いや、あまり拠点外で知らぬ存ぜぬの描写を増やし過ぎても駄目かと思い……。
冒険者3名、ちゃんとシズさんに挨拶出来ました。
もうこれで十分です(投擲。
ポテト騒動中の同志を露知らず、拠点は今日も賑やかだ。
「シズさん! ありがとうございました!」
別れ際、村人3人はシズにお辞儀した。
そうだ。 マルチでは礼儀を弁えなさい。 学び実行の姿勢にクラフターは頷いた。
「みんな……」
「俺、シズさんに心配されないリーダーになります!」
「共に旅した事、一生の宝にしやす!」
「シズさんの事、お姉ちゃんみたいだって思ってました!」
此方にもお辞儀してきた。 良いぞ。
師と仰がなくて良いが、施された親切への礼儀……忘れてはならない。
「貴方達もありがとうございました! お陰でシズさんに挨拶が出来ました!」
「得体が知れないが、あんたらは善人だ」
「安易な礼で申し訳ないでやすが、これだけは言わせて欲しく……本当にありがとうございやした!」
良し。 餞別を渡そう。
上機嫌のクラフターは部屋の角、作業台へ向かう。
鉄インゴットと少々の棒を持ち寄った。
「お、お前ら……今度はナニ造る気だ?」
鉄装備の贈与だ。
村人は装備がボロボロだ。 冒険者でもあるクラフターは危険と判断した。
ある意味道具類を大切に使用する貧乏性を否定はしない。
だが耐久の擦り減った装備のままの冒険は死亡率の上昇を招く。 どこで破損紛失するやも知れないからだ。
金床で修理しても良いが。 破損品同士を組み合わせたり、エンチャントが関係無いなら新規制作が早い。
出来た。 渡す。 強く……生きろ……ッ!
「鎧に剣……鉄装備一式?」
「ありがとう……」
「ツルハシとスコップまで渡されたでやすが」
「……あー……ウチの鍛冶師、カイジン達に調整して貰え。 案内するよ」
「……と、取り敢えずその足でギルマスに報告する」
「悪い様には報告しないから、安心して」
「世話になったでやす」
「シズさん元気で! また会いましょう!」
村人が旅立った。 祝え。 新たな門出だ。
リムルは送り出した。 今日の空は青く、いつもより広い。
「……うん、貴方達の優しさは伝わるよ」
シズに苦笑された。 だが伝わったなら良い。
さて。 そんなシズに教えたい事は山程ある。
この世界を好きになる為の知識と創造は無限大の可能性を秘めている。
「うん。 宜しくね、クラフターさん」
宜しく頼まれた。
その前に、シズよ。 教えて欲しい。
「どうしたの?」
エリトラホバリングはどうやる。
「……え、えりとら?」
深淵の終焉世界(ジ・エンド)を知らぬなら仕方ない。
じゃあ、ブレイズに変身して。
「ぶれいず?」
紅蓮地獄(ネザー)も知らぬなら仕方ない。
だけど炎を吐けるか。
「ごめんね。 もうイフリートの力は無いの」
いみふーと?
それまた意味不明な名前だが、出来ないものは仕方ない。
クラフターは万能では無い。 だからこそ出来る事と出来ない事の分別は必要だ。
そうする事で、置かれた状況下でどこまでが自力で対処可能で、どこからが運に頼るかの線引きが出来る。
それが出来ないと、いざ幸運に恵まれた時に逃してしまう。
些細な例なら追跡している相手がいるのに余所見して見失うとか。 遠征した同志はその節がある。 反面教師だ。
「そうだね。 戦いの中でも、大切だったよ」
なら話は早い。
クラフターは鉄製ツルハシとスコップをシズに渡した。 松明も渡す。
さあここ掘れシズ。 習うより慣れるんだ。
「え、えーと……剣術の流れになるんじゃないんだ……」
剣に拘り過ぎると視野が狭くなるぞ。
それにとクラフター。 剣よりツルハシとスコップと斧だ。 保持時間はそっちが長い。
剣より持たないのは鍬だ。 それもクラフターによるが。
「でも、なんで掘るの?」
ブランチマイニングを教える。
効率の良い鉱石採掘手段だ。
「ぶら……?」
見せた方が早い。
クラフターは後に続けと掘り始めた。
先ずは階段状に掘り下げていく。 松明を忘れない。
岩盤から約10マス程の高さまで掘り下げるのが好ましいが、今回は浅くやる。
目標深度到達後、今度は水平に掘る。 これを主通路とする。
次に主通路の左右に副通路を掘る。 ギリギリ通行可能面積の縦2、横1で構わない。
掘り終わったら、そこから2、3ブロックの間隔を置いて再度掘り進める。 これを繰り返す。
これが大雑把なブラマイ方法だ。 クラフターによっては様々な方法がある。 慣れてきたらシズの好きな様に掘ると良い。
「え、えーとね? 教えてくれるのは嬉しいんだけど……私には早い、かな?」
そうか。 それもそうだ。
新人への配慮が不足していた。 反省する。
先ず木こりから。 クラフターは斧を渡した。
「そうじゃない、かな……」
苦笑された。 クラフターも笑みを返す。
そうだね。 そういう事だよ、と。