「リムル様、皆様お待ちしておりました」
クラフターは久しぶりに初期スポーン地点に帰還した。
あの寝起きの洞窟だ。 特に用事も無いと半放棄していたのだが、村人が住み着いたというので出向くことにしたのだ。
リムルも志を同じくしたらしく、共に訪れている。
「良く無事だったなお前……」
「いやなに回復薬のおかげです。 はっはっはっ」
「その回復薬というのは、ミリムのボディーブローをくらった負傷を治したモノだな?」
「はい。 いやぁ、あの時持っていて命拾いしました」
「一応、殺す気はなかったらしいぞ」
ハァン会話をリムルとドラゴン風村人がしながら奥に進む。
懐かしい。 相変わらず旧施設群が破壊される事なく鎮座している。
村人が住み着く関係か、多少設備が備わっているのが、微々たる変化だ。
尚も豆腐が陳列している光景は我々の少ない初期資源と駆け出しの頃を象徴している。
それでも外の世界へ飛躍する足場となった事に違いはない。
時に感傷に浸り、思いを馳せる。 先人の努力を偲ぶ。 郷愁にも似た感覚は好きだ。
確かに世界に存在し、今まで続いてきた歴史そのものであり、その証拠がこの光景なのだから。
「よう調子はどうだ? ベスター」
やがて最奥に来た。
いつかの観光地で見た村人がいた。 何故か。
何者かがこの地に連れて来たらしい。
詳しくは問わない。 来る者拒まず。
ただあの頃と違い、かつての険しい表情はしていない。 その上でポーションのクラフトをしている。
それは我々も知らぬ効力、いや。 それを底上げしたものだ。
「……こちらが最新の回復薬です。 どうでしょうか」
「ふむ……俺(大賢者)が作っているのと同じだ」
「ということは……?」
それは回復薬。 治療のポーションだ。
原料は違う様だが、興味深いものだ。
それも我々より効率が良い。 回復量が高いのだ。
「フルポーションだ。 やったなベスター」
刹那、うおおおあおっと歓声が上がる。
洞窟内に木霊してやかましい。
だが分かる。 新たなクラフトが開拓されたのだと。 道が開けたのだと。
「ありがとうございます!」
「いやいや。 成し遂げたのはベスターだろ」
「ガビル殿、そしてこの者達の影響あってこそです」
「うん? 何かこいつらがしたのか?」
その快感を思えば、我々も自然と腰が振れるというもの。
ガクガクと腰を動かし、首を回し、腕を振り回す。
喜べ。 新たな創造主だ。 歓迎せよ。 願わくばその創造物を貰いたい。 そして享受し研究して作れる様にしたいところだ。
「はい。 ここが彼等の技術により整備され施設群が建ち並んでいるのもそうですが、お陰でポーション作りの実験室の整備はスムーズでした。 そして彼等もまたポーションを作るのですが、その道具類の性能も目を見張る物が多く大変勉強になったのです。 原料は知らないものでしたが、ヒントを得つつ成し遂げた形です……改めて皆様、ありがとうございました!」
お辞儀された。 よく分からないが我々もお辞儀する。 これからもクラフター同士、仲良くしていこうではないか。
「……偶には褒められる事もあるな、お前らも」
さて薬開発も興味深い分野であり、ここに居残り研究する者達もいるにはいるが。
創造における研究分野とは沢山溢れている。 どれも強制されてない自由な一方であり、時に全てを学びきれないのは残酷な優しさだ。
ここに僅かな同志と少しの寂しさと大いなる期待を残し、我々は再び外に出る。
料理、建築、エンチャント、IRP……。
やりたい事、試したい事は山程だ。 だが足を止めては勿体ない。 世界は広大だ。
未知への探究心がある限り、我々は創造主として生きていく事ができる。
「ところで、この者達が持ち込んだものが」
「へ?」
「この食器に乗せられた禍々しい物体なのですが……料理には見えないので劇物ですよね……?」
「これシオンの料理!? お前ら拡散するんじゃねえよ!?」
リムルと村人達が騒いでいる。
新たなポーション原料に歓喜している様子だ。
そうだ。 嬉々として研究しなさい。 我々が到達出来なかった新天地を見る事が、ひょっとしたら君達に出来るかも知れないのだから。