オリジナル過ぎると難しくなる気がしたので。
作者は浅知恵です。 誰がどう面識があるのかとか、設定は詳しくありません。
指摘等があればお願いします。
「……つまり、コイツらは躾が出来ない無法者と」
摩天楼見下ろすが日常、拠点街のとある部屋。
いつかの帯刀村人、その内赤い奴がハァンと嘆く。
いつの間に来たのか。 今は長テーブルを囲う様に様々な村人が座る。
因みにリムルは中央最奥、上座にいる。 その隣にシズとクラフターが起立した。
「そうなる。 全く意思疎通が出来ない訳じゃないんだが……」
「吾輩とは通じ合えたぞ。 熾烈な戦いであった」
「そりゃ踊りの話だろ」
いつかのドラゴン風村人が鳴く。
コイツらが乗ってきた動物が外にいる。 馬の様で馬でなく、二足歩行の動物だ。 例によりドラゴンに似る。
ドラゴンにドラゴンが跨るのも奇妙な光景に映った。 多少形が違えども。
故に興味も湧く。 1匹、いや2匹融通してくれないだろうか。 欲しい。 鞍は最悪なんとかする。 気に入れば繁殖させて乗ってみたい。
「彼等は、我々に恵みを分け与えてくれた。 食糧のみならず住居まで。 感謝の念こそすれ、怨みはない」
ピッグマンモドキが鳴く。
唯一、 反抗的な目をしているのは帯刀村人だけとなる。
中性にも程度があるらしい。 条件が分からず困惑する。 同じく帯刀すれば良いかも知れない。
「……そちらの人間の娘さん、シズといったな。 唯一の通訳と伺うが」
「……ごめんなさい。 何となく分かるだけ」
「すまない、無理を聞いた。 魔力感知も世界の言葉も通じなさそうな相手だ。 悉く例外なのだろう」
シズが謝っている。
なんだ。 クラフトの失敗談か。 良くある話だ。
大抵は時間が解決するから無理しなくて良い。 真面目も過ぎれば損をする。
ベテランとて誤りはある。 ある者は剣を作ろうとしてスコップが仕上がった。
誰にでも間違いはあるからね。 仕方ないね。
大切なのは失敗から学ぶ事だ。 牛からミルクを搾ろうとして、バケツで殴った時を思う。 或いは羊の毛刈りでハサミで殴った時。
「次に各集落の被害報告。 オークは飢饉に喘いでいたというが、これは元からなんだな?」
「うむ。 土地が痩せて食物が一切合切採れなくなった。 その時に助けてくれたのが彼等である。 食べ物をくれ、住処となる新天地を与えてくれた。 無限に湧く不思議な水源があり、痩せる事のない土、急速に育つ穀物で息を吹き返した。 改めて礼を言いたい。 ありがとう」
「ありがとうだって」
シズが通訳する。 そうか。 同志が迷惑を掛けたかと思った。 取り敢えず腰を曲げて会釈する。
「えー……次にガビルだっけ? そっちは?」
「湿地帯の植物を採取された事、領域手前に街を作られた程度である。 親父殿は警戒しておるが、湿地帯にまで何か造ろうとはしてこないな。 舞を通じ、親交を深めたお陰であろう」
「……本当にそれが理由か? シズさん」
「えーと……」
シズに聞かれた。 湿地帯に建物を作らないのかと。
別に作っても良いのだ。 ただ景観を損いたくないのでな。
「……って事だよ」
「なるほど! 流石は盟友! 舞ならず我々を気遣う姿勢に感服する!」
「どう好意的に捉えればそうなるんだ。 絶対気紛れだよ、俺は知っているんだ」
「え、えーとね? 礼を言っているよ?」
また礼を申したという。
お辞儀する。 これからも仲良くしよう。
「我等オーガだけ邪険にしている様だな」
「さっきも言ったけど、コイツらは自由人で……でも嫌がらせを故意にする連中じゃない。 オーガだからとか、差別はしない筈だ」
「私もそう思う。 きっと興味があって色々調べていただけだと思う」
帯刀村人だけ好意的じゃない。
シズ達が説得してくれている。 有難い。 クラフターとしても、何故怒っているのか分からない。 殴った訳でもないのに。
「土足でズカズカ上がられて、はいそうですかとはならない」
「じゃあ話の流れで聞くけどさ、取り立てて被害は及んだのか?」
「……それは……一部が水浸し、家屋の一部に足跡が……」
「ほらな。 大した事ないじゃないか。 少なくともこの街の惨劇よりかは」
「惨劇……?」
「オーガの代表よ、どうか目溢し願う」
「吾輩からも。 恐らく早合点である」
唸り始める帯刀村人。
良いぞ。 集中砲火だ。 丸め込んでしまえ。 あわよくば湾曲した刀剣をゲットだ。
「……そう、だな。 建物を建てられた訳でもないし破壊もない。 盗難被害もなければ傷害もない。 だが最低限の礼儀は弁えて欲しい。 そう伝えてくれ」
「……って、お願いしてるよ」
礼儀をお願いされた。 知らず内、無礼を働いていたそうだ。
謝罪の念を込めて頭を下げる。 しかし何が悪いのか。 水浸しにした件か。
「……景観を悪くしたり、人のお家に勝手に入っちゃ駄目って事」
そうか。 それなら幾許か分かり易い。 皆に頷いて見せた。
