寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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前回のあらすじ
戦争準備。
軍事部がヤバイ爆弾をクラフト。

今回のあらすじ
天地対抗合戦、遂に開催。

知識の無い(或いは薄まった)ハヤモですので、マイクラ的、科学的や物語的に間違い等ある可能性があります(今更感。

何だかんだ、ここまで来ました。
設定や面白味が欠けていってる気がしたり、自分でも何がしたかったのか疑問に思ったり。
そんな状況下で完遂出来るか不明、不安な気持ちの中で続けてきましたが……。
多くの読者の方々の支えでございます。
ありがとうございます。
今後を含めると、これまた不明ですが、楽しんで貰えれば幸いです。


160.大戦開始とマルチ

寝て起きてクラフトしてきたクラフターだったが、とうとう事変が起きた。

まぁ予期していた事は良いとして、驚くべきは別にあった。

 

 

『ボクの名はヴェルダ。 この世に破滅を齎す者だ。

今日、この日この時を以って全世界の住人に対し、宣戦布告を行う。

生か、死か。

精一杯、抗ってみるといいよ。 では、始めようか。最終戦争ハルマゲドンを!』

 

 

凄い。 上空に大きな映像が流れているぞ。

利用者が荒らしなのは気に入らないが、技術に罪はない。 可哀想に。 出来る事なら戦後、我々がその技術を奪取だ。

 

 

「何が生か死か、だ。 勝手に2択で迫りやがって、どこの悪徳商法だ。 コイツらみたいに生きる事を前提に考えて、その上では、どう生きるか考えた事がないんだろうな」

 

「色んな意味で建設的な方法が考えられない破滅厨でしょう。 荒らしとは、得てしてそういう生き物です」

 

「あと、どういう訳で名前を変えてるんだ。 ユウキの中の人格か?」

 

『悪徳の意志(アンラ・マンユ)の名の可能性があります』

 

 

リムルは懐疑的な鳴声を上げた。

分かる。 どういう技術なのだと。 エリトラホバリングも未だ出来ない我々だ。 この世界は未知の技法で溢れている。

一方、辛辣娘は相変わらず辛辣である。 相手が荒らしなので構わないが。 寧ろ誉めたい。

 

 

「あっ! 天使が出てきます!」

 

「宣誓通りとはいえ、先制攻撃を喰らった気分だよ。 なぁ先生方?」

 

「……どう反応すれば良いんですか?」

 

「笑えば良いと思うよ」

 

 

さても、上空の荒らしが話し終えるのを合図に、突如空中に巨大門が現れた。

そこからは続々と羽虫が湧き出て来ている。

それは連邦のみならず、大陸の主要都市等を狙っている様子。

 

 

「お前ら好きにやれ! 天使共を追い払え!」

 

 

リムルが偉そうに鳴く。

 

やれやれ全く。

 

ゾンビイベントどころじゃないイベントだ。

元の世界では体験出来ない規模だろう。

故に。 どうせやるなら、楽しもう。

その方が面白い人生だ。

各地の者は様々な兵器を手に持った。

軍事部は特にこの手の祭りを好んだ。

 

 

「方法は問わん。 余程の事じゃなきゃ、各国も今回は許してくれるだろうし!」

 

「いやー……やっぱ言っておきます。 コイツら、核や反物質爆弾をクラフトしたらしいのです。 何でもありだと、下手すると惑星規模の災害が発生する可能性があります」

 

「ファッ!?」

 

 

荒らし許さん慈悲は無い。

マイクラ軍事部、戦闘開始。

 

各自、様々な兵器のレバーを握る。

ひゃっはー。 新鮮な弾薬散財祭りだァと。

 

とはいえクラフターが今使用しているのは戦時の緊急生産装備類。 品質に統一性がなく、性能も決して良いとは言えない。

一部新型設計も行われたが、殆ど少量生産。

大半は旧式を改修したものか、鹵獲した戦車や銃火器を掻き集め、性能不足を改造やエンチャントで補填。 戦力の足しにしている。

それでも準備期間はあった方だ。 クラフターのクラフト能力は個人でも凄まじい。 それをマルチで協力した。 創造された武器の山が無駄にならぬ事を願う。

 

 

「お、お前ら……ジオフロントや機龍、レールガン、ロケットとか科学系を造ってきたとはいえ……核は兎も角……いや核もヤバいけど、反物質爆弾まで作るとか、どうなってんだ!?」

 

「私も知りたいです」

 

『同意します』

 

 

核爆発や対消滅は最終手段だ。

本当に駄目になった時に使用する。

我々は荒らしではない。 創造主でありたい。

 

 

「頼むから、奴ら以上に世を無に返す真似はしてくれるなよ!?」

 

 

リムルが騒ぐ。

今回は仕方ないと思った。

大賢者と情報の取引をしているBBによると、リムルの元の世界には"科学"と呼ばれる学問的知識があるそうだ。

核爆弾はその科学から生まれた強力な爆弾……たった1個で大都市を吹き飛ばせる創造物であり、既にリムルの元の世界では多く量産されているという。 世界を何度も破滅へ追いやれる程に。

一方で反物質爆弾は、もしかすると……それ以上の技術と危険な爆弾である。 が、理論上の話等であるらしく、実現していない。 仮にあっても秘匿されているかと思われる。

それ程に危険な爆弾、技術なのだ。

 

それを軍事部はクラフトしてしまった。

 

科学とは理解出来る範囲にしか存在しない。

超えてしまえば、SFというもの……いや。 もっと恐ろしいモノか。

それこそ、この世界の魔法やスキルである。

互いに理解が及ばぬものだ。

故に歩み寄る。 偶に殴り合ったが。

 

 

「なるべく荒らすな、と言ってます。 特に核や反物質爆弾は許可出来ません」

 

 

当然だ。

クラフターは笑顔で頷いた。

使う前に、シオン級を試す。 順序は弁えているつもりだ。 安心して欲しい。

それでも駄目なら別の手段。 使うにしても戦術規模から戦略規模へと上げていく。 安心して欲しい。

 

 

「安心の要素ねぇぇぇぇぇ!?」

 

「戦争や兵器に人道も何も無いと思っていましたが、実はある気がしてきましたよ」

 

 

ごちゃごちゃ鳴いても、戦争は止まってくれない。 既に各地の対空兵器は稼動。

TNT弾幕や、誘導弾が大量に飛翔中。 空を耕しまくっていく。

地表戦の準備もしなければ。 戦争は忙しい。

 

 

 

 

 

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「IRPは予定通り攻撃開始しました!」

 

「連邦に飛来した天使は40万! 他の倍の戦力との事!」

 

「怯むな! パイロット、撃って撃って撃ちまくれ!」

 

 

連邦地下、ジオフロントIRP格納庫内。

ベスター達技術者や、地下施設に携わるクラフターは慌ただしく動き回る。

それを現在指揮するのは、クラフターの息子……弟君であった。

騒音や広さに負けないよう、小さな身体から出来る限りの声を絞り上げ、皆に指示を出していた。

 

 

「大きいチェストにシュルカーを入れて、誘導弾をフルスタックにしてますが、それでもIRPの携行誘導弾は約9万3千発。

効果が無い者、回避された者、耐えられた者を考慮すると、尚更に全てを相手には出来ません!

