『警告。 個体名フォビオのエネルギーは個体名ベニマルを上まわります』
「フォビオ、思った以上に大物か」
またいつかの様に皆が集まり会話が始まる。
シズはハクロウなる人物と剣の稽古をしていていない。
なら我々がいる理由が無いとしたいが……ミリムがいる所為か放置出来なかった。
「……で、君達は何をしに来たんだ?」
「スライム風情に答える義理はないね」
ハァンと言えば他がザワつく。
いつも通りだ。 この世界、どこ行ってもそうなのだろうか。
「いいから下がってろ」
「は……」
「は! こんな下等な魔物に従うのか。 人間もいるし、雑魚ばかりだと大変だな!」
威勢を張っている。 殴られた後だというのに元気である。 結構な事だ。 一度程度で済んでいるからであろう。
我々なんかミリムに散々建造物や設備を破壊された。 修復材は個人のストレージを優に超える。 刺したい。 でも吹き飛ぶばかりである。 この怒りは吹き飛ばす事でしか発散出来ない。 出来るだけマシだろうが。
「そう言うからにはお前の主はさぞ大物なんだろうな」
「ああ? 当たり前だろ。 お前カリオン様を知らねぇってのか?」
「では言葉に気をつけろ。 そもそも先に手を出したのはそっちだ。 お前の態度次第では今すぐ俺達は敵対関係になる。 このジュラの大森林全てを敵に回す判断をカリオンではなく、お前が下すのか?」
木炭と棒を組み合わせて松明を作る。
手慰みだ。 この時間はする事が無い。 シズがいればハァン合唱にも意味を持てるのだが。
「……ちっ。 スライム風情が吹かしやがって」
「なんならドライアドを呼んで俺の支配領域を証明しようか……若しくはコイツらの植林場の範囲」
我々もシズと打ち合おうかなぁ。
木剣をクラフトしたのも、元々それが目的だ。 毎度事故に巻き込まれて縺れ込み、結局は目的を遂行出来ず、それでも携行をしているコレ。
エンダーチェストに放り込もうともしたが、やはりいつどこでチャンスが来るかも分からないので携行している。
「フォビオ様……」
「……ここへはカリオン様の命令で来た。 お前達を配下にスカウトしろとな」
「……魔王カリオンに伝えてくれ。 日を改めて連絡をくれれば交渉には応じる、と」
「……きっと後悔させてやる。 そこの妙な人間共といい、全員な……!」
また何事かハァンと鳴けば、ドスドスドスと外へと出て行く外来村人達。
政は知らない。 ある事で保証と一定の権利を得られるらしい。
便利ながら窮屈な世界である。 それを利用して生きていると思えば面倒な者達だ。
ただそれが世界の在り方なら仕方ない。 我々はマルチクラフターだ。 何となく分かる。 同時に自由とは何だろうか。
「よーし! フォビオとやらが行ったし、また地下で遊ぶぞ! そろそろあのドラゴンを動かしても良いのだぞ!?」
だがコレは分かる。
ミリムの様な自由行動は荒らしのソレだと言う事を。