153.開化と創造
「ユウキは帝国、か。 攻め込むより攻めてくるのを待った方が良いな。 ルミナスの配下が暗殺を試みたみたいだけど、失敗したらしいし」
ユウキが帝国に亡命、軍団長になったのが知れても尚、クラフター達はクラフトに勤しんだ。 最近は村人クラフターも増えて創造物に凄みが増した。 より生活が楽しくなった。 だから仕方ないね。
「お前らのを参考にしつつも、軌道を敷設して列車も出来た。 サイズもパワーも使うエネルギーも規格違いだが、輸送力はお前らのよりずっと上! これでコイツらに頼りきらずに済む!」
村人は自力でレールを敷設。 列車なるトロッコとは大きく異なる乗り物までクラフト。
かなり大型の乗り物で、対するレールも相応に大きいものの、多くの人員や物資を運べるのは魅力だ。
また、列車砲とも呼べるものまでクラフトされた。 が、リムル曰く「虚仮威し」との事。
「お前らのキャノンを参考にして造ったぞ。 通常弾の威力は俺達の方が上だがな! それに、軌道の上限定とはいえ位置を動かせる。 機龍より劣るが、兵器としては立派な役割を持たせられるよ。 まぁ、ベニマル達の方が頼れるけど」
分からなくはない。 配下にウィザー級を抱えているリムルだ。 その程度、という話なのだろう。
もし要らないなら貰うが。 あんな事やこんな事をして遊ぶ。 クラフトを愛する者だ。 愛でたい。
「そんな目したって、やるつもりねーよ。 飾りに近いっても、お前らに譲渡したら碌な事しないだろうし」
実用性よりディスプレイの側面が強くても良い。
軍事部は日々狂喜乱舞。 大変喜んでいる。 元より飾り系を多く造っていた同志だ。 使えるか使えないかは気にしない。 1番は見た目だろう。
勿論、理想は見た目と実用性を兼ね備えた創造だが。 黄金郷がそうだったように。
「後は魔装兵もやらん。 ベスターがドワルゴンで研究していたゴーレム作り……ラミリスや俺達が加わった事で、あっさり完成したよ。 ドワルゴンでは失敗続きだったと聞くだけに、皆苦笑しちゃったな。 軍事利用出来るぞー、って興奮する研究員もいたけど、アレはラミリスの玩具以上の価値は無いね。 ベレッタの方が優秀だし。 まぁ、お前らの作るゴーレムよりマシだろうけど?」
先程からリムルが創造物自慢でマウントを取っているが、クラフターは我が幸福の様に莞爾として頷くだけ。
創造物を愛する者として、リムルが子の様に創造物で喜ぶ様は見ていて嬉しいのだ。
"どこまでも超えていけ。 我が同志"
これにはリムルも恥ずかしくなって、頬を赤らめてしまう。
「おのれ、ナチュラルに笑顔を……!」
思惑が通じなかった事もだが、己が恥ずかしくなったのもある。
リムルは誤魔化す様に話を続けた。
「ま、まぁ最初こそ各国の研究員同士は仲が良いとは言えなかった。 折角各国から来たのに秘匿し、研究室に閉じ籠る感じだったな。 だが、お前らの創造物に釣られて外に出て、互いに顔を合わせる様になり、そのうち酒や飯を食う仲になり……ラミリスのマスコット化もあって、今じゃ打ち解け合っている。 ウチに来た上位吸血鬼とも仲良くなっている。 あのレベルになると、生き血は無くても問題ないらしい」
うんうん、と頷くクラフター。
言葉は分からない。 だがクラフトとマルチの話だと、雰囲気で察する。
やはりリムルもクラフター。 改めて思う。 嬉しい話だ。
「機龍やロケットに興味を持たれた事で、お前らの方も進展したんだってな。 通訳ちゃんから聞いてるよ」
クラフターは頷く。 我々も負けていないと。
リムル達程の派手な輝きは無い。 だが宝石より大切な我々の娘がいる。 あの子のクラフトを誇りに思う。
直近の例としては、軍事部と新規村人のお陰で進化したIRPとロケットだ。
後は軍事部員が大幅に増員。 近代化改修なぞと宣い、主兵装を剣と弓矢から銃や戦車に更新しつつある。
この後、改めて伺う。 創造は広がリング。
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魔国連邦地下。 IRP格納庫にて。
エンチャント黒曜石に覆われた、大きな2足歩行兵器を見上げる創造主達。
