寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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帝国軍事部とマイクラ軍事部が衝突。
なんか悪魔に名付けされてますが、話の都合的に……。


155.開戦と食中毒

敵愾心旺盛なマイクラ軍事部だったから、帝国軍事部4千台の戦車部隊がジュラの大森林に時速100km以上で領域侵犯して来た時は、ほぼイきかけました!

 

しかも空には飛空船なる新兵器!

凄い! 凄いぞ! アレは空を飛んでいる!

 

軍事部、ウキウキウォッチング不可避。

遂に。 遂にだ。 漸く。 後は暴力の問題。

迷宮都市に設けられた管制室にいるリムル達や大賢者によると、総兵数凡そ100万。

出鱈目な数字。 良く動けるものだ。 元の世界でそんなに密集したら世界が崩壊しかねない。 改めてこの世界は寛容だと思う。

 

 

「ガスター中将。 この森、明らかに人の手が入ってますよ。 綺麗に白樺が一定間隔で並んでます」

「例の人間共の仕業だな。 植林場にしてるのだろうが、進軍し易くて良い」

「管理人とされるドライアドが地下に埋められたって噂、本当だったのでしょうか」

「気にしてどうする。 黙って進め」

 

 

哀れトレイニーさん!

なんと、殺されたかの様な噂が立っていた。

トレイニーさんは生きているのに。 ちょっと難民みたいになって地下迷宮の森林都市に移住しただけである。

 

 

『うぅ……ヴェルドラ様、申し訳ありません』

『お姉様、泣かないで』

『悪いのは例の人間達です!』

 

 

だがしかし、クラフターは反省をしない。

 

それより戦車……欲しい。

4千台の戦車隊丸ごと鹵獲出来ないだろうか。 研究や素材、色々と用途がある。 多くて無駄にはならない。

マイクラ軍事部も、戦車の大量生産を行なってきた。 だが数は帝国程揃えていない。 更に云えば旧式戦車のレシピを元にしている。 クラフターなりに改良を施しているものの、やはり最新鋭には惹かれるのだ。

 

……話が逸れるが、MOD的要素を入れ過ぎて、マイクラ要素のブロックやアイテムの影が薄くなってるのではと心配である。

やり過ぎると、もうマイクラじゃなくて良くね状態になるので。

 

 

「お初に御目にかかります、皆様。 私の名は、テスタロッサ。 この領域の主、偉大なる魔王リムルの腹心で御座います」

 

 

戦車隊の前に突如として、美女が現れた。

新人悪魔で情報武官のテスタロッサだ。

クロちゃんを馬鹿にしてボコられた1人だが、受肉した今となっては緋色の髪の、美貌の持ち主である。

男女の概念が希薄なクラフター的には、着用している軍服の方に興味があった。

 

 

「さて、今日出向きました用件は『このまま立ち去るなら見逃そう。 だが、それ以上進入するなら、容赦しない』という、我が主の御言葉を伝える為で御座います」

 

 

軍服=軍事部志願者なんじゃね?

そんな淡い期待を寄せる軍事部。 後で接触しなければ。 同志大歓迎。

 

 

「それでは御機嫌よう」

 

 

優雅な一例をし、踵を返すテスタロッサ。

その態度が気に入らず、ガスター中将は狙撃兵に命令を下す。

 

(やれ!)

 

兵士は狙撃銃を構え、テスタロッサに狙いを定める。

それを見たクラフターは静観を止め、エンダーパールを投擲。

将来有望な同志を死なす訳にはいかないと。

クラフターがワープ先に着いたと同時、無音式魔導弾が放たれ───。

 

 

「ッ!」

 

 

間に邪魔したクラフターが、盾で弾いた。

初速にして音速の3倍に達する無反動の魔力の塊を、だ。

 

 

「防がれた!?」

「テレポート!? 空間系の魔法か!?」

「コイツ、例の人間のひとりか?」

 

 

見て口々に驚く兵士達。

対してクラフターは残心の構えを解かない。

軍事部もクラフター。 既に手にしている創造物の扱いは慣れているつもりだ。

銃の発射自体は兵士の操作。 銃弾の方向は銃口の先。 標的も分かっているなら、予測して防ぐ事は出来る。 撃たれてから防御するのでは遅いから、盾を常時構えてのワープ。

不安だったのは、相手がトリガーを引く前に間に合うかと、威力に対して盾で防御出来るかだったが、結果は出た。 一先ず安心。

 

 

「あらあら。 あんな詰まらない玩具、なんて事ありませんのに」

 

 

テスタロッサは言った。

別に助けなくても、彼女は繊細な指先で弾丸を摘み取りポイしていた。

だがまぁ、助けられて悪い気はしなかったのか、笑顔をクラフターにも向ける。

クラフターは御辞儀した。 今後とも仲良くしよう。 そして同志になるんだよッ!

