寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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死者を出さず、原作の面子に近付けたいところです。
オリジナル過ぎると難しくなる気がしたので。

作者は浅知恵です。 誰がどう面識があるのかとか、設定は詳しくありません。
指摘等があればお願いします。


23.集合と懇願

 

 

「……つまり、コイツらは躾が出来ない無法者と」

 

 

摩天楼見下ろすが日常、拠点街のとある部屋。

いつかの帯刀村人、その内赤い奴がハァンと嘆く。

いつの間に来たのか。 今は長テーブルを囲う様に様々な村人が座る。

因みにリムルは中央最奥、上座にいる。 その隣にシズとクラフターが起立した。

 

 

「そうなる。 全く意思疎通が出来ない訳じゃないんだが……」

「吾輩とは通じ合えたぞ。 熾烈な戦いであった」

「そりゃ踊りの話だろ」

 

 

いつかのドラゴン風村人が鳴く。

コイツらが乗ってきた動物が外にいる。 馬の様で馬でなく、二足歩行の動物だ。 例によりドラゴンに似る。

ドラゴンにドラゴンが跨るのも奇妙な光景に映った。 多少形が違えども。

故に興味も湧く。 1匹、いや2匹融通してくれないだろうか。 欲しい。 鞍は最悪なんとかする。 気に入れば繁殖させて乗ってみたい。

 

 

「彼等は、我々に恵みを分け与えてくれた。 食糧のみならず住居まで。 感謝の念こそすれ、怨みはない」

 

 

ピッグマンモドキが鳴く。

唯一、 反抗的な目をしているのは帯刀村人だけとなる。

中性にも程度があるらしい。 条件が分からず困惑する。 同じく帯刀すれば良いかも知れない。

 

 

「……そちらの人間の娘さん、シズといったな。 唯一の通訳と伺うが」

「……ごめんなさい。 何となく分かるだけ」

「すまない、無理を聞いた。 魔力感知も世界の言葉も通じなさそうな相手だ。 悉く例外なのだろう」

 

 

シズが謝っている。

なんだ。 クラフトの失敗談か。 良くある話だ。

大抵は時間が解決するから無理しなくて良い。 真面目も過ぎれば損をする。

ベテランとて誤りはある。 ある者は剣を作ろうとしてスコップが仕上がった。

誰にでも間違いはあるからね。 仕方ないね。

大切なのは失敗から学ぶ事だ。 牛からミルクを搾ろうとして、バケツで殴った時を思う。 或いは羊の毛刈りでハサミで殴った時。

 

 

「次に各集落の被害報告。 オークは飢饉に喘いでいたというが、これは元からなんだな?」

「うむ。 土地が痩せて食物が一切合切採れなくなった。 その時に助けてくれたのが彼等である。 食べ物をくれ、住処となる新天地を与えてくれた。 無限に湧く不思議な水源があり、痩せる事のない土、急速に育つ穀物で息を吹き返した。 改めて礼を言いたい。 ありがとう」

「ありがとうだって」

 

 

シズが通訳する。 そうか。 同志が迷惑を掛けたかと思った。 取り敢えず腰を曲げて会釈する。

 

 

「えー……次にガビルだっけ? そっちは?」

「湿地帯の植物を採取された事、領域手前に街を作られた程度である。 親父殿は警戒しておるが、湿地帯にまで何か造ろうとはしてこないな。 舞を通じ、親交を深めたお陰であろう」

「……本当にそれが理由か? シズさん」

「えーと……」

 

 

シズに聞かれた。 湿地帯に建物を作らないのかと。

別に作っても良いのだ。 ただ景観を損いたくないのでな。

 

 

「……って事だよ」

「なるほど! 流石は盟友! 舞ならず我々を気遣う姿勢に感服する!」

「どう好意的に捉えればそうなるんだ。 絶対気紛れだよ、俺は知っているんだ」

「え、えーとね? 礼を言っているよ?」

 

 

また礼を申したという。

お辞儀する。 これからも仲良くしよう。

 

 

「我等オーガだけ邪険にしている様だな」

「さっきも言ったけど、コイツらは自由人で……でも嫌がらせを故意にする連中じゃない。 オーガだからとか、差別はしない筈だ」

「私もそう思う。 きっと興味があって色々調べていただけだと思う」

 

 

帯刀村人だけ好意的じゃない。

シズ達が説得してくれている。 有難い。 クラフターとしても、何故怒っているのか分からない。 殴った訳でもないのに。

 

 

「土足でズカズカ上がられて、はいそうですかとはならない」

「じゃあ話の流れで聞くけどさ、取り立てて被害は及んだのか?」

「……それは……一部が水浸し、家屋の一部に足跡が……」

「ほらな。 大した事ないじゃないか。 少なくともこの街の惨劇よりかは」

「惨劇……?」

「オーガの代表よ、どうか目溢し願う」

「吾輩からも。 恐らく早合点である」

 

 

唸り始める帯刀村人。

良いぞ。 集中砲火だ。 丸め込んでしまえ。 あわよくば湾曲した刀剣をゲットだ。

 

 

「……そう、だな。 建物を建てられた訳でもないし破壊もない。 盗難被害もなければ傷害もない。 だが最低限の礼儀は弁えて欲しい。 そう伝えてくれ」

「……って、お願いしてるよ」

 

 

礼儀をお願いされた。 知らず内、無礼を働いていたそうだ。

謝罪の念を込めて頭を下げる。 しかし何が悪いのか。 水浸しにした件か。

 

 