地上戦もあると想定すれば、逆に全てを誘導弾で相手にする必要はありませんが、補給要請が来た場合に備えて下さい!」

 

「了解!」

 

「効率と安全を考えて、IRPは格納庫に戻りません!」

 

「ほ、補給は現地ですか!?」

 

「応急修理は!?」

 

「先輩達が現地で行います! 皆は弾薬やリペア材の準備に専念して!」

 

「は、はい!」

 

 

弟君は連邦地下、ジオフロントの格納庫で指揮官代理と化していた。

普段は辛辣な姉が指揮を執るのだが、彼女はリムルが設置した迷宮都市地下の本司令部にいる。

クラフターの通訳が出来る希少な人物、という意味で分かれたのだ。

その意味ではシズやヒナタも通訳出来そうなのだが、残念ながら、それぞれの国や組織に属している以上、守るべき場所が別にあった。

シズはイングラシア。 ヒナタはルベリオス。 加えると西方諸国の纏め役。

無理に連れて来れない。 よって、こういう配置になった。

 

弟君は経験が浅いクラフターではあるものの、軍事部にいたし、実戦経験もある。 通訳だけの価値だけではないのだ。

指揮を執った経験こそ無かったが、配属されているメンバーが優秀なのもあり、今のところ問題はない。

 

 

「先輩達はクラフトを続けて! 最悪、ここで立て篭もり籠城戦です! 自衛武器は常に携行して下さい!」

 

「万全です!」

 

「本司令部との連携は密に!」

 

「既に!」

 

「避難経路は確認済み!?」

 

「問題なし!」

 

 

それを見る親、クラフターは満足気に頷く。

自慢の息子だ。 元の世界で教育してくれた同志、軍事部に感謝したい。

最早、姉弟は負の遺産ではない。 希望だ。

 

 

「今までのは訓練でしかなかった……僕達が滅ぶか向こうが滅ぶか、戦争は……残酷なんだ……」

 

 

弟が震えた。

側に寄り添ってやる。

 

 

「先輩……」

 

 

心配するな。 我々がついている。

そして、終わらせる。 必ず。

 

 

「僕、死ぬの……怖いです」

 

 

皆そうだ。 己もだ。

恐怖が全くない訳では無い。 気持ちは分かる。

 

リスキル、封印、世界という土台の破壊。

それは我々にとっての、絶望。

創造意欲を掻き消し、我々の存在を消していく。

 

だが戦う。 戦うのを止めた時、世界が破滅するから。 築き上げた創造世界が、我々の生き様が否定されるから。

それを断じて認める訳にはいかない。

輝きが消えて喜ぶ奴を許す訳にはいかない。

戦える者は我々を置いて他にいない。

これが本番だ。 勇気を見せろ。

絶望はいらないぞ。 鶏肋にもならないからな。

 

 

「そうですよね……はい、頑張ります!」

 

 

よし。 良い子だ。 頭にぽん、と手を置いた。

それは一瞬だったが、不思議な気持ちに駆られた。 内側が熱くなる。 創造への熱意とは違う何かだ。

だが、居心地の良い何かだ。

 

この気持ち、無くしたくない。

戦う意味が、またひとつ創られた瞬間だった。

 

 

 

 

 

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「天使が来たぞ!」

 

「迎え撃て!」

 

 

連邦上空には飛来する羽虫の群勢。

マイクラ軍事部は即行動。

ビル群の屋上や側面に備えている対空TNTキャノンをフル稼働させ、防空識別圏とした幾つかの高度を爆煙で耕しまくる。

IRPは後部ハッチをフルオープン、機関銃の如く景気良く誘導弾を撃ちまくった。

更にはデッドアイモードで、マルチキャノンによる正確な砲撃……狙撃を行う。

 

BB演算によりターゲットが重複する事なく、無駄なく効率的な攻撃。

それは、リムルの大賢者……オートモードと似ているかも知れない。

また大賢者とリンクする事で、演算を分散処理。 スループット大幅上昇。 戦闘中も情報収集。 最適化を随時行う。

 

機体各部の制御、操縦反応速度上昇により攻防優れた機体となった。 また、マイクラ軍事部熟練パイロットの腕で、スペックを更に超越していく。

その証左に羽虫が続々爆散。

マイクラと、この世界の両クラフターにより創造されたハイブリッド兵器、恐るべし。

 

 

「民間人は警備隊の誘導で避難済み。 後の細かい事はリグルド殿がやってくれた。 建物に気を遣う必要はないぞ!」

 

「オイラ達は、アイツらが撃ち漏らした天使をやるっすよ!」

 

「クフフフ……羽虫を殲滅して、改めてアピールしなければ」

 

 

武装村人も張り切っている。

軍服悪魔もいる。 強いから頼れそうだ。

量産型アイアンゴーレムより間違いない。

 

 

「頑張ってねクロちゃ〜ん!」

 

「また死体処理をさせてあげますわ」

 

「そうそう、クロちゃんは下がってなよ」

 

「三下は、消される覚悟が出来た様ですね」

 

「クロちゃん、仲間割れは駄目っすよ!?」

 

「先ずゴブタ殿からです」

 

「ぎゃあああ!?」

 

 

かと思ったが勘違いだった。

結局、最後に頼れるのは自分だけの様だ。

 

IRPパイロットは手元のパネルを確認。

残弾が少ない。 念話で補給要請。

刹那、同志が土ブロックで機体上面に取り付くと、カウンターウェイトでもあったバックパックに新鮮な弾をブチ込んでいく。 ホッパーもあるにはあるが、直接放り込んだ方が早い構造らしく、そうされる。

 

改善の余地あり。

転移魔法……その魔法陣とやらをIRPに描いて貰えば、安全な場所から補給出来るかも知れない。

それは次回以降考えよう。 今は困難。

 

その間、弾幕に耐えたか、すり抜けた羽虫に機関砲を浴びせまくった。 射程に入ったなら使わない理由はない。

 

 

「機龍……噂以上の凄い火力ですね」

 

「モミジさん。 義勇兵の士気は大丈夫で?」

 

「やる気も指示も大丈夫。 人間の勇者が纏めてくれてますし」

 

「勇者マサユキですか。 彼のカリスマ性はスキルから来てるみたいですが、こんな時こそ役に立って貰いましょう」

 

「人魔混成、技量もバラバラの烏合の衆を纏め上げるのは難しい事ですからね」

 

「まもなく市街戦に突入しそうです。 ご武運を」

 

「其方も。 避難所の防衛、頑張って。 それと」

 

「はい?」

 

「旦那様のベニマル様に私の武勇を……」

 

「ははは……勝った後で良ければ」

 

「なら絶対に勝たないとね」

 

「「ご武運を!」」

 

 

村人の中には、しっかりしてるタイプもいた。

前言撤回。 やる奴はやる。 期待する。

 

補給が終わった。 同志も仕事が早い。

また誘導弾連続発射。 羽虫を爆破。

反撃する奴もいるにはいるが、外殻のエンチャント黒曜石を破壊するには至らない。

多少刹那的にヒビが入ろうと、マイクラ概念で即自動修復。 継戦問題なし。

 

 

「我が軍が優勢だ」

 

「機龍様々であるな」

 

「此処ではな。 衛星都市……迷宮都市はリムル様や幹部級がいるので案じていないが、他国はどうなってるのか……」

 

「大丈夫っすよ。 皆強者っす。 それに」

 

「それに?」

 

「アイツら世界中にいるっすよ」

 

「ああ……別の心配が出来た。 国ごと天使を吹き飛ばすとか」

 

「ははは! 建造物を愛するヤツらが、そんな本末転倒な事するとは思えないっすよ!」

 

「ナニやらかしてもおかしくない連中だろ」

 

 

他所はどうなってるんだろうか。

シズやヒナタも頑張ってるのだろうが、同志の状況は如何に……。

 

 

 

 

 

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連邦より南、獣王国と天翼国方面でも戦闘発生。

西方諸国も同様。

広い目で見れば大陸全体。

大陸最西の未開拓地や、北の氷バイオームは襲撃を受けていない様子であるが。

何にせよ、荒らしだ。 来たなら殲滅する。

当然のようにいる現地クラフターは、戦闘を開始。 さっさと片付けて幸福な開拓や新築生活に戻るのだ。 その為には素晴らしく優れた兵器が必要。

クラフトの前後上下にもクラフトがあるのだ。

その1つや2つ、使用するのはいつもの事。

 

 

"よーし。 パパ、核撃ち込んじゃうぞ★"

 

 

これに限る。

核投下座標伝達を、息をするように行う現場クラフター。 同様に連邦にあるサイロ区画の同志も嬉々としてロケットに核爆弾を搭載、データ入力を始め。 阿吽の呼吸。

辛辣同志が止めてきた。

 

 

「ヤメテエエエエ!? 最終手段を初手に使わないでえええええ!?」

 

 

娘、司令室で悲鳴をあげる!