「シズさん、扱いに慣れてきてない?」
「……まだまだ分からないけどね」
元の世界では勝手にお邪魔しようと、チェストの中身を掠奪しようと村人もゴーレムも怒らなかった。 忖度は必要ないとした。
郷に入れば郷に従え。 あの村はそうだったのだ。
そうだ。 詫びに各地にアイアンゴーレムを配置しよう。 それかスノーマン。
湿地と砂漠には配置出来ないが、他の地で固定砲台にすれば良い。 無限雪製造機に転用出来る。
「……じゃ、そう言う事で。 この街に滞在するのは構わないけど、コイツらの創る力は理解出来ないぞ」
「構わない……どちらにせよ、監視と修行の名目で俺達は里から出されている。 彼等の動きに追いつく事で力を得よ、との事だ」
「我等もそうだ。 だがただで、とは言わない。 聞けば自力で建築する為の労働力、既存に対する設備工事に苦辛しているとか。 どうか我々を労働力として貰いたい。 救世主達への、せめての恩返しだ」
「吾輩からも。 活気ある舞を学ぶ事が出来れば、世も明るくなるだろう」
「うん。 ガビルは分からんが、各々滞在理由は理解した。 じゃこれにて会議を……」
その時不思議な事が起きた。
テーブルの中央で刹那的に竜巻が起きたのだ。
「うおっ!?」
またも我々の様な声を誰か出す。
ハァンより景気が良い様に思える。 次からうおおおお、と鳴いてはくれまいか。
「───初めまして。 魔物を統べる者、及びその従者たる皆様」
目の前を見やる。 凄い。 テーブルから村人が生えていくぞ。
クラフターも稀に似た事をするが、コイツもクラフターか。
にしては周囲に植物のツタが揺れている。
ツタ生産場に出来るかも知れない。 湿地帯にまで出向かなくて済む。 動かれては困るから柵で囲むか。 トロッコでも良い。
……シズの視線が辛い。 何故その様な目を向ける?
「突然の訪問、相すみません。 わたくしはドライアドのトレイニーと申します。 どうぞお見知りおき下さい」
「本当に突然だな……でもなんでかな。 コイツらの所為か、これくらいじゃ感動も驚きも薄れるのが哀しい……」
「それも致し方ないですね。 私も大変驚いております」
「……改めまして、俺はリムル=テンペストです。 初めましてトレイニーさん。 此方が……」
「初めまして。 シズと言います」
「シズエ=イザワですね」
「私の事を知っている?」
「森で起きた事なら大体は把握しております。 それに有名ではありませんか」
会話している。 敵ではないか。
ならば鋏で周囲をチョキチョキしても怒られまい。
……シズよ、だから何故そんな目を向ける?
「は……初めて見ましたぞ」
「そりゃそうだ。 ドライアド様が最後に姿を表されたのは数十年も前の事」
「なぜ今、この街に……いや、察しはつくが」
「皆に戸惑いがあるな……」
『解。 ドライアドは森の最上位の存在であり「トレントの守護者」または「ジュラの大森林の管理者」とも呼ばれます』
「なるほど。 社長が直々に視察に来たみたいな感じか。 うん、理由に察しがつく」
今度は皆して此方を見た。
なんだというのだ。 一斉に見られて良い気はしない。
次にはエンダーマンみたいにテレポートでもするのだろうか。 それは嫌だ。 視線を逸らした。 その点、柵で囲むのも無意味か。
諦めよう。 残念だ。
「一応聞きますねトレイニーさん。 今日は一体なんのご用向きで……」
「本日はお願いがあって罷り越しました」
「聞きたくありません」
「聞きなさい」
「アッ、ハイ」
チラリと伺う。 今度はリムルが視線を逸らしている。 生えてきた植物村人に対して。
分かる。 テーブルから生えてくる奴だ。 テレポート能力があるのは想像に難しくない。 警戒して当然だ。
……待てよ。 討伐すればパールが手に入る?
「リムル=テンペスト。 魔物を統べる者よ……」
「……はい」
「あの者達をどうにかしてください!? ジュラの大森林が白樺の大植林場になってしまいます!?」
今度は泣いて平伏、ナニかを懇願。
ワープしたり頭下げたり忙しい村人である。
一種の舞かも知れない。
なら応えねば無作法というもの。
クラフターは激しく腰を振る。 首を回して腕を振る。 時に飛び跳ね、村人に応える。
ドラゴン風村人にはウケたのだ。 これでイケると踏んだ。
「ご覧の通りです。 無理ダナ」
「松明! せめて松明の撤去を!」
「何故か引火しませんから大丈夫です」
「では被害拡大を抑えて貰えませんか!?」
「整然と立木が並列する光景は、逆に管理されている感じがして良いと思いマス」
「管理者は私です〜ッ!?」
興奮している。 良いぞ。 やはり舞は交流手段のひとつとして成立するのだ。
クラフターは確信した。
新たな仲間が増えていく事を。
世界は広く、どこまでも楽しめるし仲間が待っている。
新たな出会いを楽しみに、今日も腰振りが止まらない。
こうして仲間達が増えたのでした(無理矢理感)。