寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

46 / 175
本編側へ。
魔王カリオンの所からフォビオ達がやって来ます。


訪問者
41.訪問者と殴り合い


 

 

「ここは良い町だな。 魔王カリオン様が支配するに相応しい……異質感が凄いが」

 

 

見知らぬ者達が街に侵入して来たから、荒らしかと思って包囲した。

当然、ダイヤフルエンチャント装備の完全武装で取り囲む。 四方を囲むビルの窓からは既に狙撃態勢を整えた同志が構えている。

この世界、特にミリムとの戦闘から得た数少ない教訓だ。 インベントリには黒曜石もある。 常に破壊と修繕を余儀なくされる日々の危機感が迅速な行動を可能にしていた。

 

尚、場所をバラされた地下格納庫含むジオフロントはミリムによりボロボロだ。

それもまた素早く直したが、IRPの研究時間は割かれてしまった。 格納庫もズタズタである。 外殻が黒曜石製IRPは壊れなかったが、周囲の整備通路等が大破。 それも直した。

ミリムが恨めしいが、場所を教えたリムルがそれ以上に恨めしい。 いつかシオン級毒ポーションを投げつけてやる。 我々は密かに決意した。

 

 

「おや、魔物ばかりかと思えば人間もいるのか。 挙句に魔物を守る様な行動を。 滑稽だな」

 

 

不敵に笑うリーダーらしき村人。

よく見れば尻尾らしきモノが生えている。

控えている者達も、どこか獣風だ。

この世界はそういう村人が珍しく無いから今更に驚きもしない。

問題はコイツらがミリムの様な荒らし野郎かどうかにある。 警戒は怠らない。

 

 

「だがお前らが束になったところで、この俺を倒せる訳が無い。 死にたく無ければさっさと失せな」

 

 

威嚇している。 獣らしいと思えた。

ならば懐柔出来るかも知れない。

犬かと思えばそうでも無い気もしたので肉は止めよう。

金林檎とジャガイモは事故事例があるので与えない。 代わりにケーキを与える。 ミリムに効果絶大だったからだ。

目の前に直置きした。 どうだ。 たんと食え。 笑顔を見せろ。

 

 

「…………食えと? 畜生らしく這い蹲り食えと?」

 

 

プルプル震えている。

歓喜に打ち震えている。 感動したか。 それもそうだ。 ケーキ製作は手間がかかる。 しかも一旦置いてからでないと食えない。 何故か知らない。 故にと置くが。

だが見た目が良い。 飾りとしても機能するし、分けて食う事でコミュニケーションのキッカケにもなる。

それに甘味だ。 イケる。

そう思ったら我々も笑顔になった。

そうして友になる。 そう思ったのだが。

 

 

「死にたいらしいなッ!!」

 

 

何故かキレた。 殴られた。 またも凄いノックバックだ。 死にやしなかったが。

 

参った。

懐柔成功率が低下気味だよぉ……。

 

 

「舐めやがって! この程度で済ませてやるが、次は……ッ!?」

「お前ッ! ワタシの友達にナニしてる! 許さないのだ!」

 

 

今度は聞きたく無いハァンが聞こえた。 ミリムだ。 凄い速さで獣村人に突撃している。

 

 

「なっ……魔王ミリム!?」

 

 

そのまま問答無用で殴った。 もれなく獣村人は動かなくなった。 白目を剥き、口から泡を吹いている。

 

 

「フォビオ様ッ!?」

 

 

周りは動揺しているが、創造主達はこの程度の出来事に対応出来ない新参では無い。

不意打ちのクリーパー被害より対処は楽だ。 具体的には黒曜石でミリムと我々の間に壁を作った。 咄嗟の判断。 振り向きざまの拳は味わい飽きている。

 

 

「何の騒ぎだ!?」

「リムル様! 連絡が遅れ申し訳ありません、実は警戒網を抜けた反応がありまして……来てみると複数人の魔人が広場におりました」

「……そのリーダーらしき男は気絶してるんだけど」

「ミリム様がその……あの男がひとりを殴り飛ばした為、庇う為に峰打ちを」

「……そのミリムはどうしたんだ。 地面に転がってるケーキを食べてるんだが」

「……殴られた者が用意した物です。 本来は魔人に与えようとした様ですが、それが気に入らなかったらしく……」

「地面に直置きされりゃな……馬鹿にされたと捉えられたんだな、うん。 想像に難しく無い……大体あらましは分かったよ」

 

 

ミリムはケーキに夢中だ。 笑顔満開。

良かった。 食べてる間は殴られない。

黒曜石を効率強化ダイヤツルハシで撤去しつつ、胸を撫で下ろす。

どうしてか荒らし組もこれ以上攻撃してくる様子も無いし。

そもそも荒らしじゃなかったのかも知れない。 殴るくらいの戯れ合いはクラフター同士でもやる事だ。

 

……アレは彼等なりの挨拶だったのか?

 

 

「ミリム。 俺の許可なく暴れないと約束していなかったか?」

「うぇ!? これは……これは違うのだ! この町の者ではないからセーフ。 そうセーフなのだ!」

「アウトだよ。 だがまあ今回は昼飯ヌキで許してやるか」

「なっ!? ヒドイ! ヒドイのだ!! くそぅ、これも全てこいつが悪いのだ。 1発では飽き足らぬ……っ!」

「待て待て待て」

 

 

ケーキを食べ終えたミリムがまた泣き出した。 かと思えば、また先程の村人を殴ろうとしている。

無抵抗の村人を殴る趣味は流石に頂けない。 クラフターは間に割って入る。

 

 

「何故止めるのだ!? コイツはお前を殴ったのだぞ!?」

「それミリムが言う? 君も散々コイツらを殴っていたのを見た事あるけど」

 

 

ケーキを再び置く。 そして食え。

そして泣くな。 泣き顔は似合わぬ。 笑顔が良い。

 

 

「……またくれるのか? ありがとうなのだ。 でも、どうしてそこまでして止めるのだ?」

「……それはそうと直置き止めろお前ら」

 

 

クラフターは笑顔で頷き譲る。

沈静化の為にストック出来ぬコレらを持ち歩くのは、魔王ミリムの為だ。

殴られない為と殴らせない為でもあるが、1番の目的は君の笑顔の為である。 その為にクラフトしたのである。

 

 

「……美味しい。 落ち着く……でも……お前達は相変わらず不思議なのだ……」

「ともかく場所を移すか。 一応、あちらの言い分も気になる」

 

 

移動を始めるリムルと他面々。

我々も臨戦態勢を解き、後に続いた。




リアルが不安定で、更新出来なくなる可能性があります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。