周囲を囲むメンテナンスブリッジを歩く同志や白衣村人が小さく見える。 それだけIRPは大きい。 ドラゴンだって踏み潰せる程に。
そんな元より凶悪な人工龍は、更に強くなって鎮座している。 暴れたら今度こそ手が付けられないのではなかろうか。
「マイナーチェンジの域を越えています」
その割に嬉しそうに、辛辣同志は言う。
親としても嬉しい限り。 続け給え。
「はい! サリオンの魔導科学……魔導工学、ドワルゴンの技師ら精霊工学、吸血鬼の物理学、軍事部の調整……多くの協力でIRPやロケットは進化しましたよ! 最初は調整するのに苦労しましたが、今や実証実験を皆が皆、楽しみにしている段階です!」
小躍りする我が娘。
詳細を説明願う。 最早、並じゃない。
「見た目こそ以前と大差ありませんが、中身は大分変わりましたよ。 BBを最適化、砲撃精度と射程は格段に上がってます。 大陸全土をほぼ射程に収め、ロケット事故の反省から移動目標に対しても、ある程度の命中率を誇ります。 脚部アンカー、スタビライザーも見直されました」
足元に寄る。
獣王国の使者が来た時にも使用した、猫の爪……姿勢を安定化させるアンカーは相変わらず鉄ブロック製のままだ。 メンテナンスで都合が良いからだ。 それに黒曜石よりこの方が取り替えやすい。
だが前回と違う点として、エンチャントが施されている。 内容は耐久値と攻撃力増加。 後者が施された理由は、固い石ブロックに対しても確実に刺さる様にする為だ。
「問題だったレールガンの充電時間は大幅に短縮。 専用の徹甲弾が開発され、これを用いれば、ロケットやカリュブディスの様な大型目標も一撃でしょう」
魚災の再来時、実戦で使用された電磁砲。
当時、威力は申し分なかった。 だが射程の短さと発砲まで時間が掛かる問題が残っていたのだ。
それが解決の方向に進んでいた。 良い事である。
「防御面においては、エンチャント黒曜石はそのままに、対魔防御として様々な結界を発生させられます。 魔素を浄化するホーリーフィールドも展開可能。 魔導パルスを最大にすれば、魔法弾の弾道を捻じ曲げたり魔力通信系を遮断出来ます。 その間はクレイマンの使っていたマリオネットハートにあった盗聴機能、暗号化した電気信号を参考。 味方との連絡は取れるように処置」
とはいうが、クラフターの念話は遮断されない。
電気信号通信はリムルとのやり取りに使用される事になりそうだ。
しかし魔法系も使う様になってきたIRP。 強い。
「コックピット後部、BBを格納していたバックパック部分などはカウンターウェイトの機能を持たせる他、各種誘導弾を発射出来る発射口を設けてます。 これは空を高速で飛ぶ目標に当てる対空誘導弾のみならず、地上にも攻撃出来る対地誘導弾、対水中誘導弾も備えます」
軍事部曰く『ミサイル』という兵装。
キャノンとは違い勝手が良いらしい。 誘導装置を組み込んだりと、クラフトが大変らしいが、かなり強力との事。
だが魔物の力を前に通用するか不明。 飛翔中に撃破される恐れアリ。
対水中兵装は湖底研究所から回収した技術も含まれている。
……あの深い湖の底、暗闇に沈む水陸両用実験機は放置されたままだ。 まともに稼働される事なく眠り続けている。
「索敵能力も付加。 リムルさん達が使用しているスキルに魔力感知、熱源探知、全能探知等がありますが、それをBBで解析して自力で使用出来る様にしました。 電波を発して目標物等との距離・方位を知れるレーダーも載せてあるんですよ。 これを元に砲撃も出来ます」
クラフターは目を丸くして驚いた。
さらりと、これまた凄い事を言うものだ。
今までは同志が目標座標を教えねば砲撃地点が怪しかったが、いよいよ自動化が進んできたか。 流石に長距離は難しいだろうが、それでも凄い技術だ。
「自衛兵装は銃の技術を取り入れて、胴体ディスペンサーの横や股間部に機関銃や火炎放射器を備えています。 これは軍事部の要請ですね。 矢だけじゃ不安なのでしょう。 実際、ミリムちゃんに通用しなかった記録があります」
不安というか、完全に趣味だろう。