「……景観を悪くしたり、人のお家に勝手に入っちゃ駄目って事」

 

 

そうか。 それなら幾許か分かり易い。 皆に頷いて見せた。

 

 

「シズさん、扱いに慣れてきてない?」

「……まだまだ分からないけどね」

 

 

元の世界では勝手にお邪魔しようと、チェストの中身を掠奪しようと村人もゴーレムも怒らなかった。 忖度は必要ないとした。

郷に入れば郷に従え。 あの村はそうだったのだ。

そうだ。 詫びに各地にアイアンゴーレムを配置しよう。 それかスノーマン。

湿地と砂漠には配置出来ないが、他の地で固定砲台にすれば良い。 無限雪製造機に転用出来る。

 

 

「……じゃ、そう言う事で。 この街に滞在するのは構わないけど、コイツらの創る力は理解出来ないぞ」

「構わない……どちらにせよ、監視と修行の名目で俺達は里から出されている。 彼等の動きに追いつく事で力を得よ、との事だ」

「我等もそうだ。 だがただで、とは言わない。 聞けば自力で建築する為の労働力、既存に対する設備工事に苦辛しているとか。 どうか我々を労働力として貰いたい。 救世主達への、せめての恩返しだ」

「吾輩からも。 活気ある舞を学ぶ事が出来れば、世も明るくなるだろう」

「うん。 ガビルは分からんが、各々滞在理由は理解した。 じゃこれにて会議を……」

 

 

その時不思議な事が起きた。

テーブルの中央で刹那的に竜巻が起きたのだ。

 

 

「うおっ!?」

 

 

またも我々の様な声を誰か出す。

ハァンより景気が良い様に思える。 次からうおおおお、と鳴いてはくれまいか。

 

 

「───初めまして。 魔物を統べる者、及びその従者たる皆様」

 

 

目の前を見やる。 凄い。 テーブルから村人が生えていくぞ。

クラフターも稀に似た事をするが、コイツもクラフターか。

にしては周囲に植物のツタが揺れている。

ツタ生産場に出来るかも知れない。 湿地帯にまで出向かなくて済む。 動かれては困るから柵で囲むか。 トロッコでも良い。

 

……シズの視線が辛い。 何故その様な目を向ける?

 

 

「突然の訪問、相すみません。 わたくしはドライアドのトレイニーと申します。 どうぞお見知りおき下さい」

「本当に突然だな……でもなんでかな。 コイツらの所為か、これくらいじゃ感動も驚きも薄れるのが哀しい……」

「それも致し方ないですね。 私も大変驚いております」

「……改めまして、俺はリムル=テンペストです。 初めましてトレイニーさん。 此方が……」

「初めまして。 シズと言います」

「シズエ=イザワですね」

「私の事を知っている?」

「森で起きた事なら大体は把握しております。 それに有名ではありませんか」

 

 

会話している。 敵ではないか。

ならば鋏で周囲をチョキチョキしても怒られまい。

 

……シズよ、だから何故そんな目を向ける?

 

 

「は……初めて見ましたぞ」

「そりゃそうだ。 ドライアド様が最後に姿を表されたのは数十年も前の事」

「なぜ今、この街に……いや、察しはつくが」

「皆に戸惑いがあるな……」

『解。 ドライアドは森の最上位の存在であり「トレントの守護者」または「ジュラの大森林の管理者」とも呼ばれます』

「なるほど。 社長が直々に視察に来たみたいな感じか。 うん、理由に察しがつく」

 

 

今度は皆して此方を見た。

なんだというのだ。 一斉に見られて良い気はしない。

次にはエンダーマンみたいにテレポートでもするのだろうか。 それは嫌だ。 視線を逸らした。 その点、柵で囲むのも無意味か。

諦めよう。 残念だ。

 

 

「一応聞きますねトレイニーさん。 今日は一体なんのご用向きで……」

「本日はお願いがあって罷り越しました」

「聞きたくありません」

「聞きなさい」

「アッ、ハイ」

 

 

チラリと伺う。 今度はリムルが視線を逸らしている。 生えてきた植物村人に対して。

分かる。 テーブルから生えてくる奴だ。 テレポート能力があるのは想像に難しくない。 警戒して当然だ。

 

……待てよ。 討伐すればパールが手に入る?

 

 

「リムル=テンペスト。 魔物を統べる者よ……」

「……はい」

「あの者達をどうにかしてください!? ジュラの大森林が白樺の大植林場になってしまいます!?」

 

 

今度は泣いて平伏、ナニかを懇願。

ワープしたり頭下げたり忙しい村人である。

一種の舞かも知れない。

なら応えねば無作法というもの。

クラフターは激しく腰を振る。 首を回して腕を振る。 時に飛び跳ね、村人に応える。

ドラゴン風村人にはウケたのだ。 これでイケると踏んだ。

 

 

「ご覧の通りです。 無理ダナ」

「松明! せめて松明の撤去を!」

「何故か引火しませんから大丈夫です」

「では被害拡大を抑えて貰えませんか!?」

「整然と立木が並列する光景は、逆に管理されている感じがして良いと思いマス」

「管理者は私です〜ッ!?」

 

 

興奮している。 良いぞ。 やはり舞は交流手段のひとつとして成立するのだ。

 

クラフターは確信した。

新たな仲間が増えていく事を。

世界は広く、どこまでも楽しめるし仲間が待っている。

 

新たな出会いを楽しみに、今日も腰振りが止まらない。




こうして仲間達が増えたのでした(無理矢理感)。
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