思考制御・誘導の話は難しい……。
今回は後続とのドンパチ話。
ユニークな部下達は省略(殴。
説明が目立ちますね……。
ヒナタ達騎士団連中と喧嘩し始めたクラフターだったが、当然優勢に事は進んでいる。
それは後続相手にも同じだった。
「突然土や石壁がッ!?」
「結界が効かない!」
「空を飛んでる奴もいるぞ!」
「地面から現れる奴もいる!」
「雪玉や釣竿? 巫山戯やがって!」
驚愕されつつ果敢に剣を振るってくる相手。
連帯も取れており普通の兵士よりかは手強い。
だが此方とて負けていない。
クラフターなりのやり方を見せている。
「くそっ! なんて強固な鎧だ!」
「斧やハンマーで破砕して……足をジタバタして後方に飛ぶだけ!?」
「馬鹿な! 四肢がもげても可笑しくないというのに! そうでなくとも、鎧の中身は無事では済まない威力の筈!?」
「何とか倒し……何処からともなく同じ顔がッ! まさか不死身なのか!?」
幸い相手がダイヤエンチャントを上回る事態には至っていない。
剣だけ縛りなら負ける可能性が有るが、その他諸々有りならイケる。 ならばやぁやぁ剣劇を繰り広げたりしない。
クラフターは基本的な武具である剣と弓矢に拘らない。 TNTに金床投下。 雪玉牽制、釣竿引き寄せ。 地面掘りからの足下掬い斬。 弱体化スプラッシュポーション投擲。 土ひとつにしたって使い方次第で様々な戦法がある。
「魔素を介さないとでもいうのか!」
「そんな魔物がいる訳が……ッ!」
「ほ、本当に人間……?」
「馬鹿言うな! あんな人間やスキルが存在して堪るか!」
対魔物のエキスパートである騎士団は連帯もそうだが魔法、身体能力や剣技も優れている。 だが奇想天外な創造主相手にはいまひとつだった。
勿論、得られた情報から対抗策を講じてきた。
通常時の走る速度、跳躍力は人間と大差ない。
その上で剣や弓矢、鎧だけなら、ちょっと硬い有象無象の扱いだ。
その程度なら魔素を浄化する系が効かずとも基本的な武装で十分戦える。 それだけ騎士団は精鋭であり、人間を魔物から守る剣であり盾なのだ。
だがファルムス戦で一方的に駆逐された軍隊を思い出して欲しい。
何故、圧倒的な人数相手に圧勝出来たのかと。
それは相手が物作りのエキスパート。
マインクラフターだったからだ。
「ば、爆発!?」
やがて始まる爆発音。
衝撃で纏めて吹き飛ばされる騎士達。
「ぐああっ!」「ひぃっ!?」
「魔法!? いや違う!」
「魔都からきている!」
「物理的なものか!?」
TNTキャノンによる砲撃。 爆弾で爆弾を飛ばす「頭痛が痛い」みたいな大砲だ。
クラフターからしたら昔からある技術だが、この世界からしたら未知の兵器。
1発の威力や範囲は大きくない。 だがある程度精密に、そして一方的に連発されれば人間にとっては驚異的な威力と範囲に拡大する。
しかも遠距離攻撃だ。 原因の砲台を止めようにも遠過ぎて叶わない。
更に言えば、魔都のキャノンの大半は飛距離や他の建造物の干渉を受けないように摩天楼の上層に取り付けられている。 とてもじゃないが空を飛ばない限り接近は出来ない。
勿論、律儀に建物から昇降機や階段で登るなんて住まう人魔が許さないし、許したところでひたすら登る苦行が待っている。
辿り着いたら着いたで、今度は砲撃手達と戦わねばならない。 果たして疲労困憊の中、クラフターに勝てるだろうか。
「こ、こんな魔物がいるわけない……!」
「生き返るなんて……戦う意味あるの?」
士気が落ちていく騎士団連中。
中には懐疑的な者も出始めた。
「イングラシアでドラゴンを倒したのも彼等だって話だし、他にも小さな集落に至るまで福祉に貢献しているというし……」
「ねぇ、本当に私達の敵なの?」
「で、でも魔王の麾下だって……」
「実際、こうして敵対してるんだぞ?」
「でもそれは……出向いたからじゃ……」
前からクラフターの扱いについてゴタゴタしていたのもあり、ここに来て剣に迷いを見せ始めた。
西方聖教会はクラフターを魔物扱いしている。
それは都市部で好き勝手にリフォームしたり奇妙な事ばかりするからだ。 加えて魔都を拠点に持つ事も挙げられる。
都市部の信徒もそれに倣ってきた。
だがその一方、騎士団の守護が届かぬ郊外の様々な集落から彼等に助けられたという話があるのだ。
魔物を退治するのみならず、魔物に対抗する為の強固な防壁を作り、武器も置き、更には建物も強く綺麗な形に整えて、道を整備した。 勝手に。 だが無償で。
やがてクラフターを支持する者が出始めると救世主を敵視する教会に不信感が出始める。 やがてその不信感は巡回する騎士団越しに内部まで侵蝕。 教会への信頼、忠誠、士気に悪影響を与えていたのだ。
因みにクラフターはそんな事になってるとは全く知らない。 己の欲望に忠実に動いてきた結果、こんな事になっている。
この事態に対して教会の唯一神ルミナス……魔王ルミナスはルベリオスを侵略する為に狙ったのかと考えているのだが、そんな事実は無い。
侵略するなら堂々やります。
というかやってます。
吸血鬼のお嬢様、知ってるでしょう?
それがマインクラフターで、ございます。
「流石です皆様! 対してこの者共は!」
後方で空気化していたシオンが鳴き始める。
クラフターは砲撃を止めた。 これ以上撃つとシオンを巻き込みそうだからだ。
「おい人間共! ここで降伏するなら良し! 命だけは助けてやろう! でなければ全員命が無いものと思え!」
「くっ! 魔物が、何を偉そうに!」
「力の差は歴然! それが分からぬ愚者ではあるまい。 賢明な判断を下すのだな!」
戦闘の邪魔だ。
いっそ軽く地面に埋めてやろうと考えたクラフターだったが、例によって交渉している様子だ。
その間は互いに殺し合う様子は無い。 お得意の毒を撒き散らす攻撃もしない。
「……分かった。 提案を受けよう」
「隊長!?」
「魔物と取引なんて教義に反します!?」
「教義を守れば我らがルミナス様は救いの手を差し伸べてくれるのか?」
「……そ、それは」
「鬼よ、そして魔人達よ。 どうか約束してほしい。 私はどうなっても構わん。 だが部下達にはどうか寛大な処置を頼む……ッ!」
騎士の1人が地面に額を擦り付けた。
スニークより深い姿勢だ。 サドルを取り付けたら跨れそうだ。 人参付きの釣竿も必要だろうか。
「宜しい! 寛大なリムル様とこの者達に感謝を忘れるな! 今から魔都に連行するが、誰か1人でも妙な真似をしてみろ。 私が全員完膚無きまで叩き潰すからな!」
取引が成功したのか、やがて騎士団は武器を捨てシオンに同行を始める。
リードが必要なら渡すけど、と思った。
何事かは分からないが喜ばしい事だ。
殺さずしてドロップ品を手にしたのだ。 クラフターは、無邪気に首と腕を振り回したのだった。