寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

34 / 175
本編へ軌道修正?
原作通りのスキルを取得していないリムル。
代わりにクラフターがなんとかします。
……たぶん。



創国:ジュラ・テンペスト連邦国
29.天馬とガード


 

「……緊急事態です。 北の空に武装集団を確認しました。 その数およそ500」

 

 

何やら慌ただしくなってきたから、クラフターは武装した。

リムルも飛び出していくので惰性でついて行く。 空を共に見やり……目を見張った。

 

 

「ペガサス!?」

 

 

馬である。 馬が空を飛んでいるのである。

しかも、いっぱい飛翔している。

欲しい。 だってサドルまで付いている。 誘っているとしか思えない。

 

 

「……カイジン、早く避難してくれよ」

「……ちょっと心当たりが。 昔、酒の席で退役した老将に聞いたんだ。 ドワーフ王の直轄に極秘部隊がいるってな……なにせ、その部隊の名はペガサスナイツ、という名だと」

 

 

どうやって捕縛しようか考えていたクラフターだったが、やがて目の前に降りて来た。

やったぞ。 今がチャンスだ。 騎乗していた村人も降りている。

 

 

「……お久しぶりでございます、ガゼル王よ」

 

 

かと思ったが、その村人がいつかの村人だったので踏み止まる。

鎧を纏い、如何にも強そうな者。 いつか観光で訪れた集落にいた偉そうで強そうなヤツだ。

 

どうする?

馬を奪うにも、運悪く碌な武装が無い。

シズとの訓練用にと用意した木剣しか無い。 棒切れではないにせよ、鉄装備を相手に出来る質を問えない。

 

 

「久しいなカイジン。 それにスライム。 余……いや、俺を覚えているか?」

「もちろん」

「……王よ、本日は何かご用があるのでしょうか」

「なに、そこのスライムと人間達の本性を見極めてやろうと思ってな。 今日は王としてではなく、一私人として来た。 物々しいのは許せ。 こうでもせぬと出歩けぬのでな」

「……ついさっき、もっと物々しいのを見たけどな」

「む?」

「こっちの話だよ」

 

 

相手の能力は未知数。 強いのは間違いない。

インベントリを確認する。 土と丸石がある。

これで凌ぐか。 博打はしたくないのだが。

最悪死んでも、大した物はロストしない。 ここは試し斬りされる方法も取れる。

 

 

「まず名乗ろうか。 俺の名はリムル。 スライムなのはその通りだが、見下すのをはやめてもらおう……特に、コイツらはヤバいぞ?」

 

 

リムルがシズを模倣した。 いつの間にか帯剣している。 狡い。 寄越してくれないかな。

こっちは木剣なんだよ。 それは鉄以上だ。 断然ソレが良い。 交換しろ。 レートなんか知らん。 馬の為に寄越せ。

 

 

「これでも一応、ジュラの森大同盟の盟主なんでな……勝手にされたけど」

「ほう……人の姿で剣を使うのか」

「そんなに警戒しないで欲しいんだけどな」

「それを判断するのは俺だ」

 

 

相手が先に抜剣。 剣先をリムルに向ける。

しまった、先手を取られた。 話し込んでいる場合では無い。

 

……いや待て。 この間に馬を……駄目か。 控えが沢山見ている。 隙が無い。

 

 

「貴様を見極めるのに言葉など不要。 この剣1本で十分だ。 それは其方の人間が1番分かっていそうな目をしているな」

 

 

こっちにも剣を向けられた。 これは敵対している。 馬はやらぬという意思表示だ。

やはり泥棒は良くないよな……クラフターは頷いて見せた。 反省していますと。

 

 

「……この森の盟主などという法螺吹きには分というものを教えてやらねばなるまいしな」

 

 

どうしよう。 いっそ斬り込もうか。

ほら、背後で待機している帯刀村人は今にも抜刀しそうな雰囲気を出している。

悪いと思うが皆して馬を奪取しに行けば、一頭くらいは持ち去れるのではないだろうか。

いや無理か。 数の優勢は簡単には覆せないし、馬の特性も分からない。 そもそも懐かせず行けるとも思えないし……。

 

 

「我らが森の盟主に対し傲岸不遜ですよ、ドワーフ王」

「なんだって……? ドライアド!?」

 

 

次は植物村人が来た。 今度は3人もいる。

皆して馬に興味津々なの?

これは……もしかして……もしかするかも知れない。

このまま戦力が拡大すれば馬を奪取出来るのでは!?