隣のリムルや、大将のベニマルもビビる!

マイクラ念話が聞こえない(伝わらない)彼等からしたら、突然発狂したヤバい女に映る。

 

 

"大丈夫だって安心しろよ。 しっかり戦術核だから。 それをロケットに積んでルベリオスに撃ち込むだけなのDA!"

 

ルベリオスは欺瞞の国。

ルミナスとヒナタ、そのファンクラブの騎士団連中も荒らしみたいなものだ。

共に消えたところで困らない。 寧ろ喜ぶ。 主に我々が。

 

 

「しっかり荒らしだから!? 沢山の人達が悲しむから!?

あと娘の夢を載せる代わりに核載せるとか度し難いんですけど!

更に言えば、戦術か戦略かに限らず、そもそも使うのが駄目だってんです!?

ミリムちゃんよりデストロイしたら、世界そのものが終わっちゃいますよ!?」

 

 

"じゃあ反物質爆弾で対消滅DA★"

 

 

「じゃあってなんです!? 威力や汚染の有無だけを問題視してんじゃねーです!

破壊じゃなく消滅だからとか、効率100%とか変な事云っても駄目です!?

エネルギー損失云々、効率厨になり過ぎて本質を見失っては駄目ですよ! それこそ荒らしの始まりです!」

 

 

好き嫌いの激しい娘だ。

良いクラフターになれないぞ。

 

 

「アンタら屑親よりマシです!」

 

 

軍服悪魔は核撃していた。 種類はあったかに思えるが、大量虐殺に変わりない。

また、身体が改造されるらしき攻撃でも荒らしは死んだのだ。 核爆弾や反物質を使えば似た惨事が起きるかも知れない。 だが何故アレが許されて我々が駄目なのか。 コレが分からない。

あと、ドラゴンが戦った北海は大量の魔素により海獣が変異、凶暴化した。

ただでさえ北方開発はギィと愉快な仲間達により妨害されて大変なのに。 現地クラフターへの同情を禁じ得ない。

 

 

「分かるでしょうが!? 原理も結果も違うでしょうが!?

あとね、核使ったら魔素とは別の有害なモンが放射されるでしょう!? 北部より酷い状況を大陸中で起こしてどうするんですか!」

 

 

求め得られる結果は似たり寄ったり。

だが、実際に行うと思わぬ発見もあるやも知れぬ。

実験屋からすれば、理論屋の予想外の事が起きて欲しいものだ。 時と人によるが。

 

 

「発狂しているところ済まない。 アイツらが何かしたのか?」

 

「核や反物質爆弾を使おうとしたんです!」

 

「核……反……なんだって?」

 

「リムルさん」

 

「…………サイロを封鎖するんじゃ駄目?」

 

「1度ヤツらが知り得たクラフトは、皆に広く共有されてる恐れがあります」

 

「つまり?」

 

「核や反物質を載せたロケットが世界中、そうでなくても核や反物質爆弾が量産されてる可能性がある、という事です」

 

 

かも知れない、と頷く。 クラフターが。

この場にいる者は分からなかったが、クラフトに必要なのはレシピと材料と設備だ。

これが揃えば、クラフト出来る。 軍事部だけに出来て、一般が出来ない理由はない。

つまり、この世界のみならず、我々の世界でも核拡散が発生している可能性は十二分にある。 反物質爆弾も。

荒らしの手に渡ればアウトだろう。 世界は常に崩壊の危機を迎える事になった。

 

うん。 ヤバいね。

今更にクラフターは思った。

 

 

「核拡散……加えて反物質? このファンタジー世界でこんな事になるなんて、誰が予想出来ようか」

 

「馬鹿共は組織ではなく、個人単位で動いてます。 協調性がゼロではありませんが……連中の記憶を覗けたところで、全ての脅威を取り除ける確率はゼロに近いかと」

 

「どこまでも厄介者だな、アイツらは。 そのうち放射線物質が封入された清涼飲料水でも作りそうだ」

 

 

項垂れるリムル。

開戦したばっかりなのに、リーダーがソレでどうする。

将来あるかも知れない最悪の可能性より、今に目を向けて欲しい。

煩い羽虫を倒してからだ、考えるのは。

 

 

「とにかく、ソレらは使わずに対処するよう伝えて欲しい。 俺たちに出来る事なんて、今はそれくらいだ」

 

「分かりました」

 

 

辛辣が云う。 新型爆弾は使うなと。

頷く。 けど、ヤバい時は良いのだろう?

ココは確認しておこう。

使う機会があるなら、使いたいのが本音。

 

 

「使用禁止ッ!」

 

 

マジか。

今度はクラフターが項垂れる番に。

仕方なし。 どちらにせよ、世界が崩壊するのは阻止したい。 戦う事は間違いない。

最悪、元の世界か宇宙に脱出しよう。

行き先? 生き方? クラフターだから、無ければ創るだけである。

我々の道はいつだって、そうだろう?

 

 

 

 

 

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世界大戦勃発中だというのに、新型爆弾の使用が禁じられた。 なんて事だ。

リムルと辛辣娘の意向らしい。 甘い事をいう。 されど世界が終わっては元も子もないのも事実。

 

代わりに爆弾の材料を入れたポーションが作れるか試そうか。 それも"甘く"して。

そうすれば甘いリムルは許可してくれそう。 そうして核分散させて、後でそれらを材料に堂々スプラッシュ式にクラフトした小型爆弾を作れるかも知れない。

 

だが今は遊んでる場合ではない。

軍事部は残念に思いながらも、羽虫迎撃は怠らない。 新型クラフトが封印されたところで、立ち止まる我々ではない。

技術は困難を乗り越える際に作られる事がある。

この状況もそうだ。 そう考えて前向きに行こう。

 

 

「おい! 暇なら手を貸してくれ!」

 

 

場所はミリムの城。

ゲルド達が建造したこの地にも、奴ら荒らしが現れた。 既に獣王国のカリオンと取り巻きが戦闘している。

城の中にミリムがいるのは分かるのだが……加えて天翼国のフレイまでいる。 それぞれの国にいると思っていたので、意外性があった。

 

 

「俺様は四凶天将の1人、ヴェガ! 貴様らが例の人間共か!

だが所詮は人間の上澄み程度! 無駄な抵抗は止めて、さっさと俺様に喰われるがいい!」

 

 

まぁ、未だ村人の生態は理解し難い。 無理に解明するより、今は成すべき事だ。 我々は荒らしを駆逐するのみである。

取り敢えず手当たり次第に羽虫に弓矢を射る。

持ち込んだ自動小銃や機関銃も撃ちまくる。

高速飛行する荒らしに当てる芸当を見せつけつつ、愚直にも突撃してきた虫は斬り伏せた。 虫特効は効果が見られない。 残念だ。

 

 

「少しはやる。 だが、所詮は雑魚! 俺様を傷付ける事すら出来ぬわ!」

 

「気を付けろ! アイツは他の天使共とは違う!」

 

 

ハァンハァン鳴く荒らし。

手には槍に斧をクラフトして生み出したかのような得物を装備していた。

他とは違う。 クラフターも分かる。

それはそれで興味深いが……煩い虫だ。 早々に黙らせる件は他と変わらない。

カリオンと取り巻きは友好のまま邪魔しなきゃ良いとして、取り敢えず弓矢を射る。

弾かれた。 まぁ、そんなとこだと思った。

 

 

「フン! 無駄だ、無駄無駄! 貴様ら雑魚に俺様を傷付ける事すら……ぬっ!?」

 

 

一斉射。

弓矢のみならず、銃撃を嵐の様に食らわせる。

全てエンチャント済みだ。 毒なり火炎なり命中した相手を光らせる弾だったり色とりどりの弾幕。 ある種の花火のようで美しい。

 

 

「ふ、ふん! 無駄無駄! 雑魚がいくら足掻き手数を増やしたとこで……ま、待て! 取引をしよう! 参った! 降さ……」

 

 

