寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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危うい関係性を保ちつつ。
リムル→得体の知れない創造主達が怖い
創造主→得体の知れないリムル達が怖い
シズ→仲良くして欲しい
共通→シズさん泣かせたらブン殴る
……みたいなイメージをしています。

落ちていたようですね(投稿現在)
復旧した様で良かったです。


30.飲食と星下

 

 

「リムルよ、俺と盟約を結ぶつもりはあるか?」

 

 

外観に趣向がある迎賓館で食事をしていると、鎧村人……今は脱いで髭村人……がハァンと鳴いた。

 

 

「皆して何言ってんだこのオッサン、みたいな顔をするんじゃない」

 

 

通訳のシズは席を譲っていて、ここにいないからナニ言ってるか分からない。

だが大切な話なのだろうとは思う。 マルチあるある土地問題とか。

或いはこの建物についてか。 それか料理か。

どちらも素晴らしい造形だ。 分かる。 学びの姿勢は我々も襟を正したい。

 

 

「この町は素晴らしい造りをしていた。 ここはいずれ交易路の中心都市となるだろう」

「設備が間に合ってないんだけどな」

「時間が解決する。 気にするな」

「それもそっか」

「……その間にも、後ろ盾となる国があれば便利だぞ?」

 

 

建物を褒めていると分かった。

言葉分からずとも伝わる。 建築家故か。

良いぞ。 クラフターは頷いた。 建築好きに悪い奴はいない。

 

訂正。 荒らし許さない慈悲は無い。

 

 

「後ろ盾、ね。 じゃあアレは剣か」

「むっ?」

「……いや、コイツらの剣に頼るのは不安だからな」

「そうか? 良いモノだったぞ。 事後に何だが、よもや木で止めるとは」

「……話戻すけど。 盟約は素直に嬉しいが良いのかよ。 俺達を、魔物の集団を国として認めるということだぞ?」

「無論だ。 善意の言葉ではなく王として言っておる。 双方の国に利のある話だ」

「ホントにぃー? 俺騙されてない?」

「ふははははっ! 恩師やドライアドを前にその主を謀ろうなどとはせん」

 

 

建物といえば、かの観光地も興味深い。 設備もだ。

この世界の技術は度々お目に掛かるが、クラフト出来ればかなりの助けになるのは間違いない。

問題なのはレシピが不明な事だ。

特に記憶に新しいシオン級猛毒ポーションは失敗した。

試行錯誤、厨房観察の果ての結論だ。

時間の浪費と判断、研究は凍結。 喰らわされた遺恨を後世に遺す無様の為体を晒す。

悔しい。 地下格納庫のIRP動力源より意味不明だ。 複雑を通り越し渾沌そのものである。

唯一の救いは副産物か。 美味い料理の開発に成功した。 それは満足だ。

 

 

「……悔しがったり喜んだりしてるヤツもいるしな」

「ソイツらには遠慮しなくて良いぞ。 ご覧の通り、ナニ考えてるのか分からん奴さ」

「邪気は感じぬがな」

「無邪気も過ぎれば困るんだよ」

 

 

具体的には生魚を捌いた刺身や「カレーライス」とか野菜スープを覚えた。

その中に見た新たな発見。 それは、カレーにナニを入れてもほぼ「カレー」になるという事だ。

ウケた。 色んな意味で。 やはりクラフトとは様々を試行してこそ甲斐がある。

 

……シオン級を入れても「カレー」になるのだろうか?

 

リムルに実験したい。 コイツなら何でも喰える気がする。 無理に我々が腹を括る必要はない。 いくら牛乳があるとはいえど。

かの感覚、それは無限奈落より酷かったが故に。

途端にジ・エンドやウィザーが生優しく思えてきた。 身震いした。

 

 

「なんだろう。 急に寒気が……感じない筈のものを感じる……」

「得体が知れないのは理解した。 いや理解したというのも妙だが……」

「それでも盟約を?」

「何度も言わすな。 良き関係でいたいと願うなら、互いに歩み寄る事だ。 その上で無理だと思えたなら……それまでよ」

「俺たち、上手く付き合えそうか?」

「やってみてから考えろ。 言ったろう、前を向け。 偶に振り向けば良い」

「分かった。 そこまで言うなら……この話、喜んで受ける」

「はっはっはっ! 王者に相応しき決断力! さすがは俺の弟弟子よ!」

 

 

顔上げ決断した。

必ずや邪智暴虐なシオンを懲らしめねばと決断した。

具体的には厨房に入場した瞬間を捉えた後に現行犯で押さえる。

次に我々が試作したポーションの実験台にする。 林檎果汁と西瓜果汁。 金林檎果汁も試す。 特に金は浄化作用があるかも知れない。 雷に打たれたが如しの影響を期待する。 我々には通常効果しかなかったが。

あと美味かった。 満足だ。 クラフト万歳。

 

 

「条件はとりあえず2つだ。 1つ、国家の危機に際して相互協力。 1つ、相互技術提供の確約」

「良いぞ。 でもコイツらの協力が欲しいってのは難しいかも。 言葉は通じないわ、気紛れだわ、何より創造する力は非常識の塊だ」

「益々面白い! お前達が羨ましいぞ!」

「くそぅ、他人事だなぁ!?」

「はっはっはっ……で、お前達の国の名はなんというのだ?」

「え……いや……まだ国という段階でもなかったからな。 俺はジュラの森大同盟の盟主だけど国主ってワケじゃないし……」

 

 

次は酒とやらをクラフトしたい。

飲む量次第で、ゲートワープのグニャグニャ視界になるアレ。

悪性ポーションかと思う時があるが……アレは良いモノだ。

観光地で味わった様に、楽しい気持ちを助長してくれる。 人生を豊かにする。

効率ばかり追いかけて忘れていた、生きる愉しみを思い出させてくれる。

大袈裟かも知れない。 だが必要だ。

 

 

「では明日の朝までに国名を考えておけ。 そして今夜は酒に付き合え」

「考える時間くれないのかよ!?」

 

 

ふと外を見た。 シズが空を見て佇んでいた。

クラフターはなんとはなしに、酒を持っていく。

 

 

「……リムルと一緒じゃなくて良いの?」

 

 

構わない。

シズといたい。 星海の下、星見酒。

偶に孤独を紛らすのにも良いが、共に飲食するとより美味しい。

 

 

「くれるの? 優しいね」

 

 

共に飲む。 効く。 キュッとくる。

胸が締め付けられる。 この想いは今までになかったが。

景色がそうさせるのか。 シズか。 リムルか。 皆か。 天に散りばめた幽玄な輝きか。

どれも悪くない。 切なさも良い。 だが寂寥過ぎない加減が良き塩梅。

 

 

「うん。 誰かと一緒に飲むと美味しいな。 今まで独りだったから……余計かな?」

 

 

クラフターは首を横に振った。

創造にあって人生に余計はない。

シズは時に余生を憂いている節があるが、愉快に生きて良いのだぞ。

例えばほら、と酒を継ぎ足してあげた。

 

 

「……ありがとう。 今ね、幸せだよ」

 

 

クラフターは笑顔を見れて安心した。

そうだ。 笑っていなさい。

美味しい物を飲食するのもまた、愉快な人生だ。




シズさんが空気になってしまう……。
消えないようにしたい……でも難しい……。
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