 

 

「ようトレイニーさん」

「ご無沙汰しておりますリムル様。 同盟締結の日以来ですわね」

 

 

相手が動揺し始める。 戦力が増えていくのだ。 そりゃそうだ。

とはいえ、数が圧倒的に違う。 この調子で増えても日が暮れてしまう。

それを嘲笑うように、鎧村人が声を上げる。

 

 

「ふはっ、ふはははは! 森の管理者がいうのであれば真実なのであろう! 法螺吹き呼ばわりは謝罪するぞリムルよ……だが、貴様らの人となりを知るのは別の話。 得物を抜けい!」

「まだ無礼を重ねると……え?」

 

 

もう良いや。 ヤッてやんよ。

 

クラフターは木剣を携えて躍り出た。

このままでは埒が明かない。 最後は自身が切り開かねばならないのだ。

 

 

「お、おい、俺がやるよ。 てかお前のソレ木刀……いや木剣じゃん!?」

「剣に違いはあるまい。 それにその目、自信がさぞあるのだろう」

 

 

馬しか眼中に無い。

邪魔者は退かす。 以上。

 

 

「舐めている訳でも無さそうだ。 良かろう、俺は一向に構わんよ」

「……分かりました。 では立会人はわたくしが行いましょう……始め!」

「トレイニーさん!?」

 

 

打って来ない。 飽くまで馬を守護する姿勢。

よほど大切らしい。 益々欲しくもあり申し訳なくもある。

 

 

「どうした? 来ないのか? なら此方から行くぞ」

 

 

次の瞬間、消えた。 エンダーマン級か。

ジャンプしながら土を置いて上に逃れる。 危機回避の基本だ。

取り敢えずコレで安全を確保……。

 

 

「ぬんっ!」

 

 

まさかの剣筋が目の前を横切る。

上は安全じゃないらしい。 仕方なしに降りてみた。

 

……盾があれば良かったなぁ。

 

ふとガラ空きの左手を見て思う。 デザインも出来る、攻撃を防ぐ板の事を。

アレの作り方を知る前は、今のようにブロックで凌いだものだ。

 

それすら無い時は……どうしたっけ?

 

あっ。

 

刹那、クラフターの脳裏に電撃が走る!

そうだ! 何故忘れていたんだ!

戦闘中、剣で即座実行可能動作があったじゃないか!

 

 

「この程度か? ならば終わりだッ!」

 

 

思い出したクラフターは直様構えを変えた!

 

剣を横に構えるだけ!

その名も剣ガードである!

 

 

───ギャリイイィッ!!

 

 

衝撃がきた。 が、ノーダメージだ。

見れば姿を再度表した鎧村人の剣と鍔迫り合いの姿勢になっている。

 

 

「……ふっ、ふははははッ! こやつめ俺の剣を受け止めおったわ! それも片手でな!!」

「スゲェなお前の剣……木なのに耐えたよ」

「降参だ。 俺の負けでいい」

 

 

背を向けた。 今なら切れそうだ。

いや駄目だ。 木剣で鉄鎧に勝てない。 ここは諦める。 クラフターは嘆息した。

 

 

「では、勝者───」

 

 

うおおおおおっ、と村人が鳴き始めた。

景気が良いのは良い事だ。 だがクラフターの気持ちは暗い。 馬をくれそうに無いんだもん……。

 

 

「邪悪な存在達ではないと判断した。 良ければ話し合いの場を設けてもらいたい」

「……俺もそう願っている」

「言葉が通じぬのか?」

「全くじゃない。 通訳もいる。 だけど……」

「盟主なのだろう。 仲間であれば、信用してやるのも務めの1つよ」

「……そうだな。 弱気になってる暇なんか無いよな」

「そうだとも」

 

 

そんな気持ちを知ってか知らずか、今度は仲良さげに語り始めるリムルと鎧村人。

馬の交渉なら嬉しいが。 そんな雰囲気に見えない。 希望は捨てよう。

もっと良いモノが見つかると思って……。

 

 

「……先ほどの剣気、如何なる猛者かと思ってみれば、ずいぶんと成長なされた」

「……剣鬼殿にそう言って頂けるとは恐縮です」

「ふむ。 森で迷っていた小僧に剣を教えたのは懐かしき思い出」

「あれから300年になりますか」

「え? なに? 知り合い?」

 

 

今度はハクロウなる帯刀村人と鎧村人が話し始める。

もう好きにしていてくれ。 拗ねた。

 

 

「……さぁ早く案内してくれリムル。 上空から見たかぎりじゃ凄まじい発展具合だったぞ? 美味い酒くらいあるのだろう?」

「……まぁ、あるけど。 あと街を作ったのはコイツらが殆どなんだけどな。 それも頼んでも無いのに」

「はっはっはっ! 善意を無下にするものでないぞ!」

「善意、か。 そうだな、信じよう。 なんだって俺は盟主だ」

「そうとも。 背を伸ばし前を向け。 俺の弟弟子よ!」

「はははっ、軽いなぁ」

 

 

過ぎた事より先の事。

クラフターは前を向く。 下ばかり向くものではない。

前にも上にもやりたい事は溢れているのだから。




漫画とは違う、ちょっと弱気なリムルに……。
if的にバニー姿にする方法もありましたね。 くっ(殴。

地下運用は先になるかも。 ボス戦とかで……たぶん(殴。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。