クラフターは思ったが云わなかった。 楽しそうに語る娘に水をブッかける行為はしたくない。
「これだけ色々積むと、システムダウンの心配や機動力低下が懸念されました。 この世界の部品類との噛み合わせの問題もありました。 なので防塵対策や排熱ダクトを設け、補助動力としてRSジェネレーターも組み込まれましたが……BBは凄いですね、全然余裕でした。 更に言えば、稼働部の見直しで逆に速くなったまであります。 格闘戦も本格化しましたよ。 冷暖房完備、脱出装置も付けられました」
それでもミリムには勝てなさそう。
村人サイズにドラゴンサイズは不利である。 格闘戦に持ち込まれたら、また殴り飛ばされて終わるだろう。
やはりか、IRPは戦場から距離を置いて使用するのが好ましい。 その点、もしエンダードラゴンが低高度で近寄ったり、突撃して来ずに遠方からブレスばかりして、此方から近寄ってもスケルトンみたいに間合いを取ったりしたら苦戦していた。 戦闘において距離感とは大切なのだ。
それでもIRPが大幅アップデートした事に変わりなく、素直に喜ばしい。 クラフターは満足気に頷くと娘を褒めたのだった。
「えへへ……」
頬を赤らめて、笑った。
珍しく可愛らしい。 "彼"に見せたい、この笑顔。
「え、えっと! 次はロケットです!」
未だ赤い頬で連れられて、向かうは郊外ロケット・ランチャ。 発射場だ。
ビルみたいに大型のものと、クラフター1人がやっと入れる小型のが並んでいる。 前者が物資輸送用で後者が探索用らしい。
小型のはリムル曰く空飛ぶ電話ボックス、或いは空飛ぶ工事現場にある仮設トイレ。
クラフターには何の事か分からなかった。 たぶん、日本がある世界の代物なのだと思う。
「一見すると変ですが、レッドストーンブロックをエネルギー源にしているので、ほぼ無限に飛べますよ。 生命維持措置もクラフトしました。 ただ制御装置の耐久値が無くなると、動けなくなってしまいますが……アンタらなら大丈夫でしょう」
酷い。 スペースデブリになれと。
というか、その前に。 宇宙空間に空気は無い。
活動しようにも対策が要る。 あるのか?
生命維持装置とやらを装備すれば良いのか?
「宇宙服を試作しました。 これを装備して宇宙遊泳、様子を見て下さいね」
実験動物かな?
「はははっ。 やだなぁ、動物に失礼ですよ」
まさかの動物以下だった。
「リスポーン出来るから良いじゃないですか。 まさか、ベスターさんやリムルさん達にお願い出来ませんし。 人間を上げるにも二酸化炭素除去装置や気圧問題、温度問題がありますしセルフレスキューシステムの推進剤、ロープといった安全帯、食糧やトイレの問題、更に言えば魔物の場合は生命維持装置に魔素を溜めたり安定させる機能とか追加しないといけないし」
待て。 ちょっと待て。
リスポーンは分かる。 気圧だの温度だのも、気にした事なかったが、まだ理解出来る。
だが飯や安全が要らない様な発言は聞きたくなかった。 我々クラフターも飯は食わねば瀕死になるし、安全対策だって必要だ。 高所作業でスニーク姿勢を取るみたいなものだ。
リスポーンだって、デメリットはある。 特に謎無限空間の宇宙で死んだら、全ロストと同義だ。 回収は不可能だと考える。
そうでなくても、経験値はパァになるだろう。
クラフトもマトモに出来やしない。
そんなトコに対策ナシで行けるか。 帰る。
「新世界ですよ」
足を止めた。
今、なんと?
「新世界です。 眼前に新たな世界が広がっているのに、足を踏み入れない貴方達じゃないでしょ? 胸に手を当てて目を閉じてご覧なさい。 ネザー、ジ・エンド。 そしてこの世界。 ダイヤの原石が転がっていれば手を伸ばしマグマダイブする貴方達が……こんなところで燻るなんてマインクラフターじゃないです」
クラフターは娘から宇宙服を受け取った。
「今回、許可なら貰ってますから安心して宇宙の塵にでもなって来て下さい」
表情は満面の笑み。 個人ロケットに乗り込む。
"無限の彼方へさぁ行くぞ!"
「チョロい♪」
"シュゴオオオオオオオオオオオオオッ!!"
火の球が白帯を引きながら、宇宙へ上がる。
クラフターは無限の彼方へ旅立った!