荒らし許さん慈悲は無い。

何か鳴いているが構わず押し切る。 マルチならではの捌ききれない数の暴力に裁かれるが良い。 世界を、我々を敵に回した荒らしは必然とこうなる運命なのだ。

 

 

「馬鹿なああぁッ!!?」

 

「お前達には驚かされっぱなしだな」

 

 

悪は蜂の巣になり汚ねぇ花火となり空中で終了してしまう。 皆で掛かればあっけないものだ。

ウィザーも召喚前に準備しておけば、ある程度対処出来る。 今回もその例に似る。

新たな創造物と同志を持ってして挑む大きな祭りなのだ。 だが簡単に終わっては困る。

少なくとも、楽しむ暇は欲しい。 これだけ装備と同志が、この異世界に集合したのだから。

 

 

「カリオン、直ぐ戻って来て! ミリム様が危険かも知れない」

 

「なんだと!? 分かった、直ぐ向かう! お前達、余裕のある奴は城に戻れ! ミリム様が危ねぇらしい!」

 

 

カリオンと取り巻きが城に向かった。

二次会なら喜んで。

クラフターは適当に残党羽虫を相手にしつつ、瞬足ポーションを飲む。 その足で立派な魔王城内へと駆け込むのであった。

一応、その途中で経過報告兼、応援の同志を要請。 前菜の後のメインなら、人手があって困る事はない。

 

 

 

 

 

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「ミリムちゃんの元に謎の人物です!」

 

「見ればわかるよ」

 

 

司令室のモニターに映るは、ミリムの居城。

そこには突然城内に現れた、ルシアと名乗る銀髪の天使。 ミリムを大人にしたような美しい女性の姿であったが、機械の様に無表情。

既に初手を打たれて被害が出ており、ミリムはともかく、共にいたフレイと部下が重傷を負わされていた。

ここにいる彼女達ハーピィは決して弱くないのだが、天使側が圧倒的格上だった。

それを見せられたミリム、激昂して相手に殴り掛かるものの、謎の力に阻まれて触れる事すら出来ないでいる。 ピンチである。

 

……ついでとばかりに、マインクラフターも数名突撃していく様が映る。 何処にいても今更驚かないリムル達だが、逆に呆れと妙な不安と安心感の塊が歩き回る光景は謎の頼もしさがあった。

 

 

「アイツらもいるな」

 

「ミリムちゃん、気に入ってますからね。 快く迎え入れたんじゃないですか」

 

「かもな。 フレイは嫌がったろうなぁ」

 

「ですが今は大きな力です。 役立ちますよ」

 

 

そう。

普段迷惑系なクラフターだが、こういう"対荒らし"戦闘では大きな戦力!

彼等がいるところ、大抵何とかする!

少なくとも、最悪の事態にはなるまい!

 

 

「さっそく仕掛けてますね。 問答無用で」

 

「おお! 天使を吹き飛ばした!」

 

「他と違う異様な天使にも、ノックバックエンチャントが効果的で助かりました」

 

「キャッスルガードという絶対防壁を展開している様子だったが、それでも通用するとか、アイツらの魔法は恐ろしいな」

 

 

実況しつつ、様子を見守るリムルと辛辣娘。

だがそれも次の光景で余裕が吹き飛んだ。

 

 

「ああ、取り巻きの奴の攻撃を受けちまったな。 だが、ついでとばかりにアイツら爆弾を……ん? 色が通訳ちゃんの服と同じ緑だぞ? しかも青色混じりの……まさかあああ!?」

 

 

今度は悟ったリムルが絶叫する羽目に。

これでも国主であり、醜態を曝すべきではない。

だがしかし!

映像の爆弾は例のアレに決まっている!

マイクラ世界風に言えば帯電クリーパーカラー。

巨匠爆弾とも称すべき世界規模の危険物。

 

その正体は核(或いは反物質)爆弾★

 

映像に映る爆弾の威力は知らないが、絶対碌なものじゃないのは確かだ。 色々吹き飛ばされてしまう気がしてならない!

最悪の事態ッ! 誰がならぬと保証した!?

火打ち石を持たないあたり、脅しか最終手段用に予め設置したのかも知れないが、奴らクラフターの事だ。

死んでも復活するから、自爆も視野にしている。

巻き込まれるミリム達も荒らし扱いしているところはあるから、天使ごと滅んで貰う算段なのかも知れなかった。

フレイやカリオンもいるが、所詮村人のひとりやふたり感覚。 平然と生命の大地を吹き飛ばす。 今まで馬鹿に苦しめられたリムルと娘は未だ悪夢を見続けているのだ。

 

 

「使うなって言ったでしょうがああ!!?」

 

 

通訳ちゃん、叫ぶ!

だが戦闘に夢中で返答がない!

 

 

「俺、行ってくるわ! ベニマル、あとの指揮頼んだ!」

 

「は、はい。 お任せ下さい」

 

「ラミリスも来るか?」

 

「はぁ!? アタシに死ねと!?」

 

「昔、ミリムの暴走を止めた経験があると聞いたんでな。 つっても、今は難しいか。

やっぱり俺が出るしかないわな」

 

「そうね……ミリムをお願い!!」

 

「おう! 任せとけ!」

 

 

こうしてリムルは慌ててミリム城へ。

現れた天使が誰で何しようとするか分からんでも、クラフターのやる事は、やはり碌でもなかった。

で、またリムルが説教しに向かうのである。

いつもの事だが、止めないと天使より先に世界を滅ぼしかねない。 仕方ないね。

 

 

「取り巻きを抑える為にも、ディアブロ!」

 

「はっ! ここに!」

 

 

瞬時に現れるクロ、じゃなかったディアブロ。

その背後には3柱の悪魔。

どうやら、やっと名前が与えられた様子。

クロちゃん卒業おめでとう!

 

 

「死体処理を続けても良いんだよ?」

 

「ネームド入り、おめでとー!」

 

「配下より遅れて名を貰ったな。 ねぇどんな気持ち? 今どんな気持ち?」

 

「まだお仕置きが足りない様子ですねぇ」

 

「……ここで武力行使はやめて下さいよ」

 

 

リムルは背後での会話には聞こえないふりをしつつ、ミリムの下へ急いだのだった。

 

 

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

クラフターは乱入者に嬉々として挑んでいる。

ミリム城の品評会をしつつ時々戦場を俯瞰していたのだが、突然ミリムの目の前に現れた羽虫と交戦する事になった。

暫く鳴き合いがあった次の瞬間、あっという間にミリムの取り巻きは戦闘不能レベルに陥った。 フレイも含む。 しかし息はある。 後でポーションを投げつけれるなりで治るだろう。 だが今ではない。 動き回られると邪魔だし。

 

 

「まさかキャッスルガードの絶対防御まで貫通してくるとは。 やはり貴方達の存在と力は予想を常に大きく上回る」

 

 

何か機械的にハァンハァン言っているが気にせずガンガン行こうぜと、剣を振り弓矢を射て拳銃を撃つ。

全てエンチャント済み。 耐久ⅠやノックバックⅠの捨てエンチャントの類でも構わない。 それで謎の障壁を貫通出来る。 "特効"研究をせずに済むのは大変楽である。 面白味に欠けるものの、便利だ。 エンチャント万歳。

 

 

「ですが力及ばない様ですね。 この私を倒し切るものではない様で何よりです。

ですが居られ続けてはミリム・ナーヴァ様をお連れするのに不都合なのも事実……殲滅せよ」

 

 

だが手応えがない。

吹き飛ばせはするのだが。 やはりエンチャントも良く考えないと駄目だろうか。

 

 

「ミリム様に纏わり付くムシケラめ、身の程を知るが良い! 死ね! 天雷轟爆撃!」

 

 

奴の取り巻き、純白4人の内1人が襲って来た。

巨大な斧、いやハンマーと呼ばれる得物が降ってくる。 慌てて横移動で回避。

先程までいた床が爆発した様に大きく広範囲に抉れてしまう。

しかも何かしらエンチャントがあったらしい。

ガーディアンの様な雷撃が周囲に撒き散らされ、クラフターは吹き飛ばされてしまった。 凄い衝撃だ。 色んな意味で。 水中神殿攻略より大変かも知れない、これは。

 

