ここでも成るべくクラフターを混ぜたく。
「ファルムスの侵攻以前に問題があった」
会談に出席していても詰まらないクラフターだったが、シズもいるから手慰みする程度に留める。
同志に平手打ちしたヒナタもいるし。
精神攻撃は堪える。 ある種、アレはスキルだったのかも知れない。
「続けてくれ」
「教会は魔物を一切認めていない。 魔物の国であるテンペストも本来なら言語道断。 だけど多くの商人や冒険者が出入りする以上、教会といえど問答無用とはいかない。 願わくば敵対したくないのが本音。 けれどそれを正直に言ってしまえば混乱を招くし、かといって認めてしまえば教義に反する……」
「それで侵攻を?」
「事を単純に見れば、そう見えるわね。 実際放置すれば信者の不信を招きかねないし、既に離反者もいる。 都市郊外の集落が特にそう」
ヒナタが見て来る。 即座に頭を下げた。
平手打ちマジ勘弁。
「あー……そりゃコイツらの所為だな。 とはいえ、離反者が出たのは教会の落ち度だ。 コイツらのした事は集落の防衛だからな」
「そうね。 それは本来、教会がするべき事だった。 それを代わりにしてくれたと見れば感謝するべきなのでしょうね。 けれど彼等を魔物扱いしている以上、下げる頭が無いのよ」
衝撃が来ない。 恐る恐る頭を上げる。
視線はリムルに戻っていた。 どうやら苦難を逃れたらしい。 クラフターは安堵し頷いた。
「で? 敵と味方の曖昧な境界が広がれば凋落するからと攻撃した訳だ。 ファルムスの侵攻も裏に教会がいたんだろう?」
「ええ。 親書を黙認したのは私よ」
「正直だな」
「認めるところを認めないと進めないでしょ。 先生の前で嘘を言いたくないし」
「……ヒナタ」
「シズさんがいなかったら?」
「いなくても認めるところよ」
「リムル、意地悪しないの」
だが手を打たなければ。
平手打ちの苦痛は、なんと牛乳バケツで治らない。 永続デバフに似る。
海底神殿の死闘が思い出された。 思わず苦悶の表情を浮かべる。
「彼等も苦い顔を……」
「意味は違うから大丈夫よ」
「え?」
「それより話を進めるぞ。 ファルムスが敗退した後、直接叩くしかないと騎士団が動いた……違うか?」
「私はね、リムルと話す為に連邦に向かっていたのよ。 なのに知らない内に100名前後の騎馬隊がやってきた。 これには七曜が糸を引いていると思う」
「七曜? ワイトキングから聞いたな……教会の賢者、最高顧問なんだっけ?」
「……かつては偉人だったのかも知れないけど、今はルミナス様の寵愛を受けようと秘密裏に私を排除したがってる年寄りよ」
「個人の見解もあるみたいだが、まぁそういう奴らなんだろう。 ワイトも嵌められたって言ってたし……神を崇めるなんだいって、上は利権や利益争いをしてる訳だ。 結局のところ敬虔な信者が泣く事になる」
やはり元凶を叩かねば救われないのだろうか。
いや、そんな事は認められないから、果たして本人を見た。 将来有望なマインクラフターの卵をここでカチ割るなんて選択肢は存在してはならないのだ。
「そんな目で見ないで。 私も気付いたの……教義を信じる者しか救えないんじゃない、ただ助かるべく努力する者に手を差し伸べるだけで良いのだと。 アナタ達がそうした様に」
爽やかな笑顔を向けられた。
頷く。 大丈夫だ、君を立派に育ててみせる。
先ずはサバイバルの基本を叩き込む。
「あー……吹っ切れたところ悪いんだけどさ、コイツらやりたい事をやってるだけだぞ?」
「それなら私もそうでありたい。 人々を救うのは、私が望むべき事なのだから」
「ヒナタ、クラフターになるの……?」
「へ?」
「「へ?」」
シズ共々だ。 スライム野郎は放置。
サバイバルの基礎から教える。 インベントリは空だ。 素手で木を伐採。 原木を加工し作業台を作り、木ツルハシをクラフトしたら丸石を採取。 すぐさま石ツールにグレードを上げて地下に潜り石炭や鉄をゲットだ!
「やめてくれよ……松明で村を囲むつもりか?」
「は? へ?」
「"ワキツブシ"という儀式でね……」
「儀式? 魔法詠唱などですか?」
「それで村を支配下に置くんだ。 実に狡猾な行為だよ……ッ!」
「彼等の松明は悪魔的な意味があったの?」
「一応、村の為らしいんだけどね」
早速腕を振るおうと思った矢先。
地下から突き上げる派手な音に驚いた。 思わずその場でジャンプする。
「地下で何してんだアイツら……悪い、ちょっと注意してくる。 続きは後で」
取り敢えずヒナタに食糧を渡す。
食糧の確保も教えねばならない。 生活が安定するまで、やる事は色々あるのである。
短め。
ヒナタ、クラフターになるってよ(未定。