寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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運命の人、シズの話。 そして日本への僅かな誤解。


12.テッパンとにっぽん

 

 

「ギドひどーい! よくも私のお肉を!!」

「食卓とは戦場なんでやすよエレンの姉さん!」

「いいわよぅ。 じゃあカバルのもらうから」

「ギャー!! 丹精こめて育てた俺の肉がー!!」

 

 

建物に入っても尚、賑やかな連中だ。

余程腹を空かせていたらしい。 「テッパン」なる道具で焼かれた肉を取り合っている。

喧嘩は駄目だ。 諸君もマルチである事を自覚し、仲良くしなさい。

クラフターは思い、牛肉を1スタック64個用意した。 気前は良い。

 

 

「うおおお! 肉のお代わりを!?」

「やったでやす! 良い人達でやすな!」

「やったー! いっぱいある!」

 

 

そうだ。 仲良く食べなさい。 クラフターは頷いた。

僅かな食糧を巡って争う光景は見ていて痛々しい。 静観は出来ない。

有り余る食糧を無駄にするのも頂けないが、争うのも良くない。

今はたんと食べて元気を付けろ。 空腹は駄目だ。 体力が回復しないばかりか、走る事も儘ならなくなる。

出来る限り飯は持ち歩き、腹は満たす事だ。 冒険者としてのアドバイスである。

 

 

「スライムさん、スライムさん。 焼けた鉄板触れてるよ?」

「ッ!? 溶けるかと思った」

「そうならなかったとこみると、熱に対する耐性があるのかな?」

 

 

会話している仮面村人は落ち着いている。 肉を貪ってる3人も見習って欲しい。

あいや。 我々も初期ははしゃいでいたものだ。 今もか。 人の事は言えぬとクフクフと笑う。

 

 

「……あの人達は炎を扱えるの?」

「どうかな。 未だに知らない事ばかりやるしなぁ」

「……私もね、炎とは縁があって。 ううん、呪いがあるの」

 

 

火力が弱ってる。 火打石で火を作り直す。

効率を考えて、かまども設置。 肉を放る。 豚肉と鶏肉と兎肉も混ぜる。 肉祭りだ。 ただし腐肉、テメェは駄目だ。

 

 

「私が元の世界で最後に見た光景は、辺り一面の炎。 とても怖い音が鳴り響く中、住み慣れた町は紅蓮に染まっていた」

「……もしかして空襲か?」

「多分そう。 東京大空襲って言われてるんでしょ? 私の教え子……その子も日本出身なんだけど歴史の授業で習ったらしいね」

 

 

トーキョー? にっぽん?

そんなハァンが聞こえて振り返る。 普段は耳なぞ傾けないから、気紛れだった。

 

 

「……それで転生して?」

「ううん。 私は死んでないよ。 ある男に召喚されたの……ふとした気紛れからか、彼は私に炎の精霊を憑依させた。 それは炎を操る力をくれたけど……同時に呪いでもあったの。 この力……炎のせいで……私は大切な人達を失ってしまったから」

 

 

地名だろうか。 建物の名前か。 食物の名前か。 「テッパン」の親戚か。

若しくはその生まれか。 或いはそうかも知れない。 素敵な文化と創造に溢れてるに違いない。

 

にっぽんかぁ……親近感が湧いてきた!

 

 

「だからかな。 人と親しくなるのは少し怖かったんだけど。 やっぱり仲間っていいね。 最後の旅で楽しい人達と出会えたもの。 彼等はお互いを信頼してるし、遠慮なくケンカもするし。 良い冒険者だよ。 それは、あの人達もそうなんだろうね」

「……俺、もっとシズさんの話聞きたいな。 腹ごなしに散歩でもどうだ?」

 

 

何処かに行く。 クラフターもついて行く。

我々としても仮面の村人の話を……いや。

シズ、という個体らしい……の話をもっと聞きたいと思う。




ぼちぼちシズさんと……いや、イフリート戦ですかな。
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