寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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前回のあらすじ
ルミナス、ヒナタらと会合。
レオンの招待。

レオン領、エル・ドラドへ。
説明回が続くんじゃ。


151.別大陸と軽戦重食

 

 

「凄いな」

 

 

リムルに連れられる形で、大陸南西部に浮かぶ島……というより大陸にやってきた。

全土を支配し宇宙へ飛び出す勢いの創造主だから、既に足を踏み入れた同志もいる。

だがやはりというか、感動はするものだ。

 

 

「森、平野、湖、川、山岳部。 全てが魔法で整えられている魔法都市、黄金郷(エル・ドラド)。 螺旋状に配置された建物は計算され尽くされて、それ自体が魔法陣を描いている。 これで都市を防衛している、魔法攻撃を防ぐだけじゃなく、侵入者も分かる様だ。 魔力は住民から供給され、維持されている。 よく考えられているもんだ。 元建設畑の俺としては刺激されるものがある……お前らもか?」

 

 

イングラシアも計算された美しい都市であったが、ここも素晴らしい。

黄金色は趣味なのか知らないが、 エリトラ飛行者や地図を見た者は息を呑む事になる。 都市そのものが1つの模様を描くのだ。

クラフターも上空アートを作った事はあるものの、都市の機能をそこに持たせた事は無い。 ここはその2つを両立させている。 恐るべき計算センスだ。 我々も見習わねばならないと頷く。

 

 

「今回は招待に応じてくれて、礼を言う」

 

 

やがてレオンとかいう村人が来た。

ここの管理者、クラフターだ。

色々と都市開発の経緯を聞きたいが、通訳がいないのが悔やまれた。 思わず顰めっ面。

 

 

「招待していない客がいる様だが」

「俺がどうこうしなくても、どうせ同行してきたさ。 というか、既にコイツらの仲間が此処に来たんじゃないの?」

「その通りだ。 何人かは倒したがな、懲りずに来る。 都市を荒らす様子でもないから放置したら、周辺の森やら海峡に建造物を立て始めやがった。 失敗したよ」

「諦めろ。 俺は諦めた」

「ギィみたいに楽しめれば良かったがな」

 

 

茶菓子が出される。 戴く。 美味い。

我々もクッキーばかりでなく、他の菓子もクラフトしたい。 それは料理好き同志が何とかしてるだろうか。 ハチミツの生産も元の世界で成功したと聞く。 それも使えないだろうか。

バリボリと食い散らかし、茶をぐびぐび飲む。 おかわりも戴く。 クラフト出来ぬならクラフトを味わうのみ。

 

 

「お茶会には誘いたくないタイプだ」

「いや、何処にも誘いたくないタイプだよ」

「同意する……ところでその姿といい、本題の前に言いたい事があるなら言ってくれ」

「分かるか? シズさんの件だ。 アンタが召喚したんだってな。 そして精霊の棲家で奪ったイフリートを憑依させた。 そのあと、勇者と出会ったり色々あった様だけど、今は学園の教師に落ち着いているよ」

「ワルプルギスでも多少聞いたが、思ったより長生きしている」

「コイツらのお陰でな」

「スキルか?」

「みたいなものだな。 理屈は知らない」

「そうか」

「……イフリートを憑依させたのってさ、シズさんを助ける為だったんだろ」

「さぁな。 気紛れで何かしたかも知れないが、覚えがないな」

 

 

幾つかインベントリに入れる。

帰ったら研究する。 料理好き同志にでも渡す。

ついでにマグカップ等の食器類も。 見栄えが良い。 連邦にもあるが、是非クラフトしたい。 ケーキの様に飾りに使える。

続いて周囲を探索。 良い建物だ。 どれも高価そうである。 貰っていこうかしら。 いや落ち着け。 シルクタッチを心掛けねば。 いやいや、その前に人様の建物を弄るのはご法度というもの。

 

 

「……落ち着かん。 アルロス」

「はっ。 訓練場が御座います、此方へ」

 

 

鎧村人が案内したそうな目で此方を見ている。

アレだ。 ドワルゴンの時同様か。 観光案内だ。

ありがたい。 クラフターは腰を曲げてお辞儀。 ついて行く事にする。

 

 

「本題に入るぞ。 クロエという少女を知っているか?」

「ああ。 やはり、全て繋がってそうだな。 シズさんを召喚したのだって……」

 

 

開けた場所に出た瞬間、突然攻撃された。

痛い。 観光案内と思ったのに勘違いだったらしい。 だとして不意打ちとは。

其方がその気なら、此方も相応の対応をする。

クラフターは素早く臨戦体勢に移行。 ダイヤ防具を身に纏い、手にはネザライトの剣。 エンチャント済みだ。 元の世界から送られてきた最初のひと振りと比べれば弱いものの、ダイヤより強いのは間違いない。

エンチャントにしても、精通してからは未エンチャントの品など、おしなべて未完成の扱いをしている創造主。 最高のツールとは、最高の付加をしてこそ真価を発揮する。

創造主は剣を振るい、鎧野郎に挑む。 マルチの戯れ合いにしては『やりすぎ』な気がするが、相手が悪い。 殺しても許されるだろう。

 

 

「300年前、俺はこの世界にクロエ共々落とされた。 召喚ではなく、空間の歪に巻き込まれてな。 その時は10にも満たぬ年齢だったよ。 ヴェルドラが封印され、落ち着きを見せ始めた頃だったとはいえ、危険な世界だ。 クロエを守らないとならない、その想いから得た界渡りのスキルは『守護者(ガーディアン)』だ。 俺は得たばかりのスキルを使い、クロエを守った。 守っていた、筈だった。 なのに当然……目の前から消えたのだ」

「消えた?」

 

 

コイツ、消えるぞ!?

