「今日はシオンの手料理か。 楽しみだな」
人口が増え、料理のレパートリーが増えた。
食事という娯楽が増えるのは大歓迎のクラフターだ。
今回も食堂なる施設へ足を運び、何かしらを戴く。 普段はゴブイチなる村人がクラフトしてくれるが、今回は違うらしい。
リムルとシズと共に建物へ向かう。 食うのみならず研究も兼ねる。
「……え"!?」
「す、すいません。 俺は遠慮します」
何故か周囲が遁走を開始した。 さもゾンビイベント時の村人の如く。
違うのは施設に入るのではなく遠ざかる事にある。 相変わらず分からない習性だ。
「まさか……お約束みたいな事が?」
「お約束?」
扉の前で立ち止まるリムルとシズ。
ナニを躊躇している。 仕方なし、クラフターが先に入る。
「あ、おい待て!?」
刹那、謎の煙に襲われた。 食堂に充満している。 今までにない展開に困惑する。
「これはヤバい! 絶対ヤバい! シズさん逃げよう!」
臆さず進む。 何故かダメージを喰らう。 毒状態だ。 意味が分からない。 毒蜘蛛がいる様子もなしに。
「いっかい外に出よ? 危ないよ!?」
シズが引き止める。
が、クラフターは首を横に振った。 この先にシオンとかいう帯刀村人の仲間がいる。 其奴がクラフトした料理がある。
我々は行かねばならない。 飯を食いたい。 毒はミルクバケツをがぶ飲みして解決する。
「なんか牛乳バケツを一気飲みしてる!?」
「……えーと、それで状態異常が治るって」
「アイツらの牛乳の中性効果凄すぎィ!?」
毒気の霧に耐えつつ最奥へ辿り着いた時、村人がいた。
長身で胸部が大きい村人、シオンだ。 どんなモノをクラフトしたのか見せて欲しい。
「あら! リムル様とシズ様は一緒じゃないんですね? では先にどうぞ、召し上がって下さい!」
ボウルを出された。 中は紫色で謎の煙と物体が蠢いている。 嘆きの声までしている。
クラフターは首を傾げた。
まさかこれが料理だというのか。 クラフターもここまでのモノを作れる自信がない。 かなりの力作に違いない。
よし。 戴こう。 据え膳食わぬは恥として。
「よせえええ!!? 早まるなあああ!!?」
食った。
感想を述べる。
この世の終焉であった!!
それ程に不味いッ!!
理解不能の味だった!!
しかも猛毒状態になった!
凄い勢いで体力が削られる!!
身体中が熱く寒く激痛が走り、喉を焼き焦がし体内を溶かし始め、この世の終わりかの錯覚を味わう!!
「お前らしっかりしろ! 死ぬな! 死んでも平気でも死ぬな!」
「あ、あら……オホホ……」
慌てて牛乳バケツを滝の様に口に流し込む!
…………治った。 瀕死の重体になったが、一命は取り留めた。
実はシオンとやらはウィッチなのではないだろうか。 背負う大型の得物はダミーだったか。 侮れない。
「大丈夫かお前ら……?」
「そ、そうみたい……」
「牛乳スゲェなオイ」
料理ではなかったのだろう。
ここまで酷い悪性の食料は食べた事がない。
ひょっとしたらポーションの一種だったのかも知れない。
なら、次回渡されたら瓶に詰めて火薬を組み合わせよう。 スプラッシュポーションにすれば強力な武器になる事間違いなしだ!
「シオン……料理を出す時は、ベニマルの許可を貰う様に」
「あんまりですリムル様!?」
「知らん! 管理は任せた!」
「……えーとね? 本人の前で"調味料"は入れない方が良いよ?」
よく分からないが分かったと頷く。
取り敢えず、我々にもレシピを教えてくれないだろうか。
自力で作れた事に越したことはない。 作れたら地下施設で作る。
だって人前でクラフトして良いモノじゃないじゃん、それ。
シズさんも薄味にならないようにしたいのですがね……。
書くのって、難しいッスね……。