寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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農業の話。 日記参考。
「ゴブリンロードは伊達じゃない」辺。
生産管理担当者兼寺子屋の先生、リリナさんは美人だけど怖い。
衣食足りて礼節を知る……。


39.村人農業と価値観

 

 

「ほんらほらほらほら、そっごぽんつく共! のさぐさしでっど、あーっちゅう間ぁに日ぃ暮れっちまうど(ジュラ訛り)!」

 

 

手持看板をバンバン叩いている村人がいる。

周囲は畑だ。 畑の管理者らしい。

収穫時期らしく、周りに収穫指示を出している様にも見えた。

 

そんな対象となる広大で豊かな畑。 ジャガイモだったり人参だったり、小麦のようで違う金色の絨毯が広がり美しい。

我々が持ち込んだ種を植えているのもあるが、大半は村人自らが稲作していた。

努力の結晶ともいえる穀物が大地の養分と村人の汗水垂れる努力の中で育成されてきたのである。

ビル型では見られない、かつて我々も経験した光景でもある。

見分け方で分かりやすいのは、ビル型か従来の地面を耕すかの違いだ。

原始的だと愚弄する気は微塵も無い。 寧ろ興味深い。 畑も村人自らやっているのだ。 建築同様、学ぶべき点が多そうだ。

特に効率のみを追い求めてビル型を発達させている中で忘却していた美しい光景だと思う。

 

 

「リムル様ん前でこっぱずかしーナリ見したーしゃーで? 畳んで刻んで畑ん肥やしぃなっが!? あ? ちゃーんど働ぇで美味ぇマンマぁ喰いてぇべ!? そうだべ!?」

「ふぁっ、ふぁいっ!」

 

 

威圧感を持ってして作業員達を叱咤激励している様に見える。

いよいよ暴力にて訴えている相手もいる。 ミリムや……というか、今までの経験を思うと可愛らしい光景だった。 寧ろ和む。

思えば我々も先輩達に酷い目に遭ったなぁ。 つらつら思い出されるは、騙されての奴隷の如き巨大建築共同作業や非人道的人体実験、強制労働による日を拝めぬ延々の鉱物資源採取。

 

うん。 思い出したく無い。 自由万歳。

 

 

「……リリナさんは機転が利いて働き者、なにより美人で有能……うん。 でも少し怖い」

「作業は順調です」

「あ、はい」

「昔から相変わらずですなぁ……」

 

 

クラフターは別の方向にも目を向けた。

決して過去から目を逸らした訳では無い。

田畑の勉学をするにも、様々な方面がある為だ。 穀物の種類と広さだけ作業員も様々にいる。

 

芋畑に目を向けた。

シオンとミリムがいた。 意外と共に見かける組み合わせだ。

 

 

「いざ勝負!!」

「芋掘りの!!」

「君たち、それで良いの? はかどるけどね」

 

 

凄い速さで芋掘りが行われている。

競っている様子だ。 早い。 瞬く間に芋が掘れる。 我々より早いかも知れない。

一方で緩やかな者もいた。 落ち着いた情景も見たく、其方へも向ける。

純粋なジャガイモ畑では、いつかの植物村人が作業をしていた。

 

 

「ど、ドライアド様に芋掘りをさせるなんて……」

「いいんですよ。 ドライアドは元々ジャガイモから生まれるのです」

「共食い!?」

「……でまかせなのか、マジなのか」

 

 

一方で田んぼとやらの方へ目を向ける。

陽光に輝く黄金色の絨毯かの様な穀物が育っていた。

それはドラゴン風村人が担当している。

 

 

「うおおおおっ……許せ! こんな美しい光景を奪う事を!」

「耐える! 耐えるのですガビル様!」

 

 

何故か号泣しながら刈り取っていた。 謎だ。

 

他の方面……未開拓の森の中から賑やかな声が聞こえるし、それは方々に様々だ。

全て気になるが全てを知るには時間が少ない。 総じて実りある話と光景であるとしても、全てを知れないむず痒さ。

 

取り敢えず見失ったリムルを探す。

いた。 森の方だ。 シズに擬態してキノコを掲げている。

知らないキノコだが、重要なのだろうか。 そこら中に生えていたが。

 

 

「この色、この形、この香り……松茸様が大量に!! でかしたぞ!」

「いや……そんなのそこら中に生えてるっスよ。 珍しくもないス」

「一応採ってきただけですね」

「あまり美味しいとは思えませんし」

「よろしければお好きなだけどうぞ」

「…………」

 

 

食用に出来たのは知っている。

取り敢えず齧ったり釜戸で焼いたり馴染みのスープにして食った。 好みは分かれるキノコであった。

ある者は不味いと言い、ある者は美味いと言う。 足裏の臭いだと言えば香ばしく好きと言う者もいた。

 

 

「おまえも変わってるな」

「……みんな時々つめたい……本当は俺もそんなに好きじゃないんだ……松茸(これ)」

 

 

建造物にも好き嫌いがある様に、食料にも好き嫌いがある。

視野の面でも無い方が良いが、やはり無理する必要はないと思う。

負のオーラを出して座り込むリムルの頭を撫でた。 良いじゃないかと。 リムルがどちら側だろうが大きな問題ではない。

自分が自分でいる事が大切であるぞよ。

 

 

「いつも温かいな、お前らは」

 

 

笑われたので笑い返す。

そうだ。 好き嫌いあれど笑ってるのが1番良い。

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