寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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ヨウム英雄化計画へ。
傀儡も所変われば……。

会話パートが続きます。
クラフターが空気。 シズさんも……。
モブ等、他の面々もですが。
おうふ……(殴。


44.ハァン集会と思い出し

「というわけでお客さんっす」

 

 

また村人が集合したから、我々も出向いてみた。 何でとは思わない。 何でもだ。

 

 

「それで何の用だって?」

「知らないっす!」

「おい!?」

 

 

尚、運ばれた素材は予測通り厨房だ。

どうクラフトされるのか気になるが、そちらは別の同志が査察する。

後で聞こう。 こういう時、あれもこれもと個人では無理でもマルチでは可能だ。 改めて仲間のいる世界に感謝したい。

 

 

「……失礼。 私はフューズと申す者。 ブルムンド王国のギルドマスターをしております。 私の目的は貴方に会う事ですので、ゴブタ殿に案内を頼んだのです」

「俺に会いに?」

 

 

勿論、仲間に頼り切るのも良くない。

だが相互協力してこそ真価発揮する創造もある。 時間短縮もそうだし、効率もそうだ。

考える頭は多い方が良いのだ。 寄れば優れた知恵も出る。

村人が集会するのもそんな理由だろう。

 

 

「今から十月ほど前になりますか、森の調査を依頼したこいつらから報告を受けました。 先ずはギルドの英雄、シズエ・イザワを救助してくれた事に感謝を。 お礼が遅くなり申し訳ない」

「俺は何もしてないよ。 救ったとしたらコイツらだな」

 

 

皆して此方を見た。 何か。 我々も思考しろと。 議題さえ分かれば参加するが。

やはりシズがいないとままならない。 いても駄目な時は駄目だが。

取り敢えず腰を曲げておく。 低姿勢は敵対していない表れになる。

 

 

「……ご本人は此方に滞在していると聞きますが」

「今はリハビリ……剣の稽古中なんだ。 病み上がりだからね」

「そうですか。 後程会えますか? 三馬鹿も会いたがってますし」

「後でな。 でもわざわざ礼にと会いに来た訳じゃないでしょ」

「ええ、まあ」

 

 

ハァン合唱に耳を傾ける。 遊びじゃない。

真面目だ。 最近はハァン語学習も勉強もしたいのだ。 ハァン語は難しい。 何とか喜怒哀楽を感知できる程度だ。

……最早語学習ではない。 獣にも感じる感情と何ら変化無い。 やはりこの域を離脱するのは困難だ。

 

 

「数ヶ月前の事です。 ブルムンド王国のギルドの中で妙な人間達の噂が流れました。 そして調査の結果、それが事実であると判明したのです。 同時にその者達による都市が現れたと」

 

 

神妙なハァンが静寂に響く。

騒いだら荒らし扱いになる雰囲気に息を呑む他無い。

我々に許された事は誠実に静寂を保ち創る事のみだ。 シズがいても同じ事をするだろう。

破ったら冷たい視線で刺されるであろうし。

 

 

「……我々は敵対より融和を選ぶのが賢明だと考えています。 ですが人間が魔物と組みし、都市をさも召喚したかの様な……短時間で為し得た技術と創造力は到底無視出来ません。 一部では脅威と看做されているのが現状です」

「成る程な。 ドワーフ王が来た時と同じ目的か」

「来たのですか?」

「ああ。 ガゼル王が俺達を見極めるとか言ってな。 で、ウチとドワルゴンで盟約を結んだんだ」

「盟約……!? この地を一国家として認めたと!?」

 

 

分からん。 全然分からん。

クラフターは視線を床へやる。

大切な話だろうから遮る気は毛頭無いが、ハァンハァンは喧しいばかり。

本当に意思疎通が成り立つのか疑わしくなってきた。 いや、なっているのだ。 これで。

すまないシズ。 我々は貴女が必要だ。 人生や世界の楽しさを教えるとしながら情けない。

 

 

「失礼します。 リムル様、例の回復薬の売り方についてですが……あっ、失礼。 来客中でしたか」

「悪いなベスター。 後で聞くよ」

「いえいえ。 では後程」

「へ……もしやドワルゴンの大臣、ベスター殿か!?」

「そうだよ。 "元"だけど。 今ではカイジンと双璧をなすウチの優秀な研究者兼技術者だ。 尤も……今落ち込んでるコイツらの方が上だろうけど。 会話が出来る、理解出来るかで判断すれば軍配はカイジン側に上がる。 魔法の話でもな」

 

 