 

 

「ま、惑わされるな! 皇帝陛下に勝利を捧げるのだ! 全軍、突撃!!」

 

 

怒った敵戦車隊が押し寄せて来たから、勧誘は後になりそうだ。

クラフターは迅速に丸石の壁や蜘蛛の巣を展開させたり、即席の対戦車塹壕をシャベルで掘り進軍を阻む。

無理に進もうものなら、森に仕掛けられたワイヤートラップや感圧板式の地雷(TNT)が起爆、戦車の底から吹き飛ばす。

後方ではキャノンが放たれ、ロケラン持ちが情け容赦なく戦車や随伴歩兵を攻撃。

マイクラ戦車隊も、それを合図に前進を開始。 互いに爆発物と銃弾を撃ち合い始めた。

 

こうしてアッサリと戦争が始まった。

帝国軍事部とマイクラ軍事部。

勝つのはどっちだ。

 

 

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

「マジで戦車が出て来たよ」

 

 

場所は迷宮地下の管制室。

ここからリムルやベニマルといった司令官クラスが、戦場を監視し指示を出す。

外部を映すモニターは、リムルのメギドを応用した監視衛星モドキから。 音までは拾えないものの、戦場の俯瞰映像はハッキリ見える。

帝国の戦車や飛空船も凄い技術で、剣と弓矢な騎士の世界からしたらチート級だが、リムルのは更にチートであった。 敵の行動が筒抜けなのだ。 情報戦では連邦が勝っているといえよう。

 

 

「湖底研究所にあった技術は、やはり帝国からパクったモノでしょう」

 

 

共にいる辛辣同志が言う。

彼女もまた、戦場ではなく此処にいる。 リスポーン出来ない身体なので安全な場所に居るべきなのもあるが、クラフターの通訳でもあるので、此処にいた。

尚、IRPのパイロットは軍事部がやっているので大丈夫。

 

 

「飛空船は作られなかったがな。 軍事機密だったんだろう」

「どうします?」

「戦車隊は囮部隊だが放置は出来ない。 騙されたフリをする為にもゴブタの部隊を加勢させる。 ドワルゴン方面から海上、山脈を越えて西方諸国を狙う飛空船団には、空を飛べるガビルの部隊を向かわせる。 なに、クロちゃん軍団の情報武官をそれぞれ付けてるし、大丈夫だろう。 なんならアイツらもいる」

 

 

因みに飛空船団にはガビル達より先にエリトラ部隊が既に襲撃をかましていた。 別の情報武官、ポニーテール少女ウルティマもついて行っている。

ところが、ボクっ娘な悪魔であるウルティマは悪魔らしく残忍なところがあり、可愛い顔して船団の兵士の頭を捥ぎ取って、情報を奪うというヤベェ事を始めていた。

それだけならクラフターはドン引きするだけだったのだが、最後は鹵獲したかった飛空船団を木端微塵にした為、クラフターと喧嘩を始めてしまうのだった。

 

強力な悪魔なので、クラフターは最初こそ蹂躙されたのだが……とある事で分からされてしまうメスガキになる。

一体、ナニがあったのか。

その答えは後程に。

 

 

「本隊の陸戦部隊は70万。 何とかしなきゃな。 進路からして、ドワルゴンとジュラの大森林の国境沿いから南下して侵攻してくる」

 

 

凄まじい数だが、一騎当千のリムル達なら何とかする。 加えてクラフターがいる。 自由過ぎて困るものの、味方でいる分には頼もしい。

 

 

「首都が狙いでしょうか」

「或いは迷宮都市。 それか両方かも知れない。 亡命してきた連中の意見を参考にするなら……」

 

 