 

「友を傷付けるなんて、許さないぞッ!」

 

 

吹き飛んだ隙は、ミリムが埋めた。

親玉に殴りかかっている。 が、見えない壁に阻まれた。 その衝撃がクラフターを襲う。 ノックバック的な意味で。

仕方ない。 最悪ここを爆破して敵ごと吹き飛ばそう。 城は素晴らしかったのだが。 建造物はまた造れば良い。 荒らしを野放しにする方が世界にとって危険である。

 

 

「ミ、ミリム様……感情的になっては相手の思う壺です! 彼等は健在です、落ち着いて!」

 

「フレイ、皆が傷付けられて黙ってなどいられない! ましてやコイツ、亡き我が父上……星王竜ヴェルダナーヴァが待っているから来いなどと!」

 

 

思えば、神殿も水中破壊出来るよう工夫したTNTで壁や地形を吹き飛ばした時もあった。

負の状態異常が継続する水中神殿の空間では、ポーションを利用して効率強化のツルハシを振るったとしても、ショートカットを狙えない。 状態異常の効果で全然壁を破壊出来ないからだ。 イラッとした。

真面目に攻略した同志もいたが、場合によってはそうした。 仕方なかった。

そして今。

荒らしを生かす訳にはいかないのだよ。

そんな思いから、隠し持っていた携行戦術核を設置。 大きさや見た目はTNTと酷似する。 ただし威力は比較にならない。 この辺一帯は消滅するだろう。

しかもエンチャント付きだ。 訳分からん魔法による障壁も突破する。 巨匠爆弾で問答無用のリフォームオチに持ち込もう。

 

 

「大丈夫か? 助けに来たぜ!」

 

「カリオン……ッ!」

 

 

と、ここで新たな村人のハァン声。

見やれば外にいた一部同志と、オマケのカリオンが加勢してきたではないか。

心強い。 マルチ故の喜びを感じる。 とはいえどうなるか。

やっぱ核爆発か。 実験的には試したい。

 

 

「ムシケラが増えたところで、結果は同じよ」

 

「どうかな? 今さっき、ヴェガとかいう奴をコイツらが片付けたんだが?」

 

「だからなんだ? 此方は更に強く4人もいる」

 

「こっちはその上をいってるんだが?」

 

「舐めるなよ、数揃えたところで敵わないって事を教えてやるわ、獣風情が!」

 

「来いよ。 弱い奴程、良く吠える」

 

 

良く鳴く荒らしだ。

先程の荒らしもそうだったが。 喧しいからと強弱は分からない。 油断はしない。

 

 

「クフフフ。 私も混ぜて貰いましょうかね」

 

「ボクもボクもー!」

 

「命令ですから」

 

「楽しい事してんな」

 

 

またハァンが増えた。

軍服悪魔達だ。 遅れてリムルまできた。

 

 

「ディアブロ達は天使の相手をしろ! 俺は馬鹿とルシアとかいう奴をやる!」

 

「ご武運を」

 

「ん? よぉリムル。 幹部級をゾロゾロ連れて連邦は大丈夫なのかよ」

 

「カリオンさんこそ。 此処がヤバそうだったんでね、慌てて来たんだけど余計って事はないだろ?」

 

「その通りだ。 ミリム様が攫われそうでな。 一体奴は何なんだ……!」

 

「全くだ! 核だか反物質だか知らんがヤバそうな爆弾を設置しやがって!」

 

「は? え?」

 

「最後の手段にしても、早々に設置して誘爆したらどうするんだ馬鹿! 直ぐに片付けやがれ変態創造主糞野郎共が!」

 

「突然仲間割れ!?」

 

 

ウォッ。

登場早々、蹴りが飛んできた。

やりやがったな! この悪食スライム野郎!

 

向こうが続け様に剣を抜く。

此方も装備。 剣戟を始める。 渡したネザライトの剣先が早速我々に向けられるとは。

この戦時には無いと思っていただけに油断した。

この戦乱に紛れて我々を殺す気だ。

やはり油断ならない相手だ、リムルは。

 

 

「うおおお! さっさと片付けろおおお!」

 

 

 

凄い剣幕。

嵐のような剣速。 キレッキレの剣技。

ついていけず、剣ガード。 盾も使う。 丸石や土壁は一瞬で破壊されて意味を成さない。

いやぁ。 強くなったなリムル。 でもこのタイミングで何故こんな事をするんだ。

 

 

『爆弾を片付けろと言ってます』

 

 

娘が念話通訳してきた事で、やっと理解した。

こんなにも直ぐにバレて対応されるとは。

剣盾の耐久値が勿体無いので、望まれた通りに爆弾を殴ってアイテム化、回収してみせた。

リムル、満足して剣を鞘に収める。

 

 

「最初からそうしろ!」

 

「いきなり過ぎて……どう突っ込め良い?」

 

「見苦しいところを見せた。 まぁ馬鹿は放っておいて、天使を倒そうぜ」

 

「お、おう……」

 

 

リムル達の監視網も侮れない。 思えばその手の事にも腐心していた気がする。

我々の念話や創造物に対抗する為だろう。 そう思うとリムルと世界の成長を時々垣間見える。 間接的にも関われた。 それが嬉しくなって頷いてしまう。

 

 

「はぁ……分かれば良い」

 

 

一方、軍服悪魔達は取り巻きを相手にしていたと思えば……決着は即ついた。

恐ろしく早い。 クラフターは見逃した事を少し惜しむ。 いやまぁ、大したものじゃないなら興味は失せるものの。

 

 

 

一応、終了者を紹介すると以下の通り。

 

大戦鎚ウォーハンマーを操る、トルネオット。

雷の属性を持つ。 筋肉質な大男であった。

クラフターに攻撃をしたのはコイツ。

 

両手斧、グレートアクスを操る、アリア。

火の属性を持つ。 小柄な少女の外見をしている。

 

三叉槍、トライデントを操る、オルカ。

水の属性を持つ。 細身でしなやかそうな身体つきの、美人である。

 

九尾鞭、ナインテイルを操る、プリシラ。

風の属性を持つ。 中肉中背だが、豊満な胸が特徴的だ。 目を閉じているのが印象的な、中性的な風貌をしていた。

 

 

 

メタい事を言えば、名有りなのに使い捨て。

即落ちした。

原作、当作問わず多くいる気がするが、それも今更である。 敵が自身の力を過信して、此方を見下していたら次にはワンパンされて呆気なく終わるワンパターン。

強さアピールもあるとはいえ、あまりこの手を繰り返すと、大丈夫か不安になる事もある作者(ハヤモ)であるが、原作でその手の描写があるので多少は、ね?

それに直ぐ終わる方が作者的に楽である(殴。

 

で、どうなったというと。

 

 

「ようし、ボクは斧と槍!」

 

「仕方ないわね。 ま、私は何でも宜しくてよ」

 

 

ボクっ娘ウルティマは2人指名。

残りはお嬢様的なテスタロッサ。

 

 

「で、私は外の残党……」

 

 

金髪カレラは顰めて言った。

ハズレを引いてしまった様な立ち位置。 本当ならヴェガの始末をする筈が、既にクラフターが倒してしまったのでそうなった。

ならリムルの援護をすれば良いじゃん、と思うのだが、そこはディアブロが担当。

 

 

「クフフ。 死体処理も頼みますよ」

 

「いつか決着を付けないといけないみたいだな」

 

「お前ら頼む。 今は止めてマジで」

 

 

勿論、主人の前で粗相をする悪魔達ではない。

天使が動くと同時、悪魔も動く。

 

そして。

 

テスタロッサ vs トルネオット&プリシラ

ウルティマ vs アリア&オルカ

 

といった戦闘が開始されたのだった。

 

 

 

が、結果は勝負にもならなかった。

 

トルオネットがクラフターにも放った技を、テスタロッサに放つ。

対して生と死を司るテスタロッサの手に、デスブレード、黒の大剣が顕現。 次にはトルオネットを両断。

それで終わらず、繰り出されたエネルギーの塊を苦も無く握り締め、自分の魔力に纏わりつかせた。

崩れ落ちるトルオネット。

 

 

「返すわ」

 

 

そこに容赦なく、そのエネルギーを返す。

閃光、圧縮、崩壊。

トルオネットは原型を残さず気化、死亡した。

 

 

「ひ、ヒィイ!!」

 

 

その様にプリシラは驚愕、悲鳴をあげた。

2対1で、自身らのエネルギー量や今までの経験からくる自信から負ける筈がないと思っていたのに、あまりに呆気なく……あまりの力の差に心が折れる。

 

 

「あら、どうしたの? かかってらっしゃい。 優しく相手して差し上げますわよ?」

 

 

微笑みながら近寄って来るテスタロッサ。

プリシラは半狂乱になり、泣き叫んだ。

 

 

「や、止めて! 来ないで!! お姉さん、謝る。 謝るからぁ!!」

 

「あら? 確か、悪い子にお仕置きするとか、仰っていなかったかしら?」

 

「ごめんなさい、失言でした! お姉さん、調子に乗ってましたあ!!