技術の話をしているかに感じて顔を上げた。

が、来客が硬化している。 相変わらず村人の生態も声帯も謎しかない。

いつか理解出来ると良いな。 いや、理解しなければ。 そう挑まないとならない。 そうするのが己の美学だ。

建造物にせよ、何かを創造する際というのは妄想で終わらせたくない。 実際に挑んで初めて形となり実を結ぶ。

当然、失敗もある。 シオン級ポーションやIRPの様な苦難や諦観もある。 だが1や2の転倒で挫けない。 指差し笑われて構わない。

何故ならそれが我々の数少ない取柄で誇りである。

 

 

「……で、そっちの兄ちゃん達は何しに来たんだ?」

「ロンメル、頼んだ」

「はい。 えーと……私達はファルムス王国の調査団です。 こっちが団長のヨウム。 私はお目付役のロンメルといいます。 こちらにお邪魔したのも大凡フューズさん達と同じ目的となります。 成り行きとはいえ、都市の場所を偶然にも知れたのは幸運でした。 ジュラの大森林……魔物の森を抜ける以上は目に見えて危険な調査ですのに、領主は強欲で寄せ集め集団にまともな装備など揃えてくれる筈もなく……」

「ははぁ、正規軍じゃないのか。 道理で柄の悪い連中が多い……しかしよく逃げ出さなかったよな」

「その為に私が同行を命じられました。 契約魔法という強制的に従わせる術がありますので、それで縛るのです。 ま、その魔法は解いちゃったんですけどね!」

「へ? えーと……ロンメル君はお目付役じゃなかったっけ?」

「そうでしたよ。 ですが今はこのヨウムについて行くと決めたのです」

「……憧れの選手を見る少年の目をしているな……」

 

 

ハァンハァン合唱団の端に棒立ちする空気感。

辛い。 発声すらせず俯瞰しているだけなのに。 創造に生き行動する身としてジッとするのは性に合わないのだ。

手慰みで松明を作る。 シチューを作る。 それを食う。 授業や講義中による遊戯に似る。 罪深いと知りながら手を止められない。 許せ。 反省はしていない。

 

 

「それなら、なおさら……どうして逃げようとしなかったんだ?」

「ああ?」

「危険な調査に安い装備で送り出されたんだろ? 聞く限りじゃ雇主は成功報酬を奮発するタイプとも思えない」

「そんなこた、分かってるよ。 だがな、情報を教えてやらねぇと、町の奴らが危ねぇじゃねーか。 あの町にゃ説教くせぇジジイや酒場のお節介なババアや後をついてまわるうぜえガキ共だっているんだ……勘違いするなよ。 あいつらが死んだら寝覚めが悪いと思っただけだ」

「お前……言葉遣いや態度はすこぶる悪いが、結構良い奴だな」

「ッ!? だから勘違いするなってんだよ! まぁ……あのタヌキ伯爵が困る姿は見てみたいけどな」

 

 

暇そうにしている奴は我々だけではない。

同席しているミリムもだ。 可哀想に。

キノコシチューを試しに与えた。 喜んで食べ始めた。 ケーキ以外でもイケる口らしい。

 

 

「ロンメルから聞いた話じゃ、防衛強化に充てるべき国の援助金も着服してたってんだぞ」

「つまり何の対策もしていなかったところへ謎の人間と魔物の混同大集落の話が出て、慌てて我々が編成されたんです」

「そもそもだな、危険極まりない調査にこんな若造……ロンメルを使うか? もっと熟練の魔法使いの1人や2人抱えてんだろうが。 結果だけ分かれば良いって魂胆が丸見えなんだよ」

「……確かに、どう考えても捨て駒。 だがヨウム君。 君は腕は立ちそうだし調子には乗らない。 仲間に慕われるカリスマ性もあり顔も悪くない。 良い奴だと判断した」

「き、急になんだよ……」

「……ここまでの会話からして、現都市情報が正式に一般発表されていない……それなら好都合でね」

「……何を企んでる? 口封じか?」

「野蛮な事はしないさ。 寧ろ平和喧伝」

 

 

飽きてきたなぁ。

シズも飽きたりしないかな。 剣に打ち込むのを否定しないけどさぁ……。

 

……あれ。 ツルハシやスコップを与えたのに剣ばかり握ってるのって"飽きた"からか!?

 

 

「君、英雄になる気はないかね?」

 

 

いけない。 こんな事してる場合じゃねぇ。

我々は部屋を後にした。 シズに約束したのに。 楽しい事を教えると。

 

 

「……アイツら、急に出て行ったぞ」

「気にするな。 意味不明な奴らだから」

「……なんて報告すりゃ良いんだか」

 

 

なのにナニをしていたのだ。 全く我々ときたらIRPだのケーキだのに現を抜かしおって。

 

剣なら剣でも良い。

我々も剣を持ちシズがいる訓練場へと疾走した。




運命の人なのにねシズさん……。
放置しまくりだったよね……。
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