漫画ではランガもいますが、増え過ぎると大変なので……(殴。
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「な、なんで……」
何故こうなった。
話を聞こうと、野原まで散歩してきただけなのに。
クラフターは起きた惨事に狼狽し、戦慄と共に身を震わせた。
突如として周囲で火柱が立ち上がれば誰でも恐怖する。
原因はシズだ。 浮いている。 周囲は紅蓮に包まれている。 が、そんな事より滞空技術に目が向いた。
エリトラにホバリング機能は無い。
ぜひ、その技能を指導鞭撻して頂けないでしょうか。 平伏し懇願した。
「まるで別人だ。 なんでそんなに殺意を剥き出しにしているんだ」
『宿るイフリートが主導権を取り戻そうとしています』
リムルが足元で嘆く。 分かる。 可能性の観点を共有すれば謎の究明も捗る。
「リムルの旦那、デカい火柱が見えたが……シズさん!?」
「なんで敵意を剥き出しにしてるんだ?」
「シズ……シズエ・イザワ? 爆炎の支配者、ギルドの英雄!?」
「マジ!? シズさんってそうだったの!?」
「宿るはイフリート!」
「イフリート!? 上位精霊じゃないか!」
「うっさいぞお前ら!? 良いから逃げろ!」
喧しい3人の村人もやってきた。 驚愕している。 そりゃそうだ。 エリトラ滞空という不可能技を為しているのだから。
「逃ゲテ……モウ、抑エキレナイ……」
「イフリート……呪いと言っていたな。 シズさん、後は任せろ」
「……オ願イ……」
刹那。 シズは変質した。
何か茶色ムキムキ村人になった。 街にいる緑村人もそうだったから今更驚かない。
それより早く教えて下さいお願いします。
「お前達は下がってろ!」
「シズさんは俺達の大切な仲間だ! 逃げる訳にはいかねぇ!」
「私達だってね! 伊達に冒険者として命張ってないのよ!」
「過去の英雄と邂逅し相見え命賭す。 人生、何があるか分からないでやすな」
火災が懸念される。 取り敢えず耐火ポーションを飲んでおく。
ハタと気付く。 何故火をブレイズの如く撒き散らす? シズはブレイズだった……?
「シズさん、本当に良い仲間に出会えたな……分かった。 無茶はするなよ! 後お前ら! 思案顔になってる暇あるなら手を貸してくれ! 右手でも左手でも構わん!」
「なんだ、その言い方……」
「コイツらは基本、右手を使うんだ」
「まあ……右利きが多いってだけでは?」
「付き合ってれば分かる」
リムルの号令で我に帰る。
そうだ。 シズがブレイズなら浮遊能力も合点がいく。 彼奴らも浮いていた。
でも手は無かった筈だが。 いや。 此処は異世界だ。 相当するだけだ。
「イフリート! 一応聞くが、お前の目的はなんだ……上?」
無いが有る手を上に向けるムキムキ。
釣られて見れば、火の玉が大量に浮いている。
確定した。 ブレイズだ。
「火の玉がいっぱい来るーッ!?」
「回避に専念しろ!」
雨霰。 硝煙弾雨と飛翔の嵐。
それだけ。
慌てず騒がず丸石で防壁を築き村人を守る。 ハーフブロックも用いてスリット穴まで制作した。 トーチカだ。
弓矢等の飛び道具を用いる際、無防備になる身体の為の防衛設備である。
長年の戦闘経験から老兵足るクラフターだ。 多少新手や新参で脅え竦む創造主では無い。
「守ってくれるのはありがたいでやす!」
「アイシクルショットで援護するね!」
「よし! 防御に専念、牽制しつつ相手の出方を見るぞ!」
何かスリットから飛び出て行く。
氷の矢か、アレは。 ソレも興味が尽きない。
「油断すんな! 次来るぞ!」
余所見を咎められた。 敵と相対する。
また火の雨だ。 やるか。 剣を構えた。
「何して……跳ね返した!?」
剣を振り回して玉返し。 ネザーの巨大浮遊クラゲ、ガスト戦お得意火の玉テニスだ。
何本ノックか知らないが、自身に振り掛かる分だけ返す。 何個かは命中した。
「すげぇなお前ら!」
「だけど火に火を返しても駄目か!」
効果が見られない。 平然と浮いている。 ゾンビピッグマンみたいに火炎耐久があるとみる。
というかそうだ。 既にムキムキは灼熱だ。
「ならば水刃で……蒸発しちゃったよ!? 貯めてる水を全部使えばイけるか!?」
『水蒸気爆発の恐れ有り。 辺り一帯が消滅します。 推奨出来ません』
村人が氷を撃てばリムルは水を吐く。 消火か。 発想に賛同したいが効果が無い。
どうしたものか。 模索していると、またも変化を起こすムキムキ。
「分身!? くそっ! まだ有効打を見つけていないのに!」
