偽物の近藤とダムラダが立ち塞がる。
クラフターからすれば荒らしに違いなく、スポーンしたところで変わりない。 廃坑でシルバーフィッシュに出会す程度の衝撃だ。 やる事は同じ。 殺す。 以上。
けれども興味は湧く。 スポーンだ。
「戦いと考え事を並列して欲しいんだけど! 急にボク達に任せないでよね!?」
「自由人ですからね。 今に始まりませんが」
何かしらのアイテムによりスポーンしたから、所謂スポーンエッグがこの世界にあるのでは。
もし手に入れば労働力・実験体確保ないし素材入手に繋がる。 湖底研究所の連中もスポーンエッグに絡んでいた可能性はあるが、実験機材も資料も纏めて破棄されたから、こうして考え直さないといけない。
クラフト。 罪深く奥深い深淵。 戦いの最中からしか得られない創造(想像)もあるのだ。
「うぐっ!?」
「ッ!」
軍服悪魔がアッサリ倒れてしまった。
あんなにイキってたのに……また分からされたか。 哀れ軍服。 されど軍服。 最悪ポーションと牛乳を浴びせれば良い。
しかし強烈な拳を叩き込まれただけで倒れてしまうとは。 一見するとその程度、であるが魔法と不思議の世界だ。 また世界お得意のスキルだとか、その辺が原因だろう。
だが我々の創造も負けちゃいない。 エンチャントと牛乳があれば大抵何とかなる。 逆に今更ならないのはやめて欲しい。
という訳で再度剣を振るう。 やぁやぁと突撃しては無惨にも殴り飛ばされた。 おつよい。 やはり格闘戦は村人の方が上か。
「あらあら。 私だけですわね」
「それは違うぞ。 彼等がいる。 彼等がいる限り、負けは有り得ないのだ!」
「ミリム様……確かに、彼等の自由を妨げるなんて真似、誰にも出来ないでしょう」
ならば遠距離だ。
周囲の者、軍事部共々、弓矢、銃撃を浴びせる。
その多くは弾かれたが、何発かは抜けた。 その気になれば押し込める。
その間にも増援は来る。 中にはクラフターに拉致られ徴兵紛いに来た者がいた。 帝国の軍服だ。
「ふむ。 俺が人体実験を受けている間にも戦争は佳境を迎えていたか」
「あら。 貴方は帝国の暗部……」
「近藤だ。 悪魔に名乗るのも妙な気持ちだが……これだけの戦力で無様を晒してどうする」
「手厳しいですわね。 でも、そう言う貴方も彼等に好き勝手されていた様で」
「好きに言え。 今は目の前に集中だ。 俺の偽物までいる事だしな」
「……俺が偽物か。 皆して好きに言う」
他にもクロちゃんが来た。
お久クロちゃん。 さっさと加勢して?
「クフフフフ。 皆様、勝手に死ぬのは許せません。 リムル様がお怒りになりますよ?」
「遅かったなディアブロ? 死ぬつもりはなかったが、下手すれば全滅する所だったぞ」
「クフフフフ、それは失礼。 ですが勝手に先走ったのは貴女方ではないですか?」
「マインクラフターの所為にするつもりはない」
「潔いですね。 彼等の影響を受けましたか」
やっとそれぞれ動いた。
軍服村人は同志に持たされたらしい拳銃を握り、クロちゃんや他は素手。
いつも通り。 羨ましい限りだ。 我々の素手のみで戦うのは非効率的故に。
「まぁ良いでしょう。 門が健在のお陰で続々とお仲間が増えています。 彼の方達も来た様ですよ」
突如起きる爆発。
TNTとは異なるもの。 見やれば6人の人影が。
「チッ、邪魔な奴らめ」
北地にいたギィとクロエ、あとドラゴンの村人形態。 それとPSクラフターだ。
「やれやれ。 全員揃ってやって来るという事は、ボクに逆らうという事なのかな? ねえ、ヴェルザード?」
「黙りなさい。 兄上の名を騙る偽者め。 言われてみれば、どうして貴様を兄上だと思ってしまったのか」
「本当、クラフターだけでも邪魔なのに。 上手くいかないよね、本当に」
弓矢でヴェルダを打ちまくるが、コンドーとダムラダが壁となり邪魔をしてくる。
増援が増え投射増量サービス中なので、荒らしが滅されるのは時間の問題であるが。
「あっそうだ、君達にも懐かしいだろう人物を呼び出してあげるよ。 ボクって、優しいからね」
が、まだヴェルダは悪足掻き。
何かしようとし、ミリムが叫ぶ。
「ギィ!」
「させるかよ!」
ギィが斬りかかるも回避されてしまった。
そうして何かがスポーンした。 ドラゴン村人らは青褪めた。
だからと怯まない。 ウィザー級だとして今更だ。
「丁度良い感じに、下の天使達が滅ぼされているようだね。 エネルギーが天界に充満し始めたよ。 これなら、残りの天使の力を全て込めた最高の1体が創り出せそうだね。 クラフターの君達も楽しみだろ? 自分の娘と息子を作り出した君達だ……そしてギィ達。 せいぜい、再会を懐かしむといい!」
「ここ、は? というか、俺様はどうなったんだ?」
その若者、クラフターには知っちゃこっちゃない村人である。
だがギィ達にとっては思い出の人であり、最近死んでしまった者である。
帝国の皇帝、ルドラ・ナスカ。
目の前の存在は最強だった頃、全盛期の記憶を有した姿だ。
地上での敗北を予見したヴェルダの切り札が今、形を成して顕現したのだった。
「これはこれは強そうですね。 ですが、その程度で我々が、何より彼等を止められるとでも?」
「ヴェルダ! 何処まで弄べば気が済む!」
「テスタロッサ。 ウルティマとカレラを回収して下りなさい。 此処は私達と、我等がマインクラフターに任せましょう」
クラフター達を見る。
その瞳に見えるのは、興味の色のみ。
「悔しいですが……頂上に住まう者達と並び立つとは。 いえ、それすら彼等には通過点でしかない。 それがマインクラフターでしたわ」
テスタロッサでさえ認めるしかない、この世の頂点に立つ者達。
そんな者達に臆する事なく、平然と並び立つ同僚とマインクラフターを見て、テスタロッサは満足そうに頷く。
クラフターは敗北を恐れない。
死すらも超克して世を、人生を満喫する。
いつか私達も、彼等と共に楽しむのだと笑みを浮かべる。
そして。
皆は好きな獲物を見定め、戦いが始まる。
更新未定(殴。