ゆ、許して下さい!! 貴女様には逆らいません。

差し上げます、何でも差し上げますから、命だけは!!」

 

「じゃあ、貰うわね。 その天使の力を。 その代わり見逃してあげるわ」

 

 

悪魔お姉さんに分からされた天使お姉さん。

そんな彼女の力を奪うべく、ご機嫌にプリシラに手を翳すテスタロッサ。

ところが、そんな悪魔にも不幸が訪れた。

運悪くルシアに吹き飛ばされた(正確にはミリムの余波)クラフターが間に入ってしまったのだ。

 

 

「ッ!?」

 

 

天使の力と共にクラフターの力まで吸ってしまうテスタロッサ。

その結果どうなったかというと……。

 

 

「ヴェオエェェッッッ!!?」

 

 

吐けないものを吐く汚声絶叫!

ウマズい、意味不明な味が悪魔を襲う!

テスタロッサは美女がしてはいけないような声と共に苦悶の表情をし、青褪め、腹を抱えて床で疼くまる!

 

魂に限らず、クラフターの力を変に奪おうとするだけでもこうなるとは。

クラフターは煮ても焼いても食えない存在なのだろう。 犠牲者がまた1人、増えてしまった瞬間だった。

 

 

「ひ、ひぃぃ……!」

 

 

プリシラからしたら、悪魔の嘲笑。

無様に這い蹲りずりながら、その場から逃げ出す。 だが不幸は終わらない。

彼女は力を失った以上、身を守る事を優先しようとした。 その行き先は外に未だ残存しているヴェガの部下。

だが残念ながらヴェガ同様、部下の天使達はクラフターに倒されてしまっていた。

他にしても残留組……カリオンの部下とクラフター、加えてカレラ。 絶望的な戦力差である。

そして見つかったプリシラはどうなったかというと、意外にも殺されはしなかった。 ただクラフターに縄で捕縛されてしまい、近藤同様に地下に引き摺り込まれる事になっただけである。

本来なら、敵味方の判別など考慮していなかったヴェガに殺されていた運命なのだが……これを幸か不幸か判断するのは人それぞれだろう。

 

こうしてテスタロッサの戦いは終了。

 

一方、ウルティマ。

炎を纏ったアリアの両斧を片手で受け流し、ブラッディーバイトでアリアを穿つ。

それは致命の一打となり、アリアを絶命に至らしめる。

驚愕するオルカの意識からウルティマが消失し、背後から、

 

 

「はい、終了!!」

 

 

と聞こえた。

同時に胸に熱い痛み。

そして……2人は悪魔の少女に葬られ終了。

会話がない分、テスタロッサより早く終わった。

だが恐怖も苦痛も感じなかったのは幸いであった事だろう。

 

この様にして悪魔と天使の戦いは終わった。

 

クラフターはコレを見逃していたのだが、たぶん見ていても別の意味で見逃していたであろう。

 

……だが蹲る軍服悪魔にナニ思う。

またか、程度だ。 対応も同じ。

 

 

「テスタロッサ、コレで分かったでしょ?」

 

「え、えぇ……ここまでとは……うぷっ!?」

 

「うわーっ! 今は吐かないでよ!?」

 

 

クラフターは迷惑な存在だ。

だが味方である内は頼もしい。

 

状態異常な様子のウルティマに馬乗り……跨ると、牛乳バケツを手に持ち無理矢理口を開かせ強制的に摂取させる。

飲めよ飲め飲め。 さすれば楽になるぞと。

 

 

「ゴポ……ッ、ポポ………」

 

「やめたげてよぉ!」

 

 

善意の笑顔で、救命活動を行うクラフター。

実に頼もしい存在だ。 飲まされてる悪魔は白目を剥き、同僚悪魔は涙目になっているが。

 

悪魔より悪魔かも知れない。

だが頼もしい存在なのだ。 たぶん。

 

 

 

 

 

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クラフターが対峙している銀髪は、どこかミリムに似てる気がする。

余計に腹が立つ。 リムルがシズの姿を模倣している様に、コイツもその手かも知れない。

だが荒らしが荒らしの姿を真似るとは。

殺意マシマシ、エンチャント多め、同志だくとなるのは時間の問題でしかなかった。

もうね。 我々を煽ってるとしか思えない。

殺す。 絶対許さない。 慈悲は無い。

 

 

「俺も加勢してやる」

 

「俺様も忘れるなよ」

 

 

リムルが立つ。 カリオンも並ぶ。

マルチって良いなと思える。 荒らしを殺すにも大勢で祭りをした方が盛り上がる。 クラフターは暗黒面で頷いた。

 

 

「これはこれは、魔王リムルと飼犬に成り下がった元魔王カリオンではありませんか。

貴方達の事は野蛮な連中と共に存じておりますよ。 ヴェルダ様に楯突く愚か者。

そして、私の邪魔をしてくれた、忌々しい魔王であると」

 

「好き勝手言ってくれる」

 

「で、アンタは何な訳? 天使なのか、それとも……スキルが自我を持った存在か?」

 

「では自己紹介を。

私はルシアの名をヴェルダ様より授かった者。 貴方の推測は概ね───」

 

 

隙ありぃ!

増援軍事部クラフターは乱入と同時、ネザライトの剣で銀髪を吹き飛ばした。

壁に吹き飛び貫通し、砂埃の中に沈む。

すかさず弓矢と拳銃に持ち替えて、煙に向かって撃ちまくる。

ついでに開発したスプラッシュ式TNTともとれる新兵器、手榴弾を投げまくり煙向こうを爆破しまくった。 煙を更に増産。

───同志の光の矢が当たった。 煙向こうだが位置がハッキリ分かる。 容赦なく光の線で作られた人影に向かって更なる追い討ち射撃を敢行。 新設計の軽機関銃を"右手のみ"で構えて、フルオートで撃ちまくる!

