IRP出撃。 取り敢えず咆哮合戦もしておこうかと。
「ヘルフレアでもお供が1頭焦げただけか」
IRPが出動する際、またも搬出路の作業通路を破壊してしまった。
少しは改良して道幅を広くしたのだが。 急いでも良い事は無い。
さても空を見る。 魚の群れが空を泳いでいた。
この世界の生物は多様性に富むなぁ……改めて感じた。 良い意味で。
「うおっ!? 背後からデカい影が!」
「噂の機龍か!?」
「凄まじい! あれ程の機械が生物以上に動いている!」
足元に群がる村人が此方に気付き、驚愕している。
そうか。 まだ知らない連中が多いか。 隠していた訳じゃないが、やはり彼等の驚く顔を見るのは止められない。 楽しい。
おっと。 今は今だ。 実験も兼ねて戦闘に集中だ。
「……魔装兵か!? いや違う! あれ程の大きさであの動き! ドワルゴンでは人間サイズでも失敗したというのに!? 精霊工学は用いられていないならば、一体どんな技術で!? 彼等の技術力は凄まじいばかり! 知りたい、その技術力を……!!」
「ベスター避難しろ!? てか連絡どうした!?」
「す、すいません! 連絡は終えています! 間もなくペガサスナイツの援軍が来るかと思われます!」
「分かった! だから早く避難しろ!?」
今回、火力を単純に倍にした。
具体的には左にも右腕と同型TNTキャノンを取り付けた。
もし敵がミリム並みの場合、これまた役に立たない無用の長物と化してしまいそうだが仕方ない。
いやだって……ねぇ?
研究時間なんて修繕時間で割かれまくったしぃ……あいや。 それも言い訳だ。
……でも言い訳させてくれ。 頼む。 ミリムは今の我々の技術、創造力では倒せない。
ノックバックで吹き飛ばすのが精々なのだ……!
「だが相手に通用するのか? 本来の威力が発揮されていれば今の攻撃で炭すら残らない筈だった。 奴等の魔力妨害……聞きしに勝る厄介さだぞ」
「ええそれに……範囲内に捕らえた筈の本命は最早痛痒を感じてはいないようです」
刹那。
親玉的な奴……1番デカい一つ目玉な魚が雄叫びを上げた。
グギョオオオオオオオオオオオッ!
と。 何故か安心した。 ハァンじゃなくて。
挨拶だか知らないが、此方も相応以上にIRPで王者の素質ある咆哮を上げた。
ウオオオオオオオオオオオオオッ!!
と。
威圧感があるし、格好良いので好き。
これ擬音では無い。 実は関節部品類等の噛み合い、摩擦等による音、悲鳴らしい。
つまりよく分からない技術の組み合わせの結果生まれた副作用である。
これ程にも関わらず、ツールに起き得る様な耐久低下、摩耗の心配は無いらしいのでそのままにしている。
なんでか。 だから格好良いからだよ!
「ぐぅっ……!」
「鼓膜がやられます……ッ」
「お、お前ら……張り合うなよ」
村人が苦情のハァンを言っているが、相手にしている場合では無い。
というか、相手にするなら魚共だろうよ。
そしてというか、咆哮を合図にするように取り巻きの魚の群れが襲って来た。
これもデカい。 1体1体の大きさはガストを超えている。
「ちょっ……でか! 魚なら1年分のご馳走っす!!」
だが都合が良いと照準を合わせる。 命中率が高いのは良い事だと。
しかも単純な突撃攻撃しかしてこないと見た。 楽だ。 引き金を引き続ける。
ドカンドカンドカンドカンと連続砲撃。
魚の表面や周囲で爆発。
よし。 回路、砲撃計算問題なし。
攻撃効果を確認。 肉塊になっている。
良いぞ! ミリムと違い、今回は効いた!
「アイツらの攻撃、効いたのか!?」
「魔法弾じゃないとはいえ……奴等は硬い鱗に覆われている筈なのだが」
「効けば良いさ! 先ずは取り巻きの始末を頼むぞ!」
「我々も続け! 援護するんだ!」
「うおおおおッ!!」
「負けてられませんな!」
「もしやヴェルドラ様の化身!?」
「それは無い断じて。 というかあってたまるかこんチクショウ!」
「リムル様が急に御乱心に!?」
足元の村人達も何やらやっている。
同志は愉快な腰振りダンスをしつつ、弓矢で魚を射抜いている。
士気が高いのは良い事だ。 それが単なる応援だとしても我々は嬉しい。
さても戦闘は始まったばかり。
親玉はまだ仕掛けて来ない。
歴戦のクラフターは油断しない。
様々なモンスターはそれぞれ侮れない能力を持ち得ているのだから。