増えた。 これは驚き。 スライムの様に分裂したか。 体積は同じに見えるが。
射抜くか。 剣は届かない。 馬鹿正直にブロックを積んで行けば叩き落とされるのが見えている。
ウィザー戦同様、マルチの力を見せる時。 取り敢えずリムル達と共に気を引く。
「旦那! 氷なら効果が見られる!」
「そうみたいだな……俺に向けて撃ってくれ! 思い付いた事がある!」
「えぇ!? う、恨まないでよ!?」
同じ様にトーチカを作り、スリットより矢を絞る。 そらゆけ。
「よし! 氷を使えるようになれば……ん?」
駄目だ。 矢が効かない。 ウィザー級か。 なら毒矢も効かないだろう。
だが気を引くのが目的だ。 構わん。
「お前らのイミフな矢でも駄目か!」
「い、イミフ?」
『フレアサークル』
「ああ!? アイツら火柱に飲まれた!」
「でも平然と火の中で動いてるけど!?」
「耐性があるのか!」
「しかも火柱の中を泳いでいるぞ!」
「ナニがしたいんだお前らー!?」
火に呑まれたが問題ない。 その為に火耐性ポーションを飲んでいる。
現在、同志が急ピッチで黒曜石ドームを製作中。 ムキムキを囲う様に施工している。
これはウィザー戦を思い出しての事だ。
黒曜石はダイヤツルハシでなければ破壊不能の強度を誇る。 その為、TNT実験や装置、時に心の壁や悪意から守る為に使用される。
ウィザーは万事万物を破壊する不倶戴天の存在。
世界に解放して良い存在ではなかった。
だから当時のクラフターは何処かへ行かぬ様、決死の工事を敢行し、ウィザーを閉じ込めた。 その上で内部で死闘の末、討伐した。
それが通常破壊不能黒曜石ドームなのである。
「なんだ? 外にいる奴らは何をしている?」
「黒紫の塊……空までみるみる覆われて行く!」
幸いムキムキは移動しない。 リムル達に釘付けだ。 日の明かり届かぬ様になっても動かない。 奴の火だけがドーム内を照らし始める。
「……ッ! お前らは退避だッ!? 外に出るんだ、閉じ込められるぞーッ!!」
「マジ!?」
「走るでやすよ!」
「シズさんをお願いよ!」
頃合いだ。 リムルが叫ぶ。 3人の村人は察してドームから出るのを確認した所で完全に封印する。
「お前な……閉じ込めるならそう言えよ。 いや言えないんだったな」
ドームの天辺から、同志が一斉に水バケツをひっくり返す。
大量の水がドームを満たす様に落ちてくる。
「水ぅうぅううう!? ナニしてんだよ! 爆発するぞ!?」
興奮するリムル。 分かる。 水が落ちてくる光景はショッキングか感動かのどちらかだ。
そうでなくても事故は起こるさ。 水浸しの建造物になるとか。 松明も悉く流される。
その時は仕方ないね。 諦観してやり直す。
「ほら見ろ!? イフリートに大量の水が! 爆発するぅ!」
クリーパーの様な起爆動作に入るムキムキ。
いけない。 本能が警笛を鳴らした。
大急ぎでスコップを振るい、出来た穴に水を貯める。 その中にリムルと共に水に飛び込む。
刹那。 大爆発が起きた。
爆発も爆発。 大大爆発である。
雷に打たれたクリーパー何体分かもわからない大爆発だ。
クラフターは水中で目を白黒させた。 さもTNTを敷き詰めての一斉点火だ。
誠、驚愕と面白い日々である。 だが案ずるな。 ダイヤ防具の上、地面は水浸し、周囲は黒曜石。
被害は思うより少ない。 やはり破壊を見越してこそ正解の黒曜石であった。
「し、死ぬかと思ったぞ。 しかし……この黒いドームは……凄い強度だな。 この水は対爆性を付加するのか。 まさか見越して?」
まぁ爆発するとは思わなんだ。
黒曜石と水が無ければ終わってた。 色々と。
「そうだ! シズさん!」
リムルが慌てて飛び出した。
中央にはムキムキが倒れていた。 まだ生きている。 強い。 もう瀕死だが。
クリーパーなら爆発四散の惨事だから、形が残っているだけでも十二分に驚愕に値する。
「よ、よし。 まだ間に合う! イフリートを捕食してシズさんを剥離する!」
リムルがムキムキを食いやがった。 またか。 ドン引きである。
悪食なのは知り得ているが、ここまでやるとは。 焼かれていたから美味しく見えたのかも知れない。
クラフターは距離を取る。 自身もそういや焼かれていたのを思い出したからだ。
我々を食うなよ。 フリじゃないからな。
代わりに腐肉と蜘蛛の目を差し出す。
これで勘弁願えないでしょうか。
「いらねぇよ!」
拒否られた。 それもまた仕方ないね。
ちょっと雑だったかもしれない(遠い目。
間もなくシズさんが殉ヒロインに?