隙を生じぬ弾幕形成後、そのまま"左手のみ"でロケラン発射。 大きな爆発と衝撃が城を揺るがした。

 

 

「おい!? 話の途中なのに容赦ねぇな!?」

 

「敵とはいえ、聞ける情報は得たいところだったが、まぁ隙を見せる方も……いやねぇか。 不意打ちみたいなもんだったからな。 同情はしねぇがよ」

 

 

荒らし許さん慈悲は無い。

隙を見せればヌッ殺す。 そうじゃなくてもヌッ殺す。 敵だ。 生かしておけぬ。

鳴いてようと通訳がいなければクラフターには理解出来ない。 出来てもやっぱ荒らしだろう。 我々の行為は間違っていない。

 

 

「わはははっ! 流石はお前たちなのだ! また新しいスキルを、いや、オモチャを作り出したのだな! 会う度に楽しいぞ!」

 

「それは貴女だけよミリム……」

 

 

背後でミリムとフレイが鳴いている。

この件が片付いたら、次はお前でも良い。 ミリムにも恨みはある。 昔、連邦ジオフロントを散々に破壊しやがった罪が。

だが今はなすべき事を成す。

煙向こうに見える、光の人影が消えるまで撃ちまくるクラフター。

弾切れになれば、空撃ち前に手慣れた動作で弾薬箱を取り替えるリロード動作。 好きこそ物の上手なれ。

やがて光が消え、撃ち方止め。 煙が晴れるのを残心の構えで待つ。

 

 

「本当、野蛮な連中です……ッ!」

 

 

ヌッと出てくる銀髪。

表情こそ変わらぬも、怒声のハァン。

あれだけ攻撃したのに、その程度か。 ダメージが通っていないと見た。

バースト射撃で何発か試し撃ち。 表面で弾かれ跳弾が離れた壁に当たったのが分かる。

駄目か。 新型の純粋な能力を測る為にエンチャントしなかったのは不味かった。

 

 

「感情らしきものを持ってるとは驚きだ」

 

「コイツらの攻撃も驚いたがな……」

 

「だが駄目なのだ。 ワタシも加勢しよう」

 

「俺たちは邪魔しない程度に援護するよ。 コイツらは好きにやるんだろうけど」

 

「フレイ、動けるか?」

 

「なんとかね」

 

「外には俺様の部下とアイツらがいる。 ここにいる怪我人連れて、一旦退け。 あとは任せろ」

 

 

有翼村人達は離脱するようだ。

飛行能力が落ちたのか、よろよろと徒歩で戦場から遠ざかる。

その方が良い。 戦えない者が此処にいても良い事はない。 我々は我々の仕事をするのみ。

具体的には目の前の荒らし駆除。 取り巻きは既にいない。 後は親玉らしき銀髪で終わりで良いんじゃない?

 

 

「ところでルシア、といったか。 目的はなんだ? ミリムを激怒させ、支配しようっていうのか?」

 

「フフフ、その程度は見抜く能力はありましたか。 その通りです。

ミリム様は、偉大なるヴェルダ様の御息女。

この世界の崩壊に協力して頂き、後に誕生する新世界の母となるべきお方!

その為には、下らぬ記憶は不要。

この世界の汚らわしい思い出ごと、全ては白紙に戻されるべきなのです。

そして、貴方達はその穢れの代表格。 滅ぼされるべき存在。

貴方が此方の目論見に気付いた事は褒めて差し上げましょう。

ですが、既に手遅れなのです。 そろそろ十分でしょう。

この場で滅ぶが良い、邪悪なる魔王と混沌の群勢共よ。

さあミリム様、そこの者達を滅ぼすのです! 王権発動(レガリアドミニオン)!!」

 

 

ミリム、"王者の支配"を受けて硬直……した様に見えた。

でもチラッと此方を見て一瞬笑みを浮かべた。

演技。 悪に堕ちるフリだ。 クラフターには難しい高等テク。 敬服する。 どこかわざとらしい気がしないでもないが。

 

 

「考えがあるなら合わせようか……」

 

「そうだな。 クレイマンの時を思い出す」

 

 

リムルとカリオンも察して、奇妙なハァンを上げ始める。 おふざけの1種に似る。

 

 

「げ、げぇ!! ミリムを操るだとうぅ!!」

 

「……わざと過ぎやしねぇか?」

 

 

たぶん、これが正解だとしておく。

我々も合わせて腰振りダンスを披露した。

首も激しく動かして見せる。 ふざけるなら、ふざけよう。 同志同士でやり合う様に。

 

そこにミリムの拳が飛んでくる。

これもおふざけの1種だろう。 我々も同志に悪戯で殴る事がある。

 

 

「ちょっ、ゴファッ!?」

 

 

が、ミリムはガチ殴りだった。

リムルは避けたが、踊っていた同志と丁度背後にいたカリオンが纏めて吹き飛ばされたのだ。

銀髪同様、壁に大穴開けて砂埃に消えた。 さっきのノリで銃口を向けたが、寸前で撃たずに済む。 1発でも誤射は良くない。

 

 

「おいおいマジでやる!?」

 

 

続けてミリム、剣を装備。

リムルも急いで剣を構え、剣戟始め。

両者打ち合い、激しく火花が散る。

クラフターも真似て斬り掛かるも、あっさり流されて斬り捨てられた。 強い。 剣だけで勝つのは難しい。 毎度のパターンだが。

対してリムル。 今までの努力とネザライトの剣(オーバーエンチャント仕様)のお陰で何とか凌いでいるものの、斬られるのは時間の問題かに思われた。

 

 

「ぐっ! この剣じゃなかったら、とっくに切り刻まれてたぞ!?」

 

 

ならばと、クラフターは銀髪と対峙。

今なら無防備だ。 ミリムを手駒にしたところで、親を倒せば勝ちである。

クラフターはスプラッシュで攻撃力・俊敏性を上げ、上位金林檎で体力最大値を強化。

エンダーパールを銀髪に投げつけ、ワープの瞬間に剣を振り下ろす。

 

 

「見えてますよ」

 

 

次には吹き飛んだ。 クラフターが。

何らかの魔法攻撃を銀髪より受けたのだ。

まさか攻撃も出来たとは。 そしてこの対応。

油断していた。 防具有りなのに、かなり痛い。

 

 

「出鱈目な貴方達ですが、ある程度の法則があるのは分かっています。 そこから導かれる攻撃パターンに備えれば、この程度」

 

 

ノックバックの先で、同志が即座に黒曜石の防壁展開。 庇うと、回復のスプラッシュポーションを投げつけてくれた。 何とか持ち直す。

 

 

『ミリムちゃん、リムルさん、ついでに馬鹿親ども、聞こえますか?』

 

「うおっ!? ビックリした!」

 

 

突然、辛辣娘の声が頭に響く。

いつとの念話とは少し異なる。 リムルとミリムも少し反応したから、この世界の念話を弄ったのかも知れない。

 

 

『秘匿念話です。 おふたりとウチの馬鹿親達にしか聞こえないので、ご安心を』

 

『いつの間に、こんな方法を……』

 

『お前は迷宮で会った通訳だな! 空の花火といい、お前も面白いぞ!』

 

『どうも……BBと大賢者の協力で、秘匿念話に成功させてますが、詳しい説明は省きます。

モニター越しに其方を観戦してますが、大丈夫ですか? ミリムちゃんは操られたフリをしている様ですが、打開策などが気になりまして』

 

 

黒曜石の脇から弓矢、銃火器で援護しつつ話を聞いておく。

秘匿念話とは、やりおる。 我々もやれるのだが、それを村人にも通用出来るようにしたとは。 驚くべき技術だ。 "形"だけがクラフトではないと改めて思う。

あと、BBと大賢者はIRP戦闘演算中の筈なのだが……リムルが主の大賢者は兎も角、BBが此方にも気を遣える程とは。

演算能力の高さに驚かされる。 様々な可能性がある。 それだけに量産出来ないのが惜しい。

 

 

『気付いていたのか! この場にいないのに、そこまで分かるなんて凄いのだ!』

 

『俺も気付いてたぞー?』

 

『そんなリムルさんの反応や、大賢者さんやBBとの相談の結果でもありますがね。

それより、この後のプランは? 援護が必要でしょうか?』

 

 

銀髪に撃ちまくる。

毒や弱体化スプラッシュ投擲。 効果が見られない。 あっても直ぐ正常化しているのか。

リムルの方はミリムと剣戟しながら念話している。 器用なものだ。 今の隙に纏めて屠りたい気がしないでもない。

だが味方は多い方が良い。 殺すにしても後にしてやる。 クラフターは良くも悪くも打算して、結論を出す。 その上で弾を出す。 銀髪にオラオラ発砲。

 

 

『援護なら間に合ってるよ。 保険としてディアブロを隠れさせ待機させているし。

だが、この場を凌げれば良いものじゃない。 天界にいるユウキ……今はヴェルダとその取り巻きを片付けないとな。

その点、ミリムは考えがあるんだろ?』

 

 

鬱陶しそうな顔で魔法を放たれた。

今度は避けてやった。 刹那、即座に丸石防壁展開。 素早く中抜きし、同志が作業台でクラフトしたハーフブロックで半分埋める。

出来た半ブロ分のスリットから弓矢を射て、銃口を捩じ込み撃ちまくる。 慣れたものだ。

 

