「では国名はジュラ・テンペスト連邦国。 首都は中央都市リムルと」
酒の席から夜が明けた。
今度は屋外にてリムルと鎧村人が対峙している。
リムルに関してはシズに擬態しているだけではなく、黒服を着込んで髪を整え、背筋を伸ばしていた。 新鮮だ。
同席しているシズもだ。 こう並んで見るとソックリだ。 背丈と色が同じなら見分けは難しかった。
上位金林檎と下位金林檎の見分けくらい難しいと思う。
「連邦は支配領域を持つ種族も加わるから。 この街、首都リムルは……皆の意見から。 恥ずかしいから反対したんだけど」
「諦めろ。 今更変えるなぞ言うなよ? そも調印式で話す事ではない」
「悪い……よし。 始めてくれ」
しかしナニをしているのか。 儀式か。
机の上には本と羽根ペンがある。 交換日記みたいな奴か。
やるのは勝手だ。 クラフターは遠慮するが。
恥と後悔の無いように。
「あ、あのね……大切な事だから邪魔しちゃ駄目だよ?」
シズに小声で注意された。
心配いらない。 寧ろ我々はする側だ。 黒歴史も経験している身である。
誤字脱字は気にしないが、記載内容によっては世界に助平な情報を拡散しないように。
同志の中には失敗した者がいる。 羞恥心のあまり其奴は暴れた。 都市部が崩壊しかけた。
誤ちは繰り返す。 何処へ行けども。
それを止められる1番は本人であり、気付くべきなのも本人であるが、友として止めてやる行為も時に必要だ。
その時は手遅れかも知れない。 それでも止めよう。 シズ、その時は君も協力してくれ。 友として。
「……シズさん、顔が赤いけど大丈夫か?」
「大丈夫……」
「あー……はい。 ではこれより、ドワルゴンとジュラ・テンペスト連邦国における協定の証として、両国の代表による調印を行います」
「この盟約は魔法により保証され、世に公開されます」
2人が文字を書き始めた。 マジマジと見た。 解読出来ない。 残念だ。
「覗き込むなよ!?」
「だ、駄目って言ったよ!?」
「はっはっはっ! 躾はしておけよ?」
「先行きが不安だぁ……!」
刹那、不思議な事が起きた。
光の球が浮き上がったと思えば、次には花火の様に打ち上がり弾け散った。 面白い見世物だ。
……この本に何かしら書けば花火が上がる?
やってみよう。 そうしてこそクラフ……。
「駄目だって言ってるよー!?」
「スライムアターック!」
ウオッ。
シズに止められ、リムルに吹き飛ばされ野太い声が響き渡る。
痛い。 良いノックバックだ。 我々もハァンと鳴きたかった。
「面白い調印式になったな。 後にも先にも酒の肴に出来そうだ」
「建国早々、調印式で喧嘩とか。 これ一生揶揄われる奴じゃねえかよ!?」
「はーっはっはっはっ! 諦めも肝心よ! 語り尽くす事が出来ぬ国になりそうだな!」
「こんな所を、それでも国として認めてくれる懐の深さに感謝します……」
「愉快痛快! 次来る時には何が見られるかな? 楽しみだ!」
「遊園地じゃないんですけどね、一応」
取り敢えず話は済んだらしい。
それぞれ姿勢を崩している。 笑顔だ。 笑顔が1番ってそれシズにも言いたい。
「……それでですね。 事後も事後になりますが、一応教えておこうかと」
「別の娯楽施設か?」
「いや、軍事施設……かな。 隠し事をして後々問題になりたくないし。 というか、コイツらが散歩感覚でアレを出しそうで怖いし」
「……案内して貰おうか」
地下施設へと向かうリムル一行。
我々も後に続く。
今度は驚愕の顔をするが良いぞよ?
クラフターも笑顔で溢れた。
我々がいる事で人生が楽しくなるだろう?
そろそろ暴れさせてあげるからね(シオン風。