リムルの言う亡命してきた連中、というのはガドラ爺さんなる人物と弟子のシンジ達。

迷宮都市にいるスパイの一部がシンジ達だったのだが、帝国からの仕打ちが酷かったり、迷宮都市で手に入る宝物等の報告をしたら強欲な者達が暴走、早期開戦が免れなくなったので、巻き添えを喰らう前に逃げて来たのである。

リムルは彼等を牢屋に入れる事なく、客人として迎え入れた。 味方は多い方が良い。

 

 

「首都に全軍を向けられたら苦戦は免れない。 ゲルド達もいるが……軍事部の支援を頼めるか?」

「既に守備隊が待機しています。 IRPが砲撃態勢、戦車隊多数。 随伴する馬鹿も完全装備で待機。 ビルに備わるキャノンも使えます」

「宜しい。 ファルムスとは勝手が違う戦いになるが、アイツらが更新した兵器群を見れば実力を疑う余地は無い。 好きな様にやってくれて構わない、だが味方を巻き込むなと伝えてくれ」

「了解しました」

 

 

斯くして戦争は続く。

この間、僅か数時間足らずの戦闘で約24万人の帝国兵が戦死した。

軍服悪魔とマイクラ軍事部の初仕事は、大戦果であったといえよう。

が、しかし。

クラフター的には飛空船の件でご立腹であったし、軍服悪魔をマイクラ軍事部に入部されねば気が済まないのであった。

 

 

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

「しつこいなぁ」

 

 

戦車隊より先に終了した飛空船団だったが、残されたエリトラ部隊はウルティマに抗議していた。

 

"飛空船、欲しかったのに!"

 

言葉は互いに分からぬので、行動で示す。 具体的には拳を振るい、雪玉や卵を投げ付けていた。 ウルティマは難なく避けつつ言い返す。

 

 

「そりゃボクも悪かったよ。 ちょっと壊すつもりが、全部壊れちゃうんだもん。 でもさ、脆い方が悪いよね?」

 

 

ナニ鳴いてるか理解出来ない。

核撃魔法の一種だか知らぬが、ウルティマは全てを破壊しやがった。 その事実に変わりない。

なんて事してくれたんだメスガキ軍服悪魔。

鹵獲すればエリトラと異なる飛行技術が手に入ったのに。 この代償は高く付く。 君を軍事部に入部させるか、こうして暴行する事で発散する。 つまり身体で支払え。

 

 

「壊れたモノは仕方ないじゃん。 それに、情報はある程度手に入ったよ? 兵士の頭を捥いで読み取ったからね」

 

 

言い訳されている気分だ。

クラフターはスニーク姿勢でネザライトの剣を振るう。 威嚇である。 行動で収まらぬ怒りを示す。

 

 

「へぇ。 ボクとヤろうっての?」

 

 

メスガキは売られた喧嘩を買う様だ。

かかって来い! 分からせてやる!

 

 

「君達ってリムル様に迷惑掛けてるし……1人や2人、殺しちゃっても文句ないよね!」

 

 

音速を超える速度で回り込まれた。

まるでワープ。 エンダーマンだ。 そのまま頭部に強い衝撃。 痛い。

 

 

「あれ、おっかしいなぁ? 頭捥げないね。 まぁ捥げなくても構わないけど、ねっ!」

 

 

反撃の隙もない。 そのまま連続攻撃を喰らい、野太い声を響かせた。 次の瞬間には頭部を鷲掴みにされてしまう。

 

 

「やっぱ強いんだねぇ。 でもその程度って事。 このまま、生きたまま魂を吸ってあげるよ!」

 

 

良い笑顔だ。 屈辱ッ!

