だがヒナタとは別働隊がいる事も念頭に入れて行動してくれ。

 

 

「分かりました。 通信水晶でリムルさんにも報告します」

 

 

既に知っているだろうが、一応頼む。

裏で暗躍している「ナニか」は分からないだろうが。 我々も掴めていないし。

 

何にせよ出撃だ。

 

加減・牽制用の木剣と決戦仕様のネザライトの剣を携え、創造主は連邦を出発したのであった。

 

 

 

 

 

◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□

 

 

 

 

 

「───口を割りませんね」

 

 

砲撃を中止してくれたとはいえ、大ピンチには変わらない。

今や薄暗い路地裏で囲まれ拷問を受けている始末。

同志よ。 早く助けて。 言葉分からないし。

ハァンと鳴きながらビシバシ攻撃される恐怖に耐えるしかない。 石剣で反撃したところで往なされ殺されるだけだろう。

 

 

「ウォッしか言わないぞ」

「うむ……もしや本当に話せないのか?」

「どうしますヒナタ様」

「……期待なんてしてなかったけど。 あまり時間を割く訳にはいかない、予定通りテンペストに向かう」

 

 

引き上げてくれるらしい。

良かった。 助かりそうだ。 クラフターは腰を曲げて会釈する。

いくらリスポーン出来るからと損失は出る。 時間は勿論、経験値やインベントリの物。

物は素早く回収すれば取り戻せるが、それだって時間が勿体ない訳で。

取り敢えず松明を刺しておく。 ここの湧き潰しを忘れていた。

 

 

「何処からともなく松明を!?」

「放って置きなさい。 危害を加えてくる様なら戦うつもりだったけど」

「大丈夫でしょうか?」

「その気ならとっくに仕掛けてるわ」

 

 

自然回復と引き換えに小腹が空くから、手持ちのベイクドポテトを食べた。 栽培効率と腹持ちを考えると優秀な食料故、携帯食はコレと大体決めている。 味を気にする同志はおにぎりやらを食すらしい。

 

 

「太々しい奴だ」

「挑発に乗らないの。 行くわよ」

 

 

おとといきやがれ。

腕を振りながら背中を睨み付ける創造主。

 

危うくブルムンドが荒れるところだった。

クラフター故、気にするのはそこである。 政治や戦闘は好きな同志に任せたい。

連邦の同志がヒナタと接触するべく移動を開始したらしいが、知った事ではない。

 

創造主は一枚岩ではない。

個々に様々な嗜好がある。 だから同志や村人と摩擦を生む事もある。

 

だが特段直そうと思わない。

他者に妥協していけば、好きな事を好きだと言えない傀儡の人生になる。

 

なら批難されるくらいが丁度良い。

クラフターを辞めるくらいならば。




クラフターによって考えも違います。
ですが学んでいく者達です。 初期の頃だったら無遠慮に砲撃をしていたかも知れません。

漫画に追いついてしまう……。
再びクラフターサイドになるかも?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。