かと思えば背後をバッサリ斬られた。 まさかのテレポートだ。 エンダーマン級だ、コイツは。

 

 

「それからクロエを探す旅が始まった。 何年も、何年も。 もしかしたら元の世界に戻ったかも知れないとも思った」

「そうだったら良かった、のか?」

「クロエは天涯孤独の身の上だ。 俺が守らねばならん。 ならば、この世界に召喚すれば良い。 そう考えた」

「……身寄りが無いなら仕方ない、のか?」

 

 

振り返ると、もういない。

かと思えば遠くにいたり、いきなり目の前に現れてバッサリ攻撃してきた。

剣ガード。 時に盾。 時に土。

この野郎と、創造主は水バケツをひっくり返す。 これで近寄れまい。 エンダーマンなら、これで良い。 だが相手は上位互換の様なものだ。 反撃に転じてくるところを仕留める。

 

 

「召喚する為の知識を求め、旅を続けた。 その過程で部下になりたいと名乗り出る者が集い、やがて領土を得るに至る。 勇者だの魔王だのも勝手に付いてきた称号だ」

 

 

好き勝手させない。

創造主は丸石で簡易トーチカを製作。

対エンダーマン戦法を試す。 ワープする相手でも、攻撃するには近寄らねばならない。 その時、自らをトーチカ等で安全圏に置く事で、やって来たところを隙間から一方的にチクチク剣で突ける。

やってみた。 トーチカごと斬られた。 痛い。

 

 

「それはどうでも良かった。 とにかくクロエを召喚するべく研究に没頭、遂には召喚を行ったが……結果は知っての通りだ」

「シズさんか」

「そうだ。 クロエではなく、彼女を呼び寄せてしまった」

「だが助けた」

「買い被るな。 召喚時の大火傷……放置すれば死ぬ運命であったにせよ、今日まで生き延びたのは紛れもなく彼女自身の力だ」

 

 

なんて力だ。

次は黒曜石を試す。 流石に今度は斬れまい。

やってみた。 防げた。 やってみるものである。

クロエの時はバッサリいかれたが、あんな事がホイホイあって堪るかと思う。

そうでなきゃIRPの強化外骨格であるエンチャント黒曜石を携行可能にしなければならない。 それも面白そうだと思ってしまうあたり、良くも悪くもクラフターであるが。

 

 

「レオンなりの思いやりだな」

「……続けるぞ。 暫くして、ユウキ・カグラザカが現れた。 探している少女を探し出せると自信たっぷりに言うものでな、駄目で元々と依頼した。 結果は……」

「今の状況か」

 

 

黒曜石に驚愕しているところ、すかさず斬る。

ノックバックが発生し、遠方へと吹き飛ぶ鎧野郎。 追撃だ。 目には目を。 テレポートにはテレポート。 エンダーパールを投げつけ、相手の目の前にワープ。 視界に広がる驚く顔にオラオラと剣を振るまう。 反撃なんて許さない。

 

 

「そうだ。 ユウキはクロエ・オベールの召喚に成功してしまった。 それも異界からでなく、異界に来た当時のクロエを召喚する事によって」

「突然消えた原因って、ユウキか」

「頼んだのは最大の失敗だった。 そうしなければ、俺がクロエの召喚に成功していた可能性があった。 過ぎた今となっては、もしかしたら、の話だが」

 

 

伸びた。 トドメを刺せるが……やめた。

耐久値の無駄だ。 それに、これだけ痛めつければ良いだろう。 建造物の破壊や盗難が罪状なら殺していたが、マルチによくある戯れ合いに似る。 拳でなく剣を振る舞ってきたから、嫌だというお気持ち表明の為に反撃してしまったものの。

 

 

「クロエはユウキの支配下にある。 特殊な呪いのせいだ。 これを解呪するには3つの命令が消費されるか、ユウキを倒すしかあるまい」

「ならレオン、俺達と協力しよう。 ユウキの行動次第だが、俺達もユウキと敵対する。 クロエを助けたい気持ちは同じ。 利害は一致していると思うが?」

「ふん、別に構わないさ。 俺の望みはクロエの召喚と幸せを守る事だから。 だが貴様が役に立つかどうか、話は別だろう?」

 

 

どうしよう。

取り敢えず茶菓子を投げつけるクラフター。

食って腹を満たせば、ゆっくりと体力は回復する。 代わりに腹が直ぐ空くものの、また食えば問題ない。

それを思えば茶菓子じゃ足りないか。 対して満腹にならなそうだし。 仕方なし、ベイクドポテトも投げつけた。

 

 

「オッケー! 面倒な話は終わりで良いや。 俺の拳はラミリスと違って口だけじゃねーぞ!?」

「ふふ、試してやるさ」

 

 

口に捩じ込み、無理矢理食わす。

さぁ食え。 元気をつけろ。 回復薬は勿体ないから使わない。 本当に駄目なら使う。

 

 

「あ……」

 

 

リムルとレオンが来た。

遅い。 もう戦闘は終わった。

食物を口に詰め込みつつ、溜息を吐く。

 

 

「いやナニしてくれてんのお前!?」

「……何故、食べ物を食わされているのだ」

「ふ、不覚……例の人間が、こうも強く、意味不明な者だっ……モガガッ!?」

「すまない、コイツがお前の部下を痛め付けてしまった」

「いや、俺の部下が未熟だっただけの話。 気にする事は無い。 だがまぁ……気が抜けたな」

 

 

良いから食え。 空腹で良い事なんて無い。

腹が減っては戦はできぬ。 備えておく事だ。

言葉が通じぬとも、こうやってマイクラ流を教えるクラフターであった。




たんとお食べ。
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