生きて戻れる保証もナシに。
だが、宇宙の果てでも創造への想いは果てない連中だろう。 帰れるとしても、帰らず星の世界で遊び始めても可笑しくないのだった。
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一方、西方諸国方面。
ジュラの大森林周辺国家の集合体である評議会。
リムルが国連みたいなものかとした、この組織は魔物への脅威や貿易面、飢饉が起きたら支援を、といった国同士の調整が仕事である。
とまぁ、ここだけなら人類が手を取り合って仲良く頑張りましょうと喧伝されてそうな部分であるが、実情は各国の欲望渦巻く腐敗臭が。
運営資金は各国から捻出されているのだが、この金額によって議員数を増やす事が可能。 議員の増加は発言力の増加を意味する。 大国の矜持を示すには良い場所なのだ。
また、発言力の増加に伴い、ある程度自国に有利に出来る訳だ。 対して最低限の捻出金も定められており、これを納められないと評議会から脱退させられてしまう。
これはいざという時、助けてくれない事を意味する。 小国にとっては死活問題。 かといって捻出金は安くなく、四苦八苦している面もあるだろう。 この世界も人間同士で色々苦労しているのだ。
そして今、混乱の渦にあった。
世界中で好き勝手している創造主……マイクラ問題に加え、消えた自由組合総帥のユウキが数々の凶行に及んでいた事、それによる組合の混乱。
動揺が走るのも無理なき事。
挙句、最悪の情報が評議会に齎されたのだ。
"東の帝国に動きあり!"
評議会は大混乱に陥った。
混乱に次ぐ混乱。 評議会から脱退しかける国も出たり、各国の繋がりの崩壊危機を迎えている状況。
帝国が動くと噂されているのに、纏まりがなくては戦う以前の問題だ。
それは誰が見聞きせずとも明白。 もし帝国が侵攻してきた際に抵抗も出来ず小国にせよ調略を受けたならば、後に続く国が出てしまう。 そうなれば、残りの国家は敗北確定だ。
一部議員は何とか収めようと動き、対帝国大同盟を議論する事になったのである。
その日の議題は大きく荒れた。
その中には自由調停委員会の委員長として、ヒナタの姿があった。
常備軍を備える大国ならまだしも、余裕の無い小国に兵士はいない。
戦時は傭兵を雇うのが主流になっていたのだが、各国が同時に戦力備蓄を始めると人が足りなくなるのは当然の話。
そんな中、評議会参加国により、各々の軍の一部を寄り集め、評議会直轄軍の設立を主張する者が現れる。
「つまり、現状の議会警備兵だけではなく、評議会として軍を持つべきである! 平時は巡回でもさせておけば、魔物対策になるであろう。 自由組合が無くなり調停委員会が出来た今、委員会所属の冒険者を兵士として雇用するのも可能であると考えるが、如何に?」
おっと国連軍かな?
議員のひとりが主張した案は、各国の議会でも話題に出たであろう。
魔物や帝国に限らず、マインクラフターが世界各国で好き勝手しているのもあり、対策としては悪くない様に思える。
それに大国だろうと小国だろうと疲弊しているのはどこも同じ。 否定するには代案がない。
だが今後の付き合いや金絡みを考えれば、良くない話ともなる。 そう美味い話はない。
あれも政治、これも政治。 ついでに金も絡んでいく。 切実な問題なのだ。
「それは調停委員会所属の冒険者をそのまま兵士に徴用し、評議会の傘下に入れると言う事か?」
ヒナタはうんざりとする気持ちを隠しつつ、発言した議員に問い返した。
確かに、評議会より援助金は出てはいる。しかし、その額は然程多くない。
各国に滞在する者達を食わせるにも足りない程に。
その程度のはした金で、飼い犬になれと言われるなど、容認出来る話ではないのだ。
それに自由組合、現調停委員会も国家に帰属しない。 その立場はあくまで中立。
魔物の大量発生等の自然災害に対しては国家と協力する事はあれど、常時から国家に従う義理も義務も存在してはいない。
ましてや戦争なんて自然災害じゃない。 国家間の争いに巻き込まれる謂れは全くない。
クラフターに関しては連邦に属しているかの扱いをされる事はあるが、本人達も何処かの国家に属した覚えはない。
議員の発言したような、評議会の傘下に兵士を寄越せというような要求は、馬鹿馬鹿しくて相手にする価値も無い内容なのだ。
だが、今回は若干状況が異なっていた。
東の帝国の脅威を恐れた各国が、内々に手を組み、調停委員会の持つ戦力に目を付けていたのである。
「左様。 未曾有の危機に対し団結するのは自然の理。 委員会としても同様の判断を出して頂けるものと理解しておるが?」
「まっこと良き案である。 調停委員会としても今回の危機、見逃せまい? 我等人類が協同し、事に当たるは至極当然。 賛同して貰えますでしょうなぁ?」
クラフターが知ったら、キレて物理的に評議会を解散させそうな態度である。
されどヒナタは慌てず判断を下せる者であった。
拒否するのは簡単だ。 公平を理由に蹴れば良い。
元々の方針だし、話が合わないなら別の国へ出て行きますよとなる。 出ていかれた国は税収も減る。 また、不法労働を抑え、ならず者を減少させる必要な存在がなくなる。 困るのは国側だ。
だが断れば、議会と委員会が険悪になるのは間違いない。 何よりも委員会の協力なく足並み揃わぬ評議会では、帝国に太刀打ち出来ない現実があった。
では引き受けるか?
