寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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この世界のクラフター達の話へ。
例によって転スラ日記も参考。
転スラ本編だけ読むと、きな臭い時が多いですが、日記やトリニティ、歩き方等を挟むと平和な時間も確かにあるんだろうなと思います。

……日記もギャグのみならず、シリアスな話も時々出てきます。
シズさんが涙して学園を去る話など。
まだその域(時系列)までいけてませんが。
というか、いける自信が無い(殴。
今回は建築に勤しむ某オークとミリムとの会話「日が暮れるまで」等を参考。
ある意味、破壊者と創造者という対極。


創造と甲斐。
37.作る"子と"生きる事


 

 

「お前はオークロードに近しい者だな。 最も……本当に進化する事はなかったが」

 

 

まだお天道様が頭上にいる頃、ミリムのハァンが響いた。

それも村人の建築現場だったから気が気ではない。 クリーパー的存在が現場に立ち入っている……寒気がした。

毛穴全開。 悲劇発生数秒前。 TNTの感圧板を踏み抜いた感覚より酷い。

 

村人が住まう村を幾度か見てきたが、こうして自ら建築している現場はこの世界で初めてだ。 元の世界では見た事がない。

故に貴重且つ重要な現場の1つであり、創造主としても興味深く見学していた。

そんな時にピンクの悪魔の襲来だ。 恐怖体験ビフォーアフターは見飽きたのでやめて下さいお願いします。

 

 

「それだけの力があるのに、何をチマチマとやっているのだ? 武をもって威を示したいと思わないのか? それはそんなに面白い事なのか?」

 

 

ミリムが作業員のピッグマンに建築に関する疑問を投げている。

言葉は分からない。 だが携わる者故か分かる。 恐らくそうだと。

だが楽しげな雰囲気ではない。 知的好奇心から来るワクワクやドキドキがミリムからは感じられない。 笑顔が無い。

クラフターは思考する。 恐らくだが、ミリムはクリーパー同様に破壊ばかりで創造した事はほぼ無いのだ。

やれば分かる。 やらねば分からない。 その初手を教えたい。 クラフトを。 その愉しさを。

 

 

「……これは私に与えられた仕事ですから。 ただ言えるとすれば、何かを作り出し残すのは甲斐がある。 特にこの想いは……あの者達が誰よりも知り得ていると思います」

 

 

さてもどうすれば良いか。

甘味で釣ろうと建材を握らせようとツールを持たせようとしても失敗する未来しか見えない。

だからと放置したくない。 危険だから、というのもあるが、またあの笑顔を見たいのだ。

見せて欲しい。 柄にも無い。 だが本心だ。 創造主がこの世界で得た物は数多ある。

仲間、友人、村人。 他者からの喜怒哀楽は常にそうだった。 それは創造力の原点にして源である。 生きる活力である。

無機物からは決して得られない唯一無二だ。

笑って欲しい。 それは温かい。 例え罵倒されるにも評価されたい。

この心情はマルチクラフターの皆の内に抱く事柄だが、悲しませようとは露程も思わない。

稀に現れるが、そういう奴は斬り捨て御免としてきた。 或いは封印。

何故とは考えない。 故にと動く。 そうしてきた。 これからもそうだ。

そうして生きているし、生きていく。

 

 

「ふーん……よく分からない……いや、少し分かるかも知れぬ。 この者達も見ているしな、もうちょっと見てて良いか?」

「どうぞ」

 

 

そうだ。 創造を享受させるのは?

甘味に興味を示したのだ。 自分に利のあるモノであれば、或いは作ろうとも考えてくれるかも。

地下のIRPと対峙した時も笑顔であった。 戦闘中にも関わらずだ。

それだけだと荒らしのソレだが、多少は物作りを理解するかも知れない。

あの猛毒を生み出すシオンとやらも、クラフトする後先は笑顔であるし。 生み出されたモノは到底享受出来ないが。 間違っても体内には入れたく無い。 二度と。

 

 

「なぁ、お前達」

 

 

声を掛けられた。

笑顔なきミリムである。 疑問の表情だ。

 

 

「お前達はそんなにこの国が大切なのか? 怖くはないか? みんなが、沢山の建物が、沢山の大切なものが……繋がりが1つでも欠けたらと考えたら……ワタシは怖いのだ」

 

 

ナニを数えている様子である。

クラフターは首を傾げた。 消費される建材やデザインに関する疑問か。

或いは破壊してきた建築物か。 罪の数か。

 

 

「大切なのは……いつだって……小さくて……呆気ない程、脆い。 きっと……お前達は後悔するのだ。 ドラゴンだって……作った事を後悔するのだ。 その時お前達は耐えられるのか? 今のままではいられなく……」

 

 

ぽんっ、と頭に手を乗せた。

笑顔を向ける。 大丈夫だ問題無いと。

 

 

「えっ?」

 

 

ミリム。 事故で壊したならば幾らでも我々が直してやる。 だから安心しなさい。

そして振り返るな。 前を向け。 壊して失うばかりが人生では無い。

これから君には作って欲しい事がある。 例えばケーキとか。 好きでしょケーキ。

 

 

「ふんっ……お前達もガビル同様に、いや。 それ以上に……」

 

 

ミリムも笑顔になった。

それもまた、作って欲しかったものだ。

 

 

「馴れ馴れしいのだーッ!」

 

 

刹那、殴られた。 凄いノックバックだ。

ダイヤ防具有りでも瀕死に追い込まれる位に強かった。

これは我々も笑うしか無かった。

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