 

『うむ。 どうにかして、あの鬱陶しい天使を信用させたい』

 

『どうしてだ? アイツらが相手にしてる内は放置で良いだろ?』

 

『いや、アイツ……ヴェルダとやらが、我が父である"星王竜"ヴェルダナーヴァだと抜かしたのだ。

身の程を知らぬ戯け者に、少しお仕置きしてやりたくてな』

 

『なるほど。 確かにこの場にいる連中や、ルシアを仮に倒せてもヴェルダを倒せなければ敗北するようなものだよな。

だが危険だぞ。 相手の強さは未知数だ』

 

 

軍事部装備ガチ勢が到着した。

外の片付けが済んだ事で、増援がどんどん雪崩れ込む。 もう祭り会場だ。

ルシアとかいう銀髪荒らしに殺到、取り囲み、ボコスカと斬ったり射ったり撃ったりする光景が広がりを見せる。

外では塹壕、地下野戦仮拠点が瞬時に掘られ、戦車隊がミリム城を取り囲み、空には帝国戦で鹵獲した飛空船を浮かべている始末。

荒らし処刑祭りのソレだ。 郷愁にも似たものを感じる。 数の暴力での正義執行、気持ち良過ぎ。 良すぎない?

 

 

『ルシア、アイツらに薄い本みたいな事されてるけど、一向に倒せてないな』

 

『リムルさん。 記憶領域から、それが何なのか知ってる者にしたら……無垢な子の前で、その危険発言は』

 

『……忘れてくれ』

 

『ん? とにかく案ずるな! スパイというヤツなのだ!』

 

 

群がっていたクラフターは吹き飛ばされた。

駄目だ。 まるで効いていない。

カリュブディス戦を思い出す。 IRPにレールガンを発砲して貰わねばならないか?

 

 

『よし。 じゃあ先ずどうしようか。 アイツらの攻撃を散々受けてるのに、本人が無事な辺り、キャッスルガードを破るのは無理っぽいけど』

 

 

座標伝達。 IRP及び周辺同志座標取得。

デットアイモード再起動。

レールガン長距離狙撃準備開始。

その間、戦車隊が援護砲撃。 弾種徹甲弾。

城の城壁を何枚も突き抜けて、城内の銀髪を容赦なく襲う。

 

 

『おいおい!? 俺たちも巻き込まれてるって!? てか、ここまでしてもルシア倒せないのね!? アイツらならワンチャンあるかもと思ったけど!』

 

『案内人がいなくなるのも問題だぞ!』

 

 

エンチャントをケチったか。

銀髪を倒せない。 それでも攻撃続行。

砂煙越しにでも狙撃出来るよう、各戦車内砲撃手は最大望遠で透視モードに切り替えた。

するとガンカメラの画面色が緑に変わり、白い人影が何人か映る。 その動きの状況からして瞬時に荒らし銀髪を判断、再度砲撃開始。

 

 

『だから、やめろって!?』

 

『馬鹿親共! 攻撃は無意味です! たぶん核も毒も意味ないです! 星を砕いても、宇宙空間に投げ出しても無駄かもです!

相手の能力はそれくらいなんですよ!?

てか意味あってもやめて!? ミリムちゃん達の作戦が駄目になっちゃうから!?』

 

 

無視して攻撃続行。

戦車隊の多くは見た目こそ旧式多数だが、改修を施し、この様な装備はほぼ標準機能といって良い。

車両によっては砲安定装置や、対歩兵装備、対地空両用機関銃や小型誘導弾射出装置がポン付されている。 弾も様々な種類が開発された。

少量生産された新型は、それらに加えてBBとの連携が取れるようにされていたり、走破性、速度、防御力、攻撃能力等の基本性能が大幅に底上げされている。

 

 

『ええい! 止めてくるのだ!』

 

『手伝う!』

 

 

マイクラ軍事部は少数でも戦争投入に間に合わせようとした為、同じ戦車でもバランスが均一化されていない(組織性が薄く個人差が強いクラフターなので、ある意味いつもの事だが)悪さがある。

とはいえ、そこはクラフター。 どうとでもする。 現地改修、修理、改造、御手の物。

 

 

「さっきから邪魔だぞ! 馬鹿共がああ!!」

 

 

おや。 リムルが来た。 ミリムも来た。

なにやら怒っている。

あれか。 巻き込んだからか。

このままでは戦車隊が殲滅されてしまう。 仕方ないので迎撃する事にした。 実験も兼ねる。

その程度で倒せはしないだろうが、日頃の恨みもある。 バチは当たらないだろう。

 

 

『いや既に当たってるというか。 もう良いです、いっぺん死んじゃって下さい』

 

 

辛辣は相変わらずだ。

だがタダで死にはしない。 砲塔、砲身を動かした。 主砲、機関銃、誘導弾を撃ちまくる。

 

 

「そんな、へなちょこ弾に当たるか!」

 

「久し振りに遊んでやるのだ!」

 

 

銀髪は現地クラフターに任せて、戦車隊は青髪シズモドキと桃色荒らしに対処。

とはいえ、予想通り攻撃が当たらない。 当たっても無傷に近い。

主砲は避けられる。 機関銃は弾かれる。 誘導弾は回避のち破壊される。

次には戦車本体が破壊された。 装甲は強者相手に意味を成してくれなかった。

剣で両断され、片手で投げ飛ばされ、様々な体術でボコボコにされ、色とりどりの魔法で吹き飛んだ。

あっという間に全滅である。 捨てエンチャントを施した程度の低コスト量産型が大半だったとはいえ、やはり規格外だ、コイツらは。

もっと強くならねば。

だが時間は稼げた。 生き延びた乗員……クラフターは腰を振って飛び跳ねた。

 

 

『警告。 レールガン発射。 弾着に注意』

 

「えっ? あっ、しまった!?」

 

 

刹那。 轟音と共にミリム城の一角が吹き飛んだ。

銀髪荒らしのいた空間が中心だ。 爆発の規模は驚くほどじゃないものの、あの魚災を即終わらせられるレールガンだ。

それに、あの日よりパワーアップしている。

これで倒せなかったら……どうしよう。 クラフターは首を傾げた。

 

同志から連絡。 まだ生きてる戦車の透視機能で確認したところ、ターゲット健在との事。

うーんこの。 どうしようアレ。

フルエンチャントのネザライトの剣で何とかならないだろうか。 難しいか。

 

 

「大賢者! もっと早く分からなかったの?」

 

『解。 砲撃演算、シーケンス等はBBの暗号化で進行。 結果、検知が出来ませんでした』

 

「そこまで……だがルシアは?」

 

『健在です』

 

「やれやれ」

 

『よし。 無事作戦を実行出来そうだな! ルシアに信用してもらい、奴らの元へ潜り込むのだ。 その為に、先ずリムルには消えて貰おう!』

 

『ディアブロ。 それで良いか?』

 

『クフフフ! 分かりました、大混乱になるでしょうね!』

 

『隠れている不穏分子がいたら、炙り出せる機会になりそうです。

で、馬鹿共。 今度こそ邪魔しないで下さいよ』

 

 

やれやれ。 クラフターは首を振った。

とはいえ。 良い方法があるなら任せたい。

 

 

「では消えろ! ドラゴ・ノヴァ!」

 

「ちょっ!? うおおおお!!?」

 

 

いつか見たような、デカい極太ビーム攻撃みたいのがきた。

即座に黒曜石の防壁を展開してみたものの、刹那的に防いだのみでアッサリ破壊された。 そのまま巻き込まれて即死。 リスポーンする羽目になった。

 

大戦1日目にして大変な目に遭った。

 

なお、一部同志は刹那的に防いだ時間で効率強化ダイヤスコップで地下深くに逃げ込み、何とか事なきを得た模様。

なお、リムルもどさくさに紛れて共に退避しやがった。 おのれリムル。 覚えてろよ。




クラフターもパターン化が否めない中……。
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