そのまま窒息や毒状態に似た継続ダメージを喰らい始めるクラフター。

慌てて剣を使い、振り解く。 間髪入れず雪玉牽制をしつつ距離を取る。

くっ殺状態になるには、まだ早い。

 

 

「あははは、摘み食いされたのに平然と動けるなんて! 面白いよ君達! それに魂も、とってもオイシイなぁ……♪」

 

 

両手を頬に添え、内股で妖しく身じろぎするもんだから、クラフターはゾッとした。

ところが、段々と苦しみ悶え始めたので首を傾げた。

 

 

「うっ! 急に不味く……ッ!? うえぇ……」

 

 

お腹を抱え蹲り、口元に手を当て横になってしまった。

状態異常らしい。 毒のスプラッシュを当てた訳でもなしに。

 

 

「ツルハシ、スコップ、冒険、開拓、建築、農業、宇宙、世界……緑の悪魔、リフォーム、マグマダイブ、全ロスト、リスキル、ウィザー、エンドラ、エリトラ運動エネルギーの体感……目眩く創造と人生……」

 

 

白目になって泡を吹きつつ鳴いている。

重症だ。 だが殺そうとしたのだ。 このまま眺めているのも良いか。

 

……いや。 牛乳を飲ませて恩を売ろう。

 

ヒナタを助けた様に、コイツにもそうする。

さすれば仲間になるかも知れない。 軍服を着ているのだ。 きっと軍事部に入部してくれる事だろう。

そう思い、牛乳バケツを無理矢理飲ます。 これで状態異常は治る。

 

 

「ゴポッ!? ゴポポポポポ…………ッ」

 

 

さぁ飲めメスガキ!

お前も同志になるんだよッ!!

 

 

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

森での戦車戦は最初こそ拮抗していたものの、テスタロッサの"死の祝福"(デスストリーク)という死の魔法によって終息を迎えた。

それは黒い光を周囲に拡散させるもの。 物理的に破壊を齎す事は無い。 だがほぼ全ての物質を透過する、自然発生する事の無い光。

そしてこの光の特徴は恐ろしかった。 生物を透過する際、その遺伝子配列に影響を与えるのだ。

遺伝子を強制的に書き換える事により、ほぼ全ての生物を強制的に死滅させる。

邪悪極まりない、死の魔法。

戦車の搭乗員含む全ての部隊員は悲鳴1つもなく死亡、戦車そのものは無傷という事態になる。

それを見た軍事部は、戦慄と共に身を震わせる他なかった。

 

 

「ごめんなさいね、手柄を横取りしちゃって。 でも貴方達だけじゃ時間が掛かっちゃうもの」

 

 

妖艶に微笑むテスタロッサ。

クラフターは頷く。

やはり軍事部に入れるべきだと。

取り敢えず新型戦車を鹵獲する事は忘れない。

 

 

「ですが驚きましたわ。 何人か"祝福"を受けさせましたけど……生き延びるなんて」

 

 

黒い光を浴びた同志を見やる軍服悪魔。

御辞儀し礼を示す同志。 なんか黒い光を浴びたら強化されたので。

攻撃力と俊敏性、跳躍力、採掘速度が上がり、更に決戦用上位金リンゴを食べた時の様に体力の最大値まで上がった。 牛乳を飲んだら元に戻ってしまったが。

全く。 やるならやるで、早く強化して欲しかった。 敵が殲滅された後では活躍出来ないじゃないか。

だが好意は受け取る。 彼女に負けぬ位の笑顔を見せて応対した。 ありがとう。

 

 

「え、ええ……無事で何よりですわ」

 

 

引き攣った笑顔をするテスタロッサ。

果たしてクラフターに魂とか遺伝子とか、そういった概念があるか怪しい他、あったとして弄られて平気なのか不明であるが、取り敢えずこうなったものは仕方ない。

 

 

「と、とにかく。 戦車という玩具は手に入りました。 ウルティマの方はちゃんとやってるのでしょうか。 しくじってないと良いのですけど」

 

 

とは言うものの。

まさか、クラフターを"摘み食い"して、ソレに分からされてるとは夢にも思わなかった。

 

その後。

遅れてやって来たガビル達が、牛乳をガブ飲みさせられているウルティマを発見。 これを回収。

クロちゃんを馬鹿にしていたのに、今度はテスタロッサ達に馬鹿にされる事になるとは、彼女の心核も傷付いただろう。

 

 

「もう許してぇ!? ボクが悪かった!」

 

 

暫くクラフターの顔を見る度、気持ち悪くなる症状が続いたという……。

 

 

「ウルティマは一体、ナニを体験したんだ」

「私を馬鹿にした罪が当たったのでしょう」

 

 

落ち着いたら落ち着いたで今度、ツルハシやスコップを持たせようとするクラフターに追われる事になるウルティマなのであった。

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