そしたら、委員会の権威を落とす結果となる。
出来て1年も経たない委員会では、足元を見られて舐められる。 それは避けたい。 今後の付き合いを考えるなら、対等の関係は維持しなければならない。
気に食わないが、立場も守らねばならぬ。
受ける事も拒否する事も出来ない。 それが答え。
そこでヒナタは提案を提示。
それは────。
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「はぁ!? アイツらを帝国にぶつける!?」
ヒナタから連絡を受けたリムルが喚く。
煩い。 此方は宇宙同志と交信したいのに。
「正確にはテンペストを、ね。 この話を認めてくれたなら、西方諸国は改めて魔国を認める他、其方を筆頭に西方諸国の戦力を任せる事になる。 防衛費も出させるわ」
ロケットは軍事部が1枚も2枚も噛んでいる。
ミサイルとやらもロケットの派生らしい。
噛めば噛むほど洗練されるならば、軍事部の存在は大変大きい。
「そりゃアレかい? 西方の軍隊代表になるって事だよね?」
「ええ」
「今後の付き合いを考えるなら、受けるべきだろうな。 断るにも、帝国が進軍してきたらウチは巻き込まれるだろうし。 良いよ、取り敢えず話だけでも」
「ありがとう。 イングラシアの議会に出席して欲しい」
「分かった。 だが言っておく」
「なに?」
「アイツらはウチ専属じゃないぞ。 それどころか何処にも属してない」
「……知ってる。 でも連邦所属にするのが世界にとって都合が良いのよ。 辛うじてね」
共に持ち込まれたハチミツ技術も良い。
聞けば元世界の同志がミツバチを発見。
養蜂が始まり、ハチミツの生産が開始された。
これでリムルや、配下のハチと取引する必要がなくなった。 レートは大幅に下がったと云える。
ハチミツはビンに入れて持ち運べる。 飲む事ができるが、それよりミリムの沈静化に大いに役立っている為、大変重宝している。 そのコストが抑えられたのは喜ばしい事なのだ。
同時にお菓子作り等にも割ける様になってきた。
ハチミツビン4つでクラフトすれば、ハチミツブロックが作れる。 上や側面につくと動きが遅くなる為、落下対策やアトラクションにも使えるかも知れない。
たかがハチミツ。 されどハチミツ。
クラフターとしては喜ばしい進展である。
「いう事聞かすのは困難だぞ。 アイツらに頼る事自体、不安しかない」
「私も協力する。 何故だか彼等の言葉が多少分かるようになったから」
「死んだからか」
「貴方も死んでみる?」
「笑えないぞ。 大丈夫かどうか分からないモノに頼るのは、他に方法がない時だ」
銃も日々進化。
軍事部が寝る間も惜しんでクラフト。
その結果、拳銃からボルトアクション式とやらのライフルなるものから、自動式になり、連射出来る様になり、ポンプアクション式とかなんとかな散弾式等の別方法も生まれ、弾丸にも種類が生まれるなどしていった。
元世界でもクラフトされたボウガンを遥かに上回る性能と進化速度。
好きこそ物の上手なれ。 されど我が同志ながら恐ろしい。 思わず身震いした。
「その話はしないでおこう。 元最強聖騎士がアンデッド化しました、その上今は委員長やってますなんて混乱を招くだけだろ?」
「言い方に悪意があるわね」
「気の所為だよ気の所為。 さぁ話はこの辺で」
戦車も然り。
防御力、機動力、攻撃力を備えていく。
小銃程度ならビクともしない。
悪路の走破性能も高い。 陸戦兵器の王者の風格が出てきた。 とはいえIRPには敵わないが。
それでも生産性では軍配が上がる。 既に地下や郊外、衛星都市にて大量生産。 1人2、3台は保有しても良い程に。
戦いは数だよ同志。 質も大切だけども。
「じゃあ話変えるけど。 さっき連邦から空高く上がる物体の報告があったわ。 アレは何?」
「ロケットだよ。 主任はアイツらの娘。 宇宙目指してるんだってさ」
「は? 娘? 宇宙?」
「連邦では良くあること」
おっといけない。 宇宙クラフトを聞かねば。
宇宙に打ち上がった同志に連絡をとろうとして……先に向こうから此方へ念話がきた。
"星は青かった"
マジかリムルカラーかよ、最低だな。
刹那的に嫌悪感で顰めた創造主であった。